なんにもない、なんにもない、まったくなんにもない
生まれた、生まれた、何が生まれた
星がひとつ、暗い宇宙に生まれた
星には夜があり、そして朝が訪れた
なんにもない大地に、ただ風が吹いてた
やがて大地に、草が生え、樹が生え
海にはアンモナイトが生まれた
雲が流れ、時が流れて、流れた
ブロントザウルスが滅び、イグアノドンが栄えた
なんにもない大空に、ただ雲が流れた
山が火を噴き、大地を氷河が覆った
マンモスのからだを長い毛が覆った
なんにもない草原に、かすかに、やつらの足音が聞こえた
地平線のかなたより、マンモスの匂いとともに
やつらが、やって来た、やって来た、やって来た
園山俊二作詞/かまやつひろし作曲
この曲は『やつらの足音のバラード👣』という一風変わった曲名の歌です。大変有名な歌ですが、もともとは、1974〜1976年までテレビで放映された原始時代の(架空の)ギャートルズ平原を舞台とした原始人の日常を描いたテレビ・アニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンディング・テーマ曲でした。
地球の誕生から人類の発生まで、星と生命の進化の過程を辿った雄大な詞を創ったのは、マンガの原作者でもある園山俊二さんです。その詞に、ノンビリとした、かつ、飄々としたメロディーをつけたのは、元スパイダースのムッシュかまやつ(かまやつひろし)さんです。さらに、その曲を、ゆったりと肩のこらない自然な歌い方で歌ったのは、ちのはじめ(若子内悦郎)さんという方です。また、この時のサウンド担当は、後に「風の谷のナウシカ(1984)」「天空の城ラピュタ(1986)」「となりのトトロ(1988)」「もののけ姫(1997)」「千と千尋の神隠し(2001)」など、宮崎アニメの全作品の音楽を担当することになる久石譲さんです。いま考えると、なかなか豪華なメンバーだったようです。
とは言え、この曲は、1970年代に、あまた作られたアニメ作品のエンディングテーマ曲の一つに過ぎません。当時は、特に、話題にのぼることもありませんでした。
ところが、後になって、なぜか、主に、1990年代以降にですが、つまりは、昭和が幕を閉じて平成になってからなのですが、この曲が突如として再評価されるようになり、小泉今日子さん(1993)、かまやつひろしさん(1994)、スガシカオさん(2004)、中村あゆみさん(2010)、平井堅さん(2014)、斉藤和義さん(2019)など、名だたる歌い手にカバーされ、その他にも今日まで多くの歌手に歌われてきました。
こうして、たくさんの人に歌い継がれながら、この曲の最初の発表時から、すでに45年、半世紀近い月日が経過しようとしています。けれども、時代の彼方に忘れ去られるどころか、年月が経つに連れて、いよいよ、その輝きは増すばかりです。そして、いつしか、この曲は「昭和の生んだスタンダード・ナンバーの一つ」といわれるまでになったのです。
以上、見てきたように「やつらの足音のバラード」は、今では、堂々たる名曲の地位を獲得しているように思われます。もはや、「昭和アニメのテーマソングを代表する歴史的名曲のひとつ」と言っても、過言ではない状況になっているのではないでしょうか。
もっとも、昭和の時代には〝アニソン〟という用語もありませんでしたし、アニメの主題歌は、あくまでも、子どものためのもので、大人が好んで聴くということは、想定されていませんでした。アニメの主題歌が、ヒット・チャートに名を連ねるなんてこともなかった、というのも事実です。
それでも、同じ頃のアニメには、「ルパン三世(1971〜ルパン三世その2)」「宇宙戦艦ヤマト(1974〜真っ赤なスカーフ)」など、大人が聴いても「良い曲だな」と感じる印象的なオープニング・エンディングのテーマ曲が、けっこうありました。そして、たとえ、子ども向けアニメの主題歌として作られた曲であっても、当時、子どもだったアニメ作品のファンが何気なく聴いていた曲が、大人になってからも、ますます味わい深く聴けるというのは、なかなか貴重なことではないか、とも思うのです。
私自身、1970年代に、アニメの「ギャートルズ」をテレビで見ていた頃から、この曲「やつらの足音のバラード👣」のファンでした。アニメの内容は、主人公の少年ゴンが、お母さんのお遣いで、ヒトよりも巨大なドーナツ型の石のお金を転がしながら、同じくらい巨大な輪切りのマンモスの肉を買いに行くシーンぐらいしか、今となっては思い出せませんが、「なんにもない、なんにもない、まったくなんにもない」という、この曲の壮大でシュールな歌詞と耳に残る印象的なメロディーは、大人になっても、よく覚えていました。
それにしても、なぜ、この曲は、1990年代以降、アニメの再放送があったわけでもないのに、突然、人々の心を捉えるようになったのでしょうか。
考えてみると、今は、人間の数が膨大に増え、情報が瞬時に世界中を飛び交う、めまぐるしい時代です。物質文明の発達によって、おびただしい人とお金とモノと情報が、世界中に流通して、どこまでも限りなく時間と空間を埋め尽くしていくために、なんにもない空間など、どこにも見当たらないので、空想や想像を自由に膨らませる余地すらありません。そういう余裕のなさが、人間精神を徐々に蝕んでいるという気がしてなりません。
文明の歪みがますます大きくなって、その狭間に、ぽっかりとあいた虚無の暗い穴に、ともすれば、心が引きずりこまれてしまいそうになるのです。そうした無意識の危機反応が、本能的なストレスを掻き立て、得体のしれない閉塞感と先の見えない不安を増幅させ、知らず知らずのうちに心を摩耗させていきます。
ちょうど、バブルの崩壊した1990年代の初め頃から、世の中は、そんな風に、先の見えない閉塞感に覆われ始め、無気力と不毛感、人間不信と神経衰弱の傾向が、色濃く現れるようになったようにも思えます。
「令和」の時代になって、私は、最近、よく、この曲を聴きます。「なんにもない大地に、ただ風が吹いてた」と聴いていると、ピリピリとささくれだっていた気持ちが、妙に落ち着くのです。
