保釈中のカルロス・ゴーン氏が、海外渡航禁止の約束を破って、2019年12月29日夜、パスポートも使わずに、日本から密出国し、レバノンへ入国したことが、本人のネット上の発言で明らかになりました。
クリスマスディナーの音楽隊を装ったプロの救出チーム(準軍事的違法組織の〝逃し屋〟/元米陸軍特殊部隊員ら)が、東京都内の住居から一人で抜け出し、新幹線で大阪へ移動して、泊まったホテルから、ゴーン氏を楽器箱(音響機器運搬に使われる黒いケース)に隠して連れ出し、その後、黒いケースに入ったまま、航空機乗務員の協力によって関西国際空港から密出国させたようです。
その経路は、まず、トルコの民間航空会社からチャーターしたプライベートジェットを利用して、関西国際空港からトルコのイスタンブール空港へ、さらにゴーン氏自身のプライベートジェットに乗り換えて、レバノンのベイルート空港へと到着し、新たにカルロス・ゴーン本人名義の(偽造?)パスポートで入国したものと考えられています。この時、現地ベイルート生まれの妻キャロルさんが、ゴーン氏を出迎えました。キャロルさんは、ゴーン逃亡計画の実行にあたって中心的役割を負ったものと考えられています。
キャロルさんは、ゴーン氏の広告塔として、日本の司法の前近代制やら不当性やらを盛んにアピールし、日本の司法はタリバン並みと貶めることで、自分たちの違法犯罪行為の正当化に努めています。日本の検察は、夫に代わって、不正行為の証拠隠滅活動をしていた容疑で、キャロルさんに逮捕状を出しました。ゴーン氏の保釈も取り消しましたが、レバノンにいるゴーン氏とキャロルさんには、痛くも痒くもないでしょう。
この件に関して、私が言いたいことは、ただ一つです。「金持ちは、何をしても許されるのか?」


日本の出入国在留管理庁のデータには、当然のことながら、カルロス・ゴーンの出国記録はありません。一方で、レバノンの入国管理局は、「ゴーン氏は、本人名義のフランスのパスポートを使って、正当に合法的に入国した」と発表しています。さらに、東京のゴーン氏の日本人弁護団は、「ゴーン氏のホンモノのパスポートは、フランス・ブラジル・レバノン発行の三冊とも、すべて、弁護団が日本で預かっており、ゴーン氏が合法的に日本を出国できた可能性はない」と断言しています。しかし、現実には、ゴーンは自身のパスポートを使って、レバノンに入国しています。また、トルコの司法当局は、「ゴーン氏の出入国の記録はない」と発表し、ゴーン氏を逃すのに協力した民間航空会社の乗務員らを逮捕しました。乗務員5名は、『協力しなければ妻子に危害が及ぶと脅された』と話しているそうです。
そうした各国の発表から考えて、荷物ケースに隠れたまま、関西国際空港から出国した後、トルコの民間航空会社のチャーター機内では、トルコ人乗務員らが共犯となって、トルコからレバノンへの不法出国を助けたものと推測されます。が、今のところ、ゴーン氏の関空からの日本出国の方法の詳細は定かではありません。しかし、レバノン入国の際には、間違いなく本人の(偽造?)パスポートが使用されています。入国は合法的に行われたということでしょうか。いずれにしても、日本出国とトルコからレバノンへの出国に際しては、明白な密出国にあたる違法犯罪行為が行われたことに間違いはありません。
ルノー・ニッサンの元会長ともあろう者が、とんでもない恥知らずな行動をとってくれたものです。このような胡散臭い男をトップに戴いていたことは、ニッサンという企業の恥でもあります。また、ルノーに身売りをせざるを得ない立場に日産を追い込んだ、バブル期経営陣の罪はあまりにも大きく、本当に取り返しがつきません。


