最近の安倍首相の健康関連報道に関して、無粋とか失礼とか下品というレベルを超えて、悪意しか感じない。

特に、安倍首相以外に、代わりうる人材が見当たらない現状で、ちょっと病院に行って点滴を受けただけで、「ポスト安倍は誰だ」と騒ぐのは、どういうことだろうか。

 

安倍さん以外に、プーチンや習近平やトランプと互角に渡り合える人材が、現在、この国には、一人もいない。石破さんや岸田さんや河野さんでは、心許ない。小泉さんも、まだまだだ。

ポスト安倍は安倍さんしかいないのだ。

 

集団的自衛権を認め、安保法制を整備することで、米国との安保上の強固な信頼関係を背景に、インド・オーストラリア・イギリスとも、防衛上の関係を深め、そうした国際関係を背景に、中国・ロシアとも互角の関係を維持した。さらに、韓国との関係改善を図りつつも、必要以上に譲歩しなかった。

デジタル独裁覇権国家中国の存在感が高まる中で、予測不能なトランプ大統領をうまく御しつつ、難しい舵取りを凌いできた。なかなか、誰にでもできることではない。

 

しかし、アメリカのCNNなど大手メディアが、常に、反トランプであるのと同様に、朝日、毎日(TBS)、共同通信、東京新聞など、この国の左派メディアは、常に、反安倍だ。特に、地上波を代表する日本の夜のニュース番組、テレ朝の報道ステーションとTBSのNEWS23は、完全に反安倍である。(※その一方で、地上波の昼のワイドショー番組だが、テレ朝のワイド!スクランブルの視点は、公平で納得できることが多い。解説者のバランスも良い。また、地上波ではないが、BSフジのプライム・ニュースは、概ね、安倍首相を支持する立場に立っているが、討論番組であり、制作側が偏向していないため、刺激的な情報や意見が多く飛び交う。)

 

出演者、コメンテイターや解説者が、政治の功罪の正当な評価ができず、不満ばかりを並べ立て、一方的で色眼鏡の観点から政府の非難ばかりするのは、批評者の知能の低さを証明している。

ほんとうに悪意しか感じない。

低能の悪意は始末に負えない。

そもそも、抑止力なしに、平和は、タダで維持できると思い込んでいる時点で、ジャーナリストとしては失格である。

 

 

 

そう書いているうちに、突如、「安倍首相辞任の意向を固める」というニュースが入った。

 

「激震」である。

 

持病の潰瘍性大腸炎の悪化が理由ということだ。

薬が効かなくなっているという。

 

消化器系の病は、ストレスと密接に関係している。

この国を支えるために、身体をボロボロにしてしまった。

そういう人に、最後まで、心ない質問ばかりをぶつける、心のないメディア。

観ていて、苦痛でしかない。

 

後任は、菅さん、だろうか。

 

 

 

この先、この国は、どうなるのだろう。不安である。

安倍首相は、世界中の指導者たちが称賛し、中国国民までもが敬意を表するように、国際情勢に大きな影響力を持つ実力者であり、日本の顔であった。

強い義務感と愛国心で、任務に専心した。

 

しかし、この国の国民は、必死で頑張る首相を支えることが出来なかった。それどころか、コロナ禍の中でも、首相の足を引っ張ることしかしてこなかった。

欧米と比べてコロナ死亡率が100分の1なのに、内閣支持率が異常に低いというのも、意味不明である。

 

毎日、コロナで数千人の死者が、数ヶ月に渡って出続けても、内閣支持率が、日本より良い国は沢山ある。ところが、日本で、安倍内閣の支持率が下がったのは、死者は毎日一桁に抑えられていても、マスクを国民に届けるのが遅れ、しかも、そのマスクが不格好だったから、というのだ。

 

日本ほど、至れり尽くせりに、国民生活が保障されている国は少ない。

例えば、アメリカならば、保険料が月3〜5万円と高額なため、無保険者が3000万人もおり、さらに、医療費が高額なため、コロナで6日間入院したら、保険加入者でも平均410万円、無保険者では平均780万円ほど費用がかかる。中には、62日間の入院で1.2億円の請求書を受け取った人もいる。コロナ治って家売った、コロナ治って破産した、という人が多いのだ。

それを、日本では、コロナの治療費と入院費は、全額、政府が負担してくれる。その上、月々、5000円の費用で加入している私保険から、1日1万円程度の入院給付金を得られる人も多い。

 

それなのに、国民は、タダで配られるマスクが遅いし不格好だと、散々、不満を並べ立てて、内閣支持率は下がりつづける。「そんなに不満なら、アメリカに行ってみろ!」と言いたい。