一種の精神安定剤のような効果のある曲です。もっとも、誰のバージョンが良いかは、人によって好みが分かれるでしょう。誰の歌が、自分の心に一番しっくりくるか、聴き比べをしてみてはいかがでしょうか。
〈参考資料〉
【地球史年表】◉46億年前、直径10km程度の微惑星が衝突・合体を繰り返して地球が生まれる。同じ頃、月も生まれる。地球には、ヘリウムと水素から成る最初の大気が生成されたが、太陽風によって、数千万年のうちに、ほとんど吹き飛ばされてしまう。
この頃、地上は1000℃以上のマグマオーシャンに覆われていた。そして、密度の大きい鉄は内部に沈んで核を形成した。
➡︎46億年前から5億4500万年前までのおよそ40億年間を「先カンブリア時代(陰生代)」という。また、先カンブリア時代は、古い方から、冥王代、太古代、原生代に分かれる。
◉44億年前の最古の岩石が発見されている。この頃までには、地球表面のマグマが冷え固まって地殻が形成され、地上では火山活動🌋が盛んであった。
この時期には、大気のほとんどが二酸化炭素と水蒸気であった。少しずつ地表が冷えることで水も生じ、一部、水たまり(海?)もできたようだ。
◉41〜38億年前の3億年間、地球、月に、直径数kmから十数kmの大きさの巨大隕石(小惑星)が、頻繁に衝突💥した。この期間を「後期重爆撃期」と呼ぶ。この時期に、「雨の海」など、月のクレーターの多くが形成された。
◉40億年前、「後期重爆撃期」の最中に大気中の水蒸気が凝結して雨となって降り、原始の海が形成された証拠がある。そして、この原始の海に、隕石衝突によってアミノ酸が生成され、最初の地球生命が誕生したと考えられている。それは、火山付近の地底や海底で発生した好熱菌の一種だったのではないかと言われる。
➡︎46〜40億年前まで、地球の誕生から太古の生命の出現まで、生命の存在しなかった、およそ6億年間を、『先カンブリア時代』の中でも「冥王代」と呼ぶ。
◉39億5000万年前より以前の最古の堆積岩から、生命の痕跡である球状炭質物が発見されている。
◉38億年前、「後期重爆撃期」の終わりには、バクテリア(細菌)とアーキア(古細菌/メタン菌・好熱菌など)が、共通祖先(原始生命)から分化したと考えられる。
◉35億年前の最古の化石が発見されている。バクテリア(原核生物)の化石であり、生命活動の確かな証拠である。
◉34億7000万年前(太古代)のオーストラリアのピルバラ地域に、極めて大規模の天体衝突があり、その時に生じた地球最古のクレーターが発見された。太古代で発見された唯一のクレーターでもある。
◉32億6000万年前、推定直径32kmとされる超巨大隕石S2が地球に衝突し、大量の鉄分とリンがもたらされ、単細胞原核生物の数が急増した。
◉32億年前、最古の光合成をする生物であるシアノバクテリア(藍藻)が出現した。これにより、海中に酸素が供給されはじめた。
◉27億年前、シアノバクテリアが大量発生し、海中の酸素量が増大した。この時期のシアノバクテリアの化石が大量に発見されている。また、この時期(27〜25億年前)の地層から、最古の真核生物らしき痕跡(有機物質)が発見されている。
有毒な酸素から遺伝情報を守るため、DNAを膜で包んだ核が生まれたと考えられている。
➡︎40〜25億年前まで、原始生物の誕生から真核生物の出現まで、単細胞原核生物(バクテリアとアーキア)しかいなかった、およそ15億年間を、『先カンブリア時代』の中でも「太古代」と呼ぶ。
◉25億年前、シアノバクテリアの光合成の影響で、海中の酸素濃度がさらに高まり、24億5000万年前から大気中にも、徐々に酸素が供給され始める。また、大気中の酸素は、紫外線と反応してオゾンをつくり始めた。
◉22億年前、地球史上最初の全球凍結❄️(スノーボールアース)が起こる。シアノバクテリアの活動で、大気中の酸素がさらに増大したことで、二酸化炭素が減少し、寒冷化を招いたため。また、成層圏にオゾン層が形成され、紫外線が遮断されるようになった。赤道直下で水深2000mの深海まで凍りつく全球凍結により、初期生物の大量絶滅💀が起こった。
この全球凍結を終わらせたのが、22億2900年前、オーストラリアに世界で二番目に古いヤラババ・クレーター(直径70km)を形成した巨大隕石の衝突💥だった。
◉21億年前、ミトコンドリア、葉緑体と共生する真核生物が出現した。この時期の地層から真核生物の最古の化石が発見されている。
◉20億年前、現存する二番目に古いクレーターを形成した史上2番目の大きさ(直径10Km以上)の巨大隕石が衝突💥した。その痕跡が、南アフリカのフレデフォート・ドーム(直径300Km)。この衝突は、生命の大量絶滅💀を引き起こしたと考えられる。
◉18億5000万年前、現存する3番目に古いクレーターを形成した、史上4番目に巨大な直径約10kmの隕石が衝突💥した。その痕跡が、カナダのサドベリー隕石孔。衝突当時のクレーターの大きさは推定で直径250Km。この衝突もまた、大量絶滅💀を引き起こしただろう。
◉15億年前、最初の原始的な多細胞生物が発生したと考えられている。
◉8億年前、地球に小惑星シャワーと呼ばれる直径5〜10Kmの複数(10数個)の超巨大隕石が地上に降り注ぐ連続衝突💥があり、この時、「衝突の冬」を契機とする急速な寒冷化が生じ、その後の全球凍結を招いたが、一方で地上に撒き散らされたリンが、その後の生命活動を活性化させ、さらなる多細胞生物の出現・進化を促した。ただし、このときの大量衝突の痕跡(クレーター)は、地上には残っていない。
◉7億1700万年前〜6億4300万年前、6億3900万年前〜6億3500万年前に、2度目と3度目の全球凍結❄️。それによる2度の大量絶滅💀の狭間で、6億4000万年前頃、初の本格的な大型多細胞生物が出現した。さらに、この後、5億7000万年前から、体長1mほどのエアマット状のディッキンソニアなど、エディアカラ動物群が栄える。
◉5億8000万年前、直径数kmの巨大隕石が衝突💥し、オーストラリアに残る、地球史上、7番目に巨大な直径90kmのアクラマン・クレーターを形成した。
