コロナ禍の最中、欧州やアメリカで過激化するアジア人差別について、我が国の大手メディアはあまり報じませんが、ネット上では、いくつか興味深い記事が散見されます。欧米で生活している日本人が、身の危険を感じることもあると言われています。社会のさらなる分断を危惧する声も聞かれます。

私見ですが、今回のウイルスには、不思議な点が、いくつもあります。その一つは、世界的に、ウイルスの蔓延が、貧困地域ではなく、イタリア北部、ドイツ西部など、先進国の富裕地域で広まったことです。
そもそも、貧困層の人々は、経済的に余裕がないので、世界を股にかけて自由に動き回ることなどできません。ウイルスを運ぶのも、罹患するのも、カナダの首相夫人やチャールズ皇太子などに代表されるような、基本的に恵まれた裕福な人々が多いのです。
実際、下記の表を参照して判るように、人口比で感染者の多い国は、一人当たりGDPの多い国と、ほぼ重なります。ちなみに、人口比1万人あたりの感染者数では、1位はルクセンブルクですが、この国は、一人あたりGDPが1位の富裕国です。その他、1万人あたり感染者数2位アイスランドは1人あたりGDP5位、さらに感染者数4位のスイスは1人あたりGDP2位です。また、1万人あたり感染者数1〜20位までの国は、すべてアーリア系の国で、さらに中東のイスラエル(15位)とイラン(19位)を除けば、すべて欧米の白人国家です。
その一方で、例えば、アメリカで感染死している人の7割は、黒人、ヒスパニックなどのマイノリティーです。ベルギーで亡くなった12歳の少女も、ガーナ系の黒人でしたし、イギリスで亡くなった13歳の少年もアラブ系でした。
コロナ禍によって職を失い、路頭に迷うのも、貧困層であり、庶民です。貧しい労働者は、感染しても大抵は働き続けるので、そういう無理にでも働く労働者が多い、貧富の格差の大きい国ほど、コロナの災いは重大になる傾向があります。
そして、欧米の白人富裕層は、自分たちが国内にウイルスを持ち込んだ張本人であるにも関わらず、マイノリティーや貧困層の人々が、ウイルスの被害を自分たちにもたらすのだと、お門違いの恐れを抱いているのです。

さらに、労働者や自営業者ら庶民が、もっとも大きな痛手を負っているにもかかわらず、白人富裕層は、自分たちが被害者であるかのように振る舞っています。そして、自分たちの富がすり減るのを心配して、「はやく都市封鎖を解いて、経済活動を再開させよう」などと主張するのです。
しかし、実際には、全国規模の都市封鎖(3/9〜)後、1ヶ月が経過したイタリアですら、まだ解除の目処は立っていないのです。最低でも、さらに1ヶ月間は、企業活動の再開は不可能でしょう。スペインやイギリスは、さらに遅れるでしょう。こうして、世界規模の経済活動の停滞によって、富裕層の富もまた摩耗することになります。
皮肉なことは、裕福な持病持ちの老人たちこそが、もっともウイルスに命を奪われることを警戒しなければいけないというのも興味深い事実です。特に、国家規模で、医療崩壊が起こってしまえば、どんな金持ちであっても、死を免れません。
かつて、14世紀半ば、欧州の総人口の3分の1が犠牲となった黒死病(ペスト)の流行時に描かれた「死の舞踏」のように、教皇にも王様にも貴族にも億万長者にも、疫病による死は平等に訪れるのです。大国であろうと小国であろうと、科学技術や医学技術の進んだ先進国であろうと途上国であろうと、ウイルスは平等に襲いかかります。ホームレスであろうと、セレブであろうと、コロナによる死は、平等に訪れるのです。この事実は、どこか〝慰め〟と〝救い〟を感じさせてくれます。
そう考えると、このウイルスの発生自体が、ある意味、今日の世界の格差社会化に対する復讐・警告ではないか、という気もします。

そして、たとえ、裕福な国であっても、貧富の社会的格差の小さい国、平等な国ほど、被害が小さくて済んでいるのではないか、という気もするのです。そうした豊かでありながら、社会的格差が小さく、比較的平等であり、ウイルスが蔓延しにくい国の代表の一つが、日本、と考えるのは、少々、飛躍しすぎでしょうか。

