サンフランシスコについて、いろいろわかったこと、感じたことなどを、三月中旬に記した第二弾です。
3月の中旬になって、急に暖かくなってきました。つい昨日まではコートだったのに、道行く人は、短パンにノースリーブスです。ビーチでは、泳いでいる人までいます。夜でも、寒くありません。いつの間に、春を通り越して、夏が来たんだ、とびっくりします。照りつける日差しは強烈ですが、木陰にはいると、途端に冷んやり涼しくなります。
相変わらず、タクシーの運転手へのインタビューを続けているのですが、これまで20人くらいに訊いてみて、アメリカ生まれの人はたった1人でしたが、その1人も親はフィリピン人と言っていました。つまり、全員が移民か移民の子だった訳です。それから、65歳になって定年を迎えたら、母国に帰って年金生活を楽しみたいという人が多いです。
トルコ人の運転手は、サンフランシスコに来て26年になる、2人の子どもはここで生まれ育った、それでも、毎年夏には必ず家族で2ヶ月間トルコで過ごす、と言っていました。サンフランシスコのタクシー運転手は、かなりのお金持ちです。25年前のトルコを知っているよと言うと、もし、今のトルコが25年前のトルコだったら、タクシーの運転手を辞めてトルコに住んで、もうこっちへは帰ってこないよ、と言っていました。残念ながら、今は、イスタンブールには300万人のシリア人の難民がいる、治安が悪化している、と嘆いていました。
あと、地元の人や旅行者など、数十人に訊いて、同じ答えが返ってくるのは、「トランプはダメだ!」「自分は民主党支持だし、アメリカの西海岸、東海岸はみんなそうだよ」というものです。ともかく、リベラルな人たちが多いです。それにしても、選挙で大統領に当選したはずのトランプの支持者は、一体どこにいるのでしょうか。
ホテルへの宿泊を断られて、追い出されていた白人の若者は、ずっと放浪をしてきたようですが、シカゴに家族がいる、そして、お母さんが心配しているから帰りたいと言っていました。だから、彼の描いた鉛筆画を200ドルで買いました。シカゴ行の列車に乗れる十分なお金です。彼の描いた絵は、クマのプーさんみたいなお母さんが、子どもを布で包んで、愛しげにだいている様子を描いたもので、彼の気持ちが強く伝わってくる作品でした。「絵は嘘をつけない」と思いました。何に悩んで放浪していたのでしょうか。
それから、なぜか、暖かくなると、どこからともなく、白人に混じって、黒人のホームレスが街に大量に湧き出てきました。これまでは、ホームレスと言えば、ほとんど白人しか見かけなかったのですが。
食事についてですが、サンフランシスコに着いて10日も過ぎれば、日本と比べさえしなければ、何とか食べられるものが、幾つか見つかります。
その一つは、フィッシャーマンズワーフに隣接するイタリア人街ノースポイントのピザです。職人さんが練った生地一つ一つを、石焼窯で焼いた本格的なピザで、香ばしくて美味しい庶民の味です。値段も手頃で、日本と変わらない良心的な価格ですから、2人で20ドルもあれば、お腹いっぱい食べられます。オススメは、ハワイアンとマルゲリータです。
それから、Asia Chineseのコンボも安いです。1人8ドルぐらいで、お腹いっぱいになります。ご飯はタイ米でパサパサだし、焼きそばの麺も柔らか過ぎてコシなどかけらもありませんが、それでもサイドメニューのチキンの味付けはなかなかよいし、ともかく、日本人でも食べられないものではありません。オススメは、ワンタン・スープです。あっさりした味で、ホッとします。ただ、続けて通うと、何だか残飯を見ている気がしてきます。
また、バークレーのBARTの駅から地上に上った正面に、Seasons of Japanという和食の食堂があります。ここは、調理スタッフが全員日本人なのです。オススメは、豚骨ベースの味噌ラーメンです。その他にも、焼きそばとかカツ丼とか餃子とか、いろいろ食べられます。ほぼ、日本の味と言っていいと思います。10ドルでお腹いっぱいになります。
あと、バークレーで、初めてマクドナルドに入ってみました。店内の客は、半分がホームレスで、半分が若者でした。暑かったので、アイスコーヒーを注文したのですが、頼みもしないのに、最初からシュガーシロップがたっぷり入っていて、とても飲めないので、もう一度、「ノー・シュガー」と注文しました。すると、頼みもしないのに、バニラエッセンスがたっぷり入っていて、今度もやたらと甘いので、「これはダメ!」と突き返して、「お願いだから、何も入れないで!」と、再度、純粋にアイスコーヒーだけ入れてもらいました。店の子は、とても怪訝そうな顔をしていました。おそらく、甘くないアイスコーヒーを注文した人が、これまで誰もいなかったのでしょう。
