13歳の時に、広島で、米軍の原爆投下を体験した被爆者で、カナダ在住の反戦活動家であるサーロー節子さんが、来日中です。
今回も、講演やインタビューで、核兵器禁止条約の交渉会議に参加しなかった日本政府を、「被爆者と国民を裏切っている」と非難しています。
被爆者としての体験と、多くの大切な人を失った痛みは、筆舌に尽くしがたいものがあるでしょう。また、「核兵器をなくしたい」という願いに反発する人は、この世にいないでしょう。
「核兵器を地上からなくす」という条約に、唯一の戦争被爆国であるにも関わらず、日本政府が参加しようとしないことへの怒りも理解できます。
しかしながら、世界の三大軍事国家であるアメリカ、ロシア、中国に加えて、独裁国家北朝鮮という四つの核保有国に囲まれ、反日国家として北との合併による核保有国化を夢見る韓国を隣国に持つ日本が、安全保障上の担保のないまま、アメリカとの軍事同盟を解消して核兵器禁止条約に加わるなど、まったく非現実的な話です。
ICAN(核兵器廃絶キャンペーン)の事務局長ベアトリクス・フィン氏などは「条約に加盟しても、日米同盟は維持できる」と主張しますが、実質的効力が失われてしまえば、同盟の意味がありません。
核兵器禁止条約は、核兵器による威嚇を禁じているという点で、「核の傘」による安全保障を否定し、結果として、核保有国との軍事同盟を無効化するものです。
そのため、核保有国のみならず、核保有国との同盟によって、自国の安全保障を担保しているすべての国にとって、容認できない内容となっています。
2018年12月現在、国連安全保障理事会の常任理事国である核保有五大国(米英露仏中)はもとより、その他の核保有4カ国(インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮)、米英仏との軍事同盟であるNATO加盟国(ドイツ・イタリア・スペイン・オランダ・カナダなど欧州中心に26カ国)、さらにアメリカの同盟国であるオーストラリア・韓国など、主要国のほとんどは、核兵器禁止条約に参加しておりません。今後も、参加する可能性は、ほとんどないでしょう。
昨年、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶キャンペーン)の本拠地であるオーストラリアも署名を拒んでいます。
さらに、NATOには加盟していない武装中立国のスイスでさえ、「安全保障上のリスクになる」として署名を拒否しています。また、同じくNATO非加盟国で、条約への署名を前向きに考えたスウェーデンでさえ、NATOとの協力関係が弱まることを恐れて、やはり、国防上のリスクから署名をためらっている状態です。将来的な独自核武装の可能性、あるいはNATOとの同盟の余地を残しておきたいのです。
同じように中立国としてNATO非加盟であっても、国防全般をスイスの軍事力に委ねているリヒテンシュタインや、EU加盟国であるオーストリアとは立場が違います。
中立国とは言っても、オーストリアの場合は、EUに加盟していることで、フランス・ドイツ・イタリア・ポーランドなど周辺国と運命を共にしているので、それらの国の軍事力を当てにできますから、安全保障問題に頭を悩ます必要がないのです。
サーローさんは、地政学的に安全保障環境が厳しい日本の政府を非難する前に、原爆投下の当事国であるアメリカ政府や、現在の居住地であるカナダ政府を非難するべきではないでしょうか。日本と比べて、カナダの場合は、安全保障上のリスクが小さいことから、まだしも条約を受け入れやすい状況にあると思います。
ちなみに、2018年12月現在、核兵器禁止条約の署名国は69カ国、批准国は19カ国です。
批准した19カ国を地域別にみると、まず、ラテンアメリカではメキシコ・ベネズエラ・ウルグアイ・コスタリカ・ニカラグア・ガイアナ・キューバの7カ国、東南アジアのタイ・ベトナム・パラオの3カ国、欧州ではオーストリア・バチカン市国・サンマリノの3カ国、オセアニアのニュージーランド・サモア・バヌアツ・クック諸島の4カ国、加えてアフリカのガンビア、そして、中東のパレスチナで、計19カ国になります。