東京地方裁判所は、ゴーン氏の保釈を取り消したことで、ゴーン氏が預けていた保釈金15億円は没収される見込みです。
また、今回の脱出を実現するために、15億円を費やしたとも言われています。合計30億円は大金ですが、しかし、ニッサンから莫大な報酬を得て巨万の富(総資産2300億円)を築いたゴーン氏にしてみれば、30億円も端金に過ぎません。檻に入らないですむ自由を確保する代償としては、安いものです。
法を犯して密出国したことが明らかな以上、ゴーン氏は二度と日本に足を踏み入れる気はないでしょうし、4月から始まる予定だった裁判は、今後、行われる見込みはありません。
要するに、結果として、ゴーン氏は、ニッサンから違法に搾取した巨額の財産を、丸ごと持ち逃げすることに成功したのです。その過程で、日本の司法当局が、ゴーン氏に赤っ恥をかかされ、愚弄され、完全に無視されたということです。
たかだか、中東出身の1人の金持ちに、世界第3位の経済国家であり、世界に冠たる法治国家である日本国全体が、完膚なきまでに愚弄され尽くし、唾を吐きかけられ、拭い去れない侮辱を受けました。
本当に情けない限りです。ゴーン氏もキャロルさんも、ろくなもんじゃありません。日本を舐め過ぎです。日本を野蛮な東洋の島国と宣伝することで、自分の犯した違法行為を正当化しようとするなら、明らかな東洋差別であり、深刻な人種差別的意識の表明でもあります。
そもそも、あなたたちが成功したのは、ニッサンと日本人が優秀だったからでしょう。音を仇で返すとは、このことです。
高野弁護士は、「公正な裁判は期待できない」とゴーン氏を擁護していますが、とんでもないことです。
日本の司法制度に問題がないとは言いませんが、少なくとも、金にモノを言わせて違法出国した億万長者のレバノン人に言われたくはありません。


フランス政府もレバノン政府も、「ゴーン氏を拘束して日本に返すことはない」と明言しており、「日本を密出国したから、それでどうした、何の問題もない」と、完全に舐めた態度です。つくづく「日本は極東の小国だなあ」と思わざるを得ません。
これほどまでに軽んじられ、馬鹿にされ、言われなき非難中傷を浴びて、黙っているしかないとは、この国は、なんて無力で無能で意気地のない国に、成り下がってしまったのでしょうか。情けない限りです。
そもそもレバノンは、元々、中東でも特に格差の激しい国の一つで、しかも現在、史上最悪の深刻な金融経済危機の最中にあり、内閣は総辞職し、通貨は暴落し、銀行は預金の引き出しを厳しく制限しています。
ゴーン氏もまた、いかに莫大な預金があっても、一般市民と同じ待遇であるなら、週300ドル(3万円)しか引き出せない状態にあるはずです。
レバノンは、岐阜県とほぼ同じ面積に、総人口は千葉県とほぼ同じ608万人という小国でありながら、莫大な負債を抱える世界第2位の債務国(政府純債務残高対GDP比/2018)で、それだけ豊富な資金が投下されているにもかかわらず、インフラも整備されておらず、電力も不足し、水も飲料に適していません。生産設備も乏しく、経済基盤が非常に脆弱です。政治家や一部の特権階級によって、国の富が収奪されてしまっているのです。
現在、国の歳入の半分は、国債の利息の支払いに消えてしまい、残りの大部分は、労働人口の13%を占める公務員の巨額の給与に当てられているという状況です。さらに、企業は解雇や減給が続いており、民間の債務不履行が増大しています。2019年度の経済成長率はゼロ成長で、このままいくと、貧困率50%も目の前という危機的な経済状態なのです。
この原因は、根深い汚職の蔓延や政治の腐敗、無策な豊満浪費体制にあると言われており、市民の政治に対する積もり積もった不満が、今、噴き出しているのです。
こうして、昨年10月以降、腐敗追放を求める激しい反政府デモが続いています。10月末には首相が辞任し、1月末には新内閣発足の予定ですが、汚職まみれの政治は3ヶ月も内閣不在のまま停滞し、国民の政治への不信は根深く、市民のデモはますます激しく続いています。
デモの始まった10月以降、観光業も打撃を受け、数百件のレストランが閉店し、ホテルの稼働率も10%以下の状態です。
これまで、レバノン政府は、ゴーン氏のような億万長者の不労所得者たちに完全に依存してきたため、公務員以外の貧しい一般大衆は見捨てられており、現在のレバノンは、恐るべき格差社会となっています。この危機を乗り越えるには、既得権益を持つ富裕層を優遇する政策を、市民のための政治に転換しなければならないのですが、残念ながら、レバノン政府には社会の格差を是正していく力も知恵も意志もありません。