コンビニ的な薬局チェーンWalgreenや、スーパーマーケットのSafewayなどには、意外と日本食があります。特に、Safewayの日本食は結構充実していて、日清やマルちゃんのカップラーメンや焼きそば(味と品質はアメリカ風)の他に、日本と同タイプの札幌一番の袋ラーメンの味噌・塩・醤油味まであります。あと、ふりかけとかインスタント味噌汁とかレトルトカレーとか、けっこう揃っています。それに、「おーい、お茶」のペットボトルがあるのが嬉しいです。
デパートのレストランでbestなのは、ユニオン・スクエア近くのbloomingdale'sの4階から隣のドームに入ったところにある、westfieldレストラン街の一角を占める中華レストラン「M.Y.CHINA」です。ともかく味が繊細で美味しく、手抜きをしていない感じが好感が持てます。この味なら、おそらく日本でも、多少価格を下げられれば、一部のメニューはそのまま通用します。
もちろん、この街のレストランとしては値段も手頃で、ベジタリアン・ヌードル・スープとか、焼きそばとか、かなりボリュームのある一品が、15ドルぐらいです。烏龍茶に、それぞれ一品づつ注文して、タックスとチップ合わせて、2人でたったの45ドルです。1人分2500円ぐらいですから、味がまあまあであることと、ヘルシーで安心できることなど考えると、これはサンフランシスコでは、かなりお手頃な金額です。このM.Y.CHINAは、ミシュランで、高品質で安価な美味しい大衆食堂にのみ与えられるビッググルマンというタイトルを獲得しているそうです。
bloomingdale'sは、すぐ近くにある大衆デパートMacy'sと比べて、明らかに富裕層にターゲットを絞っており、比較的高級感のあるイメージです。その分、お客さんもまばらで、静かで落ち着いた雰囲気があります。Macy'sと違って、抜群に綺麗なトイレが各階にあり、休めるソファーも用意されていて、日本並みにとても便利なので安心して歩きまわれます。
こんなに快適なのに、なぜお客さんがMacy'sよりはるかに少ないのか、不思議に感じます。やはり、それだけ、アメリカが格差社会だということなのでしょう。
サンフランシスコの博物館の代表は、ゴールデン・ゲート・パーク内にあるサンフランシスコ科学アカデミーです。入場には、大人は35ドルかかります。人気のある場所ですが、結構な出費ではあります。
館内には、「印象 」で少し記したように、プラネタリウムとアクアリウム(水族館)と熱帯植物園があります。体験型の学習施設として、幼児や小学校低学年の子供たちが、親に連れられて、たくさん来ています。そして、地震の体験をしたり、生きている蛇に触ったり、「海の酸性化を防ぐために、週一回は肉を食べないようにする」と誓わされたりします。
科学アカデミーの中の食堂は、ハッキリ言って、大衆食堂レベルですが、あまり懐が痛まなくて、幼い子どものいる家族連れには、ちょうどいいのでしょう。また、ここのカリフォルニア・ロールは、実は意外にいけます。けれども、ピザは、生地がベタついていて、味もダメです。あと、水は、紙パックのものを置いているのですが、価格が5ドルもしてとても高い上に、パックの臭いが水についてしまうのが問題です。
サンフランシスコの美術館の代表は、中心街ユニオン・スクエアに近いサンフランシスコ現代美術館(SFMOMA)です。ここは、体験型ではないので、あまり、子どもを連れて入れる雰囲気ではありません。入場料は、大人25ドルです。
西海岸で唯一の本格的現代美術館として、2016年にリニューアル・オープンしたばかりです。館内の作りは、白木の床や階段が、明るく柔らかいイメージで、廊下や各部屋に座れる場所が多く、トイレも各階に多く配置されていて、長時間居ても疲れにくく、快適に過ごしやすい建物になっています。展示作品の質は、やはり、ニューヨークのアメリカ現代美術館(MOMA)には、かなり見劣りしますが、展示施設としては、なかなか立派なものだと思います。
ただ、展示の中でも、日本人写真家の写真を特集した特設展示は、内容があまりにも偏っていて酷すぎると感じました。これは個人的な感想ですが、反戦とか反核を訴えるにしても、もう少し品性ある豊かな内容であって欲しいです。
