中国起源の風水とは異なる、沖縄の伝統的な家相の教えがあります。とは言っても、沖縄の風土に適した家造りというより、普遍的な人間の住まいとして、最適の家造りを目指した、祖先の深い知恵の教えです。
日本一長寿の村である北中城村に現存する最古の士族の屋敷「中村家住宅」も、屋敷の向きや門のあり方、トイレや炊事場の方角、一番座・二番座の位置など、そうした伝統的家相に則って建てられています。
心身の健康や仕事運などの家族の問題点を、家相から判断して対策を講じる長嶺さんの「カミングヮの教え」も、基本的にはまったく同じ考え方に由来します。水周りの位置や、屋敷囲いのあり方、床の間の位置や方角など、教えは同じです。
また、この家相の教えは、持ち家の屋敷でなくとも、マンションやアパートでも、ほぼ同じように通用するようです。さらに、沖縄県内だけでなく、少なくとも日本国内では、かなり当てはまるように思います。


【1】最も重要なのは、トイレの位置です。トイレは必ず、家の中心から北西の角でなければなりません。そこが、トイレの神様がもっとも好きな場所だからです。北西の角のトイレは、とても落ち着く場所になります。それに、北西のトイレは、湿気がなく、いつもカラッと乾いていて、カビが生えたりしません。それほど掃除に気を使わなくても、いつも清潔で綺麗で、気持ちの良い場所になります。
トイレの位置は、家人の精神安定と健康状態に、もっとも大きく作用します。ですから、たとえ角でなくとも、最低限、家の北西側にあって欲しいものです。そうすれば、万全ではなくとも、禍は呼ばないでしょう。心身共に健康でいられるはずです。ただし、たとえトイレが北西に位置していても、トイレの真上に部屋を作り、トイレの上の床を常に足で踏むような家のつくりはまずいようです。神様を踏みつけることになるとされます。


【2】次に重要なのは、浴室の位置です。浴室もまた、必ず家の中心から北西側になければなりません。トイレと同じで、北西の浴室は掃除が本当に楽です。また、窓を大きくとると、家の中でもっとも明るく、気持ちの良い場所になります。これが北東にあったり、南西にあったりすると、汚れやすく、落ち着かない浴室となります。さらに、南東の浴室の場合は最悪です。家全体の気の流れが悪くなってしまいます。薄暗く、陰気で、いつもジメジメしていて、カビも生えやすく、そのために、気が滞りがちになり、鬱や頭痛のもとになります。また、チャンスや福運を、逃しがちになります。ただし、トイレが北西の角にあれば、かなり凶意は緩和されます。いずれにしても、北西以外の方角にあるトイレと浴室は、常に掃除と浄化に気をつけねばなりません。


【3】さらにキッチンの位置が重要になります。トイレ、浴室とともに、水廻りは互いに離れさせずに、一ヶ所にまとまっていることが大事です。そして、キッチンの水廻りも、できれば家の中心から北西側にあって欲しいものです。(また、沖縄では台所の神様として〝竈神〟を祀る〝ヒヌカン〟を、北側の窓に面した台所のコンロ近く及び換気扇の下付近に置きますが、このヒヌカンの位置も、出来ればキッチンのシンクのすぐ右隣に、家全体から見てやや北西側に寄っていた方が良いとされています。)そうでなくとも、キッチンは最低限、西側か北側にはあって欲しいものです。

*〝水廻り〟の北西の角にあって欲しい重要度は、1位トイレ➡2位浴室➡3位キッチンの順です。また、水廻りの上に部屋を作る場合は、寝室にすることは避けてください。水廻りの上の部屋では、人はよく眠れません。物置や収納にするか、見取図上、一階と同じように、縦に重ねるようにトイレなどの水廻りを持ってくるのがよいようです。


【4】浄化槽がある場合は、浄化槽の位置が重要となります。浄化槽は土地を汚すとされるので、どこに作ってもよいというわけにはいきません。これも、屋敷の敷地の北西の角につくる必要があります。また、この浄化槽も、トイレの神様が宿る場所なので、できるだけ人がその上を足で踏むことのないようにしなければなりません。もちろん駐車場にもできません。浄化槽の位置は、トイレの位置と同じで、家相上、最重要の問題の一つです。浄化槽の上に、車庫や倉庫などがあったり、軒の屋根が伸びて上にかぶさるのもまずいようです。

*下水道に接続が可能となった時には、浄化槽はもちろん撤去した方が良いのです。浄化槽を撤去する際には、上層部だけを取り出して汚れた下部を潰して残したまま埋めてはいけないとされます。費用は余計にかかりますが、できれば浄化槽は潰さずにまるごと撤去した方が良いです。土地からすべての不浄物を取り去ることが大切だということです。
屋敷の土地の汚れは、土地神様への不敬になりますから、花壇に堆肥を入れるのも禁物です。ですから家を買う時は、土壌のキレイな土地を買うことが、一番大切ということです。敷地内に汚水などが溜まっていて、土が汚れている場所があると、その家に住んでいる人の健康が害されることが多いようです。


【5】床の間・仏間は、東・南東・南の窓からの光が、直接当たることが大切です。最も重要なのは、東からの陽光で、その光が床の間に当たることが肝要です。窓はできるだけ大きく、部屋は明るければ明るいほどよいです。窓の重要度は、東➡南東➡南の順です。ですから、床の間・仏間は、西の壁を背にして東に向けるか、北の壁を背に南を向けるかです。この床の間・仏間の状態は、家人の頭の働きに影響します。床の間・仏間に朝日が入ると、勉強や読書がはかどり、直感が鋭くなります。仕事運も上向きになるでしょう。

