2019年7月26日から、ハワイのオアフ島ワイキキビーチに隣接する海辺に建つ老舗高級ラグジュアリー・リゾート・ホテル「ハレクラニ」初の海外進出による世界で二番目の「ハレクラニ」ホテルが、沖縄本島の恩納村いんぶビーチにオープンしています。
具体的に説明すると、国道58号線を那覇から名護方面へクルマで向かうと、右手に「希望が丘」という陳腐な名称の、ちょっとカルトな雰囲気のある新興の丘陵住宅街への入り口となる右折路があり、その横に「伊武部希望が丘入口」という名称のバス停があります。そして、ちょうど、その向かい側正面にあたる58号線の左手に、ホテル「ハレクラニ沖縄」の入り口があります。
このホテル、今、沖縄、特に恩納村では、かなり、注目のホテルとして、話題になっています。


ハワイの「ハレクラニ」の歴史は、1883年に、現在の「ハレクラニ」のある場所、ワイキキの浜に建てられた木造二階建てのビーチハウスに始まります。この建物の一部が、漁師たちに開放されていたことから、地元の漁師たちの間で「ハレクラニ(ハワイ語で『天国にふさわしい館』の意)」と呼ばれるようになりました。
1907年からは、この建物が、ホテルとして営業されるようになりました。1917年からは「ハレクラニ」がホテルの正式名称となり、1932年には、現在のハレクラニ本館が完成しました。
そして、1981年には、当時、木造2階建で老朽化が激しかった旧ハレクラニを三井不動産が買収し、ハワイ語のハレクラニ(天国にふさわしい館)という名にふさわしい施設に改修・再建し、高級リゾートホテルに生まれ変わらせたのです。
現在、ハレクラニ・コーポレーションは「帝国ホテル」と業務提携しており、今回、海外初進出による恩納村の「ハレクラニ」2号館ホテルの開設に際しても、その影響は大きいのではないかと感じます。
例えば、「ハレクラニ沖縄」の従業員の半数以上が、帝国ホテルはじめ、関東地域の高級ホテルなどから、なんと1.5倍の給料で引き抜かれたスタッフによって営業されています。従業員を厚遇することで、有能な人材を確保し、〝おもてなし〟を充実させるという方針のようです。
その結果、「ハレクラニ沖縄」は、世界的な観光地であるハワイのイメージと日本のホテル業のキメの細かい行き届いたサービスを融合したような素晴らしいホテルになっています。
同じお金をかけるなら、このぐらい質の高いサービスを提供する施設を、県内にもっと増やしてほしいものです。


配慮が隅々まで行き届いている分、料金もたしかに割高ではあります。
実際、今のところ、「ハレクラニ沖縄」の宿泊費は、ハワイの「ハレクラニ」を超えます。8月のシーズンなら、二人で一泊、ネットの格安料金でも最低8万5000円以上(オフシーズンの11月でも一泊4万円以上)という超高級リゾート・ホテルです。部屋の中には、一泊2人で60〜80万円という特別な部屋もあります。現在、沖縄でも最高級のホテルの一つです。
客層は、基本的に、日本人が多く、他のホテルでは目立つ中国人・韓国人の観光客が、ほとんど目立ちません。そのせいか、オープンしたばかりの夏休み、360ある部屋はほぼ満室で、子供づれも多い割には、ロビーやビュッフェ、プールなどが、非常に静かで落ち着いた様子です。大声で話す人がいないからです。
ロビーも、沖縄のリゾート・ホテルらしく、開放感ある開け放しのデザインで、屋外のプールやビーチとロビーが、見晴らしよく空間を繋げながら、それでも、しっかりクーラーが効いていて、沖縄の蒸し暑い真夏でも、とても、過ごしやすい設計になっています。屋外プールでも、西日が差さず、陽射しの強い夕方に比較的涼しいのも助かります。
一番気に入っているのは、車での利用のしやすさです。自家用車を直接ロビー玄関に乗り付けた後、駐車場までが非常に近いので、車を置いてきてから、ロビーまで歩く距離が短くてすみ、おかげであまり疲れません。
紫外線が強く、蒸し暑い沖縄の夏には、これが助かります。駐車場からの距離が長いと、たとえ、送迎のカートがあっても、なんだかおっくうになってしまうのです。
比較可能なホテルとしては、同じように本島西海岸のビーチに直接面しているオーシャンフロントの立地で、それなりの規模を持つ風格あるホテルとしては、ブセナテラス、日航アリビラ、万座ビーチ、ルネッサンス、シェラトン・サンマリーナ、オリオン、ハイアットリージェンシー瀬良垣、オクマ・リゾートなどありますが、それらと比べても、ハレクラニは、全体的なコンセプトやデザイン、サービスの質などの点で、ちょっと格が違います。