さて、このサンフランシスコ現代美術館の一階には、ミシュランで星三つを獲得したシェフの監修する高級レストラン「In Situ」があります。このレストランに入った時は、まず、スパークリング・ウォーター(炭酸水)ではなく、スティル・ウォーター(真水)を注文すべきです。この店で一番美味しいのは、実は、特別な浄水器を通した、このスティル・ウォーターだからです。甘くて、まろやかで、すっきりした味わいです。
料理は、全般に、まったりとした濃厚な味付けで、ちょっと濃すぎる感じです。濃厚過ぎて少しくどいキノコのリゾットとか、濃厚過ぎるが美味しいチーズケーキとか、濃厚かつスパイシーなワサビロブスターとか、すき焼き風の牛骨付き肉の煮込みとか。いずれにしても、値段は高いですが、1人100〜130ドルもあれば、なかなかキチンとした前菜・主菜・デザートが食べられます。ただし、チップで20%、タックスで5%加算されるので、注意が必要です。
しかし、三ツ星レストランそのものではないので、実際、ミシュランで三ツ星をもらえる味とまではいきません。
サンフランシスコで最もお勧めの美術館は、ゴールデン・ゲート・ブリッジを見下ろせるリンカーン・パークにあるリージョン・オブ・オナー美術館です。この美術館は、パリのレジオン・ド・ヌール宮殿を模して作られた建物で、入り口のところには、ルーブル美術館のガラスのピラミッドの小型版があります。入場料は、常設展は15ドルですが、特別展は35ドル(常設展込)です。今はちょうど、初期のモネの作品の特別展が行われています。常設展では、ロダンの彫刻が特に充実しています。ただ、ロダンはやはり、怨念のような強烈な感覚がありますし、マーブル(大理石)の建物は、やはり身体にはキツイです。ですから、長時間の滞在には向きません。
普段は夕方5:15までですが、なぜか8:00まで開いていることがあります。そして、土曜日と日曜日の4:00からは、パイプオルガンの無料演奏会があります。地階のレストランは、悪くない感じです。レベルは、科学アカデミーとSFMOMAの中間ぐらいです。
最大の問題は、交通手段です。ともかく、郊外なので、バス停までは、かなり歩きますし、タクシーなどは、まず捕まりませんから、電話で呼ぶしかありません。
一つ、忘れてはならないこととして、この美術館の入り口付近の海の見える丘の上に、大きな石碑が立っていることです。偶然見つけたのですが、幕末に、日本人の操る初の帆船として、太平洋を横断してサンフランシスコ港に入った咸臨丸の入港記念碑です。艦長は勝海舟、通訳はジョン万次郎、乗船者には福沢諭吉がいました。そう言えば、当時、二十代の若者(実際は26歳)だった福沢諭吉が、このサンフランシスコで、地元の女の子と嬉しそうに(威張って?)写っている有名な写真があります。日本に帰って、その写真を相当自慢していたそうですが、実はその女の子は、写真館の娘で、当時12歳だったのだそうです。
バークレーには、自然派サプリメントと、ハーブ、ホメオパシー、バッチフラワーレメディーなどの代替医療品専門店があります。店の名前は「The LHASA KARNAK HERB Co.」と言います。ラサは、チベットの中心都市であり、かつてダライ・ラマ14世が住んでいたポタラ宮殿があります。カルナックは、古代エジプトの首都テーベの一部の地名で、主要な古代神殿のある場所です。どちらもハーブのふるさとという意味で、店名に入れられているのだそうです。
サンフランシスコは、ハーブの栽培がとても盛んで、高級ハーブティーの会社もあります。近くにはハーブティー専門の喫茶店もあります。学生の街なので、Free-Wifiの設置してある店にibookなどを持ち込んで、静かに勉強している人が多いです。
「The LHASA KARNAK HARB Co.」の店員さんも、なぜか全員女性なのですが、とても知的な感じの方が多いです。ただ、刺青とピアスが本当にスゴイです。顔に無数のピアスをしていたり、肩から首、そして頬にまで、鮮やかな七色の刺青をしていたり、とても派手で、そういう意味では、あまり自然派には見えないのですが。
あと、ハーブ栽培と代替医療の盛んな本場らしく、サンフランシスコでは、一般の薬局でも、ハイランド社のホメオパシー薬品やネルソン社のレスキュー・レメディーぐらいは、ちゃんと置いてあります。ただ、ロンドンのたいていの薬局のように、エインズワース社やネルソン社のバッチ・レメディーが、ズラリと38種類並んでいるという光景は、そうそう見られません。
