北朝鮮という国家は、いずれ滅びるのではないか。しかも、その時は、ある日、突然にやってくるかもしれない。それこそ、急転直下の勢いで、大変動が起こり、跡形もなく滅び去る。例えれば、地獄の釜が開くがごとく。そう感じるのだ。
では、私がなぜそう考えるのか、なぜ北朝鮮は確実に滅びると断言できるのか、その説明を以下に述べる。


1994〜1998年頃、北朝鮮は深刻な飢餓に苦しんだ。
まず、金日成の死去(1994)に伴う墓建設や国葬資金の浪費、および金正日体制への移行に伴う祝宴の浪費によって、国庫が枯渇した。1995年には、配給特権を持つ党幹部や軍を除いて、庶民への食糧の配給がほぼ完全に途絶え、建国以来の配給制度は崩壊した。
それに1995年の大洪水の被害が重なり、北朝鮮全土で大飢饉となった。1998年までの4年間で、推定100〜300万人の餓死者が出たと言われる。この数は、当時の北朝鮮の総人口2400万人の5〜12%に及ぶ。10人に1人が餓死した可能性があるということだ。
この時期、北朝鮮国内では、餓死者の死体の肉を食べる人肉事件が頻発した。「食べる為に殺す」ということも、よくあった。「天保の大飢饉」並みの地獄絵図である。それでも、体制が崩壊しないのが、「世界最凶の独裁国家ランキング」上位常連国である北朝鮮のすごいところだ。
北朝鮮の人々は、この当時の飢餓を「愚か者の粛清」と呼ぶ。「他人を親切に気遣う同情心の深い〝愚かな弱者〟は、皆死に絶え、後に残ったのは、他人を決して信じず、自分だけを信じて、裏切り、掠奪、殺人、どんな手段を使っても、利己的に生き残ることのできる〝利口な強者〟だけだ」と言うのだ。北朝鮮では、特に農村地帯では、それ以外に生き延びる術がない。脱北した元北朝鮮兵士が述べているように、「北朝鮮では、金か権力がなければ、どぶ川にはまって死ぬしかない」のだ。
事実、この大飢餓の時期(1995〜1998)、国連は、WFPの歴史始まって以来の大規模な食糧支援を行なっていた。その総量は、北朝鮮の全人民を生かすのに充分な量であった。しかし、その食糧は、飢えている人民には、まったく届いていなかった。その理由は、現在に至るも解明されていない。しかし、考えられる唯一の理由は、軍や政府機関による食糧の横領と横流しである。「苦難の行軍」などと、捏造史に基づく程の良いファンタジーで、ごまかして済む問題ではない。
政府は国民を養わない。だから、自分を養うことのできる強者だけが生き残る。そして、自分を養うために必要なものは権力だ。権力のない者は虫ケラ同然である。同情とか正義とか慈悲とか、ここではなんの役にも立たない。それが、北朝鮮では当たり前のことだ。
警官も軍隊も、一般の市民や農民に対して、日常的に虐待し、略奪や性的暴行を加えていながら、何の処罰も追及も受けることはない。特別な身分を持たない一般の女性は、全員、警官や監視員や兵士の〝おもちゃ〟であり〝性奴隷〟なのだ。
北朝鮮は、まさに、〝万人の万人に対する闘争状態〟が、地上に現出しているバトルロワイヤル国家なのである。
そのような国に対して、国際社会が「体制保障を約す取引を行う」のが正しいとは、とても思えない。恐怖の独裁国家の体制維持に力を貸すことになるからだ。そうした間違った決断のツケは、将来、必ず我々が払わされることになるだろう。

その後も、2010年代に至るまで、北朝鮮では、飢餓が原因で起こる人肉喰い事件が、たびたび報告されている。
飢餓の最大の原因は、軍及び政府による農村地帯での食糧の強奪に近い搾取である。庶民への配給がなく、軍への配給すら乏しいのだから、少しでも権力のある者は、自分が生き残るため、弱者から勝手に食糧を奪うのだ。「弱い者がさらに弱い者を餌食にする」という構造だ。
