2016年12月19日、及び、2018年7月7日、中国のネット・メディアでは、「近年、中国の軍事力は、日本を凌駕しており、圧倒的なのに、なぜ日本は中国を恐れないのか?」という至極当然の疑問について、繰り返し考察しています。
中国メディアは、まず「中国の軍事力は、経済力の成長にともなって、ますます強大なものになっており、軍事力の規模も総合評価も、米ロに次いで世界3位であり、世界8位の日本に対して、完全に圧倒している」と主張します。「それにもかかわらず、空母も核兵器も原子力潜水艦も持たない日本が、一切軍事力増強に動かないし、まったく中国を脅威に感じていないように見えるのはなぜだろうか?」と疑問を投げかけているのです。
諸外国から見れば、当然の疑問であり、まして、当事国の中国としては、実に不思議に感じているであろうことは、想像に難くありません。「経済力ではGDPが自国の2倍以上あり、軍事力でもはるかに強力な隣国を、日本人が恐れない理由がまったくわからない」と中国人が感じるのは、国際的常識に照らし合わせて、至極当然です。
また、2016年と2018年とでは、中国側が日本の慌てない様子に戸惑う理由も、若干異なってきています。
中国の軍事費の増加率は2017年度が前年度比7.0%増、2018年度は8.1%増で、2018年度の予算総額は18兆4000億円(世界2位)です。また、2017年度の推定実質軍事費は約25兆円(世界2位)でした。つまり、実際に執行された軍事費は予算を上回る傾向が強いということです。
対する日本の防衛費は、2018年度で前年度比1.3%増の総額5兆1911億円(世界4位)となっています。また、2017年度の執行軍事費は予算通りの約5億円(世界8位)でした。日本の防衛費は、公表されている数値の比較でも、中国の軍事費の1/3程度に抑えられているわけです。
さらに、中国政府の公式発表は、通常、上記したように、実際の金額よりかなり低めであることと、人件費の低さを考えると、中国の実質的な軍事費は、日本の6倍以上(ストックホルム国際平和研究所の見解)であろうと考えられています。
また、対GDP比では、中国は公式発表でも1.9%、日本は1%で、明らかに中国の方が、軍事費に予算を投入していて、その差は急速に開きつつあります。その数値を比べてみると、ここ二十数年の中国の軍事大国化傾向は圧倒的であり、日本の比ではないのです。
ちなみに韓国の軍事費は、対GDP比で2.6%と日本の2.5倍、2018年度の軍事費は、前年度比7%増で、総額は日本に近い4兆4500億円(世界9位))です。人件費が日本の30%減であることを考慮すれば、韓国の軍事費もまた、すでに日本の防衛費を凌駕していると言って良いでしょう。
また、アメリカの軍事力評価機関によれば、2018年度の韓国の総合軍事力ランキングは、すでに日本(8位)を超えて、世界7位にランクされています。さらに韓国は、世界第4位の兵器輸入国でもあります。
一方で日本は、総兵力でも対GDP比の軍事費でも、主要国中で最低の水準であり、お世辞にも軍事に力を入れているとは言い難い状況です。(ちなみに、軍事費の対GDP比世界一は北朝鮮の23.8%です。)
つまり、東アジアにおいて軍拡を繰り広げているのは、中国・北朝鮮・韓国の三国であって、断じて日本ではないということです。
現在、2018年の現時点では、2年前と比べても、日中の国力差と軍事力差は、客観的数値として、誰の目にもはっきり大きくなっており、「これだけ軍事的に圧倒的な差を見せつけているのに」という理由から、いっこうに中国に脅威(軍事的威圧)を感じる様子のない日本への中国人の疑問は、ますます深まっているようです。