一つ、とても残念なことは、このサンフランシスコ市のチャイナタウンに、今年の9月に、全米で二つめの「慰安婦像」が立つことが決定していることです。この像に付設される碑文には「この像は、数十万人の女性や少女が、第二次世界大戦中に、日本軍によって性奴隷にされ、苦しみを受けた証拠である」と、明らかに間違った文言が記されるそうです。
200通ほどの慰安婦像設置反対のメールが日本から届いたとのことですが、サンフランシスコ市議会は、2月8日に中国系・韓国系市民団体の要請した慰安婦像設置の要望を認可しました。
アメリカでの慰安婦像設置は、同じカリフォルニア州のロサンゼルス近郊のグレンデール市に、2013年に設置されたのが最初でした。今回の慰安婦像は、公有地への設置としては全米で二番目のものとなりますが、アメリカを代表する都市の中心街で、初めて慰安婦像が設置される意味は、極めて大きいと言わざるを得ません。
問題は、サンフランシスコが、アメリカを代表する左翼的で人権派が支配的な都市であり、その意味で、慰安婦問題をことさら「性奴隷」として取り上げる人々と、極めて親和性が高い地域であるということです。
「慰安婦問題は、反日ではなく、反戦と女性の人権問題なのだ」というのが、彼らの言い分です。けれども、そうであるなら、日本の過去の問題を取り上げる前に、中国人ならウイグルやチベットの民族抑圧の問題を取り上げて欲しいです。また、韓国人なら、自国の軍隊が朝鮮戦争やベトナム戦争で、自国民や他国民に対して犯した、犯罪的な陵辱・虐殺行為や性奴隷化問題についてこそ、取り上げるべきではないでしょうか。それを一切無視して、ことさら日本だけ悪者にする行為は、日本だけをおとしめる悪意を持った反日的行為と言われても仕方がないと思うのです。
しかし、サンフランシスコの場合、こうした理屈が「リベラル過ぎて、話がまったく通じない」面があるのではないかと危惧しています。
また、同時に、毎度のことですが、この問題に関する日本政府の外交姿勢の脆弱さを強く感じずにはいられません。思うに、日本の外交官は、こうした論争に関して、いかにして国益を守る議論を展開すべきか、確固たる決意と練り上げられた論理武装を持って戦う準備を整えるべく、事前の十分な訓練を受けてきていないのではないか、ということです。それでは、外交官として、日本の国益を守るために寄与することは、とうていできないでしょう。
歴史問題を、まだまだ外務省は、軽く考えているように思えてなりません。
サンフランシスコでは、滅多に見かけないのは、三つ揃いのスーツでビシッと決めている人です。まず、革靴を履いている人を、あまり見ない上に、ネクタイを締めている人は、さらに珍しいからです。そういうピシッとした服装だと、この街ではとても目立ってしまいます。例えば、ホテルでは、オーナー経営者の社長さんだけが、スーツにネクタイに革靴で歩いています。後は、従業員も旅行客も、誰一人スーツを着けていませんから、すぐにオーナーだとわかります。一番まっとうな服装をしているはずなのに、なぜか一人だけ、ちょっと浮いてしまっています。
この街では、若者も年寄りも、ボロボロのスニーカーに、ボロボロのジーンズ、そうでなければ、ヨレヨレのTシャツに、半ズボンとかボクサーパンツという風に、ともかく何も気にしない格好で、普通にダラダラと外を歩いています。ハッキリ言って、服装がホームレスとあまり変わりません。ホームレスよりも、スーツ姿が目立ってしまう街なのです。
これを、見かけを気にしない自由とか飾らない自然な生活態度と言ってしまうのは簡単ですが、私見ですが、何かみすぼらしく感じられてしかたがないのです。ここには、やはり格差があるように思うのです。
ところで、話は変わりますが、わたしは、今だにBARTのチケットを販売機で1人で買うことができません。だいたいのやり方は理解したので、一人分なら買えると思のですが、2人分を同時に買う時の操作がまだはっきり把握できていません。操作が、かなり複雑なのです。それでも毎回困らないのは、駅員さんとか隣でチケットを買っている人とかが、親切に助けてくれるおかげです。サンフランシスコは、親切な良い人が多いです。
ハンディのある人をサポートすることにかけては、やはり意識が高いのだと思います。ホームレスの人を無視せずに、通りがけに話しかけたり、お金を渡す人も多いです。そうした点では、東京の方が、我関知せずという態度で、むしろ、冷たいかもしれません。