条約批准国が50カ国に達しなければ、この条約は発効しません。つまり、あと31カ国の批准が必要ということです。また、主要先進国の中で、署名・批准をしたのは、現在のところ、欧州のオーストリア1国のみです。
未批准の署名国については、欧州ではアイルランドとリヒテンシュタインの2カ国のみで、大国は一つも署名していません。
南米ではブラジル・ペルー・ボリビア・チリ・コロンビア・エクアドル・パラグアイの7カ国、そして、中南米ではドミニカ・ジャマイカ・グアテマラ・ホンジュラス・パナマ・エルサルバドル・セントルシア・アンティグアバーブーダ・セントヴィンセントグレナディーンの9カ国で、ラテンアメリカ地域は合計16カ国になります。
さらにアフリカ地域は、アルジェリア・リビア・ナイジェリア・コートジボワール・ガーナ・ベナン・南アフリカ・アンゴラ・中央アフリカ・コンゴ・ナミビア・ギニアビサウ・マラウイ・トーゴ・コモロ・サントメプリンシペ・カーボベルデで、地域別最多の17カ国です。
東南アジアでは、インドネシア・ミャンマー・マレーシア・ブルネイ・フィリピン・ラオス・東ティモールの7カ国、他のアジア諸国ではバングラデシュ・ネパール・カザフスタンの3カ国、その他の島国では、インド洋のセーシェル・マダガスカル、南太平洋のフィジー・キリバス・ツバルを加え、総計50カ国です。
この中に含まれる、ある程度、その規模において主要国と言える国は、ブラジルと南アフリカとインドネシアぐらいです。
これら上記の署名国の多くは、経済的に自立しておらず、国連もしくは核保有国及びその同盟国の援助に依存しています。そもそも、国連の援助資金(分担金)を担っているのは、核保有国とその同盟国なのです。上記諸国の多くは、こうした先進諸国や国連からの国際援助を受けており、にも関わらず、その一方で、難民の発生源となっている国も多いのです。
あるいは、その領域や国力が小さすぎて、隣国に対する自力防衛が不可能であったり、周辺に脅威となる隣国が存在しないなど、何らかの理由で、核保有国を中心とする集団安全保障体制から外れている国々です。
日本に、この中に入れというのでしょうか。それは無理です。国の置かれている状況が、あまりに違いすぎます。
情けないのは、我が国のマスメディアの報道姿勢です。現実をよく知っているはずなのに、なぜまともな報道をしないのか、いつもながらため息が出ます。
あくまでも人類の理性と良識を信じるという態度は、個人の信念・信仰としては、尊重されるべきものです。けれども、国の安全に責任を負っている為政者の姿勢としては、どうでしょうか。
特に、現在の日本のように、シビアすぎる近隣環境に囲まれて在る国の指導者としては、まったく失格です。
もし、まかり間違って、日本政府が、核兵器禁止条約に署名などしたなら、いよいよこの国もおしまいです。そんな無謀で無責任極まる政府のもとでは、この先、私たちが平和に繁栄を続けることは、より困難になるでしょう。
なぜ、こんな当たり前の主張が、この国では通用しないのか、どうにも不思議でなりません。
〈主要国の軍事費〉
①グローバルノートによる2017年度軍事費総額ランキング
1位 アメリカ 6100億ドル
2位 中国 4350億ドル(推計)
3位 インド 2350億ドル
4位 サウジアラビア 1800億ドル
5位 ロシア 1580億ドル
6位 フランス 650億ドル
7位 イラン 550億ドル
8位 イギリス 523億ドル
9位 日本 518億ドル
10位 ドイツ 508億ドル
11位 韓国 506億ドル
12位 トルコ 476億ドル
②ストックホルム国際平和研究所による主要国の2017年度軍事費の対GDP比ランキング
1位 サウジアラビア 10.3%
2位 ロシア 4.3%
3位 アメリカ 3.2%
4位 韓国 2.6%
5位 インド 2.5%
6位 フランス 2.3%
7位 中国 1.9%(公式発表ベース*)
8位 イギリス 1.3%
9位 ドイツ 1.2%