そもそも、北朝鮮では、軍自体が強者ではないのだ。北朝鮮の軍人は、総兵力120万人、現在の人口2200万人のおよそ5%を占める。このうち、末端の兵士たちの多くが、実は物資の慢性的な不足から飢餓に苦しんでいる。幹部による物資の横流しが甚だしいため、本来なら十分なはずの食糧が、末端の兵士に行き渡らない。それで、兵士たちは、生き延びるために、農民から食糧を根こそぎ強奪・略奪する。そして、一般人を気分で虐待し、気分でレイプする。軍隊内でも、女性兵士が上官や同僚兵士に性的な奉仕をするのは当たり前という感覚である。これが、弱い者がさらに弱い者から奪う北朝鮮社会の現実だ。
一部で言われるような「資本主義化が進んで貧富の格差が増大したことが飢餓の原因だ」とか、そういう問題ではまったくない。何らかの現金収入のアテがある都市部を除いて、農村は完全な自給自足である。そこに権力による搾取や強奪や不正が横行している。そもそも、人間性の喪失した社会に、健全な資本主義が成り立つわけがないのだ。
北朝鮮で起こっているのは、むしろ「人間性を喪失した剥き出しの権力による凶暴な支配の連鎖によって生じた弱者の犠牲」という問題である。例えてみれば、ちょうど、ゴールディングのアンチユートピア小説「蝿の王」の悪魔的世界に近い。
具体的には、北朝鮮の最大の社会問題は、食糧を断つことによって、人民を慢性的な飢餓状態におき、意図的に自国民の人間性を徹底的に破壊して、餌にだけ反応する動物に作り変えるという、絶対的支配の凶悪な手法によって生じている。
カンボジアでポルポトが、同じ手法を用いて数年間で行った自民族破壊を、北朝鮮では金王朝が、20数年かけて、緩慢な形でじっくりと行なっているのだ。
そういう絶望的状態にあって、家族の誰かが自殺したら、見せしめのために家族全員が惨たらしく殺される。だから、自殺はできない。アフリカですら、人口爆発しているご時世に、北朝鮮だけは人口が減っているのだから、当局が、自殺を国家に対する大罪としているのも当然だ。だが、それでも人口の減少は止まらない。
多くの脱北者が、「北朝鮮に援助をしてはならない」と、国際社会に訴え続けているのは、その極限状況を身を以て知っているからだろう。「『地上の地獄』を生み出した金王朝の体制維持に力を貸すことは間違っている」「朝鮮民主主義人民共和国が地上からなくなることが、世界平和に繋がる」と、彼らは主張し続けている。
しかも、これまで、日本からは、朝鮮総連、統一教会、パチンコ業界などを通して、多くの資金が北朝鮮に流れてきた。それを見過ごすことによって、結果的に、日本人は、この魔界の維持に、力を貸し続けてきたのである。

さて、現在の飢餓状況だが、上記の軍や政府役人による転用、横領、横流し分も加えて、食糧の徴発量が、あまりに多過ぎるので、干ばつのたびに、農村地帯では、お金を使い果たし食糧を食べ尽くした「絶糧世帯」が増加し、春から秋にかけて餓死の危機に直面する。
農村の女性は、トウモロコシ1kg(2元/30円程度)で、誰にでも身を売るという。地方都市では、米9kg買える現金30元(450円)で身を売る女性たちがいる。10代の若い女性の場合は100元(1500円/米30kg)を取る人もいる。売春は、もっとも確実な現金収入の手段として、北朝鮮の女性の間に定着しているが、明らかに都市部と農村では相場が違う。北朝鮮の農民は、現在に至るも、江戸時代の水呑百姓以下の動物のような生活を強いられているのである。