中国メディアは、日本がまったく慌てない理由として、第一に、日本は、世界最強の軍事力を有するアメリカとの軍事同盟によって、国土防衛において、米軍の後ろ盾を期待できることを挙げています。そして、その気になれば、アメリカの軍事技術の援助によって、いつでも容易に最先端の軍事力を保有できる、と指摘しているのです。
ちなみに、アメリカの軍事費は、70兆3010億円(2018年度)で、2位の中国に3倍近い差をつけて、不動の1位です。そして、日本は、国内に世界最大の米軍基地を有し、アメリカにとって、もっとも重要な同盟国の一つとなっています。したがって、日本にアメリカの後ろ盾がある限り、中国が日本に対して、軍事的侵攻を企てる可能性は極めて低いということです。
また、今日のグローバル化した世界の状況では、一般に大国同士の全面戦争は考えにくい上に、激しい局地戦すら起こりにくいのです。加えて、中国は国連の常任理事国という立場上、侵略戦争を起こしにくいだろう、と日本は考えているようだ、と記事は説明しています。
以上の理由から、日本は、軍事費を極端に増やし続ける中国をまったく恐れず、国防の必要性さえも一切感じていないようだ、と結論づけています。
しかしながら、上記の理由だけでは「常日頃、我が国が戦略的に仮想敵国扱いしている日本が、なぜ我が国を恐れないのか?」という疑問に対する回答としては、中国人としては、なかなか納得しにくい話でしょう。というのも、中国と韓国は、共に日本を第一の仮想敵国と定めて、国民的なコンセンサスを得て、軍事力拡張の根拠としてきたからです。そういう意味では、日本が戦争好きの軍国主義国家でないと、彼らにとっては少々都合が悪いのです。彼らの軍拡の理由がなくなってしまうからです。
そこで、中韓のメディアは、何とかして、日本が油断のならない凶悪軍事国家である証拠をつかもうと必死になるのですが、それがなかなか難しいようです。なぜか、日本は、彼ら中韓のように軍拡に邁進しようとしないからです。
「日米同盟があるから」と理由づけしてみても、それを言うなら、韓米同盟だってあります。そもそも、日本とアメリカの軍事同盟が、未来永劫、永遠不変という保障はありません。自国の国防を同盟国に完全に依存するのが、大きなリスクであることは間違いないのです。
多少とも国際的な現実感覚を持っている人であれば、「もし、自分が、日本の立場なら、日米同盟が揺らぎ、その隙に、中国が軍事的な威嚇行動(脅し・威圧)に出る恐れを払拭できない」と考えるであろうことは、誰にとっても明白です。そして、そのことがわからないのは、皮肉なことに〝平和ボケ〟した能天気すぎる日本国民だけなのです。
現に、お隣の韓国は、米韓同盟があろうが、御構いなしに、GDPの2.6%に当たる予算を軍事費にぶち込んで、軍事力増強に邁進しています。ただし、韓国の軍拡のモチベーションは、国民的コンセンサスとしては、北朝鮮よりも、中国よりも、むしろ、日本への警戒心のためである、という点は、笑える部分なのですが。実際、2018年の日韓共同世論調査では、日本を「軍国主義」と考える人の割合は45.1%で、日本を軍事的脅威と感じる人が36.0%もいます。
それはともかく、東アジアの隣国関係というのは、それだけシビアなものである、ということは確かです。むしろ、日本の悠長な態度こそが異常なのです。
「中国の軍事的威圧行動に対して、ここまで日本人が不感症なのはなぜか?」
これは、今日、〝国際的な謎〟となっています。現代版「世界七不思議」の一つと言ってもいいかもしれません。