もちろん、現在は、この日本でも、ウイルスの感染が徐々に広がりつつあり、医療従事者はもとより、あらゆる職種の労働者、自営業者に、大きな負担が生じています。今後も、そのストレスが増大していくことを考えると、そんな中で、思索などに興じている場合ではなく、上記の私の文章も、不謹慎の誹りを免れないのではないか、とも感じています。
しかし、いずれにしても、このコロナ禍は、簡単に過ぎてくれるものではありません。おそらく、今後、数ヶ月は、長く苦しい忍耐を強いられ、不安や恐怖に晒される事態も多く起こってくるでしょう。
また、今回の第二波をたとえ数週間で潜り抜けたとしても、世界的な感染爆発が続く中、その後、第三波、第四波が、来ないとも限りません。ウイルスとの戦いは、本当に、終わりの見えない戦いで、しかも、それはまだ、始まったばかりなのです。
それでも、私たちの国は、このコロナ禍に対して、ある種の強みを有していると、私は言いたいのです。
それは、社会の中で、多くの欧米諸国ほどの深刻な分断が生じていないということです。
確かに、現在、日本でも感染者数は急増していますが、かと言って、感染者数でも死者数でも日本の20倍、1万人あたりでは30倍の感染者・死者を出しているドイツなどを指して、「医療崩壊を起こしていないから素晴らしい、見本として見習おう」などと主張する一部のメディアの論調などは、あまりにおかしいと感じます。
一方で、アメリカ軍の病院船コンフォートなどは、正直、羨ましいですし、予算をかけるならこういうものに使って欲しいとも思います。しかし、コロナ禍による混乱や暴動や犯罪の多発に怯えて、多くの国民が銃を購入するために銃器店に長蛇の列をつくるような社会に住みたいか、というと、そうは思いません。
さらに、4/11の時点で、感染者2万人、死者1000人のブラジルでは、保健当局が外出自粛を要請する一方で、同11日夜には首都サンパウロの中心街の大通りで、「俺たちに働かせろ!」と、外出禁止措置撤廃を求める大規模デモが行われ、「隔離は毒だ!」「経済的困窮はウイルスより人を殺す!」と連日のように外出して、マスクもせずにパン屋さんで店員と談笑する大統領が、支持者の声援を受けています。そうしているうちにも、免疫を持たないアマゾン原住民のヤノマミ族の15歳の少年が、すでにコロナで亡くなっています。ブラジルの感染爆発は、まだまだこれからです。

いずれにしても、私たちは、第二次世界大戦後、最大の地球規模の災厄の最中にあります。この未曾有の困難の中で、私たちは、これにどう立ち向かい、どうやって生き延びていくか、また、コロナ後の世界は、どうなっていくのか、考え続けなければなりません。




〈国別人口比1万人あたりの〝感染者〟数⇦4/8現在〉
1位ルクセンブルク(49.5)☆
2位アイスランド(44.1)
3位スペイン(31.2)▼
4位スイス(26.5)★
5位イタリア(22.6)▲
6位ベルギー(20.9)◯
7位フランス(16.4)◆
8位オーストリア(14.4)▶︎
9位ドイツ(13.0)
10位ポルトガル(12.4)
11位オランダ(12.2)◇
12位アメリカ(12.1)▽
13位アイルランド(11.6)◁
14位ノルウェー(11.3)
15位イスラエル(10.8)
16位デンマーク(10.6)◀︎
17位イギリス(8.8)△
18位スウェーデン(8.4)●
19位イラン(8.0)
※日本(0.44)◉

〈国別人口比1万人あたりの感染〝死者〟数⇦4/8現在〉
1位スペイン(3.1)▼
2位イタリア(2.85)▲
3位ベルギー(2.0)◯
4位フランス(1.5)◆
5位オランダ(1.3)◇
6位スイス(1.0)★
7位イギリス(0.9)△
8位ルクセンブルク(0.73)☆
9位スウェーデン(0.7)●
10位イラン(0.5)
11位アイルランド(0.43)◁
12位デンマーク(0.42)◀︎
13位アメリカ(0.36)▽
14位ポルトガル(0.34)
15位オーストリア(0.3)▶︎
※日本(0.0087)◉

