4月に宮古島で木村さんの講演会があったのですが、その時に、木村さんの育てたりんごを一つ頂きました。それから、その貴重なりんごは、ずっと我が家の台所に置かれているのですが、5ヶ月経った現在も、変わらず甘い芳香を放っています。
見た目には、黒光りする濃い茶色に変色していて、表面は、まるで巨大な梅干しのようにしわくちゃです。大きさは直径が5㎝程にまで縮みましたが、下に敷いてあるレースの敷物には、驚いたことに染み一つありません。これまで五ヶ月もの長期間にわたって、この同じ敷物の上に置いていたのに、まったく染みがついていないということは、その間、このりんごが、腐らず、カビも発生せず、一切汁が出なかったということです。
りんごを触ってみると、しわくちゃの表皮は硬く乾いていて、その中の果肉も干物のように硬く乾いています。ただし、重量の方は、元の10分の1もないのではないでしょうか。持ち上げてみると、コルクかスポンジのように、ふわりと軽くなっているのです。
どうして湿度も高く、日も当たらないこの台所に放置していて、ここまで水分が抜け切った見事な干しりんごが出来てしまうのか、まったく意味がわかりません。台所のすぐ隣には風呂場があり、いつもドアを開けっ放しでシャワーを浴びるので、湿度が70%を超えることもしばしばあるのですが。
ともかく、このりんごは、表面にカビが発生することもなく、汁が出たり腐敗したりもせずに、5ヶ月間、甘い匂いを放ちつづけています。その上、最近になって、その香りはますます強く、ますます豊かになってきました。
この、異常に深く豊かな生命力。なるほど、これは確かに、〝奇跡のりんご〟です。無農薬、無肥料の完全自然農法というのは、本当に計り知れないものです。木村さんもすごいし、自然もすごいです。
ただ、残念なことに、この奇跡のりんごの本当の凄さについて、日本社会はあえて無視しようとしているように感じます。それどころか、一部には激しいバッシングさえ見られます。
そして、現在までのところ、無肥料・無農薬の栽培は、りんごのみならず、稲や野菜などの他の農作物においてすら、あまり広がりを見せていません。そして、それには、幾つかの理由が考えられます。
①モンサント=住友化学連合など、この国の経団連の根幹企業集団を敵に回していること。
世界最大の農薬・化学肥料・遺伝子組み換え種子メーカーであるモンサント社と、日本でのモンサントのパートナーである住友化学は、共に巨大企業であり、社会的な影響力も大きい。特に住友化学は、化学肥料と農薬の国内最大のメーカーですから、農協との結びつきが深い。岡山農協を除いて、すべての農協が木村さんを敵視しているのも、その辺のコネクションと大いに関係があるのではないでしょうか。
無農薬・無肥料農法は、農薬も化学肥料も一切必要としないという点で、日米の財界のリーダーを本格的に敵に回しているために、スポンサーが付きにくいし、企業の協賛も得られにくいということです。それどころか、バッシングの標的にさえ、されてしまうのです。
そのため、メディア含めて社会全体に「木村さんについては、無視した方がよさそうだ」という消極的な雰囲気が蔓延しがちです。
②木村さんの言動に不信感を持つ人が多い。
例えば、木村さんは「UFOに乗ったことがある」とおっしゃっています。その他にも、かなりスピリチュアルな傾向を持っていらっしゃる人のようです。しかし、ユングやシュタイナーなどもそうですが、日頃の言説がオカルトめいていると、社会的信用がなかなか得られにくいところがあります。先進的な人、創造的な人にはありがちなのですが、なかなか信じてもらえず、「すべて、この人の妄想ではないか」と疑われてしまうのです。
特に、小保方さんバッシングに狂奔するような人々は、木村さんに対しても、攻撃したい衝動を感じるようです。特に、学識者・科学者・マスコミ・ニセ科学批判者などが、そういう傾向を持っています。再現性を伴う確かな証明が困難な、奇跡と言っていいような現象は、すべて疑ってかかるのです。
ただ、小保方さんと違って、木村さんには「奇跡のりんご」という事実・実証・実物があるだけに、表立ってはバッシングしにくいのです。それで、正面から非難中傷を浴びせるかわりにネット上で罵詈雑言を書き連ねるか、完全に無視するのでしょう。