2012年には、金正恩の政権就任を祝って、数ヶ月間飲めや歌えの「どんちゃん騒ぎ」に興じるために、軍や共同農場幹部が、農民から大規模に食糧を挑発した。それによって、農村部では数万人単位の餓死者が発生し、飢えた人々が家族の死骸を貪る人肉食も頻発した。
2015年にも、軍と党が「軍兵糧米」「首都特別配給米」として、農民の蓄えのほとんどを徴収してしまったために、農村地帯は深刻な食糧不足に陥った。野山の生きとし生けるもの、食べられるものすべてを、飢えた人々が食べ尽くしてしまった。そのため、越冬のためにシベリアから朝鮮半島に南下してきたタンチョウヅルさえも、北朝鮮では食べ物が見つけられなかった。飢えたタンチョウヅルは、エサを求めて〝脱北〟し、南の韓国に渡ってきたほどであった。
その後も、度重なる異常気象による水害や熱波や干害によって農作物は大ダメージを受けることが重なったこともあり、農村部での飢餓状態は、2016、17年と、年々悪化している。飢餓状態が悪化すれば、治安も悪化し、軍や官憲の横暴も甚だしいものとなる。
また、北朝鮮が異常気象や災害に弱いのは、河川の護岸や防水対策、農業用水路の整備など、防災対策やインフラが無きに等しいと言っていいほど、放置されているためだ。日本や韓国なら、たいした災害にならない程度の気象変化でも、北朝鮮では致命的なものとなる。
その過酷な状況は、今年(2018)も変わらない。それどころか、「今年は、未曾有の熱波による猛暑と日照りのダメージと、その後の大雨による大洪水で、大飢饉の兆しがある」とさえ言われる。国連の世界食糧計画は、今年9月、「北朝鮮では人口の40%が慢性的な栄養失調の状態にある」と発表した。

しかしながら、北朝鮮の飢餓は、根本的に天災ではなく、明らかに人災である。
2017年10月ごろからは、人民への拷問や公開処刑を担当する軍(保衛部)の配給も完全に途絶え、それによって保衛員(憲兵)や保安員(警察官)の横暴・収奪・略奪が、地方では酷くなってきている。貧しい農民たちのなけなしの食糧を、兵士たちが銃で脅して根こそぎ奪っていく。こうして各地に人為的な飢餓が発生する。
しかも、このような飢餓状況を、金王朝は、人民支配の手法として、意図的に利用してきたフシがある。特に、北朝鮮内に6カ所が確認されている政治犯強制収容所(管理所)では、飢餓が再教育(?)の手段として実に有効に機能している。
体制に反発したり、抵抗したり、カケラでも不満を漏らした者は、家族ごと収容所に送られて、度重なる虐待と飢えによって、大人も子供も人格を完膚なきまでに破壊されてしまう。オーウェルのアンチ・ユートピア小説「1984年」の世界で行われる洗脳よりも、よほど効果的である。
もっとも、いったん「管理所」に送られて、戻ってきた者は、ほとんどいないので、最終的には、政治犯の家族ほぼ全員が、餓死か拷問死しているのかもしれない。確認するすべはない。見積もりでは、管理所では、毎年何万人もの収容者が死亡しているという。
また、現在の北朝鮮の強制収容者数は、総数にして10〜50万人に及ぶという。下手をすると、実に総人口の2%、50人に1人の割合とも考えられる。
政治犯だけでなく、密輸や越境や韓国ドラマを見た人などを収容する一般の「教化所」でも、一年で収容者の半数は、栄養失調と衛生不良からバタバタと死んでいく。
また、見せしめのために、小学生、中高生を含む1000人以上もの一般の人々の前で、公開処刑されることも多い。脱北者から確認されているだけで、323件の公開処刑が行われている。ハリウッド映画を観たために、子供の目の前で公開処刑された母親もいる。
教化所の収容数だけでも、10万人前後と言われ、上記のような飢えや疫病や自殺による犠牲者の総数は、毎年数万人に及ぶ。そして、囚人が死ぬと、また集めてきて補充されるのである。
