日本の緊急事態宣言は、学校の休校と、一部の企業や自営業者への休業要請や営業短縮要請と、不要不急の外出を控えるようにという自宅待機の協力を市民にお願いしているだけで、通常の場合の都市封鎖(ロックダウン)とはまったく質の異なるものである。この日本政府による緊急事態宣言は、4/7に7都道府県に出され、4/16に全国に拡大された。それから、2週間も経っていない4/26の現時点で、1日の感染死者数(+12人)、1日の感染者数(+210人)がともに、減少傾向にあることが、明らかとなりつつある。おそらく、全国的な自粛要請が、効果をもたらしつつあるのだろうと考えられる。

 

一方、欧米では、日本とは事情がかなり異なる。例えば、イタリアでは、1/31の時点で、緊急事態宣言が出され、3/10から全国で外出制限が始まり、3/21からは、生活必需品を除く、すべての生産活動を停止した。しかし、それから1カ月以上経過した4/25現在の時点でも、1日の感染死者数(+415人)、1日の感染者数(+2357人)ともに、日本とは桁違いであり、その猛威は止まるところを知らない。

これは、イタリアだけの話ではない。フランスでは、3/14には必需品以外の商店閉鎖を発表し、3/17から外出禁止令が実施され、3/23日からは、最高44万円の罰金および禁固刑を科した。にも関わらず、罰金を科し始めてから1カ月以上経過した4/25現在、1日の感染死者数(+369人)、1日の感染者数(+2144人)と、相変わらず一向におさまる気配がない。

また、ベルギーでは、4/25現在、1日の感染死者数は234人、累計感染死者数は6917人だが、ベルギーの人口は1146万人で、日本の1/10以下である。4/26現在の日本の累計感染死者数は379人だが、もし、日本にベルギー並みに感染が広がった場合、1日の感染死者数は2000人以上、累計で7万人の死者が出てもおかしくないのである。そんなことが、起こりうるだろうか。

ラテン系の国々は、国民性がいい加減だから、外出禁止が効果をもたらさなかったのだろうという話もある。特に、貧民街では、誰も罰金が払えないから、警察も、取り締まらないらしいのだ。

 

では、生真面目で几帳面な性質で有名なゲルマン系の国々ではどうだろう。例えば、イギリスの場合は、3/23に外出禁止令が出され、違反者には警察が罰金を科す「緊急事態法」も成立した。しかし、それから1カ月以上経過した4/25現在、1日の感染死者数は+813人、1日の感染者数は+4934人で、コロナは猛威を奮い続けている。

ドイツでは、3/22から、飲食店の閉鎖、理髪店などのサービス業の禁止、家族以外、5人以上の集会の禁止などを始めたが、閉鎖から1カ月以上経過した4/25現在、1日の感染死者数は+150人、1日の感染者数は+1873人で、やはり、収束の気配を見せない。欧州の感染症の専門家たちは、新型コロナの沈静化には、少なくとも3カ月間の都市封鎖(ロックダウン)が必要だと言う。

また、ルクセンブルクの累計感染死者数は、4/26現在、85人なのだが、実はルクセンブルクの人口は60万人で、沖縄県の半分以下である。4/26現在の沖縄県の累計感染死者数は4人だが、もし、沖縄県の感染状態がルクセンブルクレベルとなったとしたら、沖縄県の累計感染死者数は180人にもなることになる。これは、なかなか想像しにくい事態である。

 

日本は、諸外国に学ぶべきだとか、見習うべきだという主張をよく見かける。しかし、人口1万人あたりの感染死者数で考えても、4/25現在、日本は0.029人、ドイツは0.71人、ベルギーは6.07人である。現状で、日本の20〜200倍の感染死者を出している国々の実施している方策に倣うことにどんな意味があるというのだろうか。

韓国にしたところで、人口は5164万人、日本の1/2である。そして、韓国の累計感染死者数は、4/25現在、242人だ。もし、韓国の人口が日本と同じとするなら、その死者数は480人ほどになり、日本の累計感染死者数379人(4/26)を超える。ことさらに、日本より韓国の方策が優れていると、持ち上げるほどでもないと思うのだ。

 

どこの国の方策が間違っていたとか素晴らしいとか評価するには、まだまだ時期尚早である。結果がはっきりするのは、早くとも1年後だろう。今の時点で「日本は韓国に学ぶべきだ」とか、「ドイツに学ぶべきだ」とか、確信を持って言える人は、誰もいないはずだ。

もしかすると、「日本の方策が、代表的な成功例だ」と言われるようにならないとも限らないではないか。

 

ただ、パチンコ店については、強制的な営業停止措置を考えてもいいと思う。言ってもわからないのだから。

 

 

 

➡︎4月26日現在、国別感染〝死者〟数は、

1位アメリカ(54,175人〈+1105人〉【1.61人】←1万人あたり死者数⑩)

2位イタリア(26,644人〈+260人〉【4.36人】③)

3位スペイン(23,190人〈+288人〉【4.93人】②)

4位フランス(22,856人〈+242人〉【3.49人】④)

5位イギリス(20,732人〈+413人〉【3.06人】⑤)

6位ベルギー(7094人〈+177人〉【6.07人】①)

7位ドイツ(5976人〈+103人〉【0.71人】⑫)

8位イラン(5710人【0.68人】)

9位中国(4632人)

10位オランダ(4475人〈+66人〉【2.57人】⑥)

11位ブラジル(4286人)

12位トルコ(2805人)

13位カナダ(2465人【0.61人】)

14位スウェーデン(2194人【2.10人】⑦)

15位スイス(1610人【1.87人】⑨)

16位メキシコ(1351人)

17位アイルランド(1087人【2.07人】⑧)

18位ポルトガル(903人【0.83人】⑪)

19位インド(881人)

20位ロシア(747人)↑

21位インドネシア(743人)

22位ペルー(728人)

23位ルーマニア(619人)

24位エクアドル(576人)

25位オーストリア(542人【0.60人】)

26位ポーランド(535人)

27位フィリピン(501人)

28位アルジェリア(425人)

29位デンマーク(422人【0.70人】)

30位日本(385人〈+12人〉【0.029人】/国内372人/1位東京都100人/沖縄県4人)

 

国別〝感染者〟数は、

1位アメリカ(965,783人〈+29,490人〉)

2位スペイン(226,629人〈+2870人〉)

3位イタリア(197,675人〈+2324人〉)

4位フランス(161,639人〈+581人〉)

5位ドイツ(157,770人〈+1352人〉)

6位イギリス(154,037人〈+4468人〉)

7位トルコ(110,130人)

8位イラン(90,481人)

9位中国(83,912人)

10位ロシア(80,949人)

11位ブラジル(63,100人)

12位カナダ(47,147人)

13位ベルギー(46,134人)

14位オランダ(38,040人)

15位スイス(29,061人)

16位インド(27,890人)

17位ペルー(27,517人)

18位ポルトガル(23,864人)

19位エクアドル(22,719人)

20位アイルランド(19,262人)

21位スウェーデン(18,640人)

22位サウジアラビア(17,522人)

23位イスラエル(15,443人)

24位オーストリア(15,225人)

25位メキシコ(14,677人)↑

26位日本(14,153人〈+210人〉/国内13,441人/1位東京都3908人/17位沖縄県138人〈+3人〉)

27位シンガポール(13,624人)↑

28位チリ(13,331人)

29位パキスタン(13,328人)

30位ポーランド(11,617人)