今日(8月10日)、プライムニュースで、元外交官の方たち3人(田中均元外務審議官、藤崎一郎元駐米大使、宮本雄二元駐中大使)の話を聞いていて、慄然としました。

これほどに、この国の安全保障環境に対する現状認識が〝ぬるい〟のか、と。

このような方たちが日本外交を担っていたのだなあ、と思うと、慨嘆するよりほかありません。

中国とアメリカの間での中立外交を唱える宮本氏、独自防衛議論を否定し、アメリカの矛への絶対的信頼を滲ませる田中氏と藤崎氏。残念ながら、一人として、まともなことを話す人がいないのです。

さすが、日本の潜在的軍事力とアメリカの軍事力が、相対的に、今よりはるかに強大だった時代に外交を担っていた方々です。世界最強の軍事同盟を背景に、世界一の金融経済大国として、圧倒的な存在感を放っていた〝日出る国〟の外交官だった方たちは、やはり、言うことが違います。

往年の老将軍にありがちなことかもしれませんが、今となっては、まるで、現実からふらふら遊離した、幽玄極まる仙境の住人のような方たちです。

 

同じ8月10日、民主活動家として知られる香港人周庭氏(23歳)が、香港国家安全推進法違反容疑で、香港警察に逮捕されました。

周庭氏は、かねてから、香港の愛国(中国化)教育の義務化に反対し、「香港独立の主張を含む言論の自由をこの地に求めます」と、述べてきました。これは、現行の国安法に違反する言動です。しかし、国安法施行以後は、周庭氏は、そうした言動をしていません。

国安法の施行は6月30日からですが、それ以前に遡って罪状を追求する遡及適用はなされないことになっているのです。近代法としては当然ではありますが。

今回の周庭氏の逮捕は、諸外国に香港民主化運動への支援を呼びかけた言動が問題とされたようです。特に、日本メディアとの関係を当局は重視しており、中国本土では「日本語を流暢に話す周庭氏は日本の犬」と目されているためです。

その他、中国共産党に批判的な香港紙の創業者や現CEOなど計10名が、同日、逮捕されています。

その後、24時間以内に、全員が保釈となりましたが、この逮捕によって、国安法が、中国本土並みの強力な言論弾圧と言論統制の手段として用いられることが内外に示されました。

香港の自由は死にました。

 

中国の次の標的は、独立派の蔡英文(民進党)率いる台湾です。初の本省人出身総統であった李登輝氏の思想的後継者である蔡英文総統は、中国の掲げる「台湾は中国の一部(一国二制度)」という主張を否定しています。彼女は、先に亡くなった李登輝氏の後を紛れもなく立派に継いでいる筋金入りの台湾独立論者なのです。

また、私たちは、香港における一国二制度の末路を、今日、目撃したわけですが、台湾に同じことが起きないと誰が言えるでしょうか。

このほど、周庭氏逮捕と同じ日に、41年ぶりに、アメリカの政府高官が、台湾を訪れ、蔡英文総統とも会談を行い、7月30日に亡くなった李登輝氏の追悼場を弔問して弔辞を読み上げました。これにより、中国と対立するアメリカ政府の台湾支持が鮮明になったのです。

しかし、11月のアメリカ大統領選挙で共和党のトランプが敗れ、民主党のバイデンが勝利した場合、伝統的に親中意識の強い民主党は、中国との融和路線に舵を切る可能性が大です。そうすれば、台湾は、再び窮地に追い込まれるでしょう。

いかに民進党と蔡英文総統が、台湾独立維持のために力を尽くそうと、台湾と中国の国力差を考えると、むしろ、将来的には、台湾が中国に飲み込まれてしまう可能性は、限りなく高いと言わざるを得ません。

 

さらに、台湾が飲み込まれた後、次なる中国の標的は、尖閣諸島含む沖縄です。かねてから、中国には「沖縄も中国の一部」という主張があります。

南シナ海を武力によって制圧した後、次に中国は東シナ海制圧に本格的に乗り出すでしょう。それを阻止できるのは、日本だけです。

アメリカは、日本にその意思がある場合に限り、日本の戦略を側面擁護する可能性はあるでしょう。

しかし、日本人が、今に至るも、「専守防衛」とか、「盾と矛」とか、「平和憲法」とか、ありえない現実逃避のファンタジーの中に拘泥しているようでは、中国の野望阻止の希望はありません。

 

日本国憲法前文には、こうあります。

『日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した』

しかし、香港やウイグルやチベットや中国本土や北朝鮮で、自由と平和を愛する諸国民は、自国政府の手によって、自由を抑圧され、次々と投獄されて、(平和に?)拷問死していきます。