北朝鮮北部の全巨里(チョンゴリ)教化所では、中国から強制送還された脱北者の若い女性が、教化所の過酷な環境で栄養失調になったのを、食堂勤務にして食べ物の匂いを嗅がせながら、一食も与えずに餓死させた。飢えている人間に、匂いだけががせて、苦しめながら餓死させたのである。これも、意図的にサディスティックな快楽を追求した究極の拷問である。こうして〝教化〟した上で殺すのだ。
だから、「北朝鮮では、金正恩時代になって、非常に豊かになり、飢餓の恐れがなくなった」という北朝鮮政府のプロパガンダは、もちろん真っ赤な嘘である。金正恩の宣伝工作の片棒を担ぐような「明るく豊かな北朝鮮」を宣伝する報道もあるが、実際には、特別配給もあって、物資が豊富なのは、主要都市部(首都平壌とその近郊のみ)在住の、ほんの一部の特権階級の人々だけに過ぎない。
地方に行けば、都市部であっても、一般市民への食糧配給はないし、警察、軍、政府機関を除いて、電気の供給すら乏しい。鉱山なども、経済制裁によって、操業中止に追い込まれ、労働者たちも路頭に迷っている。
通常は、1日に30分程度供給されるはずの電気が、何ヶ月も、まったく配電されなくなっている「絶電地帯」も多い。北朝鮮の発電の6割は水力なので、干ばつになると水不足で電気が供給できなくなるのだ。国連の報告によると、2009年の時点で、北朝鮮の全家庭の26%でしか、電気は使用されていない。人工衛星から撮影された夜間の地上の写真で、中国と韓国に挟まれた土地が、ブラックホールのような巨大な暗闇として写っているのはそのためだ。
また、多少余裕のある家庭で、ソーラーパネルを何枚か設置したとしても、せいぜい照明器具やテレビや扇風機を稼働させるのが関の山で、猛暑の中と言えども、自家用ディーゼル発電機の豊富な電力で、エアコンなどの高級家電を使えるのは、平壌の特権層だけである。

金正恩時代になって、毎年のように脱北者の数が減っている(*)が、それは飢餓が起こっていないためではない。金正恩の命で、国境警備が強化され、軍は、脱北者を発見次第、容赦なく殺すようにしているためだ。
また、中国で捕まって強制送還された脱北者は、公開処刑か教化所送りという極刑が待っている。結局は、そこで、拷問死したり、餓死したりしているのだ。脱北も命がけなのである。
余談だが、脱北を手引きする朝鮮人業者を頼って、中国東北部に渡った多くの若い女性のほとんどは、同胞の朝鮮人人身売買業者によって、中国人に売られ、筆舌に尽くしがたい辛い体験をしている。地獄の体験を潜り抜けて韓国にたどり着けたのは、そのほんの一部の幸運な少数者に過ぎない。
中国では、主に10代後半から20代前半の脱北女性(女子高生、女子大生の年代)たちが、人身売買の餌食となっている。「中国に稼げるいい仕事がある」と騙されて北朝鮮から連れ出され、中国当局に訴えることができないのをいいことに、脱北を手引きした朝鮮人ブローカー(人身売買業者)の手で、2018年現在、1人当たり30万〜50万円の相場で、中国人に売り飛ばされているのである。
ところが、1990年代半ばから、もう25年も続いている、この朝鮮人少女たちの人身売買の蔓延(おそらく経験者を含めれば10万人以上はいるとされる)の実態を知りながら、韓国では〝性奴隷〟として脱北女性の人権を蹂躙し続けている中国や北朝鮮を非難する記事が掲載されることはない。ハンギョレなどの「従北」左派新聞は、完全に無視である。
また、文在寅政権は、朴槿恵政権が行なっていた脱北者による人権団体への資金援助を停止している。そのため、北朝鮮の人権問題を糾弾する市民団体のほとんどは、活動資金をアメリカなど海外に頼っている。
