欧州主要国のコロナ事情
100万人あたり死者数(〜1/13)
①ベルギー 1738
②イタリア 1321
③イギリス 1222
④スペイン 1127
⑤フランス 1053
⑥スイス 977
⑦スウェーデン 954(人口1022万人/GDP5561億ドル)
⑧ポーランド 848
⑨ポルトガル 794
⑩オーストリア 760
⑪オランダ 732
⑫ドイツ 517
⑬ギリシャ 513
⑭アイルランド 483
⑮ウクライナ 464
⑯ロシア 434
⑰デンマーク 280(人口578万人/GDP3557億ドル)
⑱フィンランド 109(人口551万人/GDP2767億ドル)
⑲ノルウェー 89(人口533万人/GDP4342億ドル)
⑳アイスランド 85(人口36万人/GDP259億ドル)
※日本 32
※韓国 23
※アメリカ 1173
※カナダ 454
上記のデータを見る限り、政府が一切の強権的処置を取らず、休業要請もせず、マスク着用の推奨すらせず、飲食店の時短営業もせず、あらゆる施設をオープンにして、経済を回し続けてきた国としては、スウェーデンは比較的悪くない数値である。
強力なロックダウンを三度にわたって強行しているイタリア、イギリス、スペイン、フランスよりも、死者が少ない。
同じ、北欧のデンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイスランドは、欧州の中では、極端に死者が少ないが、これらの人口も非常に少なく、その割に国土が広く、密集する大都市もなく、工業よりも農業・漁業などの一次産業が盛んな国々と、北欧最大の経済国家であるスウェーデンを比較するのは、あまりフェアではない。
日本の場合も、一切の強権的措置を取らずに、なるべく経済を回している国としては、比較的悪くない数字である。
ところで、はたして、日本が、スウェーデンのように、マスクも推奨せず、飲食店の時短営業も要請せず、あらゆる施設を通常通りオープンにして、経済を回し続けたら、現在のスウェーデン並みに感染者や死者が出るだろうか。
結論として言わせてもらえれば、それは絶対にありえない。東アジア人のコロナに対する強い免疫は、欧米の白人(印欧語族)の脆弱な免疫力とは全く異なることは、これまでのデータが証明している。新型コロナへの抵抗力が強い日本人(アジア人)の場合は、スウェーデン方式が可能なのだ。
現在、冬の到来によって、北半球を中心に、コロナの感染状況は、悪化の一途を辿っている。それでも、欧米とアジアでは、状況はまったく異なる。
日本と欧州で、1月13日/14日の新規感染者数と関連死者数を比較してみよう。
新規感染者数ーーーーー1日の関連死者数
▼イギリス(人口6665万人)
47525人→48682人ーー1564人→1248人
▼ドイツ (人口8302万人)
25566人→21343人ーー1207人→1111人
▼日本 (人口1億2650万人)
5819人→6594人ーーーー97人→60人
ドイツでは、1日のコロナ関連死者が、過去最多の1207人を記録し、「コロナ重症者用の集中治療室のベッドの空きが19%しかないため、危機的状況」と国立感染症研究所の所長が述べている。
イギリスでも、1日のコロナ関連死者が、過去最多の1564人を記録し、ジョンソン首相が、「入院患者数が、去年4月のピーク時より70%増加しており、医療が逼迫している」と述べている。
その一方で、人口比で考えると、日本の状況は、新規感染者数がイギリスの15分の1、死者数が40分の1だ。普通に考えれば、それほど心配する状況ではない。
ただ、唯一の問題は、わずか欧米の40分の1の死者数でありながら、医療が逼迫してしまうという、我が国の情けない医療の現実だ。日本の場合、この〝医療体制の欠陥〟だけが、経済を回すための障害となっているのだ。
だから、今回の緊急事態宣言について言えば、医療の不備のツケを国民が払わされていると言っていい。
「自助」は国民の努力。「公助」は政府の補助・援助・保護。では「共助」は?