➡︎25〜5億4500万年前まで、単細胞真核生物の出現から多細胞生物の出現まで、そして、エディアカラ生物の繁栄に至るまでのおよそ20億年間を、『先カンブリア時代(陰生代)』の中でも「原生代」という。
◉5億4500万年前、原生代末、直径600Kmのクレーター痕跡をオーストラリアに遺した史上最大の超巨大隕石の衝突💥によってゴンドワナ大陸を分裂させたスーパープルーム(マントル噴火🌋)が発生し、大量絶滅💀が起こった。この超巨大噴火の噴出物の堆積によってエディアカラ生物群が死滅し、その後、外骨格を持つ生物が出現した。
これ以降、古生代「カンブリア紀」に入り、この時期の「カンブリア爆発」と呼ばれる生物の爆発的な多様化によって、アノマロカリスなどの奇怪な形状のバージェス動物群や三葉虫といった節足動物が繁栄し、さらに、カンブリア紀後期には、ナメクジウオのような脊索動物から進化して、ヤツメウナギに似た無顎魚類など、初期の脊椎動物が出現する。
➡︎外骨格生物の出現した5億4500万年前から現代までの時代を『顕生代』という。また、顕生代は、古い方から、古生代、中生代、新生代に分かれる。
➡︎5億4500万年前は、顕生代の中の『古生代』の始まりでもあり、さらに古生代の中の「カンブリア紀」の始まりでもある。
◉4億4400万年前、古生代「オルドビス紀」末の大量絶滅💀 があり、三葉虫なども壊滅的打撃を受けて、絶滅に近いほど数を減らした。しかし、その後、4億3000万年前、「シルル紀」に、植物、節足動物が、初めて上陸し、最古の陸上の生物となった。この時期の陸生の節足動物や植物は、化石として確認されている。
◉3億7400万年前、古生代「デボン紀」末の大量絶滅💀で、体長6〜10mで甲冑のようなダンクルオステウスなど、板皮類の魚類が姿を消した。その後、3億6000万年前の「石炭紀」の初めに、両生類が、脊椎動物としては、初めて陸上で生活を始めた。
◉3億年前、古生代「石炭紀」末に、爬虫類が、両生類から分かれて進化を始めた。また、昆虫も、この時期に進化し、体長70㎝の巨大トンボやゴキブリなどが出現した。「ペルム紀」の陸上生物の王者は、まさにこの昆虫類であった。この頃、大気中の酸素濃度は、現在よりも高く、気温も高かったため、昆虫類は巨大化する傾向があったのである。
➡︎5億4500万年前〜2億5100万年前の「ペルム紀」末まで、およそ3億年間を「古生代」という。古生代には、哺乳類と鳥類を除く、ほとんどの種が誕生した。また、古生代は、古い方からカンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀に分かれる。
◉2億5100万年前、古生代の終わり、「ペルム紀」末、スーパープルーム🌋によるシベリア・トラップの噴出とパンゲア超大陸の生成に伴い、高温のマグマによる地球規模の火災が生じた。これにより、地球全体が無酸素状態に陥り、この状態が数千万年続いた。特に、当時の海では、大規模な海洋無酸素事変(スーパーアノキシア)が起こり、96%の種が絶滅した。これは、地球史上最大の大量絶滅💀である。この時期に三葉虫も絶滅した。一方で、この後、地上には恐竜が出現し、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀と、中生代を通して繁栄した。
◉2億2500万年前、中生代「三畳紀」に、体長10㎝ほどの最古の哺乳類アデロバシレウスが出現する。
◉2億1500万年前、史上5番目に巨大な直径5〜8kmの隕石が地球に衝突💥。カナダのマニクアガン・クレーターなど5つの連鎖クレーターを遺した。この影響で、パンゲア超大陸が分裂。その広範囲の火山活動🌋及び海洋無酸素事変によって、2億年前、「三畳紀」末の大量絶滅💀が引き起こされ、全生物の76%が絶滅した。その後、ジュラ紀・白亜紀にまたがって、アンモナイトと恐竜の本格的な全盛期となる。
◉2億年前、唯一の大陸であったパンゲア超大陸の分裂が始まる。やがて、中生代「ジュラ紀」半ばの1億8000万年前頃には、北のローラシア大陸と南のゴンドワナ大陸に分裂し、その後、「白亜紀」に入った1億4500万年前以降、ローラシア大陸は、さらにユーラシア大陸と北アメリカ大陸に分裂し、ゴンドワナ大陸は、アフリカ大陸、南アメリカ大陸、オーストラリア大陸、南極大陸、インド亜大陸の5つの大陸に分裂した。
◉1億5000万年前、中生代「ジュラ紀」後期に、羽毛を持つ恐竜から進化した最古の鳥群(鳥翼類)、始祖鳥が出現。
◉1億年前以降、中生代「白亜紀」の後期、直径1m以上にもなる巨大アンモナイトが出現。この時期が、恐竜の全盛期でもある。この時期のアンモナイトと恐竜の化石の世界的産地の一つは北海道であり、むかわ町穂別(むかわ竜/ホベツアラキリュウ)や三笠市(アンモナイト/エゾミカサリュウ)には、立派な博物館がある。
➡︎2億5100万年前〜6550万年前の「白亜紀」末まで、およそ2億年間を「中生代」という。中生代には、哺乳類と鳥類が誕生した。また、厚歯二枚貝、アンモナイト、爬虫類から進化した恐竜の出現から絶滅までの時期にあたり、古い方から、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀に分かれる。
◉6550万年前、中生代「白亜紀」末に、直径10km以上の史上3番目に巨大な隕石が衝突💥し、ユカタン半島にチクシュルーブ・クレーター(直径300Km)を形成する。この影響で、インドでは大量の溶岩が噴出🌋してデカントラップが形成される。この時の大量絶滅💀で、鳥類を除くすべての恐竜とアンモナイトが絶滅した。
一方で、この「白亜紀」末に、最古の霊長類(あるいは霊長類に非常に近い種のサル)が地上に出現した。これ以後、「新生代」においては、哺乳類の全盛となる。
チクシュルーブ隕石衝突の65万年後、ウクライナに、直径1.6kmのボルティシュ隕石が衝突💥し、温暖化を加速させた。