10位 日本 0.9%
*中国の公式発表防衛予算(2280億ドル)は、研究開発費が一切計上されておらず、実質防衛費のおよそ1/2なので、実質的な対GDP比は4.0%程度と考えられている。
また、公式発表予算でさえ、2018年度が前年比7%増、2019年度が8.1%増、ここ10年間の増加率が118%と、軍事費の増加が主要国中で圧倒的に1位の中国が、実質的にアメリカの軍事費に追いつくのは時間の問題である。おそらく、5年後か。
それにしても、「日本の軍事費増大が中国を刺激する」というメディアの論調には、首を傾げざるを得ない。
今日、極東の軍事バランスを破壊しているのは、間違いなく中国である。問答無用で軍拡を進める軍事大国中国を、主要国中で対GDP比が最低レベルの0.9%、軍事費の増加率が2018年度で前年比2.5%増、2019年度2.1%増に過ぎない日本が、どうやって刺激するというのだろうか。
③2007〜2016年の10年間の主要国の軍事費の伸び率ランキング
1位 中国 +118%(公式発表ベース)
2位 ロシア +87%
3位 インド +50%
4位 韓国 +35%
5位 サウジアラビア +20%
6位 ドイツ +7%
7位 フランス +3%
8位 日本 +2.5%
9位 アメリカ −5%(オバマ政権の軍縮)
10位 イギリス −12%
④グローバルファイアーパワーによる2018年度の軍事力ランキング
◯軍事力指数→0.0000を最高とする
1位 アメリカ→0.0818(核保有/NATO)
2位 ロシア→0.0841(核保有)
3位 中国→0.0852(核保有)
4位 インド→0.1417(核保有)
5位 フランス→0.1869(核保有/NATO)
6位 イギリス→0.1917(核保有/NATO)
7位 韓国→0.2001(**)
8位 日本→0.2107
9位 トルコ→0.2216(NATO)
10位 ドイツ→0.2461(NATO)
11位 イタリア→0.2565(NATO)
12位 エジプト→0.2751
13位 イラン→0.3131
14位 ブラジル→0.3198
15位 インドネシア→0.3266
16位 イスラエル→0.3444(核保有)
17位 パキスタン→0.3689(核保有)
18位 北朝鮮→0.3876(核保有)
19位 スペイン→0.4079(NATO)
20位 ベトナム→0.4098
**韓国は、対GDP比で日本の2.5倍の2.6%を軍事に費やし、10年間で日本の14倍の35%も軍事費を増加させてきた。その結果、今年、初めて軍事力ランキングで日本を追い抜き、世界7位にランクされた。その韓国から「安倍政権による日本の軍国主義化」がどうのこうのと文句を言われたくはないものだ。
ちなみに、韓国の軍事予算の増加率は、2018年度予算で前年比7%増、2019年度は8.2%増で、文在寅政権は、経済の悪化にもかかわらず、中国を抜いて世界有数の軍拡を続けている。
⑤主要国の2018、2019年度予算における軍事予算の前年度比増加率の比較
1位 アメリカ 10%→12%(***)
2位 韓国 7%→8.2%
3位 中国 7%→8.1%(公式発表ベース)
4位 インド 7%→7.7%
参考 日本 2.5%→2.1%
***アメリカは、トランプ政権になり、オバマ時代から一転して、中国に対抗して軍事力増強に努めている。しかし、現実には、中国が即、アメリカの安全保障を脅かしているわけではない。中国の軍事的台頭によって、切実に脅かされているのは、むしろ、日本である。そういう意味でも、日本はアメリカに気を使って核兵器禁止条約に反対しているわけではない。自国の安全保障上の深刻なリスクを回避するために、アメリカとの同盟関係を強化する一環として、反対しているのである。
☆2017年9月、しんぶん赤旗「軍事費 過去最大 5.25兆円 前年度比2.5%増!」
☆2018年9月、しんぶん赤旗「軍事費 過去最大 5.3兆円 前年度比2.1%増!」
なぜ、周辺諸国との比較で考えない?
なぜ、国際政治の現実を見ようとしない?