この国の議論には、国民の自粛を求める自助努力要請と、政府の支援を求める公助要求しかない。互いに助け合う意識、国民の間で信頼と使命感を持ち合う「共助」の重要性だけが、取り残され、無視され、うち捨てられている。
そもそも、誰もが自分のことだけを考えていては、本当には経済は回らないものだ。そこが、リバタリアンの盲点だ。
情けは人の為ならず。袖擦れ合うも他生の縁。金は天下の回り物。利己だけでなく、利他の精神があってこそ、お金は動く。
みんなが100均に殺到するようでは、経済など回るものか。株価や社内留保や個人の預金残高だけが増えていき、景気はいっこうに良くならない。
政府の政策が悪いのではない。人間の「せこさ」が経済を潰すのだ。
菅総理はそのこと(共助の必要性)がよくわかっている。だから、Go Toを行った。残念ながら、国民の方が、意識がそのレベルにない。メディアもまた、国民の意識を引き上げるのに、なんの役割も果たしていない。
医療だって同じだ。日本の医療の何が問題なのか、一番わかっているのは医療従事者のはずだ。だが、その医師たちが、一番肝心なこと(都合の悪いこと)には口をつぐむ。
現在、日本のすべての病院の中で、わずか8%の病院だけが、コロナ患者を受け入れている。全病院の8割を占める私立病院だけでなく、公立病院でも、コロナ患者を受け入れていない病院は多くある。
感染症の専門家がおり、エクモも人工呼吸器も持っている急性期の病院でも、コロナ重症患者の受け入れを拒絶している病院は、実はかなり多い。
ところが、政府も自治体も、これらの病院に対して、コロナ患者を受け入れるように強制する法的権限はない。
たとえ公立病院であっても、政府や知事の要請を、きっぱり断ることができる。すべては院長の判断に委ねられている。
その院長たちが、問題なのだ。
日本は、国民皆保険の整った世界に冠たる医療大国である。優秀な専門家も機材もそろっている。エクモも人工呼吸器も十分ある。しかし、世界一の病床数のうち、わずか3%しか、コロナ病床に使用されていない。
そして、国内の9割以上を占める〝コロナ受け入れ拒否〟病院は、一般の患者が(コロナ感染を恐れて)来院しないので、ひまを持て余している。それらの病院では、優秀な医師や看護師が、無為に待機を続けている状態なのだ。
たとえ受け入れ可能であっても受け入れていない病院が、あまりにも、あまりにも多い。
人材も機材も、適切に投入されていない、ひどいミスマッチだ。まさに「宝の持ち腐れ」。
これでは、慢性的な人手不足に陥り、欧米の10分の1程度の感染者数で、医療崩壊が起こるというのも当然である。
この状況を改めることができれば、日本では、十分スウェーデン方式が通用すると思われる。
コロナを2類から5類に、というのは当然として、さらなる方策は二つ。
一つは、医療界自体の自覚と状況改善の努力を促すこと。そのためには、識者やメディアによる強い批判(医学会・医師会への外圧)が不可欠である。
もう一つは、病院側の〝経済の自由〟を、非常時における〝公共の福祉〟を理由として、国や自治体が制約(主権制限)することを可能にする法令の整備である。このためにも、識者やメディアによる国民的な言論の喚起(国会への圧力)が必須である。
残念ながら、現時点において、我が国のメディアは、一部の自覚的なメディアを除けば、その責任を果たしているとは言い難い。
むやみにコロナウイルスを怖がるだけの人が日本に多いのは、データやエビデンスを無視して、ひたすらコロナへの恐怖を煽るメディアの偏向報道と印象操作に問題がある。
社会的ストレスを極度に高めるだけの不必要な同調圧力によって、コロナ禍を乗り切ろうとするのは、まったく無謀である。
ストレスは、免疫を弱める。自殺も増える。何もいいことはない。
ともかく、メディアの報道姿勢が酷すぎる。「自分は『科学的』である」という識者やメディアの自己本位の態度が、国民の科学的思考の芽を摘み、的確な状況判断を阻んでいる。
日本の年代別累積コロナ関連死者数4059人中
0〜19歳 0人
20代 2人
30代 10人