➡︎6550万年前〜現代までの期間を「新生代」といい、その最初の時期を「古第三紀」という。新生代は、哺乳類が繁栄し、霊長類が進化していく時期にあたり、古い方から、古第三紀、新第三紀、第四紀に分かれる。
◉6000万年ほど前、霊長類(サル目)が、メガネザル・オナガザル・テナガザルを含む「直鼻猿亜目」と、現在マダガスカルに生息するキツネザル・ロリスを含む「曲鼻猿亜目(原猿類)」に分枝した。
◉4500万年前、新生代に入って急速に北上を続けていたインド亜大陸が、ユーラシア大陸に衝突し、ヒマラヤ山脈を形成し始めた。←ヒマラヤ造山運動。
◉4000万年ほど前、直鼻猿亜目のうち、現在東南アジアに生息するメガネザル(原猿類)を除いた「真猿類」が、現在、中南米、ブラジルなどに生息するリスザル・マーモセット・オマキザルなどの「広鼻猿類(新世界ザル)」と、現在、アジア・アフリカに生息する「狭鼻猿類(旧世界ザル)」に分岐した。
◉3500万年前、直径数kmの巨大隕石が、ロシア極北シベリアと、アメリカ東海岸に同時に衝突💥💥。マニクアガン・クレーターと並んで史上5番目に大きいシベリアのポピガイ・クレーター(直径100km)、アメリカのチェサピーク湾クレーター(直径90km)を形成した。
◉3000〜2500万年前、現存する最古の古代湖であるバイカル湖が、海から孤立して切り離され、海溝から塩水湖となった。その後、徐々に淡水化した。水深1700mで、世界で最も深い湖であり、貯水量も水の透明度も世界一である。ユーラシア大陸とインド亜大陸のプレートの境目にあって地溝となっており、現在でも、この地溝は陥没を続けている。つまり、水深が伸びている。
固有種が2000種と非常に多いため、ガラパゴス諸島と並んで、「生物進化の博物館」と言われる。
◉2800〜2400万年前、狭鼻猿類(旧世界ザル)が、ニホンザル・テングザル・マンドリル・マントヒヒを含む「オナガザル上科」と、テナガザルを含む「ヒト上科(類人猿)」に分岐した。
➡︎2300万年前、欧州のアルプス山脈と北米のロッキー山脈の造山運動が始まる。これをもって、地質時代上、新生代「新第三紀」の始まりとする。新第三紀は、258万年前まで続く。
◉2000〜1600万年前、ヒト上科(類人猿)が、現在、東南アジアに生息するフクロテナガザルなどを含む「テナガザル科(小型類人猿)」と「ヒト科(大型類人猿)」に分岐した。
◉1300万年前、ヒト科(大型類人猿)が、現在、東南アジアのインドネシア・マレーシアに生息する「オランウータン亜科(アジア類人猿)」と「ヒト亜科(アフリカ類人猿)」に分岐した。
◉1000万年前、アフリカ大陸のプレート境界で、マントルプルーム(マントル上昇流)の作用によって、アフリカ大陸を東西に分断する大地溝帯が形成され始めた。その影響から、ヒト亜科が、中央アフリカで、「ヒト族」と「ゴリラ族」に分岐した。
◉ 1000〜600万年前、バイカル湖に次ぐ、世界で2番目に古い古代湖であるタンガニーカ湖ができる。アフリカの大地溝帯を形成したプレートの動きに沿って生じた構造湖。水深1470mで世界2位、貯水量も世界2位である。生物多様性の豊かさで世界的に有名であり、固有種は800種と非常に多い。淡水湖。
◉700万年前、ヒト族が、中央アフリカで、「ヒト亜族(猿人)」と「チンパンジー亜族」に分岐した。このヒト亜族への分岐が、最古の人類の誕生とされる。この時期のものと考えられている最古の人類(猿人)の化石が、2001年に中央アフリカのチャドで発見されたサヘラントロプス(トゥーマイ猿人)である。すでに直立していた可能性が指摘されている。身長は120cm程度、脳の容積は350ccで、現生人類の25%程度であり、現生のチンパンジーとまったく変わらない。
◉600〜400万年前、世界で3番目に古い古代湖である琵琶湖ができる。50以上の固有種が生息している。
古代湖とは、河川からの堆積によって消滅することなく、100万年以上存続している湖で、世界に20箇所ほどしかない。
◉580万年前に生息していた、サヘラントロプスの次に古い化石人類の化石が、2001年にケニヤで発見され、オロリン・トゥゲネンシスと名付けられた。直立歩行しており、犬歯が小さく臼歯が大きいことから、果物や野菜を好んだことがわかる。また、犬歯を剥き出して雄が雌の奪い合いをすることがなかった、つまり、一夫一婦制であり、雄が子育てに参加していたという可能性も指摘されている。大きさは120cmぐらいでチンパンジーより少し大きい程度。脳の容積は350ccぐらいで、こちらもチンパンジー、サヘラントロプスとまったく変わらない。
◉500〜200万年前、モンゴル北西部のバイカル湖に近い山麓に、フブスグル湖ができる。バイカル湖に次いで、世界で2番目に透明度の高い淡水の古代湖である。モンゴル・ロシア国境近いモンゴル側に位置し、古来、貴重な淡水湖として神聖な湖とされてきた。
◉400万年前、北アフリカにマンモスが出現した。その後、300万年前、ヨーロッパに北上し、さらに250万年前にはシベリアへ、150万年前には北米大陸にまで生息域を広げた。
◉390万年前、南アフリカで、アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)が出現した。華奢型の猿人で、身長はおよそ130㎝、脳容積は現生人類の30%程度(400cc)で、わずかではあるが、確実に以前の人類より脳が大きくなり、直立歩行していた。しかし、まだ石器は、ほとんど使っていなかった。
➡︎1974年に、エチオピアで、330万年前の3歳の女児のアウストラロピテクスの完全骨格が発見され、「ルーシー」と名付けられた。そして、この時期に、アウストラロピテクスが、極めて原始的な技術ではあるが、人類史上、初めて「石器の使用」を始めた痕跡が見られる。
◉300万年前、中央アフリカで、チンパンジー亜族が、チンパンジーとボノボ(ピグミーチンパンジー)に分岐した。