文在寅政権は、今現在、苦しんでいる人たちを救おうと活動する反北朝鮮の人権団体を冷遇する一方で、盛んに挺対協や民族問題研究所などの反日団体を援助している。それらの反日団体は、75年前の日本軍の半島アウシュビッツ化という偽史を捏造し、その嘘を世界に広めるために、韓国各地に、さらには世界中に、際限なく慰安婦像や徴用工像を建設し続けている。
実に、矛盾に満ちた行動である。

それにしても、北朝鮮の農村の穀倉地帯における食糧不足は本格的に深刻な状況だ。軍や役人による収奪は、収穫に限らず、海外からの援助物資にも及ぶ。援助食糧は、まず軍隊や政府機関に入り、残りも転用、横流しされ、一部の政府関係者が私腹を肥やす役に立つだけで、農村の貧困地帯には、まったく行き渡らない。都市部では、食糧が溢れている一方で、農村では、ほんのおこぼれが、微々たる量、まわってくるだけである。
それでも、経済制裁の最中、国際援助団体による人道支援の食糧供給は、絶えることなく続けられている。それによって、かろうじて、餓死が防がれている。しかし、最近の異常気象のせいで、大洪水(2011・2016・2018)や干ばつ(2014・2015・2017・2018)が起こるたびに、翌年には収入のない貧困層の餓死者が、各地で大量に出ている。
しかも、本来なら、飢えた人々の元に届くはずの国際援助物資の食糧は、実際には、ほとんど貧しい人々のところには届いていないのだから、こうした国際食糧援助は、結果的に、北朝鮮の権力者や都市住民や富裕層だけを、さらに富ませて、その権力を盤石にする役に立っているだけだ。見方を変えれば、国連などによる国際的人道支援が、恐るべき独裁体制の維持への支援となっている、とも言える。
この状況は、1990年代半ばから20年以上、ほとんど変わらない。そもそも、1990年代半ばの破滅的飢餓が収拾したのも、韓国の金大中・盧武鉉政権下で行われた総額数千億円とも言われる「太陽政策(1998〜2008)」のお陰だった。しかし、この資金や援助米は、実際には、北朝鮮の急速な核武装を実現させただけだった。この金大中大統領の〝太陽(援助)〟は、貧しく善良な旅人にではなく、感謝などするはずもない邪悪な盗っ人に対して、愚かにも豊かな恵み(大量の資金と食糧)を与えていたのである。
北朝鮮のやり口は、言わば、「自国民を人質にとって自ら虐待しながら、哀れを装って世界中から大金を騙し取り、その金を使って凶器(核兵器)を手に入れ、今度は周辺諸国をも激しく脅し始める」という具合である。いつまで、こんな理不尽なことが続くのだろうか。

私としては、「海外からの食糧援助がなければ、国民を飢餓地獄から救えない物乞い国家が、核兵器を持ってどうするんだ?」と、思わず毒吐きたくなる。
本来なら、飢餓に苦しむ国民を救うはずの国際援助資金で、ICBM(大陸間弾道ミサイル)が開発される。そして、このICBMが、さらなるユスリ・タカリの道具となっているのだ。
こんな極悪極まる「ならず者国家」に、日本は一銭たりとも、経済協力金など払ってはならない。
歴史上、このような非人間的な悪魔的支配が長く続いたためしはない。惨たらしく虐げられ、虫けらのように死んでいった者たちの怨念を、なめてはならない。早晩、北朝鮮(金王朝)は必ず滅びる。そう、私は確信している。
しかし、それにしても、北朝鮮に関する上記したようなアンチユートピア的現実は、海外の人々の無関心のせいか、国際社会には、なかなか確かな情報として、知られることが少ない。
北朝鮮内での情報の遮断が酷いせいもある。例えば、北朝鮮は、許可なく国際電話をかけたことが理由で処刑される唯一の国である。