日頃、あまりにも与えられ過ぎていて、それが当たり前になって、与えられている恵まれた環境に、少しも感謝の気持ちを持てない人は、絶対に幸福にはなれない。だから、日本人の幸福度は低い。

 

なんという贅沢で、平和で、能天気で、その上、神経質で、不平だらけで、甘やかされた国民だろうか。

客観的な厳然たる事実に基づいて適切に評価する能力を持たず、刷り込まれた思念に支配されて、相手を悪と思い込み、自分の悪意を正当化する日本国民の姿は、ニーチェの言うところのルサンチマンそのものだ。

彼らは、よってたかって、必死でこの国を支えようとしている為政者を、引きずり下ろそうとするのだ。

民主主義の終焉だ。

 

こうして、この国は、安倍首相の退陣によって、外交上・安全保障上の危機に陥る危険性が強まることとなった。

その意味では、どうでもいいことで内閣を攻撃し続け、悪意の印象操作を続けたメディアと、偏った教育と情報で頭の偏向した国民の自業自得と言える。

 

民主主義の国というものは、国民が愚かであれば愚かな国になり、国民が品性下劣であれば品性下劣な国になる。

つまり、国民の資質が政治の質を決めるとも言えるし、また、国民の品性が、メディアの品性となり、メディアの品性が政治家の品性を決めるとも言える。

 

今のこの国の国民に対して、国の指導者が、命をかけて守るだけの価値を感じうるか、ということが問われている。

実際、今の文句ばかり多い甘やかされた盲人同然の日本国民に、それだけの価値があるだろうか?

 

 

 

安倍政権から政権を受け継ぐ次の新首相にとって、主な課題となっていることは、何よりも大国間の信頼をつなぐ人間関係の維持と再構築である。政治の持続性が、最も問われるのは、安全保障に強く関わる〝外交〟であるからだ。

 

コロナ対策は、東アジア地域では、自然免疫の強さからいって、他の地域より容易である。経済政策の失敗は、政権にとって深刻ではあるが、国家レベルでは、まだ取り戻せる場合が多い。しかし、安全保障に関わる失敗は、短期的にも長期的にも、より重大な結果を招く。

 

事実、日米の民主党政権、特に鳩山政権とオバマ政権の最大の失敗は、外交上の失策である。鳩山政権の対米・対中韓外交、オバマ政権の対中外交は、今に至るも重大な余波をもたらしている。

韓国の文在寅政権においても、同じことが言える。経済政策の失敗は舵を切り直すことが可能だが、対日、対米、対中、対北外交の失策は、はるかに致命的なものになりうる。

 

だが、今日の東アジア地域の外交は、そう簡単なものではない。日本の周辺国は、中国も、ロシアも、北朝鮮も、独自の核兵器を所有し、独自の外交を行う厄介な国ばかりだ。

さらに、日本の周辺諸国の指導者たちは、老獪で強い権力を握っている、一癖も二癖もある、油断ならない者たちばかりだ。

 

幼少期から、決して常に恵まれた環境にあったわけではなく、さまざまな困難や苦労を乗り越えてきた経験を持ち、重厚な人格を備え、現在も統率者の孤独と重責に耐えている、彼ら、周辺国の指導者たち、習近平、プーチン、文在寅らと、対等に渡り合える次代の日本の指導者は誰か。

主権者たる国民は、そのことを第一に考えられねばならない。

 

田原総一朗氏は、8月31日放送のテレビ朝日のワイド!スクランブルに出演していた時の言葉から考えて、一流のジャーナリストとして、そうした現実をよくわかっていらっしゃるように思えた。

 

田原さんの言葉で非常に印象に残ったのは次の言葉だった。

「メディアが、安倍政権を悪く言い過ぎる。」

「冷戦終結後、アメリカは、日本を守る必要を感じなかったが、日本には日米安保が必要だった。だから、日米同盟を失いたくなければ、片務的な条約を双務的なものに、早急に変えなければいけなかった。その安保の問題に初めて真正面から取り組んだのが安倍政権だった。」

「『日本の防衛のためには、日米同盟が必要であり、その維持のためには集団的自衛権が必要だ』ということは、実は朝日と毎日の主筆も認めている。」

「安保関連法案を通して、初めて集団的自衛権を認め、日米安保体制を解体の危機から救ったことこそが、安倍さんの成し遂げた〝レガシー(遺産)〟だ。安保関連法は、負の遺産ではない。」