◉258万年前、初期のヒト属であるホモ・ハビリス(初期原人「器用なヒト」)が、中央アフリカで、アウストラロピテクス属から分岐・進化した。身長はおよそ130㎝、脳容積は現生人類の50%程度(700cc)であった。アウストラロピテクスより高度な技術で石器を使用した。140万年前に絶滅した。現生人類との直接の繋がりはない。
➡︎この初期原人ホモ・ハビリスの出現をもって、地質時代上、人類の時代とされる新生代「第四紀」の始まりとしている。第四紀(258万年前から現代)は、さらに更新世と完新世に分かれる。
➡︎およそ250万年前、超新星爆発で地球に飛来した放射線によって、ウイルスの進化が加速されたことが、タンガニーカ湖の魚に感染するウイルスの急増から推測されている。こうした新種ウイルスの急増が、人類の脳に進化をもたらし、ホモ・ハビリスが誕生し、新生代「第三紀」を終わらせたのかもしれない
◉200万年前、頑丈型猿人のパラントロプスが出現した。120万年前まで、東アフリカ・南アフリカに生息し、ホモ・ハビリスやホモ・エレクトスと共存していた。頑丈型のパラントロプスは、華奢型のアウストラロピテクスから分岐したと考えられる。身長は140cm。脳の容積は500ccとアウストラロピテクスより多少大きいが、ヒト的な特徴はむしろ減少している。植物の根や芋類を大量に食べるので、顎が発達していた。現生人類との直接の繋がりはない。
◉190万年前、ホモ・エレクトス(原人)が、アフリカで地上に現れる。身長はおよそ150㎝、脳の容積は、現生人類の75%程度(950cc)であった。それまでの人類より、より精巧な石器を使用した。かつてはピテカントロプス・エレクトスと呼ばれていた。
ホモ・エレクトス(原人)は、ホモ・ハビリスとの共通の祖先(アウストラロピテクス属)から分岐・進化したと考えられている。ホモ・ハビリスとは50万年ほど共存した。ホモ・エレクトスは、180〜150万年前にアフリカを出て、ユーラシア大陸、主にアジア地域に生活圏を拡大した。ジャワ原人、北京原人など、ユーラシア大陸各地に広がり、亜種も多い。←原人の「出アフリカ」。
ホモ・エレクトスは、7万5000年前のトバ・カタストロフ🌋で死滅した。
◉140万年前、カナダのケベック州に、直径100m以上の巨大隕石が衝突し、ニュー・ケベック・クレーターを生じる。現在は、青い水をたたえる透明度の高い淡水の古代湖である。
◉100万年前、大地溝帯の影響で、ナイル川の源流であり、アフリカ最大の湖であるヴィクトリア湖ができた。構造湖ではなく、水深は84mしかない。多くの固有種が生息している「ダーウィンの箱庭」として知られる古代湖である。しかし、現代、食用として放たれた肉食魚ナイルパーチや沿岸からの排水による赤潮や水質汚濁などのせいで、湖の固有種が激減している。
◉100万年前、インドネシアのフローレス島に孤立したホモ・エレクトスが、その後、島嶼化によって、50万年以上かけて矮小化し、ホモ・フローレシエンシスとなった。身長わずか1m余りで、脳容量は380ccと、チンパンジーよりも小さい。にも関わらず、火や精巧な石器を使用していた。頭蓋骨の形状は、原人レベルではあるが、かなり高度な精神機能を有していた。現生人類との直接の繋がりはない。
◉93〜81万年前、深刻な寒冷化によって、現世人類の祖先集団(のちにホモ・ハイデルベルゲンシス、ホモ・サピエンスへと進化する、一部のホモ・エレクトス集団)は、極端なボトルネック状態にあった。人口は個体数1280人にまで激減し、およそ12万年の間、絶滅の危機に瀕していた。そして、わずかな生存の可能性を求めて喘いでいた。この極限状況が、彼らを進化させたと考えられる。
◉80万年前、アフリカかユーラシア西部で、ホモ・エレクトスから進化したホモ・ハイデルベルゲンシス(ハイデルベルク人)が出現した。身長は180㎝、脳の容積は1300cc程度と、ほぼ現生人類に等しい。ただし、眼窩上隆起は非常に大きく、その分、前頭葉は未発達で、原人段階、もしくは原初的な旧人段階と考えられている。
初期旧人であるホモ・ハイデルベルゲンシスは、アフリカ・ユーラシア大陸に生活圏を広げ、その一部は、旧人ネアンデルタール人に進化した。また、別の一部は、現生人類の直接の祖先である旧人段階のホモ・サピエンス種へと進化したと考えられている。ホモ・ハイデルベルゲンシスは、7万5000年前のトバ・カタストロフ🌋で死滅した。
➡︎78万1000年前から、新生代「第四紀」更新世チバニアンに入る。この時期に地球史上最後の地磁気逆転が起こった。チバニアンは、12万6000年前までの期間。
◉40万年前、ヨーロッパ・西アジア・中央アジアにかけて、ハイデルベルク人から進化したネアンデルタール人が出現した。身長は165㎝、脳の容量は1600ccあり、現生人類(1350cc)より大きい。しかし、前頭葉は現生人類ほど発達していなかった。
ネアンデルタール人は、後に、人類と一部混血したが、人類の直接の祖先ではない。およそ76〜55万年前の時点で、アフリカかユーラシア大陸のどこかで、人類の祖先であるホモ・サピエンスと分岐した別種族である。また、ネアンデルタール人は、35万年前に、デニソワ人とも分岐した。デニソワ人は、東アジアに生活圏を拡大した。
ネアンデルタール人・デニソワ人は、久しく人類の祖先と共存していたが、ユーラシア大陸の西端と東端で、およそ2万5000年前に絶滅した。現生人類との直接の繋がりは薄い。◉30万年前、ユーラシア大陸で優勢であったネアンデルタール人に圧迫された人類の直接の祖先である最初期の旧人レベルのホモ・サピエンス(賢いヒト)は、その脆弱さゆえに、北アフリカや東アフリカに後退させられた。
その後、ホモ・サピエンスは、アフリカ大陸の中だけで、およそ10万年以上の歳月をかけて、特に脳の形状が、旧人レベルの段階から、新人レベル(ホモ・サピエンス・サピエンス)へと進化を遂げた。
➡︎人類共通の男系祖先であるY染色体アダム(A00)は、27万年前の一人の男性にまで遡ることができることがわかっている。また、人類共通の女系祖先であるミトコンドリア・イブ(L0)は、20万年前の一人の女性にまで遡ることができる。こうしたことから、27〜20万年前の期間に、人類共通の祖先である旧人のホモ・サピエンスが、アフリカ大陸で、新人のホモ・サピエンス・サピエンスへと進化したことがわかるようだ。→現生人類の誕生は20万年前。