その一方で、世界のリベラルなメディアが、北朝鮮の現実を、広く報じようとしてこなかったのも確かだ。何かと北朝鮮に有利な皮相的情報ばかりを流したがるメディアも多い。「北朝鮮の首都平壌は、こんなに発展していて豊かで自由です!」的な。これも、北朝鮮の同盟国である中国の陰の影響力であろうか。
しかし、安泰のはずの都市部の富裕層にも、実は破滅の魔手は忍び寄っている。それは、覚醒剤の蔓延だ。
覚醒剤(ヒロポン)は、北朝鮮では、1g(10回分)50〜100元(750〜1500円)程度で気軽に手に入れることができる。覚醒剤は、市場に大量に出回り、末端価格があまりにも安いため、もっとも簡単に手に入る、強力な常習性を伴う娯楽である。そして、家族のために50〜100元で身を売る若い売春婦たちによって、赤の他人に身を任せる羞恥の感覚を麻痺させるために常用されている。それどころか、恋人同士が性的な快楽を強めるために常用するなど、現在、覚醒剤中毒は、一般の富裕層は元より、党の幹部にまで広まっている。
飢餓・性病と並んで覚醒剤が、国の内部を食い荒らしているのである。これも、虫けら同然にいじめ殺された人々の怨念の報いであろう。
さらに、社会的にもっとも安泰であるはずの党の上級幹部たちが、実はもっとも危険な位置にいるのである。金正恩自身の命令で処刑された最高幹部は、叔父の張成沢含めて、すでに数十人に及ぶ。毎年、10名近くの側近が、コンスタントに処刑されているのだ。その他にも、幹部同士の権力闘争によって、事故死というかたちで暗殺された者も数多い。この国では、上から下まで、本当に命が軽い。
娯楽と言えば、北朝鮮の秘密警察は、韓国のドラマや映画を保存したメモリーチップを持っていた女子高生や女子大生の部屋を家宅捜査し、公開裁判にかけたり、取り調べ中に自殺に追い込んだりしている。2013年には、80人の韓国ドラマ視聴者が、一気に処刑され、その家族が教化所に送られたこともある。そして、管理所ほどではないが、教化所から帰ってくる人もまた少ない。女子大生が教化所送りを恐れ、自殺したのも無理はない。
そして、私たちが心に留めておかなければならない最も重要なことがある。自分の心に正直に問いかけてみて欲しい。「もし、あなたが、現在、北朝鮮国民であったとしたなら、この国の崩壊と滅亡を心の底から願わずにいられるだろうか?」


答えは、自ずと明らかだろう。「北朝鮮は必ず滅びる」という私の確信の理由が納得して頂けただろうか。


蛇足だが、不思議なのは、70年以上前の太平洋戦争の時期の徴用工の賠償問題を今だに追及する執念深い韓国国民が、同胞であるはずの北朝鮮人民を、これほどまでに残酷に苦しめ続けている金王朝との友好関係を、嬉々として歓迎していることだ。
さらに、文在寅大統領などは、北の悪魔的国家体制の維持に、自ら進んで力を貸しているほどだ。今回の欧州歴訪での一貫した北朝鮮弁護の姿勢など、その典型だろう。すべての首脳会談で、北への制裁緩和を求めた文氏の姿は、まるで、金正恩の特使か代弁者のようであった。
また、旧日本軍の慰安婦問題に関しては、元慰安婦の証言など大々的に報道し、異常なまでにしつこい韓国マスコミが、今現在北朝鮮で常態化している性的虐待については、脱北者たちの生々しい証言を一切記事にせず、完全に無視し続けているのも解せない。韓国民も、ネット上などで一切騒ぐことがない。皆、よっぽど北朝鮮が好きなのだろう。
しかし、これは一体どうしたことだろうか。まるで、ユダヤ人大量虐殺を続けるヒトラーとの友好関係を喜んだ、かつての我が国の愚かな政治家たちのようだ。