「印象 その3」に続きます。
3月の中旬になって、急に暖かくなってきました。つい昨日まではコートだったのに、道行く人は、短パンにノースリーブスです。ビーチでは、泳いでいる人までいます。夜でも、寒くありません。いつの間に、春を通り越して、夏が来たんだ、とびっくりします。照りつける日差しは強烈ですが、木陰にはいると、途端に冷んやり涼しくなります。
相変わらず、タクシーの運転手へのインタビューを続けているのですが、これまで20人くらいに訊いてみて、アメリカ生まれの人はたった1人でしたが、その1人も親はフィリピン人と言っていました。つまり、全員が移民か移民の子だった訳です。それから、65歳になって定年を迎えたら、母国に帰って年金生活を楽しみたいという人が多いです。
トルコ人の運転手は、サンフランシスコに来て26年になる、2人の子どもはここで生まれ育った、それでも、毎年夏には必ず家族で2ヶ月間トルコで過ごす、と言っていました。サンフランシスコのタクシー運転手は、かなりのお金持ちです。25年前のトルコを知っているよと言うと、もし、今のトルコが25年前のトルコだったら、タクシーの運転手を辞めてトルコに住んで、もうこっちへは帰ってこないよ、と言っていました。残念ながら、今は、イスタンブールには300万人のシリア人の難民がいる、治安が悪化している、と嘆いていました。
あと、地元の人や旅行者など、数十人に訊いて、同じ答えが返ってくるのは、「トランプはダメだ!」「自分は民主党支持だし、アメリカの西海岸、東海岸はみんなそうだよ」というものです。ともかく、リベラルな人たちが多いです。それにしても、選挙で大統領に当選したはずのトランプの支持者は、一体どこにいるのでしょうか。
ホテルへの宿泊を断られて、追い出されていた白人の若者は、ずっと放浪をしてきたようですが、シカゴに家族がいる、そして、お母さんが心配しているから帰りたいと言っていました。だから、彼の描いた鉛筆画を200ドルで買いました。シカゴ行の列車に乗れる十分なお金です。彼の描いた絵は、クマのプーさんみたいなお母さんが、子どもを布で包んで、愛しげにだいている様子を描いたもので、彼の気持ちが強く伝わってくる作品でした。「絵は嘘をつけない」と思いました。何に悩んで放浪していたのでしょうか。
それから、なぜか、暖かくなると、どこからともなく、白人に混じって、黒人のホームレスが街に大量に湧き出てきました。これまでは、ホームレスと言えば、ほとんど白人しか見かけなかったのですが。
食事についてですが、サンフランシスコに着いて10日も過ぎれば、日本と比べさえしなければ、何とか食べられるものが、幾つか見つかります。
その一つは、フィッシャーマンズワーフに隣接するイタリア人街ノースポイントのピザです。職人さんが練った生地一つ一つを、石焼窯で焼いた本格的なピザで、香ばしくて美味しい庶民の味です。値段も手頃で、日本と変わらない良心的な価格ですから、2人で20ドルもあれば、お腹いっぱい食べられます。オススメは、ハワイアンとマルゲリータです。
それから、Asia Chineseのコンボも安いです。1人8ドルぐらいで、お腹いっぱいになります。ご飯はタイ米でパサパサだし、焼きそばの麺も柔らか過ぎてコシなどかけらもありませんが、それでもサイドメニューのチキンの味付けはなかなかよいし、ともかく、日本人でも食べられないものではありません。オススメは、ワンタン・スープです。あっさりした味で、ホッとします。ただ、続けて通うと、何だか残飯を見ている気がしてきます。
また、バークレーのBARTの駅から地上に上った正面に、Seasons of Japanという和食の食堂があります。ここは、調理スタッフが全員日本人なのです。オススメは、豚骨ベースの味噌ラーメンです。その他にも、焼きそばとかカツ丼とか餃子とか、いろいろ食べられます。ほぼ、日本の味と言っていいと思います。10ドルでお腹いっぱいになります。
あと、バークレーで、初めてマクドナルドに入ってみました。店内の客は、半分がホームレスで、半分が若者でした。暑かったので、アイスコーヒーを注文したのですが、頼みもしないのに、最初からシュガーシロップがたっぷり入っていて、とても飲めないので、もう一度、「ノー・シュガー」と注文しました。すると、頼みもしないのに、バニラエッセンスがたっぷり入っていて、今度もやたらと甘いので、「これはダメ!」と突き返して、「お願いだから、何も入れないで!」と、再度、純粋にアイスコーヒーだけ入れてもらいました。店の子は、とても怪訝そうな顔をしていました。おそらく、甘くないアイスコーヒーを注文した人が、これまで誰もいなかったのでしょう。
