「知的で誠実であって、同時にナチス的であることはできない」という言葉があります。「①知的で誠実であれば、絶対にナチス党員ではいられないので、このタイプの人は存在しない。②高度に知的なナチス党員は、人間的に誠実ではないので気をつけねばならない。③人間的に誠実なナチス党員には、残念ながら十分な知性がないので、この手の人にも気をつけねばならない。」ということです。
では、現代の日本社会に関してですが、「知的で誠実であれば、左翼ではいられない」と言えるでしょうか。あるいは逆に「知的で誠実であれば、右翼ではいられない」と言えるでしょうか。
辺野古基地問題、安保法案、あるいは歴史認識問題について考えてみた時、右派と左派、どちらの主張が正しいのでしょう。十分に知的で、なおかつ人間として誠実な人は、どちらの言い分に軍配をあげるでしょうか。


右派の12の主張
◯辺野古移設は早急に進めるべき➡これは日本の国防の問題➡日米安保条約は国防の根幹
◯安保法案の早急整備に賛成➡集団的自衛権を認めるべき➡これは日本の抑止力の問題
◯歴史認識は中韓がおかしい➡中韓の歴史修正主義が問題➡根本は中韓の反日に原因がある
◯尖閣問題は中国が悪い➡中国が資源が欲しくて勝手に捏造した領土問題➡日本の国有化は当然
◯日韓関係悪化は韓国が悪い➡韓国の反日は精神病の域➡病人には「あなたは病気」と言うべき
◯韓国の司法や社会常識は信頼できない➡韓国社会は、自由と平等と民主主義と人権に関して、日本と共通の価値観を有しているとは言い難い➡韓国とは距離をおいて戦略的に付き合うべき
◯日中関係悪化は中国が悪い➡日本を仮想敵国とする習近平政権の問題➡習近平政権は危険
◯中国の軍事力増強は脅威➡中国の拡張主義は危険➡日本は自国防衛のために、アメリカと協力して中国の野心に対抗しなければならない
◯安倍政権は評価する➡日本の国益のために指導力を発揮しているから➡安倍政権はできるだけ長く続いて欲しい
◯周辺国(中国・韓国・北朝鮮)政府よりも、日本政府の方を信頼している➡日本が侵略することより、侵略されることを心配する➡たとえ戦う覚悟をしても、侵略から日本を守りたい
◯現実問題として、戦争を抑止して平和を保つためには、核を含む一定の軍事力が必要➡平和は国家間の経済的・軍事的均衡によって保たれる➡十分な資本と軍備がなければ国は危うい
◯最終結論🌠南シナ海、東シナ海での中国の軍事的台頭を見過ごすことはできない。このまま国民の無関心が続くなら、結果的に〈左翼〉が国を滅ぼすことになる

左派の12の主張
◯辺野古移設は絶対反対➡これは沖縄の人権問題➡そもそも日米安全保障条約そのものに反対
◯安保法案に絶対反対➡集団的自衛権を絶対に認めない➡これは独裁政権による憲法9条違反の問題
◯歴史認識は日本がおかしい➡日本の歴史修正主義が問題➡根本は日本政府の軍国主義化
◯尖閣問題は日本が悪い➡国有化で不用意に中国を刺激した➡日本側が刺激しなければ問題ない
◯日韓関係悪化は日本が悪い➡一部の常軌を逸した嫌韓は病気の域➡ヘイトは卑劣な人種差別だ
◯韓国の司法や社会常識は信頼に値する➡韓国社会は、自由と平等と民主主義と人権に関して、むしろ日本より優れている➡日本は韓国に学ぶべき
◯日中関係悪化は日本が悪い➡安倍独裁政権が中国を刺激するから悪い➡安倍政権は危険
◯中国はまったく脅威ではない➡中国よりむしろアメリカが恐い➡日本はアメリカの軍事行動に巻き込まれてはならない
◯安倍政権はまったく評価しない➡安倍は戦争がしたい危険な独裁者➡早く辞めて欲しい
◯日本政府よりも、周辺国(中国・韓国・北朝鮮)政府を信頼する➡外国に日本が侵略されることよりも、日本が外国を侵略することを心配する➡たとえ日本が占領されても、国民の命さえ助かればいい(というか、日本が侵略されることなど、絶対にあり得ない)
◯戦争にならないため、平和を保つためには軍事力はまったく必要ない➡平和は、理想としては非武装中立・無抵抗の姿勢を貫くことで実現する➡むしろ軍隊があるからこそ戦争になる
◯最終結論🌠日本の右傾化と再軍国主義化を、これ以上見過ごすことはできない。このまま国民の無関心が続くなら、結果的に〈右翼〉が国を滅ぼすことになる