そのような風前の灯の状態にある善意の諸国民に頼って、日本国の安全と平和を維持することなど、とうていできるものではありません。

それができると主張するのは、現実世界を脳内で否定する妄想家の病理です。こうした病人の方針に、国家の安全を託すのは、惚けた国民による明白な自殺行為です。

上記の外交官の方たち3人は、そのような自己の妄想の中にまどろむ〝病人〟にしか見えませんでした。彼らのような外交官に、この国の安全を託すことはできません。

 

彼らは「日本が敵基地攻撃能力(矛)を持つのは金がかかる」と声を揃えて言いますが、その一方で、誰も「はたしてアメリカが、矛の役割をいつまでも喜んで務めてくれるものだろうか」と疑問を投げかけることはしません。

また、「どれほど日本が防衛にお金を使っていないか」と日本の防衛費の相対的な低さを指摘することもありません。中国の人々ですら、「なぜ日本は、自国防衛に、これほどまでに関心がないのだろう」「着々と軍事力を強化し、日本を上回る国力をつけている我が国を、日本はなぜ恐れないのか」と、常々、不思議に思っているというのに。

 

何なのでしょう、このすさまじい違和感は?

今よりはるかに日本が強大だった時代に活躍していたはずの外交官たちが、外国依存の敗北主義者たちにしか見えないのですが。

この3人の方々は、当時としては実績もある優秀な外交官であったに違いありません。

けれども、中国のGDPが日本の4分の1以下であった1990年代初頭ならば、いざ知らず、中国のGDPが日本の3倍になり、北朝鮮の核弾頭装備用ミサイルが高性能化し、韓国の文在寅政権が北との統一を目指している現時点で考えると、やはり、彼らの考え方や姿勢には首を傾げざるを得ません。

「このような〝ぬるい〟外交官の方々を育てたのが、日本国憲法と戦後教育の弊害そのものではないか」と、どうしても私は感じてしまうのです。

 

次に、上記した「日本は防衛にお金をかけていない」ということについて、データをもとに、冷静に客観的に論理的に考証し、「その評価は適切なのか」という点について、考えを進めましょう。

 

〈主要国の軍事費 対GDP比 ランキング 2019〉

1位 ロシア  3.88%

2位 アメリカ 3.41

3位 韓国   2.67

4位 インド  2.40

5位 中国   1.89※

6位 フランス 1.86

7位 イギリス 1.74

8位 ドイツ      1.28

9位 日本   0.93

※中国は、軍事費に研究開発費など、本来他国が軍事費に含める費用を多く含めていません。実際には、インドに近い数値になると推測されています。

 

〈主要国の軍事費 支出額の10年間の累積増減率(2009年~2018年)〉

1位 中国   83%←突出して高い

2位 インド  29%

3位 韓国   28%

4位 ロシア  27%

5位 ドイツ    9%

6位 日本     2%

7位 フランス   2%

8位 イギリス ー17%

9位 アメリカ ー17% 

 

〈主要国の軍事費ランキング 億ドル換算 2019〉

1位 アメリカ  7318

2位 中国    2611※

3位 インド     711

4位 ロシア.          651

5位 フランス.       501

6位 ドイツ.          493

7位 イギリス.       487

8位 日本.             476

9位 韓国.             439

※中国の軍事費は、実質は、この1.5倍近いと推測されています。また、今後、10年以内には、中国の実質軍事費は、アメリカに並ぶ可能性が高いのです。

 

上記のデータからわかるように、日本は、ロシア、中国、韓国、北朝鮮など周辺の敵対可能性のある諸外国に比べて、明らかに防衛費に予算を割いていません。

それどころか、同じ第二次大戦の敗戦国であっても、NATOの一員であり、同じNATO加盟国に囲まれているために、周辺に軍事的脅威の存在しないドイツよりも、防衛費が、GDP比でも総額でも低く、年増加率も低いのです。

 

我が国には、「敵基地攻撃能力を持つためには、今までの2倍も3倍も、防衛費がかかりますよ」と警告したがる識者が多いのですが、実は2倍に増やしても、対GDP比で、まだ中国や韓国より低いんですね。

これも上記のデータからわかることですが、世界でも目立つレベルで軍事費を増やし続けている中韓にだけは、「日本の軍事大国化を危惧している」などと、言われたくないものです。

 

特に、韓国は、朴槿恵政権の時期には、4%程度だった軍事費の年増加率が、従北親中の文在寅政権に代わって以来、毎年、年率7%以上の増加率を示しています。文在寅大統領が、軍事力を増強している理由は、対北朝鮮ではありません。韓国は、今、米韓同盟の解消と、北朝鮮との合併、ないしは北朝鮮との同盟による朝鮮民族の軍事的自立、そして、韓中露同盟の形成を目指しているのです。