なぜ、人権や理念が通用しない無法の世界に生きながら、勝手に隣人愛を盲信し、「核抑止力」を安易に否定できるのか?
今回も、講演やインタビューで、核兵器禁止条約の交渉会議に参加しなかった日本政府を、「被爆者と国民を裏切っている」と非難しています。
被爆者としての体験と、多くの大切な人を失った痛みは、筆舌に尽くしがたいものがあるでしょう。また、「核兵器をなくしたい」という願いに反発する人は、この世にいないでしょう。
「核兵器を地上からなくす」という条約に、唯一の戦争被爆国であるにも関わらず、日本政府が参加しようとしないことへの怒りも理解できます。
しかしながら、世界の三大軍事国家であるアメリカ、ロシア、中国に加えて、独裁国家北朝鮮という四つの核保有国に囲まれ、反日国家として北との合併による核保有国化を夢見る韓国を隣国に持つ日本が、安全保障上の担保のないまま、アメリカとの軍事同盟を解消して核兵器禁止条約に加わるなど、まったく非現実的な話です。
ICAN(核兵器廃絶キャンペーン)の事務局長ベアトリクス・フィン氏などは「条約に加盟しても、日米同盟は維持できる」と主張しますが、実質的効力が失われてしまえば、同盟の意味がありません。
核兵器禁止条約は、核兵器による威嚇を禁じているという点で、「核の傘」による安全保障を否定し、結果として、核保有国との軍事同盟を無効化するものです。
そのため、核保有国のみならず、核保有国との同盟によって、自国の安全保障を担保しているすべての国にとって、容認できない内容となっています。
2018年12月現在、国連安全保障理事会の常任理事国である核保有五大国(米英露仏中)はもとより、その他の核保有4カ国(インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮)、米英仏との軍事同盟であるNATO加盟国(ドイツ・イタリア・スペイン・オランダ・カナダなど欧州中心に26カ国)、さらにアメリカの同盟国であるオーストラリア・韓国など、主要国のほとんどは、核兵器禁止条約に参加しておりません。今後も、参加する可能性は、ほとんどないでしょう。
昨年、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶キャンペーン)の本拠地であるオーストラリアも署名を拒んでいます。
さらに、NATOには加盟していない武装中立国のスイスでさえ、「安全保障上のリスクになる」として署名を拒否しています。また、同じくNATO非加盟国で、条約への署名を前向きに考えたスウェーデンでさえ、NATOとの協力関係が弱まることを恐れて、やはり、国防上のリスクから署名をためらっている状態です。将来的な独自核武装の可能性、あるいはNATOとの同盟の余地を残しておきたいのです。
同じように中立国としてNATO非加盟であっても、国防全般をスイスの軍事力に委ねているリヒテンシュタインや、EU加盟国であるオーストリアとは立場が違います。
中立国とは言っても、オーストリアの場合は、EUに加盟していることで、フランス・ドイツ・イタリア・ポーランドなど周辺国と運命を共にしているので、それらの国の軍事力を当てにできますから、安全保障問題に頭を悩ます必要がないのです。
サーローさんは、地政学的に安全保障環境が厳しい日本の政府を非難する前に、原爆投下の当事国であるアメリカ政府や、現在の居住地であるカナダ政府を非難するべきではないでしょうか。日本と比べて、カナダの場合は、安全保障上のリスクが小さいことから、まだしも条約を受け入れやすい状況にあると思います。
ちなみに、2018年12月現在、核兵器禁止条約の署名国は69カ国、批准国は19カ国です。
批准した19カ国を地域別にみると、まず、ラテンアメリカではメキシコ・ベネズエラ・ウルグアイ・コスタリカ・ニカラグア・ガイアナ・キューバの7カ国、東南アジアのタイ・ベトナム・パラオの3カ国、欧州ではオーストリア・バチカン市国・サンマリノの3カ国、オセアニアのニュージーランド・サモア・バヌアツ・クック諸島の4カ国、加えてアフリカのガンビア、そして、中東のパレスチナで、計19カ国になります。