例えば、ホテルのロビーに隣接する一階にあるメイン・レストラン、オールデイ・ダイニング「House without a Key」についてですが、これが本当に素晴らしい。その料理の質において、県内のホテル・ビュッフェとして、現時点では抜きん出ており、その手間のかかった料理の美味しさは、圧倒的に〝沖縄一〟だと思います。
オススメは、10時〜14時までのブランチ・ビュッフェです。予約は必要ありません。価格は4500円と、ランチとしては高めですが、絶対に後悔はさせません。その特徴の一つは、素材の品質にごまかしがないということです。
まず、フルーツの質が段違いに違います。マンゴーは沖縄産の最高級品で、パイナップルも沖縄産の特級品ゴールドバレルです。酸味がなく、とにかく甘いです。加えて、極上のメロン、新鮮なラズベリー、キウイなどが並びます。
これらの新鮮なフルーツに、生ハムやボローニャ・ソーセージ、それにカマンベール・チーズやスモーク・チーズなど、数種類づつのハムとチーズを合わせて食すると、最高に楽しめます。ハムもチーズも、薄く食べやすい大きさに切り分けてあります。見た目にも美しく、心遣いを感じます。
そして、搾りたての生オレンジジュース、グレープフルーツジュース、ゴーヤーと豆乳のスムージーなど、飲み物も充実していて、こちらも、たった今、搾ったばかりというフレッシュさで、えぐみや苦みや酸味がまったくなく、とてもまろやかで美味しいです。
コーヒー、ティー、アイスクリームも、どれも、機械は使わず、すべて入れたて、作りたてです。蜂蜜も、巨大な蜂の巣から流れ出た天然蜂蜜を掬っていただくという趣向です。
並んでいるのが、手間をかけた手作りのものばかりで、ビュッフェすべてに作り手の心意気を感じます。
マグロやスモーク・サーモン、野菜なども、新鮮さが命という食材ですが、すべて、みずみずしい一級品ばかりで、一切、妥協していません。サラダのドレッシングも、作りたての新鮮なまろやかさで、手抜きがありません。ドレッシングに酢をほとんど使わないので、酸味が強くないのが、またよいのです。
デザートのココナッツケーキとマンゴーケーキは、まず、スポンジがふわっとしていて、食感が良く、クリームも程よい上品な甘さで、こちらも侮れない美味しさです。ビュッフェのデザートで美味しいと感じたのは初めてです。
炒め物では、沖縄料理のニンジンの炒め物(ニンジンシリシリ)が絶品です。魚料理も味が絶妙で、グルクンのマリネーや鯛の西京焼きが、飽きのこない味に仕上がっています。
また、レストランのソファーや椅子が上等なので、長時間座っていても疲れません。混み合っていても、比較的静かなので、読書しながら、くつろぎの時間を過ごすこともできます。
予算に余裕がない時は、12時以降は、ランチ・アラカルトもあるようです。ただし、メニューは、ディナーのアラカルトとは異なります。その内容については、残念ながら、まだ試していないので、何とも言えません。価格は、もちろん、ビュッフェよりはるかに安いです。ただし、飲み物と食事をとると、結局、3000円ぐらいになってしまうので、それなら、すべて込みのビュッフェの方がお得ではないか、と思います。


一方で、ブランチ・ビュッフェが終わった後の5〜11時までのディナーの時間帯のアラカルト・メニューでは、沖縄名物の「ソーキそば」が、おススメです。価格は1500円ですが、こちらも絶対に後悔させない一品です。
まず、濃厚なのに、あっさりしているシェフ自慢の豚骨のスープが、臭みのない究極のまろやかさです。そして、おソバにドンとのっているソーキ(豚の肋肉)煮込みと炭火焼のスペアリブが、とても柔らかく、味付けがよく、ボリュームがあって、食べ応えがあり、美味しいです。さらに、ジューシー(沖縄五目ご飯)と厚焼き卵とヒジキの煮物と香の物という付け合わせもセットになっているので、お腹がいっぱいになります。
おそらく、豚骨スープの量が少なく感じる人が多いかもしれません。その場合は、スープを追加で増やしてもらうことができます。
豚より牛という人には、牛リブロース・ステーキがよいと思います。価格は4800円と少々高めですが、肉は質がよく、量も手頃で、焼き方もソースも絶妙です。取り合わせのポテト・サラダも美味しいです。
その他、アラカルト・メニューでは、サラダも、おススメです。サラダにはパンが付きます。
ディナー・タイムには、(時間的に7時前であれば予約が必要になるとは思いますが)週に4日、夕方5時半から7時半まで3ステージ、地元沖縄のフラのミュージシャンやダンサーのショーを、西海岸の夕日をバックに観ながら、割安のアラカルト・メニューで、くつろいだ気分の夕食を楽しむことができます。
スタッフの対応が丁寧で、サービスがとても行き届いているので、ここは、本当に穴場だと思います。


