今(2/7時点)、ご本人の不用意で迂闊な発言が、大きく取り沙汰され、森喜朗会長自身の進退が問われる事態となっている件について、少し申し上げたいと思います。
まず、ご本人の認識は、いかにも昭和の政治家らしく、非常に古い感覚であり、本人にはそのつもりがなくとも、結果として著しく差別的な発言となっていることは確かです。
たしなめるべきこと、諭すべきことであるのも確かですし、ご本人にも自覚を促したいとは思います。そうした議論は、大いにあって良いと思います。
ご本人も、ご自分の発言を、よく吟味されて、大いに反省されて然るべきです。きっと、森さんの奥様も娘さんもお孫さんも、そう思っていらっしゃることでしょう。
今回の発言は、ご本人がどう弁解なさろうと、明らかに女性差別的な発言でした。それは認めます。その通りです。森さんを非難される方達の言説は、いちいちごもっともで、何一つ間違ってはいません。
しかし、です。
現在のこの国のメディア報道のあり方は、それであっても、やはり、いただけないと思うのです。以下に、何がまずいのか、私の感じていることを正直に記します。
海外メディアが批判?
いえいえ、日本の左派メディアが、海外左派メディアに、わざわざ発言の切り取り情報を提供して、厳しい批判報道を促し、さらに取材に行って非難のコメントを頂く、つまり、海外の批判を焚き付けているだけでしょう?
目的は、外圧の逆輸入ですよね?
こうして、森喜朗さんの失言(?)の言葉尻を捉えて、殊更、悪意に解釈し、世界中に日本社会への誤解を広める、お馴染みのマッチポンプ戦略が、現在、例によって、日本の左派メディアを中心に、大々的に繰り広げられているわけなのですが、私は、毎度の如く、飽きもせずに行われる、この告げ口外圧逆輸入プロセスに、辟易しています。
リベラルを自認する皆さん、保守政治家の発言を切り貼りして海外メディアに流し、自分たちに都合の良い政府批判を巻き起こそうと画策する、そして、政権を倒すことを目指す。いい加減、こういう姑息な保守政権打倒のやり方は、やめにしませんか。
見苦しいだけでなく、社会の分断をさらに深めるだけですから。何一つ、日本のためにならない。
それに、国民の方も、欧米コンプレックスが今だに根深過ぎて、本当に外圧(CNNとかルモンドとか)に弱いものだから、すぐにころりとリベラルの策略にしてやられるのです。情けない。
日本以上に社会倫理が進んでいる国なんて、実は、どこにもないのです。ですから、海外に批判されようと、どうせ、批判している相手の国にしたところで、大したことないのですから、「ああ、そうね、一応聞いとくわ」と堂々としていればいいのです。
日本人は海外からの批判に弱すぎるのです。
実際、日本以外のどこの国に行っても、都市部には無数のホームレスが、路上で放置されています。あれだけの数の悲惨なホームレスの存在を、目の前で完全に無視できる欧米人に、人権がどうのこうの言われたくないです。
日本人よ、海外の人から何を言われようと、無視しろ、無視!
中野信子さんがおっしゃっていたように、日本人は、欧米では、男女差別が日本より少ないはず、と勘違いしているが、実はそうではないのです。
欧米の社会は、日本より優れているという間違った思い込みは、もういい加減、払拭されてもいい頃です。
海外が何を言おうと知ったことか!
「日本に文句を言うより、欧米人は自分の頭のハエを追え!」
そう言い放ち、堂々としている点では、中国を見習っていいと思うのです。
自分の価値観にそぐわないものを無理して受け入れる必要はない、ということです。受け入れたフリをする必要もありません。
演技はいらない。猿芝居はやめましょう。真実の自分の価値観を大切にしましょう。
日本は、今のような「劇場国家」から、いつになったら卒業するのです?
2015年に肺がんの手術をし、今も週3回透析を受けながら、無報酬で誰もやりたがらない力仕事を、強い使命感を持って、ここまで頑張ってやってきた戦前生まれの83歳のじいさんを、寄ってたかってスケープゴートに仕立て上げて、どうするのです。
政界を引退している御隠居の身で、健康に不安を抱えながら、命を削る覚悟で、最後の国へのご奉仕と、老体に鞭打って、誰もやりたくない仕事を引き受け、奔走してきた邪気の無い人物を、小さな小さな男尊女卑とも言えないくらいのたわいのない発言一つで、そこまで追い詰めなくてもいいでしょう。ちょっとぐらいユーモラスに感じて、仕方がない爺さんだなあ、と寛容に反応するぐらいの余裕があっていいのではありませんか?
