1月25日、沖縄の男子中学生が約2分間にわたって、完全に無抵抗の相手に殴る蹴るの暴行を執拗に続ける動画がネット上に拡散しました。何処かからか動画を手に入れた人がツイッターにあげ、それが拡散したようです。
その動画には、2人の人物の暴行場面しか映っていませんが、背後の笑い声などから、現場には暴行を受けている生徒1人と、7人の友人関係集団がいたことが判明しました。さらに、学生服などから、本島中部の沖縄市美里中学校の2年生であることがわかりました。後に、この動画は、20日に、この友人集団の当事者2人によって撮影されたことが知られます。
当初、沖縄市教委は「いじめとは認められない」と発言して、物議を醸しました。それから、美里中学校でも、27日に、加害者側の生徒達7人と保護者達に事情を詳しく聴き、そのうえで、学校長が、31日に、「いじめはなかった」「友人間のトラブル」「被害者の保護者には、友人関係を壊さないように穏便に済ましてくれと頼まれた」という発言をして、さらに波紋を広げることになりました。
すでに、30日には、ネット上で、かなり大きなニュースとなっており、動画や関係者の発言に対する驚きや怒りが、全国規模で巻き起こって、ついには全国ニュースとなります。おそらく、市教委、県教委、美里中学校には、抗議の電話やFAXなどが殺到したものと思われます。
しかし、その後、市教委担当者は、「言葉足らずではあったが、いじめでないとは言っていない」と発言を否定し、沖縄タイムスの誤報であると主張しました。一方で、学校長は、「いじめとは、集団で、長期間にわたって、継続的に1人に嫌がらせをするもので、今回のケースが、それに当たるかどうか難しいところ(つまり、やはりいじめではない)」と述べています。
しかし、百歩譲って、この事件が、虐めではなく、ちょっかいを出されて怒った生徒による一方的な暴行だったとしても、見境のない暴力が何分も続いているのは、傷害事件と言われても仕方が無いのではないでしょうか。普通、相手が無抵抗であれば、どんなに怒っていても、ビンタ一発で済ますぐらいの加減ができなければ、ヤクザのチンピラ集団みたいなもので、ちょっとしたことで傷害事件が頻発することになってしまいます。しかも、周囲に親しい友達が6人もいて、その暴行を、すぐに止めに入る仲間もいない。それどころか、笑って、実況動画を撮っている始末です。中学二年生にもなって、友達が友達をボコボコにしている動画を、仲間内で共有し、親しい友達に見せたりして喜んでいたところからして、幼稚というにもほどがあります。
被害者の生徒の保護者からは、警察に被害届が出され、警察はすでに受理しており、傷害事件として取り扱う模様です。学校長の述べている被害者側の要請と、実際の被害者側の行動は完全に食い違っており、校長発言の信憑性が疑われる事態となっています。少なくとも、被害者側には、現時点では学校への信頼はないようです。
加害者側の保護者だけでなく、被害者側の保護者にしても、発覚当初は何とか穏便に済ませたいという事件隠蔽の意向があったことは想像できます。被害者側の保護者と加害者側の保護者とは、家族ぐるみの付き合いがあったという情報もあります。ただ、加害者側生徒2人が撮った虐待シーンの映像が全世界に拡散してしまい、加害首謀者の実名さえネットに出てしまっている以上、もはや、なかったことにはできません。
それが、かえってよかったとわたしは思うのです。他人に責任をなすりつけたり、他人を逆恨みしたりすることなく、真摯に自分自身のいたらなさを反省できれば、事件当事者たちにとっては、この経験から学ぶことは多いでしょう。世間の怖さも、他人への気遣いも、何も学ばないで大人になるよりは、よっぽどマシです。
しかし、加害者側の生徒たちは、重大犯罪の犯人ではありません。また、彼ら8人は、未来ある中学二年生の子供たちです。保護者も学校も、この子たちを、これからどう教育していくか、自らの責任として真剣に悩むべきです。大切なのは、この子たちが、これからどう生きていくか、なのですから。

☆わたしは、本島中部に住んでいるので、美里中学校は意外に近所です。事件の関係者に偶然会う確率も高いです。友人知人にも、美里中が母校という人が、けっこういらっしゃって、今回の事件に衝撃を受けています。