森喜朗という83歳の高齢老人、週に3回透析を続けている、いつ死んでもおかしくない個人にならば、くだらないことで、「差別発言だ」と、ネチネチ死ぬまで攻撃することができても、世界2位のGDPを有し、世界3位の軍事力を有するデジタル独裁国家に対しては、真っ当な人権抑圧の批判すらできない。
世界総人口の半分を占める女性に対して、ちょっと差別的な失言をしてしまった個人の過失に対しては、「女性蔑視だ」と国民的な大バッシングを行い、「オリンピック精神に反する」とボランティアはやめる、聖火ランナーは走らないと大げさに騒ぎ立てる。
そして、ほとんどのメディアが印象操作の偏向報道を続け、有識者とやらが、連日、非難・中傷・人格否定しまくるのだ。
こうして、弱小な個人に対しては、これでもか、というほどに、粘着質にまとわりつき、執念深く追い回し、重箱の隅まで突いて、暴き立て、大々的に報道するくせに、チベット族・ウイグル族・人権活動家に対して、非人間的な虐待を続ける「人権圧殺国家」中国のオリンピック開催には、ほとんど何一つ文句を言わない。それが、この国のリベラル・メディアだ。
要するに、小さな失敗をした弱き者を一斉に個人攻撃して挫き、強き者(大国)の巨大な悪には何一つ文句を言わないのが、今の日本の主要メディアやオピニオン・リーダーである識者たちの実態ということだ。
個人を集団で非難するのは実に楽しい。無抵抗な者をみんなで殴るのは、相手が攻撃してこないのがわかっているから楽だし、たとえ抵抗があったとしても、さらなる集団リンチの口実になるから、これもまた楽しみである。
一方で、強大な悪を攻撃するのは、報復が恐ろしい。責任問題にもなる。火の粉が自分に降りかかる恐れがある。下手すると、自分が破滅するかもしれない。だから、誰も攻撃しようとしない。
そうして、チベット・ウイグルの市民、香港・中国国内の人権派、暴行される女性たち、最も弱き者たちを、自分が黙ることで、見殺しにしているのである。
彼ら左派リベラルの人々は、彼らの自負するところに反して、実際には弱者の味方ではない。自らの持つ権力の増大に伴う快感を存分に楽しみながら、その権力行使の結果に良心の痛みを感じることもない。正義という名の手垢で薄汚れた看板を掲げることで得られるチープな優越意識によって、他者をめちゃめちゃにするサディスティックな快感を巧みに覆い隠すのが上手な、不誠実極まりない〝ろくでなしども〟が、左派リベラルには驚くほど多い。
現に、「余人をもって変えがたい」森会長を潰して、オリンピック委員会を立ち往生させている責任は、主にメディアにあるのだが、その重大な責任を感じているとも思えない。
また、マスコミが、かよわい個人をスケープゴートにして、一斉に襲いかかる様子、どこまでも情け容赦なく追い詰める様子は、この国の子供たちに〝いじめの快感〟を教える良い見本になっている。
「情の問題ではない」と彼らは言う。
なるほど、確かに、リベラルは、「いじめと差別の学校」の熟練の教師たちである。いかにして効果的に虐めるか、いかにして自分の立場を道徳優位に立たせて相手を巧妙に差別するか、いかにして自分の責任を回避するか、いかにして自らの正当性をプロパガンダし、相手方に味方しようとする者たちを孤立させるか、自らの行動を通して子供たちに教えるスペシャリストである。
確かに、彼らには他者の痛みを感じる情などないのだろう。ついでに、「もし自分が、その立場だったら」と考える想像力もない。これらは、いじめ常習犯の典型的な特徴である。
わが国のリベラル(サヨク)は、思えば、これまでも、ずっと、本当に視野が狭く身勝手であった。そして、我が国では、左派法学者たちの偏向思想の支配の下、冷静な考察による戦後日本の総括が、まったくなされてこなかった。
例えば、「冷戦下において、ドル金本位制に担保されたドルー円固定相場制を維持し、日米安保条約の締結と再調印を行なって、日米の関係を深める以外の選択肢が、当時の日本に、あり得たのか」とか、「中国の台頭と超大国アメリカの力の相対的低下に直面している現在、憲法9条は、日本国にとって、国を守るための現実的な法(国防政策の根幹)でありうるか」とか、そういう重要な議論を、まったくしてこなかったのである。
そもそも、我が国は、周囲を4つの核保有国(米露中北)に囲まれており、しかも、そのうち3カ国(中露北)は独裁国家である。通常兵器の軍事力でも3つの国(米露中)には及ばず、GDP(経済力)でも、2カ国(米中)には遠く及ばない。しかも、周辺の3カ国(中露韓)とは、領土紛争を抱えている。
さらには中韓とは、歴史問題で解決不可能な対立を抱え、そのせいで、仮想敵国とまで見做されている。特に、中国は、東シナ海と南シナ海の覇権を求めており、日本の漁船や貿易船は、中国海軍と海警の大進出によって、航行の自由が危機に瀕している。
