5月27日の「文春オンライン」の記事の中で、トロント大学のフィリップ・リプシー准教授が「日本が『コロナ失敗国』のレッテルを貼られるのは不公平です」と、文春の取材に答えて述べています。

ところが、誰よりも日本を失敗国にしたいのは、日本のメディアと野党とリベラル市民なのです。実際、この取材でも、文春側は「日本政府は失敗した」という前提で話を進めています。

このメディア側の無作為の〝思い込み〟あるいは作為による〝印象操作〟は、非常に不可解です。

 

フィリップ・リプシー准教授は、このコロナ禍における日本をとりまく状況に関して、「印象と現実とのギャップは、異常なほど大きいと言わざるを得ない」と評価しています。

すでにpart1とpart2でも繰り返し述べたことですが、「日本は新型コロナ対策に失敗している」という世間に広まっている印象と「日本の新型コロナによる犠牲者が少ない」現実とのギャップが、あまりにも大きいのです。

さらに、当の日本人自身が、この状況を放置しているのが、外から見ると実に不可思議に見えるはずです。

 

本来なら、リプシー准教授の疑念表明と実態評価は、日本のメディアや知識人が、とっくの昔に指摘しているべきことです。データを見れば、当事者である日本人が、真っ先に違和感を抱いたはずなのです。その違和感を、「日本のコロナ対策の評価に関して、実態と印象があまりに乖離している」と、言葉にして表現するのは、当事者である日本人の表現者や知識人が為すべき仕事であり、義務だったはずです。

なぜ、こんな当たり前のことが、日本人にはできないのでしょうか。外国人の口を借りなければ言えないのでしょうか。情けなくはないですか?

 

また「なぜ、この異常なギャップが生じるのか?」について分析・考察するのも、当事者である日本人自身の責務です。「己を知る」って、大切ですよね。

私自身は、日本社会におけるメディアと教育の偏向の大きさが、この印象と現実との間の極端なギャップを生んでいる主な原因と考えています。非現実的なまでに過激な権力不信の思想に、多くの国民が毒されているため、「日本政府の対策は、不十分であり、間違っているに違いない」という強固な決めつけと思い込みが、メディア側、国民の側に、初めからあるのです。

この「自国政府を悪と考える意識の根深さ」は、第二次大戦の敗戦国としての宿命かもしれません。

 

では、同じ敗戦国だったドイツやイタリアでは、日本ほどの政府不信がなく、犠牲者が日本の15〜85倍も出ているのに、政府への支持率が日本より遥かに高いのはなぜなのでしょう。

その原因を考えてみると、私は、例えば、「EUでは、日本と比べて、政治が全体として、人権重視の建前を重視すること」、「ドイツの文化空間ではナチズムが、全否定されていること」が、一つの理由としてあると思います。

したがって、メルケル首相も、移民問題に関して、非常にリベラルでした。これも、「指導者はリベラルでなければならない」という強迫観念かもしれませんが。

 

もう一つは、「ドイツもイタリアも、現在、地政学的に軍事的脅威にさらされていない」ということが大きいと思います。ある意味、「脅威がないから、綺麗事が言える」ということです。

中国やロシアや北朝鮮の軍事的脅威にさらされている日本とは、とりまく状況がまったく違うのです。

EUもNATOもあるし、巨大軍事国家の周辺国でもないので、右派の危機意識が先鋭化する外的要因が存在しません。ですから、政治家は、なんの不安もなくリベラルの旗を掲げられるわけです。

 

ですから、外的要因の厳しさから考えると、日本は、現状より、はるかに右傾化していてもおかしくないはずなのです。それが普通です。ところが、そうはなっていない。

これは、左派メディアが、日本という国の解体と、グローバル平和主義を、同義で考えており、「日本の防衛」という意識それ自体を悪と考えていることから、すべての情報にバイアスがかかって報道されてしまう傾向があり、そして、それが、政府に対して異様に否定的な言論空間を生み出す内的要因となって、国民の意識を硬直させているのではないか、と思われるのです。

この国のメディアが、そして、教育が、国民に向かって、常に発しているメッセージは「何があっても、この国の政府を絶対に信用するな!」というものです。その刷り込みが、あまりにも根深い。

 

一方、日本のそうした特殊事情を知らない諸外国から見ると、日本人の反応は、当然、奇異なものと感じられます。これが、リプシー准教授の反応ですね。

ところが、当の日本人自身が、「日本が犠牲者が少なかったのは、国民意識の高さのお陰であって、政府は何もしていない」などと声高に言い続け、「油断するな!」と国民の不信感と恐怖心を煽り続けるので、ますます経済の正常化が遅れ、自らの首を締める結果となっています。

さらに、この日本の特殊事情や日本社会の自国政府不信の傾向をよく知っていて、それを故意に国益のために利用している国もあります。

それが中国と韓国です。

 

最悪なのは、日本のメディア関係者や、左派学識者が、欧米など他国メディアで「日本のコロナ対策は失敗している」と喧伝し、そのコメントが載った記事を、「海外では日本の失敗を批判している」などと紹介しつつ、そのつくられた外圧を利用して日本の失態を激しく攻撃する自作自演の八百長劇場パターンが、昭和の昔から常態化していることです。

これが、悪名高い日本の「サヨク・マッチポンプ」戦略です。慰安婦問題も、徴用工問題も、南京大虐殺問題とかも、皆、この同じパターンでつくりだされたのです。そして、日本のサヨクからこの方法を直接直伝された韓国や中国が、国家規模で、この戦略を採用するようになり、歴史捏造が過激化しました。

元を質せば、全部、日本のメディアと学識者と文化人と運動家が悪いのです。

 

一方で、日本のメディアや学識者は、自分たちの〝正義〟にとって都合の悪い問題には、徹底してダンマリを決め込み、「不都合な真実」が国民に広まるのを阻止しようと完全無視を貫きます。その極端さは、いっそ清々しいほどです。

例えば、アメリカ議会で1時間も演説し、トランプ大統領ともハグしあった世界一有名な〝元慰安婦のおばあさん〟が、「私は挺対協に30年間、利用されて、騙され続けてきた」「性奴隷なんていやらしい言い方はやめてくれと何度頼んでも聞き入れてくれなかった」「正式な聞き取りもせずに慰安婦証言集を出版している」「日韓の慰安婦問題合意成立を、私たち元慰安婦の意思抜きで、勝手に壊してきた」「水曜集会など、憎しみを募らせるのに役立つだけ」と激しく正義連(挺対協)を非難していますが、日本のメディアはほとんど完全無視です。

「正義連(挺対協)は悪である」という不都合な真実が世に広まることは、彼ら自身の〝正義〟を傷つけることになるからです。

 

想像してみて欲しいのです。

現在、アメリカでは、感染死者数が10万人を超え、失業者は4000万人、4人に1人が失業中です。そして、警官の問題をキッカケに各地で大規模な暴動が起こっています。それでも、トランプ大統領の支持率は41%あります。一方で、安倍内閣の支持率は38%です。

安倍内閣は、今の満身創痍のトランプ大統領よりも支持率が低いのです。おかしいとは思いませんか。

それから、今、アメリカでは、黒人差別への抗議デモが、香港では、天安門事件の追悼集会が中国政府に禁止されたものの、強行されています。

日本の多くのメディアは、この事態に対し、トランプ大統領を手厳しく非難しつつ、習近平主席を激しく批判することはありません。なぜでしょうか?