「もうその辺でいいんじゃないか?」
「これ以上、功績ある御老体を鞭打つものじゃない。」
「見苦しいからやめろ!」
中国人なら、おそらくそう言うと思います。そして、そういう点でも、私は中国を見習うべきだと思うのです。
韓国を見習って、小さな瑕疵をことさら大きく取り上げて、辞めるまで叩き続けるというのは、どうしても好きになれません。もっとも、韓国の場合は、朴槿恵さんの時のように、辞めても更に激しく叩き続け、罪もないのに有罪にして刑務所にぶち込み、死ぬまでバッシングを続けるということも多いのですが。
韓国の日本叩きには、その特徴がよく現れていますよね。
机の上の勉強だけしてきて、世の中や人間を知らない〝識者〟たちが、テレビで正論ぶって森さんを激しく非難するのも、左派メディアが森さんを追いかけ回して辞任を求めるのも、本当に聞き苦しいです。
社会的認識の古さや多少の思い上がりから失言を生んでしまったことで、追い詰められている森さんの無私の心より、追い詰めている側の酷薄さや野心に満ちた策略や独善的ルサンチマンの方が、私から見ると、はるかに気持ちが悪い。
唯我独尊の極地に脳が固まっている欧米価値基準至上主義のリベラルが、無慈悲に騒ぎたてるのはいつものことで仕方がないとしても、偏向した左派メディアの策略に踊らされて、国民全体が森さん排除に傾いてどうするのです。
聖火ランナーが走らないとか、ボランティアが辞めるとか、メディアによるプロパガンダに簡単に操られる、日本国民の総白痴化傾向には処置なしです!
メディアはウソをつかないという思い込みにも呆れますが、同時に、ここにも〝空気の支配〟があります。たとえ異論があっても自分に火の粉が飛んでくるのが嫌で沈黙する国民もまた、亡国に加担しているのです。
繰り返しますが、自分の価値観を、遅れているとか、進んでいるとか、思い込まないことです。権威に依存せず、人任せにせず、時代や時勢に流されず、何が正しいのか、自分の感性と理性で判断しましょう。
この点で、私は、「日本は外圧に弱いと見做され、外国にコントロールされてしまう」という中野信子さんの懸念に、大いに同意します。
田原総一朗さんが言うように、森さん自身は、「自分が辞めて済むなら、いつでも辞める。あれこれ言われ続けるより、その方が楽だ」と思っているでしょう。
奥様にも相当叱られたそうですし、お孫さんが、心配のあまり倒れられたことから、森さんご本人も「謙虚でありなさい」という奥様の言葉を真摯に受け止められているようです。
そもそも、自分の欲心で会長に就任しているわけではないでしょうし、この難しいコロナの時期に、史上最も困難な仕事に、あのお歳で、責任感を持って立ち向かうのは、正直、重圧が大きく、難儀なだけで、何の旨みもなく、また、誰でもできることではありません。そもそも、森さん本人には会長職への未練などないでしょう。「国へのご奉仕」という言葉にも嘘偽りはないと思うのです。
それを「辞めろ、辞めろ」とサイレント・デモするとか、なんだか、凝り固まった理念や情念だけで動く、感情の深みのない、心の潤いの枯れ果てた人たちのように感じます。
しかし、舛添さんの時も、猪瀬さんの時も、小保方さんの時も思ったのですが、一生懸命頑張っている人への敬意も感謝も信頼もない、血も涙もない、これで、この国はいいんですかね。
現代の日本社会では、人間精神が、ここまで薄情で不信に満ちた薄っぺらなものになってしまったのでしょうか。これこそ〝いじめ社会〟ではありませんか。
こうした無惨な左翼メディアによる世論操作活動によって、社会から〝おおらかさ〟〝寛容さ〟がますます失われ、ストレスの多い社会になっていきます。
言葉尻を捉えて騒がれ、進退問題になる社会では、誰もが、保身のために、言葉遣いに神経を使いすぎるあまり、時折、ガードを下げて面白いことを言う、サービス精神のある個性的で味わい深い人間的な人が、まったく出てこない、無味乾燥で面白みのない、出涸らしのお茶のような世の中になってしまいます。それは、人が人を信じられない社会でもあります。
私は、森さんの失言より、コロナ禍を過剰報道し続けて、コロナへの不必要な恐怖を煽りつづけてきたメディア関係者の方が、はるかに高慢で思い上がっているし、反省もないし、煮ても焼いても食えない、社会にとって深刻な害悪であると思うのです。