同じ時期(2018〜2020)に、日本の安倍政権は、防衛費を年率1.3%程度しか増加させていません。

中韓と日本、どちらが軍事大国化しつつあるか、それは下記の客観的数字からも明らかです。

 

〈軍事費 前年度比増加率〉

日本 1.3%(2019年度) 1.1%(2020年度)

韓国 8.2%(2019年度) 7.4%(2020年度)

中国 7.5%(2019年度) 6.6%(2020年度)

 

そして、はっきり言えることは、現状、明らかに日本の防衛費は低すぎると言うことです。

外交的観点から、周辺国との安全保障上のバランスを回復するという意味でも、日本は防衛予算を、せめて2倍程度に増やすべきではないでしょうか。

さらに、アメリカの核の傘が消える将来を見越して、独自核武装の是非についても、もっと公に議論があって然るべきです。

 

日本は核保有国以外では唯一、核兵器の原料となるプルトニウムを大量に保有しています。アメリカも、日本にはこれを認めていますが、韓国には認めていません。このプルトニウムを用いれば、日本の科学技術を持ってすれば、3ヶ月で核保有が完了すると言われています。つまり、日本は、潜在的核保有国と世界からは見做されているのです。日本が原子力技術の研究を続ける意義も、そこにあります。

中国、北朝鮮、ロシアと、敵対可能性のある核保有国に囲まれている日本にとって、潜在的核保有国であることは、周辺の核保有国に対して、「日本を核で脅してはならない」という抑止力となっています。

 

しかし、肝心の日本国民の間では、こうした認識は皆無です。多くの日本国民は、いざとなった時(アメリカの核の傘が失われた時)の、核武装の必要性すら、一切、感じていないからです。

教育とメディアの責任は、非常に大きいです。

日本の公教育とメディアは、「日本国憲法を守ってさえいれば、絶対に戦争にはならない」「日本が他国を攻めることはあっても、日本が他国に攻められることはないし、軍事力で脅されることもない」「日本政府の善意は常に疑うべきだが、周辺諸国の政府の善意を疑ってはならない」「日本と周辺諸国の関係が悪化するとしたら、その原因は必ず日本にある」と、根拠のない妄念を、国民に刷り込みつづけてきました。

その被害は甚大で、このままでは「憲法護って国守らず」「憲法出でて国滅ぶ」ということにもなりかねません。

 

もうそろそろ、太平の微睡から醒めるべきです。そして、核武装の意義について、真剣な議論を始めなくてはなりません。

そうした日本国民の間での熱い国防議論こそが、真の抑止力となるのです。

 

日本は、その潜在的な国力を考えれば、超大国アメリカ、中国に次ぐ大国です。しかし、当の日本人自身に、その『大国の国民としての自覚』が完全に欠如しています。だから、いつまで経っても、諸外国にいいように利用され、貶められて、その屈辱に怒ることさえできません。

まずは、己を知り、世界を知り、世界の中での日本の存在の重みを、正しく理解すること、そして、「この国の力の源は何か」「この世界における日本の責務とは何か」を深く自覚することが大切だと思うのです。

 

最後に、もっとも大事なことは、「日本は軍事大国化をめざしている」という根も葉もない主張にだまされないことです。常に、中韓と日本の左派メディアは、「日本の軍事力増加が脅威」という印象を、世界中の人々に植え付けようとしており、その企ては、かなりの程度、成功しています。特に、日本国民のだまされ方がひどいです。

しかし、その印象操作は、客観的な事実や数値に基づいたものではなく、極めて恣意的で悪質なものです。

 

これで、民主党のバイデンが大統領になったら、安倍首相が辞めたら、と思うと、恐ろしくてなりません。このままでは、日本は〝第二のカルタゴ〟の運命をたどるのではないでしょうか。しかも、ハンニバルのいないカルタゴのレベルです。

星の王子さまではありませんが、「これ、怖くない?」と、全国民に問いたいのです。

 

 

〈世界で最も強い国ランキング 2020〉USニューズ&ワールドレポート

ー世界の約2万1000人を対象に行ったアンケート調査の結果

ー政治力、経済力、軍事力、国家としての影響力を総合して決定

1位 アメリカ

2位 ロシア

3位 中国

4位 ドイツ

5位 イギリス

6位 フランス

7位 日本

8位 イスラエル

9位 韓国

 

〈世界の軍事力ランキング 2020〉グローバルファイアーパワー

1位 アメリカ

2位 ロシア

3位 中国

4位 インド

5位 日本

6位 韓国

7位 フランス

8位 イギリス