ですから、ゴーン氏のような一部の腹黒くも後ろ暗い部分を持つ億万長者の既得権益者たちにとっては、レバノンは、政府が自分の意向を何でも満たしてくれる素晴らしい理想の国なのかもしれません。しかし、多くの一般のレバノン民衆にとっては、レバノンこそが出口のない牢獄なのです。
金持ちが威張るのが当然、富裕層はチヤホヤされて当たり前、権力者・実力者の汚職はし放題、既得権益者の利権が脅かされることなどない、というのがふつうのレバノンで生まれ育ったゴーン氏とキャロルさんにしたら、自分たちがしてきたことなど、大したことではないと思っていたのでしょう。けれども、レバノンでならば、検察も警察も裁判官も簡単に買収できるでしょうが、法治国家の日本では、それは通用しないと悟ったからこそ、日本からレバノンへ逃亡したのでしょう。
というのも、レバノンでは、何十億ドルもの公金を横領した政治家が、一人として逮捕されたためしがないからです。ゴーン氏が、レバノンの〝居心地の良い〟司法制度に助けを求めたのは、常識的に考えて、もっともなことです。
現在、史上最長のストライキ中のフランスの労働者たちも、4ヶ月に及ぶ反政府デモを続けるレバノン民衆も、痛切にそう思っているようですが、やはり、この世はアンフェアであり、「金持ちはずるい」のです。
ですから、もっともフェアじゃない国の、もっともフェアじゃない富裕な既得権益層の代表であるゴーン氏が、「日本の司法はフェアじゃない」「だから、自分は逃げてきた」と力説しても、まったく説得力がありません。


ところで、カルロス・ゴーン氏の実父ジョージ・ゴーンは、1960年、カルロスが6歳の時に、ダイヤモンド、金、外貨、麻薬の密輸に関わる仲間割れで、共犯者の神父を殺す殺人事件を起こし、刑務所に入りました。カルロス・ゴーン氏の実父は〝殺人犯〟だったということです。
しかも、その後、刑務所の中で、看守達に〝賄賂〟をばら撒いて、刑務所のドンになったジョージは、昼は刑務所の外で過ごし、夜は刑務所に戻って賭博場を開き、看守や囚人たちをもてなしたのです。
さらに、その後、ジョージの仲間11人が脱獄しました。ところが、脱獄に失敗して逮捕された仲間の供述から、ジョージが、地方検事、判事、裁判官の殺害計画を持ちかけた首謀者であることが発覚し、1961年にジョージは死刑判決を受けました。こうして、カルロス・ゴーン氏の実父は、カルロスが7歳の時に、殺人教唆の罪で〝死刑囚〟となったのです。
けれども、その後、ジョージは模範囚になり、減刑されて、1970年、カルロスが16歳の時に、刑務所から出所しています。ところが、出所のわずか4ヵ月後に、偽札100万ドル分の販売で、再度、逮捕され、15年の禁固刑になってしまうのです。ゴーン氏の実父は〝偽金づくり〟にも手を染めたのです。
その後、1975年、カルロスが21歳の時に、ジョージは、レバノン内戦の混乱に乗じてベイルートを脱出し、母国ブラジルのリオデジャネイロに逃亡しました。カルロス・ゴーン氏の実父は、〝脱獄囚〟であり、レバノンからブラジルへの〝国外逃亡犯〟だったのです。
ジョージは、その後、リオデジャネイロでビジネスに成功しました。息子のカルロスもブラジル出身ですし、カルロスの姉は、今でもリオデジャネイロに在住しています。ジョージはリオデジャネイロで2006年に死亡しました。
密輸、神父殺人、裁判官・判事・検事の殺人計画、死刑囚、偽金づくり、脱獄、密出国。ジョージの経歴は、実に派手です。そして、興味深いことは、カルロスも姉も含め、ゴーンの一家は、この極悪非道の父親ジョージについて、何も語っていません。
親がどうであれ、本人に罪はないのは確かです。しかし、その一方で、殺人に何の良心の痛みも感じない元死刑囚にして脱獄犯である父親を、恥としない文化があるということも、日本人は知っておくべきかもしれません。