◉7万5000年前、トバ・カタストロフ🌋が起こり、5000年間の「火山の冬」が続いた。この間、ホモ・サピエンス・サピエンスとネアンデルタール人、デニソワ人、ホモ・フローレシエンシスを除く、他のすべての人類(ホモ・エレクトス、ホモ・ハイデルベルゲンシスなど)が死滅した。当時、生き残った人類の総数は、1万人以下であったという。
◉7万年前、ホモ・サピエンス・サピエンスが、より良い生活圏と獲物を求めて、再び「出アフリカ」した。この「出アフリカ」による生活環境の激変は、ホモ・サピエンス・サピエンスの脳(前頭前野)の突然変異に、創造的な進化へ向けての方向性を与え、まったく新しい思考と言語体系が生み出され、文化的飛躍がなされたと言われる。
◉5万年前、インドネシアのホモ・フローレシエンシスが、ホモ・サピエンス・サピエンスとの遭遇によって絶滅した。
◉2万5000年前、ネアンデルタール人とデニソワ人が、ホモ・サピエンス・サピエンスとの生存競争に敗れて絶滅した。しかし、交雑により、現生人類に遺伝子を遺した。
➡︎258万年前から氷河期の終わりにあたる1万年前までの期間を、新生代第四紀の「更新世」という。そのほとんどは氷河時代であり、この時期に、ホモ・サピエンス・サピエンス以外のすべてのヒト亜属が絶滅した。また、これ以降を「完新世」という。
⭐️ちなみに、歌詞に出てくる「ブロントザウルス」についてですが、ブロントサウルスという正式名称を持つ恐竜は、1億5000万年前、中生代ジュラ紀後期に出現した代表的恐竜のひとつですが、ジュラ紀の終わりには絶滅してしまいます。竜脚類と呼ばれる巨大な草食恐竜の仲間の代表的な種のひとつであり、成獣は、最大で、全長22m、体重は15tもありました。
しかし、かつては、同じジュラ紀後期に棲息していた竜脚類の超大型草食恐竜であるアパトサウルスのことを、混同して「ブロントサウルス」と呼んでいた時期がありました。さらに古くは、特に日本では、このアパトサウルスを「ブロントザウルス(雷竜)」と呼んでいました。
「やつらの足音のバラード👣」が発表された1970年代は、そのような種と名称の混同があった時期にあたります。ですから、歌詞の中に出てくる「ブロントザウルス」は、実際にはアパトサウルスのことだと考えて差し支えないでしょう。
アパトサウルスは、ブロントサウルスより、身体がひとまわり大きい最大級の草食恐竜で、成獣の体長は25m、体重は30tもありました。特に、体重はブロントサウルスの2倍近くあり、身体の形状や骨格も少し異なります。
そして、一般に、私たちがイメージする「ブロントザウルス」は、このアパトサウルスのことなのです。ですから、歌詞の中の「ブロントザウルス」については、現在ブロントサウルスと呼ばれている小型の種ではなく、ガッシリとしたより巨大な胴体に細長い尾と首のついた超大型恐竜アパトサウルスが、のっしのっしと地上を歩いているイメージで、頭に思い描くと良いでしょう。
一方、イグアノドンは、ブロントサウルス、アパトサウルスが姿を消した後の中生代白亜紀前期に生息していた鳥脚類の草食恐竜で、身長は7〜9mほどと、ブロントサウルスと比べても、ずいぶんと小柄です。
イグアノドンは、鈍重で巨大な竜脚類の恐竜たちより後に進化した、より新しい種で、後脚が発達した二足歩行の可能な恐竜なのです。普段は四本脚で歩きましたが、急ぐ時は、後脚だけで走ることができました。身体の動きも、「ブロントザウルス」より、はるかに俊敏であったと考えられます。
🌟また、アンモナイトは、4億4400年前の古生代オルドビス紀末(O-S境界❷/古生代オルドビス紀とシルル紀の境目)の大量絶滅💀(カタストロフ/当時、棲息していた種の85%が死滅)の後、およそ4億年前、古生代のシルル紀末期か次のデボン紀初期に出現した頭足類(イカ・タコの仲間/オウム貝の仲間ではない)の生き物ですが、貝のような硬い殻を持ちます。
初期型のアンモナイトは、およそ3億7400年前(F-F境界❸)、古生代の半ば、デボン紀後期に起こった、地球上の生物種の82%を死滅させたカタストロフ(大量絶滅💀)を生き延び、次のペルム紀にかけて繁栄しました。
しかし、およそ2億5100万年前(P-T境界❹/古生代と中生代の境目)、古生代最後のペルム紀の末期に、地球史上最大規模のカタストロフ(大量絶滅💀)が、パンゲア超大陸の誕生と分裂に伴う地殻変動と大火山活動によって起こり、全生物種の95%が絶滅しました。さすがに、この時には、古生代型のアンモナイトのほとんどの種が絶滅しました。また、古生代の示準化石である三葉虫は、このカタストロフ💀によって、完全に絶滅してしまいました。
しかし、一部のアンモナイト種は、この壊滅的なカタストロフ💀を生き延び、次の中生代に入って三畳紀に繁栄しました。そして、この中生代三畳紀中期、およそ2億3000万年前に、この繁栄種を母体として出現したのが、私たちのよく知っているタイプの有名な「アンモナイト」です。
この代表種の「アンモナイト」は、およそ2億年前(T-J境界❺/三畳紀とジュラ紀の境目)に、すべての生物種の76%を絶滅させたカタストロフ(大量絶滅💀)をも生き延び、広く世界中の海に分布しました。こうして「アンモナイト」は、中生代末まで、三畳紀・ジュラ紀・白亜紀と、およそ1億6000万年の長きにわたって繁栄したのです。そのため、この「アンモナイト」種は、中生代の示準化石とされています。
しかし、およそ6550万年前(K-Pg境界❻/中生代と新生代の境目)、白亜紀の末に、ユカタン半島に直径10kmの巨大隕石💥が落ちた影響から、広島型原爆10億倍のエネルギーが生じ、マグニチュード11以上の地震、高さ300m以上の津波に続いて、およそ10年に及ぶ「衝突の冬」現象が起こりました。空中に浮遊する火山灰によって日光が遮られ、気温は低下し、火山灰硫酸酸性雨が海洋や大地に降り注ぎました。このカタストロフ(大量絶滅💀)によって、地球全体で、恐竜、アンモナイトなどを含む75%の種が絶滅し、99%以上の個体が死滅したのです。