さて、ここからが、本題です。
中国人ですら納得し難い上記の理由だけで、日本人が満足するわけにはいきません。そこで、「なぜ、日本人は、圧倒的な中国の軍拡を恐れないのか?」を当ブログでも考えてみたいのです。
思うに、やはり、テレビや新聞など主要メディアが、中国の軍拡や国力の増大や覇権主義的対外姿勢について、正確なデータ比較に基づいて、的確に客観的に報道するということが、一切なされていないのが、中国に宥和的な国民世論の形成に、大きく影響しているのではないでしょうか。平たく言えば、宥和的であるというより、単に国民が無知なのです。
インターネットの時代になったとはいえ、まだまだ大マスコミの国民に対する影響力は強いようです。そして、日本人の多くは、いまだに「テレビはウソをつかない」と無邪気に信じ込んでいるのです。主要メディア、特にテレビのニュース番組の報道姿勢が、どれほど激しく偏向しているか、国民の多くは、残念ながら、あまりよくわかっていません。
実際、日本のテレビ局は、本当にやむを得ない場合を除けば、まず絶対に中国の脅威に関して報道しようとはしません。当の中国側メディアが奇異に思うほどに、その姿勢は徹底しているのです。それを奇妙に思わないのは、メディアの情報統制によって、長年、洗脳され、飼いならされている日本国民だけです。
「中国は何ら脅威ではない!」「なぜなら、中国は決して侵略してこないからだ!」と左派マスコミは主張します。けれども、脅威というのは、軍事的な侵攻の可能性だけを意味するわけではありません。軍事力をチラつかせての威嚇や恫喝もまた、当然に軍事的脅威なのです。
繰り返しますが、現在、極東で軍拡競争を繰り広げているのは、中国・ロシア・北朝鮮・韓国であって、日本ではありません。
例えば、2007〜2016年まで10年間の軍事費のトータル伸び率は、中国は118%で世界1位、ロシアは87%で世界2位、韓国は35%で世界4位、日本はわずか2.5%(軍事費上位10カ国中7位)にすぎないのです。10年間で2.5%増ということは、日本の防衛費は、ほぼ横ばいで、ほとんど伸びていないということです。
また、総兵力で言えば、中国は284万人で世界1位、ロシアは149万人で3位、北朝鮮は138万人で4位、韓国は63万人で10位、日本は26万人で26位です。
ところが、日本のマスコミが報道するのは、「安倍政権になって、日本の軍事費は、毎年1%以上増えており、今年の防衛費総額は史上最高の5兆1911億円である」ということだけです。そのような報道に触れていると、誰でも「安倍政権は日本の軍事大国化を目論んでいるのではないか」と不安になってくるでしょう。
しかし、逆に「今年の中国の軍事費が、前年度比8.1%増であり、総額は18兆4000億円(世界第2位/実質軍事費は25兆円)にものぼる」という事実は、日本のマスコミは決して報じません。中国の軍拡には一切興味がないのです。「韓国の軍事費が、前年度比7%増で、実質的には日本の防衛費を凌駕している」ことなども、テレビの地上波では一度も報道したことはありません。
繰り返しますが、在日米軍を除けば、現在の極東の総合的軍事力の順位は、ロシア>中国>韓国>日本の順です。そして、将来的には中国>ロシア>韓国>日本となると考えられます。
不思議なことに、そういう周辺諸国との比較に、まったく注意が向かない人々が、この国の世論をリードしているのです。だから、日本を取り巻く「今、そこにある危機」に国民が気づくこともありません。この状況は、もはや末期的です。例えて言えば、古代ローマに滅ぼされたカルタゴのようなものです。


現実には、メディアの努力の甲斐があってか、日本人の中国に対する好感度は、中国での野蛮な反日デモや尖閣事件、習近平の冷ややかな対日外交などの影響から史上最低だった2014年を境に、徐々に好転してきています。
例えば、毎年12月に発表される日中共同世論調査では、2014年には、日本人の中国に対する印象は「良くない」が93.0%で「良い」が6.8%でした。しかし、昨年2017年の調査では、「良くない」が88.3%で、「良い」が11.5%にまで持ち直してきています。
とは言え、2013〜2017年まで、日本人の対中感情は、概ね「良くない」が90%程度、「良い」が10%程度に固定化していると言うことです。これは、メディアの努力があって、ようやくこの程度なのであって、きちんと正しい情報をメディアが伝えたならば、好感度は限りなくゼロに近づいていたであろうことは、想像できます。
メディアとしては、そうした日本人の中国への好感度の低さが、中国への危機意識に変わることを恐れているようです。
しかし、私は、好感度は高くても良いのですが、危機意識も適切な情報に基づいた適度な高さにあることが望ましいと考えます。現在の日本の危機意識の低さは、むしろ、異常なのです。
中国では、日本への好感度は比較的高い。2017年度で見れば、「良くない」が66.8%で、「良い」が31.5%なので、日本ほど極端ではありません。しかし、日本への危機意識は非常に高く、しかも、それがどうも間違った情報に基づいているように思えるのです。
中国の場合、日本への危機意識の高さが、非現実的で異常なのです。例えば、調査項目の中に「覇権主義」「軍国主義」という言葉があります。この言葉に関連して、日中両国の国民が、相手国のことをどう思っているか、見てみましょう。
2017年の調査で、中国人が日本を「覇権主義」と考える割合は35.9%で、「軍国主義」と考える人の割合は36.0%です。そして、日本を軍事的脅威と考える人の割合は、67.6%にものぼり、アメリカを脅威と考える割合(65.7%)より、若干高いのです。
一方で、日本人が中国を「覇権主義」と考える割合は7.7%で、「軍国主義」と考える割合は19.1%しかいません。そして、中国を軍事的脅威と考える人の割合は45.3%で、北朝鮮を脅威と考える割合(89.2%)の半分にすぎないのです。
このギャップは何なのでしょうか?
一言で言えば、教育やメディアの与える情報の差だと思うのです。一般の日本人は、中国の一帯一路が、どれほど戦略的で侵略的な覇権主義政策であるか、も知りません。けれども、現在、中国は、巧妙にアメとムチを使い分けながら、ミャンマーやスリランカやパキスタンに海軍基地の建設を進めており、南シナ海からインド洋にかけて、海洋覇権を打ち立てようとしています。
インドは、それを警戒して、軍事力増強に努めています。インドの軍事費は、2007〜2016年までの10年間で50%増えており、2018年度の軍事費は、前年度比5.9%増の4兆9000億円です。2018年度の世界の軍事力ランキングでは、インドは中国に次ぐ世界第4位の軍事大国として評価されています。それでも、軍事力世界3位の中国との差は非常に大きいのです。
また、習近平が、台湾の独立派蔡英文政権に対して、どれほど強圧的な包囲戦略をとっているか、そして、台湾の孤立化を図っているか、についても多くの日本人は知りません。
中国の圧力によって、5月1日には中米ドミニカが台湾と断交し、5月24日にはブルキナファソが台湾と断交しました。さらに、中国は、パラグアイとバチカンに台湾と断交するよう強力に働きかけています。
台湾が中国の軍門に降り、香港のように政治的独立を失って、中国に飲み込まれてしまえば、次は沖縄の番です。
沖縄県民は、「オール沖縄」の旗印を掲げて、米軍基地を撤去するよう要求を続けていますが、現実に米軍基地が撤退すれば、フィリピンの二の舞になることは明らかです。たちまち尖閣諸島は中国の実効支配を受けることになるでしょう。
また、ネパールに対する戦略的な支配政策と同様の手法で、中国は、沖縄県内の反米反日親中派メディアや政治家への支援に、本格的なテコ入れを始め、沖縄独立派への大量資金援助などの全面的支援を、大ぴらに行い始めることに間違いありません。すべては、東シナ海を手中に収めるための戦略的布石なのです。
すでに、その頃には、日米同盟は瓦解していて、日本は中国の軍事的威嚇に耐えられなくなっているかもしれません。その場合、日本政府は、沖縄県民の民族自決による中国主導の沖縄独立に同意し、東シナ海の支配権を中国に明け渡す可能性があります。日本国内の朝日・毎日などの左派マス・メディアも、沖縄の独立を民族自決の結果として、諸手を挙げて歓迎し支持するでしょう。悪夢のようなシナリオです。
そのようなことは、おそらく、この先、5年は起こらないでしょう。けれども、この先、10年後にも絶対に起こらないと言えるか、というと、それほど自信を持って言えることではないと思うのです。