条約批准国が50カ国に達しなければ、この条約は発効しません。つまり、あと31カ国の批准が必要ということです。また、主要先進国の中で、署名・批准をしたのは、現在のところ、欧州のオーストリア1国のみです。
未批准の署名国については、欧州ではアイルランドとリヒテンシュタインの2カ国のみで、大国は一つも署名していません。
南米ではブラジル・ペルー・ボリビア・チリ・コロンビア・エクアドル・パラグアイの7カ国、そして、中南米ではドミニカ・ジャマイカ・グアテマラ・ホンジュラス・パナマ・エルサルバドル・セントルシア・アンティグアバーブーダ・セントヴィンセントグレナディーンの9カ国で、ラテンアメリカ地域は合計16カ国になります。
さらにアフリカ地域は、アルジェリア・リビア・ナイジェリア・コートジボワール・ガーナ・ベナン・南アフリカ・アンゴラ・中央アフリカ・コンゴ・ナミビア・ギニアビサウ・マラウイ・トーゴ・コモロ・サントメプリンシペ・カーボベルデで、地域別最多の17カ国です。
東南アジアでは、インドネシア・ミャンマー・マレーシア・ブルネイ・フィリピン・ラオス・東ティモールの7カ国、他のアジア諸国ではバングラデシュ・ネパール・カザフスタンの3カ国、その他の島国では、インド洋のセーシェル・マダガスカル、南太平洋のフィジー・キリバス・ツバルを加え、総計50カ国です。
この中に含まれる、ある程度、その規模において主要国と言える国は、ブラジルと南アフリカとインドネシアぐらいです。
これら上記の署名国の多くは、経済的に自立しておらず、国連もしくは核保有国及びその同盟国の援助に依存しています。そもそも、国連の援助資金(分担金)を担っているのは、核保有国とその同盟国なのです。上記諸国の多くは、こうした先進諸国や国連からの国際援助を受けており、にも関わらず、その一方で、難民の発生源となっている国も多いのです。
あるいは、その領域や国力が小さすぎて、隣国に対する自力防衛が不可能であったり、周辺に脅威となる隣国が存在しないなど、何らかの理由で、核保有国を中心とする集団安全保障体制から外れている国々です。
日本に、この中に入れというのでしょうか。それは無理です。国の置かれている状況が、あまりに違いすぎます。
情けないのは、我が国のマスメディアの報道姿勢です。現実をよく知っているはずなのに、なぜまともな報道をしないのか、いつもながらため息が出ます。
あくまでも人類の理性と良識を信じるという態度は、個人の信念・信仰としては、尊重されるべきものです。けれども、国の安全に責任を負っている為政者の姿勢としては、どうでしょうか。
特に、現在の日本のように、シビアすぎる近隣環境に囲まれて在る国の指導者としては、まったく失格です。
もし、まかり間違って、日本政府が、核兵器禁止条約に署名などしたなら、いよいよこの国もおしまいです。そんな無謀で無責任極まる政府のもとでは、この先、私たちが平和に繁栄を続けることは、より困難になるでしょう。
なぜ、こんな当たり前の主張が、この国では通用しないのか、どうにも不思議でなりません。
〈主要国の軍事費〉
①グローバルノートによる2017年度軍事費総額ランキング
1位 アメリカ 6100億ドル
2位 中国 4350億ドル(推計)
3位 インド 2350億ドル
4位 サウジアラビア 1800億ドル
5位 ロシア 1580億ドル
6位 フランス 650億ドル
7位 イラン 550億ドル
8位 イギリス 523億ドル
9位 日本 518億ドル
10位 ドイツ 508億ドル
11位 韓国 506億ドル
12位 トルコ 476億ドル
②ストックホルム国際平和研究所による主要国の2017年度軍事費の対GDP比ランキング
1位 サウジアラビア 10.3%
2位 ロシア 4.3%
3位 アメリカ 3.2%
4位 韓国 2.6%
5位 インド 2.5%
6位 フランス 2.3%
7位 中国 1.9%(公式発表ベース*)
8位 イギリス 1.3%
9位 ドイツ 1.2%
10位 日本 0.9%