〈国別一人あたりGDPランキング2018〉
1位ルクセンブルク(115,500ドル)☆
2位スイス(83,160ドル)★
3位ノルウェー(81,550ドル)
4位アイルランド(78,335ドル)◁
5位アイスランド(74,515ドル)
6位カタール(70,380ドル)
7位シンガポール(64,580ドル)
8位アメリカ(62,870ドル)▽
9位デンマーク(60,900ドル)◀︎
10位オーストラリア(56,420ドル)
11位スウェーデン(54,355ドル)●
12位オランダ(53,230ドル)◇
13位オーストリア(51,345ドル)▶︎
14位フィンランド(49,740ドル)
15位サンマリノ(48,940ドル)
16位ドイツ(47,660ドル)
17位ベルギー(46,700ドル)◯
18位カナダ(46,290ドル)
19位フランス(42,955ドル)◆
20位イギリス(42,580ドル)△
21位イスラエル(41,730ドル)
22位ニュージーランド(41,205ドル)
23位アラブ首長国(39,710ドル)
24位日本(39,305ドル)◉
25位イタリア(34,320ドル)▲
26位韓国(33,320ドル)
30位スペイン(30,735ドル)▼
39位ポルトガル(23,440ドル)



➡︎4月9日現在、国別感染〝死者〟数は、
1位イタリア(18,279人〈+610人〉)
2位アメリカ(15,938人〈+2109人〉)↑
3位スペイン(15,447人〈+655人〉)
4位フランス(12,210人〈+1341人〉)
5位イギリス(7978人〈+881人〉)
6位イラン(4110人)
7位中国(3339人)
8位ドイツ(2607人)
9位ベルギー(2523人)
9位オランダ(2396人)
11位ブラジル(954人)
12位スイス(948人)
13位トルコ(908人)
14位スウェーデン(793人)
15位カナダ(435人)
16位ポルトガル(409人)
17位オーストリア(295人)
18位インドネシア(280人)
19位エクアドル(272人)
20位アイルランド(263人)
21位ルーマニア(248人)
22位デンマーク(237人)
23位アルジェリア(235人)
24位インド(226人)↑
25位韓国(204人)
26位フィリピン(203人)
27位メキシコ(194人)
28位ポーランド(174人)
29位ペルー(138人)
30位日本(119人/国内108人/1位東京都31人/2位愛知県21人)です。

国別〝感染者〟数は、
1位アメリカ(465,329人〈+33,491人〉)
2位スペイン(153,222人)
3位イタリア(143,626人)
4位フランス(118,783人)
5位ドイツ(118,235人)
6位中国(82,885人)
7位イラン(66,220人)
8位イギリス(65,872人)
9位トルコ(42,282人)
10位ベルギー(24,983人)
11位スイス(24,051人)
12位オランダ(21,903人)
13位カナダ(20,682人)
14位ブラジル(18,145人)
15位ポルトガル(13,956人)
16位オーストリア(13,244人)
17位韓国(10,423人)
18位ロシア(10,131人)
19位イスラエル(9968人)
20位スウェーデン(9141人)
21位インド(6725人)↑
22位アイルランド(6574人)
23位日本(6265人/国内5553人/1位東京都1519人/16位沖縄県43人〈+3人〉)
24位ノルウェー(6219人)
25位オーストラリア(6108人)
26位チリ(5972人)
27位デンマーク(5830人)
28位ポーランド(5575人)


