youtubeにとても興味深い動画が上がっています。

「How does a homeless man spend 100$?」という企画もののシリーズ動画のひとつです。
「ホームレスに100$渡したら、いったい何に使うだろうか?」という企画で、カメラを気づかれないようにまわしながら、路上のホームレスに、まず100$渡し、それからそのホームレスがどうするか、気づかれないように、ずっと追跡するというアメリカの動画です。
100$を受け取ったホームレスの男性は、その後、酒屋に入って行き、大きな袋を持って出てきます。それから、公園に向かいます。さらに、公園の中で、ホームレスが集まっているベンチに向かうと、担いでいる袋からパンを取り出し、それを一人一人に配り始めたのです。
その様子を見ていた司会者の若者は、再びホームレス男の前に出て行きます。驚いている男の腕をとって、「話を聞きたい」とカメラの前に連れていくと、「すまない。実は君を騙していた。あそこにカメラがある。ずっと君を追跡していたんだ。知っていたかい?」と尋ねます。
ホームレスの男が「いや」と首を振ると、若者は感極まった声で「君が酒屋に入っていった時、てっきり酒を買いに行ったと思ったんだ。でも違った。僕は君をまったく見損なっていた。すまない。もう100$受け取ってくれ」と言って、お金を差し出しました。
ホームレスは「いや、なに、気にすることはない。僕は幸せを手にしたんだから」と言いながら、「どうしても、受け取ってくれ」と勧める若者に促されて、そのお金を受け取りました。それから、その男は、「なぜパンを配ったのか」と若者に訊かれて、「お金では得られないものが欲しかったのさ」と言って、自分のこれまでの身の上を話し始めました。
「僕は年取った両親と暮らしていたんだが、父親が癌にかかってしまって、ホスピスで看病を続けるうちに、仕事を辞めないといけなくなった。治療費が高額で、少ない保険料では賄いきれなくなったから、借金を返済するために、家も売らないといけなくなったんだ。そうこうしているうちに、五ヶ月前に父が亡くなり、その二週間後に腎臓を患っていた母が亡くなって、僕は四ヶ月前にホームレスになった。そうして、路上に出てみると、僕と同じ境遇の人が、実にたくさんいることに気づいたんだ。」
「でも、そういう人たちは、どうしようもなく怠惰な、アルコール中毒やドラック中毒といった連中じゃないのかい?」
「そうじゃない。まったく、そうではない。みんな、それぞれにもっともな事情があって、たまたまそういう環境に置かれただけだ。例えば離婚して、そこから負の連鎖が始まるんだ。気がついたら、仕事はなく、預金もない。それで、ボートを売り、ついに家を手放さなければならなくなった、そんな人たちばかりだ。みんな、いい人たちだよ。わたしと同じ普通の人だ。もちろん、半分は怠惰な連中もいるだろうさ。しかし、半分は違うんだ。君にその見分けがつくかい。この国の人たちの多くは、君もそうだし、以前のわたしもそうなんだが、そういうのっぴきならない経験を知ることは決してない。だから、何もわかってはいないのさ。」

年の瀬ですが、今年最高の動画ではないでしょうか。
ホームレスなんて、自分とは何の関わりもない別世界の出来事だと思っている人が、多いように感じられます。ところが、実は誰だってホームレスになる可能性はあるのです。そのことを恐れるのでもなく、悲観するのでもなく、それもこの世の常だと受け止められる人が、今どのくらいいるでしょう。彼らを、憐れむのでなく、蔑むのでなく、忌み嫌うのでもなく、それぞれの人生を精一杯生きている、自分と何の違いもない人間と感じられるなら、あなたの感覚は真っ当なのです。そのことを思い出させてくれる動画でした。
この動画は12/23にリリースされ、欧米では多くの視聴者の反響を呼んでいます。ベートーベンの第九ではありませんが、クリスマスにふさわしい動画です。ただ、どうも日本人の多くは、欧米文化のクリスマス精神について、あまり良くわかっていないのではないかと思われるのです。この動画に関する日本人の反応を見ていても、今ひとつ海外での深い反響の意味が、ピンときていないようです。
せっかくクリスマスを祝うなら、クリスマスの意味もちゃんと感じて欲しいものです。ということで、クリスマスの定番テーマソングであるベートーベンの交響曲第九番第四楽章「歓喜の歌」から、クリスマス精神を端的に表現している部分を抜粋しておきます。多少継ぎ接ぎの文章ではありますが、キリスト教的精神の最良の部分を感じて頂けたら幸いです。

時流が強く切り離したものを、汝が魔力は再び一つに結び合わせる。そして今、すべての人々は兄弟となる。物乞いらは君主らの兄弟となるのだ。さあ、歓喜に声を合わせよう。
真実の友と呼べる友がいる人は幸いだ。喜ぶがいい。あるいは、地上にただ一人だけでも、心を分かち合う魂があると言える者も歓呼せよ。そして、それがどうしてもできなかった者は、この喜びの歌の輪から、泣く泣く立ち去るがよい。(シラーの詩の一部)

And so this is Xmas (さあ、クリスマスがやってきた)
For weak and for strong (弱い者にも、強い者にも)~同じようにね
For rich and the poor ones.(金持ちにも、貧しい者にも)~分け隔てなくね
The world is so wrong.(世界はこんなに間違っているけどね)~それでも、僕らは一つになれるさ
Happy Xmas(War is over)John Lennon