「安倍さんは、2年前から、一貫して菅さんを自分の後継者と考えていた。その考えは、2年間、一度も揺らいだことはない。」

「菅さんは、世襲の二世、三世のお坊ちゃん議員じゃない。秋田から集団就職で夜行列車で上京して夜間大学を出て、貧しい中から地道に努力してきた、田中角栄以来の叩き上げの苦労人だ。だから、人の気持ちがわかるし、人を大切にできる。」

「菅さんには、自分が総理大臣になりたいという〝野心〟があまりない。トップに立つ人は野心のない人が多い。いい例は、安倍さんで、安倍さんにも〝野心〟はなかった。逆に、〝野心〟のある人は、トップにはなれない。」

「安倍さんには、これからも、特に、外交分野で活躍してほしい。」

 

私も、菅さんは、己の野心から総理になろうとしているのではない、と思う。むしろ、これまで誰よりも長く寄り添ってきた安倍さんの心を受け止め、その思いに応えようとしているだけなのだ。

そういう〝人としての思い〟に対して、あまりにも鈍感で不感症の朴念仁が、今のマスコミ、知識人、政治家には多すぎる。

そういう愚者では、プーチン、習近平、金正恩らと渡り合うのは、とうてい不可能だ。簡単に見透かされ、軽くあしらわれてしまうだろう。

 

ちなみに、私が、国会中継など見ていて、誰よりも強烈な剥き出しの〝野心〟を感じるのは、辻元清美さんと蓮舫さん。あとは、枝野さん。この3人は、絶対に総理になれない、なっちゃいけない、ということかな。

 

 

 

※辞任発表後、8月28・29日に緊急実施され、30日に発表された日本経済新聞の世論調査で、安倍内閣の支持率は55%で、前回より12ポイント上昇した。不支持は37%だった。また、安倍首相の実績については、「評価する」が73%で、「評価しない」の24%を大きくうわまわった。

※8月29・30日に共同通信社が緊急実施した電話による世論調査では、安倍内閣の支持率は66.9%であり、前週より20.9ポイント上昇した。

※9月2・3日に朝日新聞社が実施した電話による世論調査によると、安倍政権を評価するが71%、評価しないが28%だった。また、最も評価する分野は「外交・安全保障」だった。さらに、後継者としてふさわしい人については、38%が菅さん、25%が石破さん、5%が岸田さんだった。

※9月5・6日にJNN(TBS、毎日系列)が実施した電話による世論調査で、安倍内閣の支持率は、前回より27ポイント上昇し、62%になった。7年8カ月の安倍政権については71%の人が評価すると答えた。次期総理にふさわしい人物としては、菅さん48%、石破さん27%、岸田さん6%の順だった。

 

ここで注目したいのは、日経は中道だが、共同通信社も、朝日新聞社も、毎日新聞社も、反安倍の牙城であるということだ。なので、この世論調査の結果は、国民の現実の反応に近いと考えていいだろう。

日本の国民性として、辞めていく者を、さらに鞭打つようなことはしない、というのも確かだろう。だが、一方で、辞任ショックで、多少とも冷静になり、公正に評価できるようになったという面もあるだろう。

 

国民の70%以上がその実績を評価し、過半数が政策の継続を望んでいる政権に対して、メディアは「長かっただけでレガシーがない」と酷評する。集団的自衛権を認めた安保関連法を成立させたことについても、「国論を二分する法律を強引に成立させた」と批判する。ここが、左派メディアの卑怯な点である。「では、あなたは、本当に必要ないと思っているのか?」という肝心の質問には、決して答えようとしない。手続きの問題に卑小化して、お茶を濁していられる時間はないのだが。本当に日米同盟が必要ないと考えるのなら、堂々とそう論陣を張るべきだろう。

また、今回、「内閣支持率が急浮上」という見出しをつけるメディアはどこにもない。「支持率急落」であれば、全社が大見出しで扱うはずなのだが。

そうした点では、市井の国民の判断力の方が、公正さや客観性という点で、メディアや左派知識人などよりは、はるかにマシである。

 

主権在民のこの国で、安倍政権が7年8カ月続いたことに民意を感じないのであれば、この国のメディアや知識人は、何に民意を感じるのだろうか。

自分が善と感じるものが、必ずしも民意に沿うとは限らない。その時、民意がおかしいのか、自分の感覚や情緒や思想がおかしいのか、その乖離を問題視する視点が重要になる。しかし、そのような内省がなく、外との闘争に自己を埋没させてしまうのは、ある意味、逃避であり、自己防衛であり、言い訳であり、責任転嫁である。

信念を持つことと独善的であることの違いは、反省できるかどうか、にある。民主主義国家において、反省なきメディアは、反省なき政権より、はるかに恐ろしい。