韓国が示す、日本に対する態度と北朝鮮に向かう態度は、ダブルスタンダードなどという言葉ではかたずけられないほど、甚だしく異なっている。しかも、韓国民の多くは、実際に日本を訪問して、現実の日本を良く知っているのである。彼らの態度の差は、無知からくるものとは言えないだろう。むしろ、彼ら韓国の人々は、事実を知りながら、敢えて故意に無視しているのである。
「真実であるかどうかはどうでもよく、自分が信じたいものを信じる」ということだろうか。
その結果として、お隣の同胞の地(北朝鮮)の「地上の地獄」を看過し、望めば最大の友好国になるはずの隣国(日本)を、史実を捏造してまでも、いわれのないことで国を挙げて逆恨みし、理不尽で独りよがりな理由から徹底して非難し罵倒し、隣国の嫌韓感情を徒らに助長している。このような見識の無い指導者や司法やメディアや国民が、ついには国を滅ぼすのだ。




*過去10年、韓国にたどり着いた年間脱北者数
●2009年→2914人(脱北者数ピーク/金正恩が後継者に指名される/無理な経済政策で食糧難悪化)
●2010年→2402人(金正恩が後継者としての地位を確立する)
●2011年→2706人(年末に金正日が死去/金正恩が「最高指導者」「将軍」となる/大雨と大規模な洪水/軍による穀物の収奪)
●2012年→1502人(地方軍(保衛部)でも一時的に配給が途断える/各地で飢餓地獄/北朝鮮社会の市場経済化を容認/人肉の密売流通)
●2013年→1514人(政府および軍上層部の粛清が続く/叔父の張成沢処刑)
●2014年→1397人(政府および軍上層部の粛清がさらに続く/10年に一度の干ばつ)
●2015年→1276人(引き続き、処刑・粛清が続き、恐怖政治が終わらない/文鮮明の三回忌に弔電/100年に一度の干ばつ)
●2016年→1418人(引き続き、処刑・粛清が続き、恐怖政治が終わらない/建国以来最悪の洪水)
●2017年→1127人(異母兄の金正男をマレーシアで暗殺/2001年以来、最悪の干ばつ/年末から各地の軍(保衛部)で配給が完全に途絶え、兵士による略奪が頻発する)
●2018年→1042人(未曾有の熱波と、その後の大規模な洪水によって、記録的な大飢饉の兆し/脱北者の取り締まり強化→脱北者は政治犯として管理所送りとすると金委員長が指示/農作物の収穫高が過去10年間で最低レベル)
●2019年→(1〜5月まで、過去37年間で最悪の干ばつが続く)

沖縄では、2011年12月の金正恩の最高指導者就任以来、翌2012年1月8日から毎年、金正恩の誕生日を祝う生誕祭と北朝鮮の主体(チュチェ)思想の勉強会が、那覇市で開かれている。
ちなみに、2012年の生誕祭は、前年末の最高司令官就任を祝う祝賀会を兼ねたもので、沖縄県立博物館・美術館で、総勢120名の各界名士が集まり盛大に行われた。会の冒頭では、金正日の急逝に哀悼の意を表し、参加者全員で黙祷が行われた。
参加者の多くは、現在でも『北朝鮮は〝地上の楽園〟』と信じている。そして、「チュチェ思想は、アメリカと戦う同志らによってつくられた優れた思想である」と狂信している。さらに、北朝鮮の金王朝を、優れた国家体制と無批判に礼賛している。
ところで、主体思想とは、大まかに言えば次のような思想である。
国家を人間の身体に例えれば、「将軍さま(金正恩)」は頭であり、人民は四肢である。頭は手足に命令し、手足は何も考えず頭の命令に従う。これが自然である。頭が考え、手足は従うだけである。間違っても、手足の方が頭に意見したりはしないのである。