この、顕生代(5億4500万年前『V-C境界❶/原生代と古生代の境目』のゴンドワナ超大陸の生成と分裂に伴うカタストロフ💀以降の時代)では最大の隕石衝突💥が引き起こしたK-Pg境界❻のカタストロフ💀によって、中生代の王者〝恐竜〟は、地上から姿を消しました。大変有名なサイに似たツノを含む三本の角を持つ草食恐竜(角竜類)のトリケラトプスや史上最大最強の肉食獣として恐竜の代名詞ともなっている二足歩行(獣脚類)のティラノサウルスなど、最後の恐竜種が絶滅したのです。
同時に、デボン紀後期(F-F境界❸)、ペルム紀末(P-T境界❹)、三畳紀末(T-J境界❺)と、古生代から中生代にかけて、三度のカタストロフ💀を生き延びたアンモナイト種も、この白亜紀末(6550万年前/K-Pg境界❻)のカタストロフ💀によって、完全に死滅してしまい、3億年を超える種の歴史に幕を閉じました。
こうして、この白亜紀末のカタストロフ💀による生物多様性の激減と地球環境の激変が、大型爬虫類全盛の〝中生代〟を終わらせ、次の〝新生代〟において、哺乳類の発達と繁栄を促すきっかけとなったのです。
〝やつら(人類)の足音👣〟が、だんだん近づいてきました。
✨さて、この、アンモナイトと恐竜を滅ぼしたとされる、中生代末(白亜紀末/6550万年前/K-Pg境界❻)のカタストロフ💀を引き起こした隕石(直径10kmの小惑星)衝突💥跡の巨大クレーター(チクシュルーブ・クレーター③)が、メキシコのユカタン半島で発見されたのは、1978年のことでした。奇しくも、園山俊二さんが「やつらの足音のバラード👣」の詞を書いた、そのわずか4年後のことです。
直径10kmの隕石というのは、直径1万mの隕石ということです。この隕石が海水面に接した時の高さは、高度8848mのエベレスト山を超えます。下手をすると、高度1万m付近で巡行するジェット旅客機が激突する可能性すらあります。
この、とてつもない超巨大隕石が、秒速20kmのスピードで地表に激突したのです。この時、生じたクレーターの直径は当時300kmに及び、現在までに知られている、隕石衝突で生まれたクレーターとしては、地球上で2番目という規模のものです。この衝突のインパクトはマグニチュード11以上、そのエネルギーは広島型原爆の10億倍で、生じた津波の高さは300mと推定されています。
そして、史上最大のクレーターは、南アフリカにある直径50kmのフレデフォート・ドーム①を中心とする直径190kmの隕石痕跡です。このクレーターは、およそ20億2300万年前の直径12kmの巨大隕石の衝突💥によって生まれました。この衝突のインパクトはマグニチュード14、そのエネルギーは広島型原爆の58億倍であったと考えられています。現在は侵食によって小さくなっていますが、20億年前、衝突当時のフレデフォート・ドームは、直径300km以上あったと考えられています。この時、現在の南アフリカの産物である金やダイヤモンドの鉱床ができたのです。
史上3番目のクレーターは、カナダにあるサドベリー・クレーター②ですが、現在では、実際には、その痕跡であるクレーター跡があるだけです。およそ18億5000万年前の直径10kmの巨大隕石の衝突💥によって生まれたもので、当時のクレーターの直径は200〜250kmと推定されています。この時の衝突によって生じたマグマによって、現在のサドベリーの産物である銅やニッケルの鉱床が生まれたのです。
これら、3つの隕石衝突を合わせて「三大インパクト」と呼びます。そのうち、最大規模のクレーターであるフレデフォート・ドーム①と3番目の規模のサドベリー・クレーター②は、どちらも先カンブリア時代(陰生代/古原生代)にできたもので、2番目のチクシュルーブ・クレーター③だけが、唯一、比較的最近の顕生代(肉眼で見える生物が生息している時代)のものです。
しかし、これら3つのインパクトによって起こった破壊的な気象変動は、どれも地球生命の進化に大きな役割を果たしたことが、次第に明らかになってきています。
例えば、フレデフォート・ドーム①を生んだ最初の小惑星衝突の影響によって、20億年前に、ミトコンドリア、葉緑体と共生する真核生物が誕生したと考えられています。
隕石が落ちなければ、〝やつらの足音👣〟が近づいてくることもなかったということです。
💫ところで、2015年に、オーストラリアで、3億年以上前の巨大な隕石衝突💥の痕跡が発見されました。クレーターの直径は400kmで、落下した隕石は、空中で二つに分裂したものの、それぞれの隕石は直径10kmであったとされます。これほどの巨大隕石の衝突が、大量絶滅(カタストロフ💀)を起こさないわけがないので、正確な衝突年代の確定が待たれます。
このクレーターについて、もっとはっきりしたことがわかってくれば、そのうち「4大インパクト」と呼ばれるようになるかもしれません。
💫2024年9月の発表では、このオーストラリアの超巨大隕石衝突💥によるクレーターは直径600Kmにも及び、衝突年代は5億4500万年前のV-C境界と一致すると分かりました。先カンブリア時代のエディアカラ動物群を死滅させ、その後の生命大進化「カンブリア爆発」の契機となった大量絶滅は、フレデフォート・ドームを超える、この史上最大の隕石衝突によって起こったことが明らかになりつつあります。
🌠また、地球史上の大量絶滅についてですが、先カンブリア時代(原生代/陰生代)には、前述した二度の巨大隕石衝突による絶滅の前後に、スノーボールアース(全球凍結)現象❄️による微生物の絶滅が起こっています。
スノーボールアース現象❄️というのは、地球全体が、火山の噴火口付近を除いて、赤道付近から深海まで、全面的に凍結してしまう事態です。当然、地球上の生命の大部分は死滅してしまいます。