*中国の公式発表防衛予算(2280億ドル)は、研究開発費が一切計上されておらず、実質防衛費のおよそ1/2なので、実質的な対GDP比は4.0%程度と考えられている。
また、公式発表予算でさえ、2018年度が前年比7%増、2019年度が8.1%増、ここ10年間の増加率が118%と、軍事費の増加が主要国中で圧倒的に1位の中国が、実質的にアメリカの軍事費に追いつくのは時間の問題である。おそらく、5年後か。
それにしても、「日本の軍事費増大が中国を刺激する」というメディアの論調には、首を傾げざるを得ない。
今日、極東の軍事バランスを破壊しているのは、間違いなく中国である。問答無用で軍拡を進める軍事大国中国を、主要国中で対GDP比が最低レベルの0.9%、軍事費の増加率が2018年度で前年比2.5%増、2019年度2.1%増に過ぎない日本が、どうやって刺激するというのだろうか。
③2007〜2016年の10年間の主要国の軍事費の伸び率ランキング
1位 中国 +118%(公式発表ベース)
2位 ロシア +87%
3位 インド +50%
4位 韓国 +35%
5位 サウジアラビア +20%
6位 ドイツ +7%
7位 フランス +3%
8位 日本 +2.5%
9位 アメリカ −5%(オバマ政権の軍縮)
10位 イギリス −12%
④グローバルファイアーパワーによる2018年度の軍事力ランキング
◯軍事力指数→0.0000を最高とする
1位 アメリカ→0.0818(核保有/NATO)
2位 ロシア→0.0841(核保有)
3位 中国→0.0852(核保有)
4位 インド→0.1417(核保有)
5位 フランス→0.1869(核保有/NATO)
6位 イギリス→0.1917(核保有/NATO)
7位 韓国→0.2001(**)
8位 日本→0.2107
9位 トルコ→0.2216(NATO)
10位 ドイツ→0.2461(NATO)
11位 イタリア→0.2565(NATO)
12位 エジプト→0.2751
13位 イラン→0.3131
14位 ブラジル→0.3198
15位 インドネシア→0.3266
16位 イスラエル→0.3444(核保有)
17位 パキスタン→0.3689(核保有)
18位 北朝鮮→0.3876(核保有)
19位 スペイン→0.4079(NATO)
20位 ベトナム→0.4098
**韓国は、対GDP比で日本の2.5倍の2.6%を軍事に費やし、10年間で日本の14倍の35%も軍事費を増加させてきた。その結果、今年、初めて軍事力ランキングで日本を追い抜き、世界7位にランクされた。その韓国から「安倍政権による日本の軍国主義化」がどうのこうのと文句を言われたくはないものだ。
ちなみに、韓国の軍事予算の増加率は、2018年度予算で前年比7%増、2019年度は8.2%増で、文在寅政権は、経済の悪化にもかかわらず、中国を抜いて世界有数の軍拡を続けている。
⑤主要国の2018、2019年度予算における軍事予算の前年度比増加率の比較
1位 アメリカ 10%→12%(***)
2位 韓国 7%→8.2%
3位 中国 7%→8.1%(公式発表ベース)
4位 インド 7%→7.7%
参考 日本 2.5%→2.1%
***アメリカは、トランプ政権になり、オバマ時代から一転して、中国に対抗して軍事力増強に努めている。しかし、現実には、中国が即、アメリカの安全保障を脅かしているわけではない。中国の軍事的台頭によって、切実に脅かされているのは、むしろ、日本である。そういう意味でも、日本はアメリカに気を使って核兵器禁止条約に反対しているわけではない。自国の安全保障上の深刻なリスクを回避するために、アメリカとの同盟関係を強化する一環として、反対しているのである。
☆2017年9月、しんぶん赤旗「軍事費 過去最大 5.25兆円 前年度比2.5%増!」
☆2018年9月、しんぶん赤旗「軍事費 過去最大 5.3兆円 前年度比2.1%増!」
なぜ、周辺諸国との比較で考えない?
なぜ、国際政治の現実を見ようとしない?
なぜ、人権や理念が通用しない無法の世界に生きながら、勝手に隣人愛を盲信し、「核抑止力」を安易に否定できるのか?