一方で、手足は頭に食物を運び、頭の状態に気を配るが、手足は頭に食べさせてもらったりはしない。むしろ、勝手に自給自足の状態にあるのが自然である。頭に食べさせるのは手足の務めだが、手足に食べさせるのは頭の務めではない。頭がなくなっては生きていけないが、手足がなくなっても生きてはいけるのだから。
まさに、現在の北朝鮮社会を形づくった思想そのものと言えそうだが、このような主体思想に惹かれる気持ちが、私はまったく理解できない。
今回、知事選において、玉城デニー氏を支援して共闘した「琉球の風」の糸数慶子氏の盟友らなど多数が、この生誕祭に参加している。過去においては、元民主党参議院議員だった喜納昌吉氏も参加していた。さらに、社民党参議院議員だった山内徳信氏、狩俣信子氏らも常連である。
昨年、2017年度の1月8日の生誕祭は、金正恩の最高司令官就任5周年を祝って、「チュチェ思想新春セミナー」と銘打って開催された。その会議の場では、沖縄平和運動センター事務局長から、辺野古や高江の基地反対闘争の現地報告なども行われている。
もちろん、今年の1月8日にも、金正恩生誕祭は、沖縄で堂々と行われている。「アメリカと闘う金正恩は、私たちの同志だ!」という強い連帯意識を感じる。
彼らの感覚では、アメリカの基地は悪い基地で、北朝鮮の核は良い核兵器ということになるようだ。


🌟2019年5月3日、国連のWFP(世界食糧計画)は、北朝鮮の2018年の農業生産が、猛暑と洪水の影響から過去10年で最低となり、数百万人に飢餓が迫っていると報告した。すでに、人口の40%にあたる1010万人が食糧不足に陥っているという。
WFPは、さらなる国際支援が必要だと言うが、しかし、上記したように、実際には、この飢餓は、明らかに北朝鮮の権力構造が生み出す人災である。
高額なミサイルを発射する余裕があるなら、その資金を、日照りや洪水対策の灌漑事業に投入すれば、絶対にこんなことにはならない。
また、国際援助物資の上層部による中抜きと横流しが横行しなければ、今でも本当は、国民全員に充分に食糧は行き渡るはずである。それだけの国際援助が、北朝鮮に対して、毎年、行われてきた。それでも、食糧が末端まで行き渡らないのは、援助の量が足りないからではないのだ。
すべては、北朝鮮の国内問題であり、金正恩による独裁のせいである。
そもそも、20〜50万人が収容されていると言われる強制収容所では、常時、飢餓が拷問と調教の手段として常態化している。
これら収容所の餓死者十数万人(管理所10数万人/教化所3万人程度)に、農村地帯の餓死者を加えると、北朝鮮では毎年、必ず最低でも十数万〜数十万人単位の餓死者が出ていると考えられる。一般収容所に当たる教化所では餓死者は3割に過ぎないが、政治犯収容所である管理所に送られて帰ってこれた者はいない。20万人の収容者のほぼ半数が、一年で餓死すると言われる。だから、合計で十数万人の餓死者がコンスタントにでている計算になる。
それが、今年は末端の農民や労働者にも飢餓が広がり、餓死者が数百万単位の人数にのぼるかもしれないというだけのことだ。
しかし、この地上の地獄を持続維持させているのは、皮肉なことに、国際的な人道支援の資金なのである。
特に、日本のパチンコ業界や統一教会や在日朝鮮人家族が、祖国北朝鮮に送金する資金は、非常に大きなウェートを占める。それに、韓国政府による援助も大きいし、国連の食糧援助も重要な資金源となっている。


これまで見てきたように、北朝鮮は、遠からず必ず滅びる運命にある国であることは明らかだ。だが、この「地上の地獄」の延命に力を貸している愚かな者たちが、今も世界中にいる。彼らは、自らの運命を北朝鮮と一蓮托生にするべく、日夜努力しているようなものだ。何という愚劣極まる行為だろうか。