また、上記したように、これまでも、猪瀬さん、舛添さん、小保方さんへのメディアのバッシングは、本当に酷いものでした。安保法制などの時の安倍さんへのバッシングも、最低でした。メディアの個人攻撃は、国民的な人格否定の動きの温床となりました。
左派メディアの場合、あらゆる一次情報や二次情報、正しいデータを無視して、「自分たちは正当なことをしている」「世の中をいい方向に変えるために努力している」「私は正義の側にいる」と、根拠なく思い込んでいるところが、一番始末に負えないのです。
都合の良いすり替えと自己正当化が、とても上手であるということは、情報戦やプロパガンダの才覚があるのです。言い換えれば、対等の議論のできない権威主義者であり、同時に〝良心のない人〟ということでもあります。
そして、常々思うことは、「権力者はすべて野心に満ちた悪党」という妄想は、リベラルの側の勝手なミラーイメージではないか、ということです。この国の社会に巣食う深刻な人間不信の最たるものが、リベラルの抱く権力不信と利己的な野心と一方的で偏った権威主義だと思うのです。
さらに、彼らの権力不信の裏側には、根深い人間不信が横たわっています。自分以外の人間を信じない者たちが、相手を蔑み、黙らせ、コケにして、自分の側の優越性を誇示することで、世の中を変えようとする。それを〝啓蒙〟だと勘違いしている。
けれども、相手を馬鹿にしながら、啓蒙なんてできるわけがない。無理、無理、絶対無理です。
人間を信じない者たちが、社会を良い方向に変えられるわけがないのです。
「思い上がってはいけない」という戒めは、森さんだけでなく、いや、むしろ、森さんの断罪者たちにこそ、ふさわしい。
こういう状況では、私は、森さん擁護にまわります。辞める辞めないは、ご本人が決めることですが、どちらであっても、私は、今の批判のあり方は間違っていると思うからです。
「あなたは会長には適任ではないと思いますよ」と、インタビューしている記者が、面と向かって言ってどうするのでしょうか。そういう人間の質問に、素直に答えられる人がいるでしょうか。
自分が知ろうとするべき報道対象を、自らの勝手な思い込みで〝敵〟と認定した時点で、その記者はジャーナリストではなく、悪質なプロパガンダ要員に成り下がっているのです。
「私は、とことんあなたの発言を印象操作させていただきますよ」と言っているのに等しく、これはメディアによるハラスメントにあたります。
こうしたメディアの不適切な活動が、大々的に繰り広げられ、「森、辞めろ!」の大合唱が演出される。これがメディア・スクラムです。
小保方さんバッシング、猪瀬さんバッシング、舛添さんバッシング、安保法制バッシング、安倍さんバッシングなどで、これまでも散々行われてきたワンパターンの手法ですが、国民は、なぜか、毎回、この恣意的なメディアのスクラムに乗ってしまうのですよね。素直と言うか、ナイーブと言うか、騙されやすい人たちです。
小保方さん、猪瀬さん、舛添さん、森さん、皆、その犠牲者です。正直、私は、国民のあまりの定見のなさと操られやすさと人間不信の強さとバッシングの酷薄さに、毎度のことながら、胃が締め付けられ、胸がムカムカしてしまいます。
(2月7日記)
※2月11日、森さんが、辞任なさるそうです。ご本人にとっては、重荷を下ろされて、良かったのではないでしょうか。本当にお疲れ様でした。
「後を誰かに託す必要もない」「あなたが決めるのはおかしい」とまで言われているのだから、どうぞ、すべて放り投げちゃってください。
どうせ、次の会長なんて、誰もなりたくないんだから。
決まらなくても、いいんじゃないですか。
辞めろと言ったのは、メディアと国民なのだから、あなたのせいではありません。
「あと何年生きられるかもわからない、それでも、日本のために、自分の最後の時間まで使いたい」というあなたの心意気が、残念ながら、この国の国民、メディアには、もはや通じないのです。
寂しいですね。寂しい国です。
だから、この国は、どこまでも落ちぶれていく。
ただ、なんだか、もう、私も、オリンピックなんて、どうでもいい感じです。
功労者を次々と血祭りにあげる。
こんな国民のために、誰が一生懸命に、尽くせるでしょうか?
この国は、もうダメです。
この国のために、日本のために、日本人のために、みんなのために、何か頑張りたいという人は、この国では、お呼びじゃないんです。必要じゃないんです。いらないんです。
だったら、そんな国は、滅びるしかない。
消防士も、警察官も、自衛官も、海上保安官も、どうして命をかけられますか?