かくして、長い目で見れば、中国は、沖縄の経済・政治・外交を支配するようになり、やがて、沖縄は、実質的に中国に併合される日が来るかもしれません。
そうなれば、現在、チベットやウイグルで起こっているように、沖縄にも大量の中国人がやってきて、我が物顔で沖縄の政治・経済を支配するようになるでしょう。やがて、沖縄の公用語は日本語から中国語に取って代わられるかもしれません。
そのすべての変化を、沖縄県民の過半数は、仕方のない自然な時の流れとして受け入れる気がします。この過半数の県民は、現在、中国人観光客や移民によって、沖縄の経済が活性化することの見返りとして、政治的・文化的・思想的独立を喜んで売り渡そうとしている人々です。
その背景には、沖縄県民の歴史的・文化的・伝統的な中国への根深いコンプレックスがあるように思います。沖縄の伝統文化には、縄文由来のものや倭国由来のものと同時に、中国にルーツを持つものも多いのです。例えば、沖縄の代表的な伝統文化の一つとされる琉球空手のルーツは中国拳法であり、それ故に、かつては中国武術の意で「唐手(トゥディー)」と呼ばれていました。それが「唐手(カラテ)」となり、明治期頃から「空手」と呼ばれるようになったのです。
だから、ほとんどの空手の型は、中国拳法の主に南派少林拳の套路(トウロ)にルーツを持つものが多いのだそうです。
那覇のハーリーという爬竜船を使ったボートレースもまた、起源は中国にあります。それで、台湾や中国本土でも、似たような爬竜船を使ったボートレースが行われるのです。
また、首里王府が中国の冊封使を歓迎する出し物として発達した琉球舞踊の組踊も、日本の狂言・能楽の影響と同時に中国舞踊の影響もあります。このように、歴史的に本島中南部の琉球王府に近い人々は、中国の福建省との結びつきが強いのです。従って、中国への親近感も、本土の人々とは比べものにならないほど強い面があるのです。だから、中国の一部となることに対する違和感も、それほど大きくないという人々も、けっこう多いような気がします。
しかし、現実に、中国による実質的な支配が始まって初めて、沖縄県民(琉球国民?)は、日本の一部であった、かつての古き良き時代とのあまりの違いに、自分たちの浅はかな選択を、悔い始めるかもしれませんが、一旦そうなってしまっては、もう後の祭りです。