➡︎4月10日現在、国別感染〝死者〟数は、
1位イタリア(18,849人〈+570人〉)
2位アメリカ(18,002人〈+2064人〉)
3位スペイン(16,081人〈+634人〉)
4位フランス(13,197人〈+987人〉)
5位イギリス(8958人〈+980人〉)
6位イラン(4232人)
7位中国(3339人)
8位ベルギー(3019人)
9位ドイツ(2767人)
9位オランダ(2511人)
11位ブラジル(1068人)
12位トルコ(1006人)
13位スイス(1002人)
14位スウェーデン(870人)
15位カナダ(569人)
16位ポルトガル(435人)
17位オーストリア(319人)
18位インドネシア(306人)
19位エクアドル(297人)
20位アイルランド(287人)
21位ルーマニア(270人)
22位アルジェリア(256人)
23位インド(249人)
24位デンマーク(247人)
25位フィリピン(221人)
26位韓国(208人)
27位メキシコ(194人)
28位ポーランド(181人)
29位ペルー(169人)
30位エジプト(135人)
31位日本(132人/国内120人/1位東京都31人/2位愛知県21人)です。

国別〝感染者〟数は、
1位アメリカ(500,399人〈+35,070人〉)
2位スペイン(158,273人)
3位イタリア(147,577人)
4位フランス(125,931人)
5位ドイツ(122,171人)
6位中国(82,971人)
7位イギリス(74,605人)↑
8位イラン(68,192人)
9位トルコ(47,029人)
10位ベルギー(26,667人)
11位スイス(24,551人)
12位オランダ(23,249人)
13位カナダ(22,148人)
14位ブラジル(19,789人)
15位ポルトガル(15,472人)
16位オーストリア(13,567人)
17位ロシア(11,917人)↑
18位韓国(10,450人)
19位イスラエル(10,408人)
20位スウェーデン(9685人)
21位アイルランド(8089人)
22位インド(7600人)
23位エクアドル(7161人)
24位日本(6896人/国内6184人/1位東京都1705人/16位沖縄県50人〈+7人〉)
25位チリ(6501人)
26位ノルウェー(6314人)
27位オーストラリア(6215人)
28位デンマーク(6014人)
29位ポーランド(5955人)
30位ペルー(5897人)


➡︎4月11日現在、国別感染〝死者〟数は、
1位アメリカ(20,071人〈+2069人〉)↑
2位イタリア(19,468人〈+619人〉)
3位スペイン(16,606人〈+525人〉)
4位フランス(13,832人〈+635人〉)
5位イギリス(9875人〈+917人〉)
6位イラン(4357人)
7位ベルギー(3346人)
8位中国(3339人)
9位ドイツ(2871人)
9位オランダ(2643人)
11位ブラジル(1140人)
12位トルコ(1101人)
13位スイス(1036人)
14位スウェーデン(887人)
15位カナダ(569人)
16位ポルトガル(470人)
17位オーストリア(337人)
18位インドネシア(327人)
19位アイルランド(320人)
20位エクアドル(315人)
21位ルーマニア(291人)
22位インド(288人)
23位アルジェリア(275人)
24位メキシコ(273人)
25位デンマーク(260人)
26位フィリピン(247人)
27位韓国(214人)
28位ポーランド(208人)
29位ペルー(181人)
30位エジプト(146人)
31位日本(141人/国内129人/1位東京都31人/2位愛知県21人)です。

国別〝感染者〟数は、
1位アメリカ(529,951人〈+29,552人〉)
2位スペイン(163,027人)
3位イタリア(152,271人)
4位フランス(130,730人)
5位ドイツ(125,452人)
6位中国(83,096人)
7位イギリス(79,885人)
8位イラン(70,629人)
9位トルコ(52,167人)
10位ベルギー(28,018人)
11位スイス(25,107人)
12位オランダ(24,571人)
13位カナダ(23,316人)
14位ブラジル(20,962人)
15位ポルトガル(15,987人)
16位オーストリア(13,806人)
17位ロシア(13,584人)
18位イスラエル(10,743人)↑
19位韓国(10,512人)
20位スウェーデン(10,151人)
21位アイルランド(8928人)
22位インド(8446人)
23位日本(7566人/国内6854人/1位東京都1902人/15位沖縄県57人〈+7人〉)
24位エクアドル(7257人)
25位チリ(6927人)
26位ペルー(6848人)
27位ノルウェー(6409人)
28位ポーランド(6356人)
29位オーストラリア(6303人)
30位デンマーク(6191人)