それにしても、服役囚だった父親ジョージが脱獄して脱出したレバノンへ、息子カルロスの方は、逆に日本からわざわざ逃亡して帰って来たのです。運命の皮肉というか、ある意味、酔狂な息子です。
カルロス・ゴーン氏は、ブラジル政府が、今回の日本での逮捕後に、自分を十分支援してくれなかったことに不満を漏らし、「ブラジル国籍を持っていることは、日本ではほとんど意味がない」と述べています。
しかし、殺人と密輸と偽金づくりの前科を持つ元死刑囚の脱獄犯の父親を受け入れて、その家族にも寛大であった恩人の国ブラジルに対して、まったく感謝のない最低の物言いです。
こういう人間には、運命は最終的には味方しないものです。
最後に、「ゴーン氏が、いったいどのような背景を持つ人物であるか、そして、ゴーンがルーツを持つレバノンという国がどのような国か、ということを一切考えずに、安易にゴーン氏の口車に乗って、日本の検察や刑事司法制度を一方的に批判・攻撃する、郷原信朗氏や橋下徹氏やホリエモンら〝ゴーン擁護派〟の主張は、全く現実的でない」ということを指摘しておきます。
そもそも、ゴーン氏の主張は正当であると擁護するのであれば、日本とレバノンの刑事司法制度を比べて、日本が劣っているということを主張しなければなりません。しかし、そのような主張は、見たことがありません。
なぜなら、そんな理不尽な現実と異なる主張は、誰にとっても不可能だからです。「日本の司法がレバノンより劣っている?」「どこが?」
その意味で、「日本の刑事司法の実態より、レバノンの刑事司法の実態の方がはるかに優れている」「だから、自分は、日本やトルコの法を侵してでも、無理やりにでも日本からレバノンへ、正義と公正さを求めて逃げてきたのだ」「自分の逃亡には正当な理由があるのだ」と愚かで実態にそぐわない主張をしているゴーン氏は、恥のない詐欺師です。



⭐️2020年1月18・日、レバノンの首都ベイルートの繁華街では、反政府デモのデモ隊と治安部隊が衝突し、二日間で約500人が負傷するという最悪の事態となりました。
デモ隊は、既得権益を持つ支配層の汚職や縁故主義に怒っており、カルロス・ゴーン氏もまた、自分の利益しか考えない腐敗した富裕層の1人と考えているようです。
ゴーン氏は、現在、レバノンで、日産在籍中の2008年にイスラエルを訪問したことについて、イスラエルをボイコットする法律に違反していると、訴えられていますが、これについて、デモの参加者は「これがもし、自分だったら、即座に刑務所行きだけど、ゴーンは悠々と暮している」「これがレバノンの現実さ」と述べています。
レバノンでは、10月に内閣が総辞職した後、現在もなお、内閣不在の状態が続いています。


⭐️⭐️2020年1月21日、レバノンの新政権の20人の閣僚が発表されました。新閣僚のメンバーのほとんどは、学者や元顧問など、名前の知られていない人物で、6名の女性閣僚が含まれています。
最初の閣議は22日に行われました。新内閣の目標は「独立した司法制度の確立、横領された資金の回復、汚職の撲滅」ですが、市民の多くは、彼らに期待しておらず、組閣発表後も、市民のデモは続いており、デモ隊の道路封鎖などが行われています。
そもそも、レバノンは、キリスト教徒、スンナ派、シーア派の人口や勢力が均衡していたのですが、現在の内閣は、シーア派(シリア派)の過激組織ヒズボラの支援を受けており、反シリア派の反発を招いている側面もあるようです。
ちなみに、ゴーン氏は、キリスト教マロン派だそうです。