40代 40人
50代 120人
60代 360人
70代以上 3500人以上
若年層は、感染しにくく、感染させにくいというエビデンスもある。
大学をリモートにする意味がわからない。
学問の府が、すでに知性を放棄している。
参考までに、
日本の年代別自殺者数(2015)2万4547人中
0〜19歳 529人
20代 2451人
30代 3403人
40代 4406人
50代 4204人
60代 4009人
70代以上 5545人
自殺者の数は、コロナどころではない。
全年代において、コロナ関連死者よりも、自殺者の方が多い。
ただでさえ、神経症的な人の多い、精神的許容度の低い、心の余裕の少ない、この国で、これ以上、余計なストレスを生じさせてどうするというのだ。
社会的緊張状況を、さらに悪化させ続ける識者とメディアの罪は、あまりに大きい。大きすぎる。
中には「万死に値する!」と言ってもいい発言者たちもいる。
さらに、参考までに、
欧州主要国の100万人あたり自殺者数(2016)
①ロシア 310
②ウクライナ 224
③ベルギー 207
④フランス 177
⑤スイス 172
⑥ポーランド 162
⑦フィンランド 159
⑧オーストリア 156
⑨スウェーデン 148
⑩アイスランド 140
⑪ポルトガル 140
⑫ドイツ 136
⑬デンマーク 128
⑭オランダ 126
⑮ノルウェー 122
⑯アイルランド 115
⑰イギリス 89
⑱スペイン 87
⑲イタリア 82
⑳ギリシャ 50
※日本 185
※韓国 269
※アメリカ 153
※カナダ 125
私たちは、コロナの数値に敏感になりすぎ、自殺の数値には鈍感になりすぎている。
誰からも顧みられず、孤独に死んでいくのは、コロナ患者よりも、むしろ、自殺者である。
特に、日本人と韓国人は、コロナより自殺を問題視すべきだ。
さらに参考までに、
〈2019年の日本の死亡者の内訳〉
死亡者総数⇨138万1039人
①ガン⇨37万6392人
②心疾患⇨20万7628人
③老衰⇨12万1868人
④脳卒中⇨10万6506人
⑤肺炎⇨9万5498人
⑥不慮の事故⇨4万人
⑦腎不全⇨2万6000人
⑧アルツハイマー病⇨2万1000人
⑨自殺⇨2万169人
現在、コロナ関連死者数には、「コロナに感染してはいても、直接・間接の死因はガン・心疾患・老衰・肺炎・腎不全、アルツハイマー病であった」という人も、すべてカウントされていると考えられる。つまり、コロナ関連死者としてカウントされている人の相当数が、コロナが死因ではないために、死亡率を上昇させていない可能性があるということだ。
一方で、高齢化によって、例年、我が国の前年度比超過死亡数は上昇傾向にある。
コロナ関連の死亡者の総数(4000人)は、例年のインフルエンザ(10000人)以下であること、世界的な交通の遮断によって、インフルエンザの流行が例年の1%もないことなどから、2020年度の超過死亡数は、例年並み、あるいはそれ以下の上昇率となると思われる。
例えば、インフルエンザの場合、例年、直接インフルエンザによって亡くなっている人は3000人ほど。一方で、超過死亡数から割り出されるインフルエンザ関連死者数は1万人。関連死者数の3割程度が、直接の死者と考えると、直接コロナによって亡くなっている人は1200人ぐらいと類推できる。
一方で、コロナの場合、インフルエンザよりも、高齢者の亡くなる割合がはるかに高いことから、小林よしのり氏などのように、コロナに感染してはいても、老衰(つまりは寿命)で死亡した人も、コロナ〝関連〟死者に含まれており、超過死亡から割り出されるはずの実際のコロナ〝関連〟死者数は、4261人(1/17現在)どころか、その半分もいないだろうという意見もある。
そうであるなら、コロナ関連死者数は、自殺者の10分の1に過ぎないことになり、「命を守る」という観点からすると、日本人は、コロナを気にするより、経済に気を遣った方が10倍マシということになる。
※2020年の自殺総数は、これまで毎年減少していたが、11年ぶりに増加した。