コンビニ的な薬局チェーンWalgreenや、スーパーマーケットのSafewayなどには、意外と日本食があります。特に、Safewayの日本食は結構充実していて、日清やマルちゃんのカップラーメンや焼きそば(味と品質はアメリカ風)の他に、日本と同タイプの札幌一番の袋ラーメンの味噌・塩・醤油味まであります。あと、ふりかけとかインスタント味噌汁とかレトルトカレーとか、けっこう揃っています。それに、「おーい、お茶」のペットボトルがあるのが嬉しいです。
デパートのレストランでbestなのは、ユニオン・スクエア近くのbloomingdale'sの4階から隣のドームに入ったところにある、westfieldレストラン街の一角を占める中華レストラン「M.Y.CHINA」です。ともかく味が繊細で美味しく、手抜きをしていない感じが好感が持てます。この味なら、おそらく日本でも、多少価格を下げられれば、一部のメニューはそのまま通用します。
もちろん、この街のレストランとしては値段も手頃で、ベジタリアン・ヌードル・スープとか、焼きそばとか、かなりボリュームのある一品が、15ドルぐらいです。烏龍茶に、それぞれ一品づつ注文して、タックスとチップ合わせて、2人でたったの45ドルです。1人分2500円ぐらいですから、味がまあまあであることと、ヘルシーで安心できることなど考えると、これはサンフランシスコでは、かなりお手頃な金額です。このM.Y.CHINAは、ミシュランで、高品質で安価な美味しい大衆食堂にのみ与えられるビッググルマンというタイトルを獲得しているそうです。
bloomingdale'sは、すぐ近くにある大衆デパートMacy'sと比べて、明らかに富裕層にターゲットを絞っており、比較的高級感のあるイメージです。その分、お客さんもまばらで、静かで落ち着いた雰囲気があります。Macy'sと違って、抜群に綺麗なトイレが各階にあり、休めるソファーも用意されていて、日本並みにとても便利なので安心して歩きまわれます。
こんなに快適なのに、なぜお客さんがMacy'sよりはるかに少ないのか、不思議に感じます。やはり、それだけ、アメリカが格差社会だということなのでしょう。
サンフランシスコの博物館の代表は、ゴールデン・ゲート・パーク内にあるサンフランシスコ科学アカデミーです。入場には、大人は35ドルかかります。人気のある場所ですが、結構な出費ではあります。
館内には、「印象 」で少し記したように、プラネタリウムとアクアリウム(水族館)と熱帯植物園があります。体験型の学習施設として、幼児や小学校低学年の子供たちが、親に連れられて、たくさん来ています。そして、地震の体験をしたり、生きている蛇に触ったり、「海の酸性化を防ぐために、週一回は肉を食べないようにする」と誓わされたりします。
科学アカデミーの中の食堂は、ハッキリ言って、大衆食堂レベルですが、あまり懐が痛まなくて、幼い子どものいる家族連れには、ちょうどいいのでしょう。また、ここのカリフォルニア・ロールは、実は意外にいけます。けれども、ピザは、生地がベタついていて、味もダメです。あと、水は、紙パックのものを置いているのですが、価格が5ドルもしてとても高い上に、パックの臭いが水についてしまうのが問題です。
サンフランシスコの美術館の代表は、中心街ユニオン・スクエアに近いサンフランシスコ現代美術館(SFMOMA)です。ここは、体験型ではないので、あまり、子どもを連れて入れる雰囲気ではありません。入場料は、大人25ドルです。
西海岸で唯一の本格的現代美術館として、2016年にリニューアル・オープンしたばかりです。館内の作りは、白木の床や階段が、明るく柔らかいイメージで、廊下や各部屋に座れる場所が多く、トイレも各階に多く配置されていて、長時間居ても疲れにくく、快適に過ごしやすい建物になっています。展示作品の質は、やはり、ニューヨークのアメリカ現代美術館(MOMA)には、かなり見劣りしますが、展示施設としては、なかなか立派なものだと思います。
ただ、展示の中でも、日本人写真家の写真を特集した特設展示は、内容があまりにも偏っていて酷すぎると感じました。これは個人的な感想ですが、反戦とか反核を訴えるにしても、もう少し品性ある豊かな内容であって欲しいです。