*この床の間・仏壇の向きは、『墓相』とも深い関わりがあります。実は、お墓の場合も、東~南東向きがもっともよく、西~北西向きがもっとも悪いのです。こうした方位の吉凶は、四神と方位の関係によって説明されます。すなわち、春を司り、生命の芽生えの象徴である東(青龍)の方角と、夏を司り、生命力の最盛期を象徴する南(朱雀)の方角が吉方とされ、秋を司り、老年と衰退の象徴である西(白虎)の方角と、冬を司り、死と停滞の象徴である北の方角を凶方としているのです。そして、墓が凶方を向いているのは、お家衰退の墓相と考えられています。「人の死に関わるお墓の方角だから、北や西に向けるべき」というわけではないということです。


【6】自宅の場合は、必ず屋敷囲いをすることです。四方の角を囲み、塀の高さは1m~1.5mぐらいが手頃です。この屋敷囲いが、結界となって、家の護りを強めます。屋敷囲いがないと、風当たりが強くなり、運命がなかなか平穏無事に収まりにくいのです。そして、一つの屋敷囲いの内側には、二つ以上の住居をつくってはなりません。例えば、一つの敷地を区切らずに、二世帯の住宅を別々につくるのは考えものです。部分的にくっついているのはさらにまずいです。ともかく、一つの敷地には、一つの建物だけを建てることです。もし、どうしても二棟建てる場合には、隣の家との境界は、垣根だけでも良いので、必ず作る必要があります。屋敷囲いの結界は、一つの屋敷しか守ってくれないからです。

*水廻りという点では、屋根囲いの内側の敷地内に池や井戸を作るのは厳禁です。家の周囲に井戸や川がある場所も、なるべく避けた方が無難です。また、背後に崖を背負っている家や、逆に崖の上に建つ家は、当たりが強くなりがちなので、注意が必要です。


【7】門や玄関の方角は、まったく問題にしませんが、玄関に入った時、反対側の窓まで素通しで見えてしまうのは、やはり、玄関からの風当たりが強すぎて、気脈上、あまりよくありません。玄関から入って、キッチンや茶の間や寝室までの通路は、適度に曲がりくねっている方が、良い気が流れるのです。中村家の正門の内側に、玄関を覆い隠すように建っている巨大な壁(ヒンプン)も、外からの強いあたりを防ぎ、入ってくる悪い氣を遮るためにあります。


【8】沖縄に多いのですが、コンクリート流し込みの鉄筋コンクリート建築の住宅の場合、気をつけたいのは内部の生活空間のデザインです。避けたいのは、昨今の流行りですが、天井と壁がコンクリート剥き出しのままにすることです。天井と壁は、コンクリートの内部に、しっかり作ることが大切です。材質は、石膏ボードでも、木でも構いません。床は、タイルやリノリウムではなく、木か畳がおすすめです。重要なのは、コンクリートと居住空間の間に、別の空間を作ることなのです。
コンクリートは、言わば、人工の石ですが、石を剥き出しにする西洋建築のスタイルは、日本の気候風土には、全く向きません。湿気が多くこもり、冬冷たく夏でも肌寒い、劣悪な生活環境になります。心身ともに影響が大きいので、絶対に避けるべきです。


以上の点を守って家を建てると、本人の運気が著しく強まり、運命が開けてくることが多いようです。
しかし、最近は、沖縄の建築業者でも、ヒヌカン(竈神の香炉)の置く場所も考えずにキッチンを作ったりします。また、特にマンションなどでは、たとえ4LDKの広さがあっても、床の間もなければ、仏壇を収める場所もないかたちに、部屋が設計されていることがあります。
たとえ、注文に応じて設計された一戸建ての家でも、トイレや浴室やキッチンの位置などについて、肝心のこと(家相)を気にして設計された家は、ほとんどありません。姓名や墓相などと同様に、家族の健康や運命に、かなり確実に関連性が見られるだけに、これは本当に残念なことです。
よりよい人生を生きるために、科学的知見や合理的な観点からだけでは解らない、伝統的な家造りの深い意味合いを、もう一度、しっかりふまえて、改めてご自宅の家相を考えてみてはいかがでしょう。
もちろん、家相が良ければ、必ず運が開けるというものでもなく、家相が悪ければ、絶対に運が開かれないというものでもありません。「家3・人7」と言うように、もっとも大切なのは、気づきや心持ちや祈りや縁といった人の要素なのです。
また、アパートなどを賃貸して住んでいる場合、理想の間取りの住宅などまずありません。それをあまり気にしすぎては、どこにも住めなくなってしまいます。姓名判断や誕生日による占いなどと同様に、厳格に考えすぎては生きていけないというのも事実です。一般的には「家を選んだり建てたりする時の一つの判断要素として頭にいれておく」ぐらいで十分なのかもしれません。
そして、トイレの位置にしても、浄化槽の位置や撤去方法にしても、勝手な思い込みで、こうすれば必ず神様への不敬不遜になると、過度に気にしすぎるのも考えものです。繰り返しますが、大切なのは、日頃の心掛けや感謝の気持ちであって、かたちや形式ではないのです。無理して借金して生活が苦しくなることなど、神様は望んでいらっしゃらないでしょうから。方角などは、あくまでも、一つの〝目安〟にすぎない、と心得ておくことも、実生活の中では必要だと思います。


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