上で示したように、重要な問題でことごとく正反対の反応を示し、意見が真っ向から対立するのが右派と左派です。どちらも平和を求めていますが、両者の求める平和の質が全く違います。それが両者の意見の根本的な相違に繋がっています。
「中国は攻めて来ない」「国連の常任理事国でもある中国が他国を侵略するなどあり得ない」と、左派は言います。彼らの言うとおり、日本にとって、未来永劫、中国が何ら軍事的脅威にならないのなら、そもそも日米同盟も要らないし、自衛隊もまったく必要ありません。速やかに日米同盟を解消し、自衛隊も早急に解散すべきです。
多くの憲法学者が言うように、「自衛隊の存在自体が、憲法9条に違反している」のですから、法的安定性を最重視して、自衛隊など早く解体するに越したことはありません。自衛隊がなくなれば、日本から戦争を起こすことは不可能になります。永久に戦争は起こりません。日本は〝角を矯めた完全な去勢牛〟となるわけです。
また、「尖閣諸島のような無人の島の一つや二つぐらい、いっそ中国にあげてしまえば良い」と左派は言います。日本人の過半数が、そうはっきり言いきれるなら、東シナ海や琉球弧に中国の覇権が及んでも、絶対に対中戦争は起きないでしょう。
南シナ海も東シナ海も、中国の支配権が確立された場合、外交的脅迫手段として中国が通行制限をかけてくる可能性が拭えません。貿易立国の日本にとって、この地域の航行の自由の確保は死活問題ではあるのですが、力関係が逆転した今となっては、もはや日本一国では中国の制海権を阻むことは難しいでしょう。ですから要は、何があっても歯向かわず、日本が完全に無抵抗であれば良いのです。
その代わり、日本の200海里経済水域内の漁場は、中国の底引き網漁船による違法操業で、根こそぎ壊滅するでしょう。サンゴなどの海底資源も、メタンハイドレートなどの地下資源も、ほぼ取りたい放題で独占されるでしょう。しかし、日本人が、それに文句一つ言わずに耐え忍べるというなら、戦争にはなりません。少しでも文句を言えば、それを口実に戦争をしかけられるかもしれませんが、何も言わずに中国の横暴に耐えて黙って従っていれば、それ以上の被害は蒙らずに済むはずです。
中国の離反工作によって、沖縄は日本から独立するかもしれません。そして、日和見な琉球人による県民(国民?)投票の結果、中国に併合されるかもしれませんが、日本が嫌いな沖縄県民の多くにとっては、その方が幸せなのかもしれません。その場合でも、併合反対派が、よほどの口実を与えない限り、中国の直接の軍事侵略はあり得ません。強大な軍事力と経済力を背景に、極めて穏便に沖縄は併合されるはずです。この場合も東アジア地域の表面上の平和は保たれるでしょう。
アメリカの軍事的存在感の低下に伴って、台湾もまた中国に併合されるでしょう。その他の近隣諸国(ASEAN諸国など)も、ウクライナやチェチェンなどロシアの近隣諸国と同様に、喉元をぎゅうぎゅう締め上げられて、いずれは従順な衛星国へと調教されます。その過程で、ちょうど現在の香港がそうであるように、徐々に自由と誇りと自立性(政治的・経済的)を奪われていきます。実際問題、一国二制度など名ばかりで、今や香港は香港人のものではありませんものね。とは言え、圧倒的に強力な経済的・軍事的支配下で、アジアの「中国による平和〝パックス・チャイナ〟」は維持されます。実に平和で結構なことです。
こうして中国の東太平洋の覇権が盤石となる情勢で、思いあまって「自主独立!」などと叫ぼうものなら、チベットやウイグルの独立派のように、中国政府に徹底的に弾圧され、虐殺の憂き目にあうでしょう。けれども、どれほど酷い扱いをされようと、太平洋の東半分で、国家間の戦争は決して起こりません。日本を含めてどの国も、中国に踏まれっぱなしのドアマット同然だからです。
はたして、これを本当に〝平和〟と呼べるのか、大いに疑問は残りますが、ともかく、これが〝立憲平和主義という戦後70年つづく妄想〟が骨の髄まで染み付いてしまった左派の求める平和です。このような心の失われた〝奴隷の平和〟を、2015年の実存を生きる右派日本人の多くは望みません。もっとも、そうした真正右派の人々が、どのくらいの割合で存在するのか、そこは甚だ問題ではありますが。