しかも、アメリカは、日本との同盟を重視して、露骨に中国北朝鮮に接近する文在寅政権の韓国や、ますます軍事大国化する習近平の中国に対して、非常に厳しい対応をしていたトランプ大統領から、中国に融和的な民主党のバイデン大統領になり、日本にとっては厳しい時期に差し掛かっている。
この極めて危機的な状況で、唯一の同盟国であるアメリカの米軍基地に「日本から出ていけ」と猛攻撃しているのが、この国のリベラルである。
世界最強の軍事力と世界最大の経済力を有する超大国アメリカに対して、「ゴー・ホーム(帰れ!)」と書かれた巨大な垂れ幕が、辺野古基地の前になびいている。
日本の自衛隊は、憲法9条下において、専守防衛の軍隊、つまり、戦えない軍隊である。もし、他国が日本に攻め込んできた場合、あるいは、核や通常兵器で威嚇や脅迫をしてきた場合、日本には対抗手段(矛)がない。唯一の頼みの綱は、国内にある米軍基地である。
それを「帰れ!」とは、正気の沙汰とは思えない。
地主たちは、「我々の先祖代々の土地が、アメリカの軍事基地にされている、基地はいらない、米軍は出て行け」と嘆いて見せる一方で、年間1000億円の基地使用料は、日本政府(税金)からちゃっかりいただいている。
そのくせ、中国人に先祖代々の土地を売るのは、まったく気が咎めないらしい。すでに、あまりにも多くの土地が、中国人の手に渡っている。
イギリスのBBCワールドニュースは、2月11日、これまで中国政府によるウイグル人への甚だしい人権侵害の実態について、繰り返し報道し、激しく非難してきたために、中国国内での放映権を取り上げられた。対するイギリス外相は、2022年の北京オリンピックボイコットを検討していると発表している。
ところが、その間、日本の左派メディア(朝日・毎日・東京新聞・TBS・NHK)は、こうした海外の極めて重要なニュースを完全に黙殺して、つまらない些細な失言で森会長を吊し上げ、東京オリンピック潰しにメディアスクラムを組んできた。
ともかく、彼らは、日本政府の力を削ぐことにしか関心がない。本当は、人権など、どうでもいいのだ。
あまりの不可解さに、日本のメディアには、相当数の中国の工作員が入り込んでいるのではないか、と疑いたくなるほどだ。中国の工作員を通して、さまざまな圧力がかかっているのかもしれない。
残念ながら、我が国の国民は、そうした圧力に抗し得るだけの気骨や信念や見識や愛国心を持たない。そんな精神力や知力を持っているのは、戦争を経験した80代の重鎮たちだけだろう。70代より下の戦後生まれの軟弱な連中は、どうしようもない。簡単に捻られて、敵の軍門に下る。
自民の議員が、中国企業からお金をもらうと、大ニュースにするが、自分たちが中国政府に招待され、お金をもらっているのは、当然ながら、一切ニュースになることはない。
はたして、自国が中国に飲み込まれるかどうかの瀬戸際に立っているのに、中国をほめそやし、自国政府を攻撃することしか関心がない、この国の亡国メディアに存在価値があるのか。
少なくとも、私は、欠片も感じない。
しかし、この国の国民は、こうした悪質な情報操作に、あまりにも無防備であり、簡単に操られてしまう。
実際、先進諸国民中で、日本人は、抜きん出てメディアへの信頼度が高い。信じやすい素直な国民なのだ。ちょろいとも言うが。
笑い事ではなく、メディアを信頼する日本人の割合(68%)と、森会長辞任を当然と考える日本人の割合(72%)は、ほぼ重なるのだ。
森会長の失言を批判したトヨタは、なぜ中国政府の人権弾圧を非難しないのか。
森会長の失言程度でボランティアを辞めた市民は、当然、森さんとは比較にならないほど人権意識の欠落した中国の北京オリンピックボイコット運動を激しく展開しているに違いあるまい。まさか、森発言レベルで、あれだけ、国際的な大問題と騒いでいたのに、中国の激しい人権弾圧には関心がないとは言わないだろう。
森さん批判に熱心だったワイドショーのコメンテーターは、全員、北京オリンピックボイコット賛成に署名し、テレビで連日ボイコットを呼びかけてくれるに違いない。森さんレベルの失言で、どこまでもしつこく許さなかったぐらいだから、中国のジェノサイドを看過するなど、絶対にあり得ない。日本政府へのボイコット要求は、当然だろう。
森さん辞任要求で、日本オリンピック委員会に激しく抗議した一般市民のみなさんは、今すぐ、中国大使館に人権抑圧抗議の電凸して欲しい。
女性人権運動家のメンバーは、白装束でも黄装束でも青装束でも、黒装束でもかまわないから、中国大使館を囲んで、早く無言の座り込み抗議を行なうべきだ。行動しないという選択肢はないはずだ。
沖縄では、今年、2月に入って、例年見たこともないほど、桜が狂い咲きしている。本島中、どこの木も満開である。桜がこれほどまでに、咲き誇っている様子は、近年、あまり、見た記憶がない。美しいのは確かだが、何やら不気味な気もした。不吉にも思えた。
これは、何の前触れだろうと思っているうちに、森さんが辞任に追い込まれ、東北では10年ぶりの大地震が起こった。
今年の日本は、どうなるのだろうか。