さて、このサンフランシスコ現代美術館の一階には、ミシュランで星三つを獲得したシェフの監修する高級レストラン「In Situ」があります。このレストランに入った時は、まず、スパークリング・ウォーター(炭酸水)ではなく、スティル・ウォーター(真水)を注文すべきです。この店で一番美味しいのは、実は、特別な浄水器を通した、このスティル・ウォーターだからです。甘くて、まろやかで、すっきりした味わいです。
料理は、全般に、まったりとした濃厚な味付けで、ちょっと濃すぎる感じです。濃厚過ぎて少しくどいキノコのリゾットとか、濃厚過ぎるが美味しいチーズケーキとか、濃厚かつスパイシーなワサビロブスターとか、すき焼き風の牛骨付き肉の煮込みとか。いずれにしても、値段は高いですが、1人100〜130ドルもあれば、なかなかキチンとした前菜・主菜・デザートが食べられます。ただし、チップで20%、タックスで5%加算されるので、注意が必要です。
しかし、三ツ星レストランそのものではないので、実際、ミシュランで三ツ星をもらえる味とまではいきません。
サンフランシスコで最もお勧めの美術館は、ゴールデン・ゲート・ブリッジを見下ろせるリンカーン・パークにあるリージョン・オブ・オナー美術館です。この美術館は、パリのレジオン・ド・ヌール宮殿を模して作られた建物で、入り口のところには、ルーブル美術館のガラスのピラミッドの小型版があります。入場料は、常設展は15ドルですが、特別展は35ドル(常設展込)です。今はちょうど、初期のモネの作品の特別展が行われています。常設展では、ロダンの彫刻が特に充実しています。ただ、ロダンはやはり、怨念のような強烈な感覚がありますし、マーブル(大理石)の建物は、やはり身体にはキツイです。ですから、長時間の滞在には向きません。
普段は夕方5:15までですが、なぜか8:00まで開いていることがあります。そして、土曜日と日曜日の4:00からは、パイプオルガンの無料演奏会があります。地階のレストランは、悪くない感じです。レベルは、科学アカデミーとSFMOMAの中間ぐらいです。
最大の問題は、交通手段です。ともかく、郊外なので、バス停までは、かなり歩きますし、タクシーなどは、まず捕まりませんから、電話で呼ぶしかありません。
一つ、忘れてはならないこととして、この美術館の入り口付近の海の見える丘の上に、大きな石碑が立っていることです。偶然見つけたのですが、幕末に、日本人の操る初の帆船として、太平洋を横断してサンフランシスコ港に入った咸臨丸の入港記念碑です。艦長は勝海舟、通訳はジョン万次郎、乗船者には福沢諭吉がいました。そう言えば、当時、二十代の若者(実際は26歳)だった福沢諭吉が、このサンフランシスコで、地元の女の子と嬉しそうに(威張って?)写っている有名な写真があります。日本に帰って、その写真を相当自慢していたそうですが、実はその女の子は、写真館の娘で、当時12歳だったのだそうです。
バークレーには、自然派サプリメントと、ハーブ、ホメオパシー、バッチフラワーレメディーなどの代替医療品専門店があります。店の名前は「The LHASA KARNAK HERB Co.」と言います。ラサは、チベットの中心都市であり、かつてダライ・ラマ14世が住んでいたポタラ宮殿があります。カルナックは、古代エジプトの首都テーベの一部の地名で、主要な古代神殿のある場所です。どちらもハーブのふるさとという意味で、店名に入れられているのだそうです。
サンフランシスコは、ハーブの栽培がとても盛んで、高級ハーブティーの会社もあります。近くにはハーブティー専門の喫茶店もあります。学生の街なので、Free-Wifiの設置してある店にibookなどを持ち込んで、静かに勉強している人が多いです。
「The LHASA KARNAK HARB Co.」の店員さんも、なぜか全員女性なのですが、とても知的な感じの方が多いです。ただ、刺青とピアスが本当にスゴイです。顔に無数のピアスをしていたり、肩から首、そして頬にまで、鮮やかな七色の刺青をしていたり、とても派手で、そういう意味では、あまり自然派には見えないのですが。
あと、ハーブ栽培と代替医療の盛んな本場らしく、サンフランシスコでは、一般の薬局でも、ハイランド社のホメオパシー薬品やネルソン社のレスキュー・レメディーぐらいは、ちゃんと置いてあります。ただ、ロンドンのたいていの薬局のように、エインズワース社やネルソン社のバッチ・レメディーが、ズラリと38種類並んでいるという光景は、そうそう見られません。