最初のスノーボールアース現象❄️は、およそ22億年前のことです。光合成によって酸素を排出するシアノバクテリア(藍藻細菌)の発生と繁殖によって、大気中の二酸化炭素が大量に消費された結果、急速な気温の低下が起こり、全球凍結に至りました。その後、火山活動によって、大気中に二酸化炭素が再び増え、温室効果で、再び気温は上昇しました。この過程が、嫌気性の原核生物を死滅させるとともに、生命の進化を促進し、地球上に酸素呼吸をおこなう真核生物が出現しました。
さらに、前述したように、およそ20億年前と18億5000万年前の隕石衝突💥と大量絶滅を経て、ミトコンドリア、葉緑体を取り込んだ真核生物が登場します。
上記したように、スノーボールアース現象❄️の原因は、光合成を行う藍藻細菌の増加によって大気中の酸素濃度の上昇と二酸化炭素量の減少が起こり、温室効果が阻害されたことです。こうした事態は、実は、地球史上では、しばしば起こっています。
そして、およそ7億年前に、地球は2度目の全球凍結❄️に陥ります。さらに6億年前には3度目の全球凍結❄️が起こりました。この2回の全球凍結による大量絶滅を経て、海中の高濃度の酸素から、細胞接着剤となるコラーゲンを生成する生物が現れ、原生代末の多細胞生物の出現と繁栄を促しました。
🌌そうした先カンブリア時代(原生代/陰生代)の絶滅は別にして、古生代以降(顕生代)に起こった5つの代表的な地球生物の大量絶滅💀(カタストロフ)は「ビッグファイブ」と呼ばれています。それに、最近判明したもう一つの大量絶滅💀(V-C境界❶)を加えて、顕生代の主なカタストロフは次の6つです。
❶V-C境界(5億4500万年前)/原生代末(原生代エディアカラ紀と古生代カンブリア紀の境目)/超巨大隕石衝突💥を契機とするゴンドワナ超大陸の形成・分裂に伴い、深部マントルが上昇して地表に現れたことによる超巨大噴火(スーパープルーム🌋)が起こり、大気中の二酸化炭素濃度が急上昇し、低酸素化と温暖化を招く/厚さ数mmで体長数十cmにも及ぶ、骨格を持たないクラゲ状・パンケーキ状の軟体性動物であるエディアカラ生物群(最古の多細胞生物)の死滅→三葉虫など外骨格をまとったさまざまな種の生物の発生(カンブリア爆発)
❷O-S境界(4億4400万年前)/古生代オルドビス紀末(オルドビス紀とシルル紀の境目)/太陽系近傍の重力崩壊型超新星による大気中オゾン濃度の急激な低下によって、突然の寒冷化が進み、当時、南極に位置していた大陸の氷河の急速な発達と海水面の低下が起こり、その後、温暖化による氷河の急速な消滅、および海水面の急上昇が生じた/生物種の85%が死滅→三葉虫の衰退とサメなど軟骨魚類の発生、アンモナイトの誕生、昆虫の発生、最古の陸上植物の出現
❸F-F境界(3億7400万年前)/古生代デボン紀後期(デボン紀後期のフラスニアン期とファメニアン期の境目)/太陽系近傍の重力崩壊型超新星による大気中オゾン濃度の急激な低下が起こり、寒冷化と乾燥化による海水面の後退と藻類の大繁殖による海洋無酸素事変、その後の急速な温暖化による海面上昇が生じた/生物種の82%が絶滅→シーラカンスなどの硬骨魚類の発生、維管束の完成、シダ植物の発達、昆虫の巨大化、両生類の発生、三葉虫の復活、爬虫類の発生
❹P-T境界(2億5100万年前)/古生代ペルム紀末(古生代ペルム紀と中生代三畳紀の境目)/南極にあったゴンドワナ大陸の北上に伴う激しい気温上昇があり、さらに、深部マントルの上昇と地表表出(スーパープルーム🌋)によって、シベリアで直径1000kmの噴火口を持つ超巨大火山により噴火(その跡をシベリアントラップと呼ぶ)が起こるなど、地球史上最も激しい火山活動があり、オゾン層を破壊するとともに、パンゲア超大陸を生成させ、二酸化炭素が増大して温暖化と貧酸素化がすすみ、その後、二酸化炭素の大量消費から地球規模の寒冷化をまねいた/フズリナや三葉虫など古生代型の生物種の95%が絶滅→セラタイト型アンモナイトの爆発的増加、二枚貝の発達、ワニ、カメ、恐竜、哺乳類の出現、裸子植物の発達
❺T-J境界(2億年前)/中生代三畳紀末(三畳紀とジュラ紀の境目)/カナダにある直径100kmのマニクワガン・クレーターをつくった直径5kmの隕石衝突💥(2億1500年前)と、海洋無酸素化、パンゲア超大陸の分裂に伴う火山活動による溶岩噴出と、それによる二酸化炭素濃度の急上昇/生物種の76%が絶滅→温室効果による気温上昇と巨大化した恐竜の繁栄、始祖鳥の発生、裸子植物の繁栄と被子植物の出現、プランクトンとアンモナイトの繁栄
❻K-Pg境界(6550万年前)/中生代白亜紀末(中生代白亜紀と新生代古第三紀の境目)/ユカタン半島のチクシュブール・クレーターを生んだ直径10kmの隕石衝突💥の引き起こした「衝突の冬」による寒冷化と、隕石衝突の影響から起こったデカン高原の大噴火(その跡がデカン・トラップ🌋と呼ばれる)による温暖化/アンモナイトや恐竜など生物種の75%が死滅→魚類、鳥類、哺乳類、被子植物の繁栄
✴️一方で、現在、生物種の70〜80%を死滅させる7番目のカタストロフ💀が始まっているという説があります。原因は、人類の異常な発達による気候変動と生態系の破壊によって起こりつつある生物多様性の激減です。これを「新生代第四紀の完新世末カタストロフ💀」と呼ぶ向きもあります。今回は、隕石でもマントルでもなく、〝やつら〟自身が引き起こす大量絶滅💀です。
このカタストロフ💀の兆候は、気候変動や自然破壊にだけ現れているわけではありません。私たち、人類の社会にも、そして、個々の人間精神にも、その兆候は見られます。
今、私たちの社会は、差別と支配と虐待、対立と不調和、無関心と相互不信に満ちており、人間精神は麻痺と妄想、依存と虚無、利己心と被害者意識の中に埋没し、誇大自己愛症候群に陥った人々で溢れています。それは、例えてみれば、聖書のロトやノアの話、ドストエフスキーの「罪と罰」の最後の部分で、主人公が夢に見る人類の終焉の物語などで、予言的に描かれてている事態の到来のようにも思えます。
☪️最後に、
「やつらの足音のバラード👣」を聴いたことがない人は、ともかく、一度、曲を聴いてから、再度、この記事を読んでみてください。
これまで、あなたの抱いていた世界観が、少し変わるかもしれません。