かつて、北ベトナムの指導者ホーチミンは「たとえアメリカにベトナム全土を焦土化されたとしても、中国に呑み込まれて、未来永劫、中国人の奴隷となって支配されるのに比べれば、はるかにマシであり、アメリカの支配など何ほどのこともない」と述べ、アメリカとのベトナム戦争を戦った直後であったにもかかわらず、果敢に中国の侵略を迎え撃ち、中越戦争を有利に戦って、中国の領土的野望を挫き、中国の周辺衛星国(属国)となることを拒んで、ベトナムの独立を保ちました。
この時の救国の父ホーチミンの切実な危機意識は、残念ながら沖縄県民には、まったく理解できないようです。
これは、地政学的に中国と地続きで隣接している国と、海を隔てている国の感覚の違いでもあります。
また、歴史的に中国に対抗しうる海洋国家である日本やアメリカの勢力圏内にあって、なんら中国を脅威と感じることなく、むしろ、中国からは冊封を通して利益だけを享受してきた記憶に強く影響されて、現代の東アジア情勢を正しく認識できていない、という面もあるように思えます。


さらに、この中国に対する認識の甘さは、沖縄だけでなく、多かれ少なかれ日本人全体に見られる傾向です。
そして、中国の脅威に注意を喚起する人々は、左派リベラルによって、十把一からげにネトウヨのレッテルを貼られ、「教養のない無知で低脳な輩」の一言で片付けられてしまいます。
ということは、私も低脳のネトウヨということになるのでしょう、彼らにとっては。
しかし、私は、右でも左でも、現実を直視した誠実な議論ができる人の味方です。
戦争は恐ろしい。それは、誰にとっても、当然のことです。しかし、前回の記事でも、教育に関して検証したばかりですが、共感の欠如した世界での支配と隷属(*)は、もっと恐ろしいです。それは目に見えないからこそ、いっそう恐ろしいのです。
今日、軍事力は、実際に使うためにあるというよりは、むしろ、恫喝外交とか脅迫外交に用いられます。それは、相手を無理やりでも従わせ、支配するためにあるのであって、軍事的に侵略したり占領したりするためにあるわけではありません。軍事力は「使わずして従わせる」のが、常に最上の策です。
そして、支配されないためには、最低限のパワーバランスを維持する必要があるのは言うまでもありません。現在の日本にとって、その軍事的安全保障の方策としては、日米軍事同盟の堅持と、独自の核技術の維持、そして、憲法前文と9条の撤廃・改正議論、および、自衛隊の軍への昇格の議論の継続と展開です。


*もちろん、これは、いじめ問題にも日大問題にも言えることです。これらを時代錯誤の昭和の問題と勘違いしている人もいますが、実はきわめて現代的な平成の問題なのです。


《参考資料》
●アメリカの軍事力評価機関「グローバル・ファイアー・パワー」による2018年度最新軍事力ランキング
1位アメリカ←核保有
2位ロシア←核保有←徴兵制
3位中国←核保有←徴兵制
4位インド←核保有
5位フランス←核保有
6位イギリス←核保有
7位韓国←徴兵制
8位日本
9位トルコ←徴兵制
10位ドイツ
18位北朝鮮←核保有←徴兵制
24位台湾

●世界の国防費ランキング2018
1位アメリカ70兆3010億円
2位中国18兆4000億円(公式発表)+8.1%
3位イギリス6兆4308億円
4位日本5兆1911億円+1.3%
5位ドイツ5兆589億円
6位インド4兆9303億円+5.9%
7位ロシア4兆9250億円
8位フランス4兆4908億円
9位韓国4兆4500億円+7%
*順位は、データが公表されている国のみに関して並べた暫定的なものです。

●2007〜2016年の10年間での主要国の軍事費の伸び率
1位中国 +118%
2位ロシア +87%
3位インド +50%
4位韓国 +35%
5位ドイツ +6.8%
6位フランス+2.8%
7位日本 +2.5%
8位アメリカ −4.8%
9位イギリス −12%

●主要国の国防費の対GDP比ランキング2017
1位ロシア 4.3%
2位アメリカ3.1%
3位韓国 2.6%
4位インド 2.5%
5位フランス2.3%
6位中国 1.9%
7位イギリス1.7%
8位ドイツ 1.2%
9位日本 0.9%