どうして、こんな国民のために、天皇皇后両陛下が、自分の人生を犠牲にしなけりゃならないんです。
無私の心で、みんなのために尽くす人は、この国では邪魔なんですよ。
国が潰れることを願っている人が多いのでしょう。
日本が嫌いなんです、きっと。
⭐️参考までに、失言(と言われている発言)の全文
「これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた。(笑いが起きる)5人います。
女性っていうのは優れているところですが競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それで、みんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまりいうと新聞に悪口かかれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります。
私どもの組織委員会にも、女性は何人いますか、7人くらいおられますが、みんなわきまえておられます。みんな競技団体からのご出身で国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですからお話もきちんとした的を得た、そういうのが集約されて非常にわれわれ役立っていますが、欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになるわけです。」
この失言(?)、人格否定されるほどの暴言なのでしょうか?
欧米人に、この発言のニュアンス、そして、御本人の人格、すべて裁けるでしょうか?
この程度の失言で、これまでの功績を完全に無視され、全人格を否定され、ここまで全世界人類社会から叩きのめされるようになっては、この社会に、おおらかさや寛容さなど、一切期待できないでしょう。この国のメディアは「失言警察」か!
私は、失言ではないとは言っていない。失言ではあっても、これで必ず辞任させなければならないほどのことか、そこまで追い詰めなければならないことか、と言っているのです。
反省がない、と言われても、本人には、男尊女卑の意識などかけらもなく、言葉遣いが悪いだけなので、そんなことは、周囲もみんなわかっているわけです。それを「隙を見せたお前が悪い!」と、まるで溝に落ちた犬を叩くが如く、リンチにかけるのが正しいのか、ということです。
無意識の差別を問題視するなら、私は、例えば、トランプ支持者に対するリベラルの差別意識は、こんなレベルではないと思います。けれども、CNNは、決して問題にはしません。
この世界の最も深刻な問題、学歴差別、見かけ上の知性差別、英語力差別、資格差別の甚しさについて、世界のメディアは、どこまで無視し続けるのでしょうか。
さらに言えば、このレベルで森さんが排斥され、ボランティアも辞め、聖火ランナーも走らないのであれば、ノーベル平和賞受賞者を牢獄に繋ぎ続け、その死後も、配偶者を監禁し続けている、習近平の中国でのオリンピックなど、とんでもない話です。むり、むり、むりです。
朝日、毎日、CNN、世界のあらゆるメディア、加えて、今回、森おろしに賛同した日本国民は、「天安門事件をいまだになかったことにしている情報統制デジタル独裁国家、ウイグルやチベットを収容所化している人権弾圧国家である中国でのオリンピック開催に抗議し、「オリンピック憲章に反する!」と徹底的に非難し、ボイコットしてください。トヨタも、NBCも、IOCも、小池都知事も、当然、「オリンピック精神に反する国家での開催には協力できない!」と、北京オリンピック反対の声明を出すんですよね。
辻元清美さんも、蓮舫さんも、福島瑞穂さんも、北京オリンピック反対の大合唱、待ってます。
日本と中国で、ダブルスタンダードの扱いは、到底許し難いですからね。
静岡県川勝知事の発言→「森さんは、女性蔑視する人ではない」「ちょっとしたユーモアのつもりで言葉が過ぎるのが欠点ではあるが、(メディアの)レッテル張りが、辞任要求という事態を招いている」
舛添元都知事の発言→「都民は森さんに感謝すべき」「功績も評価しなくてはならない」「(発言への野党女性議員の非難抗議表現のあり方には)失笑を禁じ得ない」
それぞれに、見直しました。
リベラルとか、保守とか、関係ないですね。
要は、痛みがわかるかどうかです。
この二人は、黙っていられなかったのでしょう。
そうした一方で、何も感じないサイコが、世の中、本当に多くなりました。
彼らは、言葉で、遊びで、虐待を楽しむ心で、人を殺します。
アメリカ人のデーブ・スペクター氏ですら「失言ではあるけれども、森さん本人に悪意はないですよ。欧米メディアは、切り取られた言葉しか読んでいない。IOCに権威なんかないですよ。本当は、ここまで騒ぐことではないでしょう。みんな、騒ぎ過ぎです。冷静さを失っている。これほどまでに騒いで、いったい何を目指しているのか、何がしたいのか、ちょっとわからない」と普通に言っています。
ところが、この当たり前の感覚が、肝心の日本人にわからない。情けない限りです。
「昭和の保守派」が、いなくなったら、おそらく、この国はもう保たない。この国の屋台骨を支えている80代の人たちを、老害などと罵って排除して、自分の首を絞めている。そのことにすら気づかず、ある意味、眠ったまま自殺を図る夢遊病者のバカ者どもが、この国には多過ぎるようです。