「自衛隊が単独では日本を守りきれないとしても、日米同盟がある限り、中国は攻めてこれないから安全」「万が一、攻めてきたとしても、今まで通りの個別的自衛権で十分に対処できる」と主張する人もいます。
そういう人には、「いつまでも、あると思うな、日米同盟」と言ってあげたいところです。今までのように、日本が、すべてのリスクをアメリカに押し付けた形では、この同盟がこの先長続きするとは思えないからです。
「日本が攻められた時は、アメリカ兵に一緒に戦って欲しい」「アメリカが攻められた時には、自衛隊は戦いません」と言うのでは、冷戦時代ならいざ知らず、唯一の超大国の座から滑り落ちつつある今のアメリカは、到底納得しないでしょう。実際、米英同盟も、米韓同盟も、互いに守り合うという相互義務を背負っています。
相互義務を負うということは、もちろん、日本がアメリカの戦争に巻き込まれるリスクは大きくなります。けれども、逆に、アメリカが日本の戦争に巻き込まれるリスクも、当然大きいわけで、それをアメリカはすでに引き受けているのですから、そこはおあいこです。
例えば、アメリカは、中国とは戦争したくないのですが、もしも、中国が尖閣に上陸してきた場合、否応無く日中の紛争に巻き込まれることになります。アメリカが尖閣防衛に関与することがわかっているからこそ、中国は今のところは攻めてこれません。これが抑止力です。
日米関係がギクシャクしてくると、途端に情勢は変わってきます。民主党政権時代の尖閣事件もそうですが、日米間の不協和音は、ダイレクトに中国の領土的野心を誘惑するのです。
この国の防衛のためには、日米同盟は揺るぎない確固としたものでなければなりません。大切なことは、日本側がすすんでリスクを負うことで、アメリカにも逃げずに義務を遂行してもらうということです。そのためには、個別的自衛権だけではダメなのです。
また、日本がイラクやアフガンなどの紛争に巻き込まれることを心配する声もありますが、その決定には時の内閣の決定と国会の承認が必要になるわけですから、その時点で心配すれば良いと思います。それと台頭する中国の南沙諸島・南シナ海・東シナ海・尖閣諸島への侵攻を阻止する問題は、切実度がまるで違います。こちらの方は、長期的に観ると、この国の存亡にも関わる問題です。
お願いですから、「日本が他国を侵略する」という非現実的な妄想に浸るのでなく、「日本が他国に侵略される」という、より現実的な可能性に備えることを考えましょう。日本がアメリカの戦争に巻き込まれても、この国は滅びませんが、中国の圧迫に抗しなければ、長い目で見てこの国は滅びる可能性があります。
20年前には日本の10分の1しかなかった中国のGDPは、今や日本の2倍以上です。そして、軍事費にかけているお金も日本の3倍です。日本の国防費は例年ほぼ横ばいですが、中国の軍事費は毎年10%以上伸びており、2015年度の軍事費は17兆円(日本は6兆円)です。すぐ隣に、日本を仮想敵国と考える巨大な軍国主義国家が出現しているのです。「今、そこにある危機」から目を逸らすことなく、真摯に国際社会の現実に向き合いましょう。
日本の国防費は世界で4位ですが、日本より上位の3カ国は、すべて日本の近隣諸国(米・中・露)であり、さらに北朝鮮も含めて4つの核保有国と向き合っています。日本は、地政学的に甚だ危険な地域に位置しているわけです。
未来の子どもたちが戦争に巻き込まれるかどうかは、我々がどのくらいしっかりと国際情勢を見極めた上で、国家の舵取りをしていくかにかかっているのです。その際、ハッキリ言って、憲法9条の存在など何の役にの立ちません。大切なことは、具体的な自国の防衛体制を整えることによる抑止力の確保です。


さて、ここまで話して、まだ問題の本質を理解できない人は、残念ながら、かなり重症の左翼病に罹っています。骨の髄まで染み付いている〝思想〟のせいで、まともにものが考えられないのです。この日本特有の左翼病は、韓国の反日病にも、あれほど酷くはないとはいえ、根拠のない幻想に冒されているという点で少し似ています。
まずは「戦後70年続いた〈立憲平和主義〉は絶対正しい!」「日本に攻めてくる国はない!」という〝妄想〟に漬かっている左翼脳をなんとかしましょう。脳の内壁に、長年に渡って、無数に張り巡らされてきた蜘蛛の巣を、すべて取り払ってから話しましょう。それまでは、誰が何を言っても、まったく理解できないでしょうから。
それにしても、気になるのは、江沢民以降の反日映画、反日ドラマ、反日歴史教育、反日情報操作の影響によって、中国民衆の潜在意識に刷り込まれてきた「日本が攻めてくる!」という〝逆妄想〟の深刻さです。今、現在、およそ半数強の中国人が「いずれは日本軍が攻めてくる!」と考えているという話(日中世論調査では2013年52.7%/2014年53.4%)もあります。そして「やられる前にやれ!」という物騒な考えを持つ中国人も結構多いと聞きます。
こうして〈軍国主義〉日本を仮想敵国とする集団幻想を国民の間で蔓延させることで、中国政府は批判の矛先を逸らし、軍部は軍拡の勢いを得ているのでしょうが。しかし、〈妄想の中に生きる民衆の危険さ〉にあまりに無自覚な、習近平ら為政者たちによる無責任な〝反日政策〟のツケは、いずれ必ずかえってくるはずです。将来的に、予期せぬ中国側の突発的攻撃による日中紛争勃発の可能性がまったくないとは誰にも言えません。
わたしたち日本人にしても、その時になって慌てても遅いのです。中国は日本ほどには紛争勃発を恐れていません。言い換えれば、日本人よりは、より現実的な可能性として、軍事的な衝突の覚悟ができているのです。