一つ、とても残念なことは、このサンフランシスコ市のチャイナタウンに、今年の9月に、全米で二つめの「慰安婦像」が立つことが決定していることです。この像に付設される碑文には「この像は、数十万人の女性や少女が、第二次世界大戦中に、日本軍によって性奴隷にされ、苦しみを受けた証拠である」と、明らかに間違った文言が記されるそうです。
200通ほどの慰安婦像設置反対のメールが日本から届いたとのことですが、サンフランシスコ市議会は、2月8日に中国系・韓国系市民団体の要請した慰安婦像設置の要望を認可しました。
アメリカでの慰安婦像設置は、同じカリフォルニア州のロサンゼルス近郊のグレンデール市に、2013年に設置されたのが最初でした。今回の慰安婦像は、公有地への設置としては全米で二番目のものとなりますが、アメリカを代表する都市の中心街で、初めて慰安婦像が設置される意味は、極めて大きいと言わざるを得ません。
問題は、サンフランシスコが、アメリカを代表する左翼的で人権派が支配的な都市であり、その意味で、慰安婦問題をことさら「性奴隷」として取り上げる人々と、極めて親和性が高い地域であるということです。
「慰安婦問題は、反日ではなく、反戦と女性の人権問題なのだ」というのが、彼らの言い分です。けれども、そうであるなら、日本の過去の問題を取り上げる前に、中国人ならウイグルやチベットの民族抑圧の問題を取り上げて欲しいです。また、韓国人なら、自国の軍隊が朝鮮戦争やベトナム戦争で、自国民や他国民に対して犯した、犯罪的な陵辱・虐殺行為や性奴隷化問題についてこそ、取り上げるべきではないでしょうか。それを一切無視して、ことさら日本だけ悪者にする行為は、日本だけをおとしめる悪意を持った反日的行為と言われても仕方がないと思うのです。
しかし、サンフランシスコの場合、こうした理屈が「リベラル過ぎて、話がまったく通じない」面があるのではないかと危惧しています。
また、同時に、毎度のことですが、この問題に関する日本政府の外交姿勢の脆弱さを強く感じずにはいられません。思うに、日本の外交官は、こうした論争に関して、いかにして国益を守る議論を展開すべきか、確固たる決意と練り上げられた論理武装を持って戦う準備を整えるべく、事前の十分な訓練を受けてきていないのではないか、ということです。それでは、外交官として、日本の国益を守るために寄与することは、とうていできないでしょう。
歴史問題を、まだまだ外務省は、軽く考えているように思えてなりません。
サンフランシスコでは、滅多に見かけないのは、三つ揃いのスーツでビシッと決めている人です。まず、革靴を履いている人を、あまり見ない上に、ネクタイを締めている人は、さらに珍しいからです。そういうピシッとした服装だと、この街ではとても目立ってしまいます。例えば、ホテルでは、オーナー経営者の社長さんだけが、スーツにネクタイに革靴で歩いています。後は、従業員も旅行客も、誰一人スーツを着けていませんから、すぐにオーナーだとわかります。一番まっとうな服装をしているはずなのに、なぜか一人だけ、ちょっと浮いてしまっています。
この街では、若者も年寄りも、ボロボロのスニーカーに、ボロボロのジーンズ、そうでなければ、ヨレヨレのTシャツに、半ズボンとかボクサーパンツという風に、ともかく何も気にしない格好で、普通にダラダラと外を歩いています。ハッキリ言って、服装がホームレスとあまり変わりません。ホームレスよりも、スーツ姿が目立ってしまう街なのです。
これを、見かけを気にしない自由とか飾らない自然な生活態度と言ってしまうのは簡単ですが、私見ですが、何かみすぼらしく感じられてしかたがないのです。ここには、やはり格差があるように思うのです。
ところで、話は変わりますが、わたしは、今だにBARTのチケットを販売機で1人で買うことができません。だいたいのやり方は理解したので、一人分なら買えると思のですが、2人分を同時に買う時の操作がまだはっきり把握できていません。操作が、かなり複雑なのです。それでも毎回困らないのは、駅員さんとか隣でチケットを買っている人とかが、親切に助けてくれるおかげです。サンフランシスコは、親切な良い人が多いです。
ハンディのある人をサポートすることにかけては、やはり意識が高いのだと思います。ホームレスの人を無視せずに、通りがけに話しかけたり、お金を渡す人も多いです。そうした点では、東京の方が、我関知せずという態度で、むしろ、冷たいかもしれません。
「印象 その3」に続きます。