このホテルは、上質の空間でありながら、客室数も多く、気取ってお高く止まるでもなく、人を排除しない気安さや居心地の良さも十分あります。
「〜お断り」という気取った排他的な雰囲気は微塵もありません。そこが、アロハ・スタイルというのでしょうか、開放的で、安心できて、非常に気に入っています。
今のところ、県内では、随一のおすすめホテルですね。


一つ、難を言えば、このホテルは、確かに〝おもてなし〟のサービスが行き届いているのですが、さて、それでは、「このホテルが沖縄にある意味は、何かあるのだろうか?」という点です。
アロハ・スタイルを楽しみたければ、本場のハワイに行けばいいのではないでしょうか。ハワイにハワイらしさが、今、果たしてどのくらい残っているのか、という点は別にしても、少なくとも、沖縄が、沖縄らしさを追求せず、安易に〝ハワイっぽさ〟を目指すことに、本当に意味があるのでしょうか。
沖縄にあって、東京のようなプロフェッショナルな〝おもてなし〟を受ける居心地の良さも、一時は気持ちの良いものですが、それだけで良いのでしょうか。
沖縄には、沖縄でしか味わえない〝らしさ〟が、あるはずです。それがなければ、いずれは観光客にも飽きられてしまいます。
〝沖縄らしさ〟とは何でしょう。
それは、商業主義に汚されていない、本来の沖縄独自の生活の中にあったものです。今、現在、私たちが失いつつあるものです。
時が止まったような、ゆったりとした空気感。おじい、おばあとの味わいのある会話。何気ない優しさやあったかさ。カメーカメー攻撃。不思議な安心感。ひとりでも、ひとりじゃないと感じるような、癒しの感覚。
それは、ゴルフ場とか、観光ビーチとか、プロ野球キャンプとか、イオンモールとか、ラグジュアリーホテルとか、カジノとか、水族館にはないものです。つまり、一般的な観光地や、一般に観光客がお金を落とす場所にはないものなのです。
「大きなお金が入る商売でなければ話にならない。」それが、時の流れ、〝時流〟であり、言っても仕方のないことなのかもしれません。けれども、沖縄が、沖縄であることを捨てるのは、長い目で見れば自殺行為ではないか、とも思うのです。



⭐️実際に泊まってみての感想ですが、想像以上に良かったです。
以下に気づいた点を記します。
①チェックアウトが12:00までなので、翌朝、まったく急ぐ必要なく、のんびり過ごすことができます。
②ボストンバッグなど、重い荷物はクルマまで運んでくれる上、クルマの移動もすべて任せられ、チェックインもチェックアウトも、ロビーで寛いだまま手続きできるので、とても楽です。
③キングサイズのベッドが、広々として余裕があり、また、それが部屋のスペースやデザインにもマッチしている上に、寝心地も適度な柔らかさで、想像以上に心地よく、完全に熟睡できます。
④浴槽のあるバスルームとリビングルームの間に壁がなく、全面可動式のドアを開け放つと、湯槽に横になりながら、外のオーシャンビューを眺めたり、テレビを見て寛ぐことができます。バスソルトがあるのも嬉しいです。
⑤リビングの床に柔らかい絨毯が前面に敷いてあり、空調も高性能なので、廊下やトイレやバスルームなどの床も、まったく冷たくないので、心地よく、リラックスできます。
⑥テレビは、40インチの大画面の壁付け薄型で、ベッドから正面の壁に据え付けられており、地上デジタルと衛星放送を、すべて観ることができます。
⑦十分な広さの清潔なウォークインクローゼットがあり、そのおかげで部屋が散らかりません。
⑧冷蔵庫にいろいろな種類の飲み物が入っていて、ホットコーヒーも、ワンタッチのマシンが付いていて、それらの飲み物が、すべてフリーサービスとなっています。
⑨照明が柔らかく、目にきつくない上に、ベッドの両側に操作ボタンがあって楽です。