ですから、小保方さんが実際にSTAP細胞をつくって見せたなら、今度は木村さんのように無視されるのかもしれません。(12月末現在、残念ながら、STAP細胞は、作ることはできなかったようですが。)
③無農薬・無肥料農法は、農場経営としては、なかなか困難が多い。
実際に無農薬・無肥料農法に切り替えた人たちが、初期の段階において相当の苦難に見舞われることがあります。
それまで、長い間、化学肥料と農薬を使用してきた農地で、いきなり無農薬・無肥料に切り替えても、すぐにははかばかしい結果が出ません。まずは土を養わなければならないわけですが、それには最低でも、5~10年はかかると言われています。土が自然で健康な状態を取り戻して初めて、奇跡の生命力に満ちた作物が育つのです。
また、最初うまくいくように思えても、すぐに壁にぶち当たるとも言われています。生き物を育てるにあたっては、長年のカンがものをいう局面が必ずあるわけですが、そのカンを養うには、やはり、試行錯誤の経験が大切になります。その経験を積み重ねるのも、一朝一夕にはいきません。どうしても、時間がかかるのです。
そのような「生命と向き合うことに関わる困難」と格闘するのを、現代人の多くは、非常に不得手としています。一般に、費用対コストの計算が通じない方面に関しては、まるで想像力が働かないのです。そのため「こんな手間のかかる農業は、苦労ばかり多くて実入りが少ないから、ビジネスとしては成り立たない。ぜんぜんダメだ!」と否定しがちです。
④無農薬・無肥料で、りんごをつくれる人が、他に出てこないこと。
米や野菜など、他の作物ではできるのですが、実際に無農薬・無肥料栽培で、りんごの生産に成功した人が、木村さん以外にいないのです。これが、実は最大のネックかもしれません。木村さんの教えを受けて、奇跡のりんご栽培に成功するりんご農家が何軒か出てきたら、状況は変わってくるでしょうが、現時点では、「木村さんは、普通ではない超常能力者だから育てられるのだ」ということになってしまいます。
それでは、「超能力者ではない普通の人には無農薬・無肥料でのりんご栽培は無理!」ということで片付けられてしまい、さらには「木村はインチキだ!ゴマカシだ!ウソつきだ!ぺてん師だ!」「本当は奇跡のリンゴなんて存在しないんだろ!」とまで言われるようになってしまいます。まるで、小保方さんのSTAP細胞のようなものです。
そうでなくとも、たとえインチキではないにしろ、「木村さんは、たまたま偶然に奇跡的に成功しただけで、そのノウハウはまったく確立されていない」とみなされてしまうことは必定です。これでは木村式農法は広まりません。
さて、現在、唯一、岡山農協が進めている木村式自然農法による米作りですが、これも実際に食べて見なければ、その凄みはなかなか実感できません。
私自身は、岡山で実際に無農薬・無肥料で栽培されている原種米「朝日」の玄米を、購入して常食しております。このお米を、試しに電子ジャーの中で一週間放置しておいた後に、食べてみたのですが、まるで炊きたてのお米のように、まったく臭みがなく美味しくいただけました。このしぶとい生命力、奇跡のりんごと同じく、やはり無農薬・無肥料ならではのものと感じます。
また、「朝日」は、品種改良されたササニシキやコシヒカリと違って、ビタミンが豊富で糖分が少なく、いくら食べても肥満になりにくいのが特徴です。玄米で食べても残留農薬の心配もいらないし、安全そのものです。
価格は5kgで5000円と、多少割高ですが、一週間や二週間、時間が経っても、ジャーの中で味が落ちないので、食べ残したり捨てるということがありません。歯ごたえがしっかりしていて食べ応えもあり、栄養のバランスもよく、意外と倹約できるのではないかと思います。
ともかく、玄米らしからぬ美味しさで、納豆で食べてもよし、生卵をかけてたべてもよし、ふりかけをかけるのもオーケーです。何より、自然農法の朝日米を食べ慣れてしまうと、他のお米では、何か物足りなくて、満足できなくなってしまうのですよね。
🌠2017.1、我が家の台所に置いてある「奇跡のりんご」は、すっかり棚の上のオブジェと化していて、かびもせず、傷みもせず、3年前と変わらない艶やかな姿で芳香を放っています。シワシワの乾燥林檎ではありますが、時々取り上げて匂いをかぐと、仄かに甘い香りがします。
🌠2018.11、「奇跡のりんご」は、さすがに芳香が薄くなってきた感じはしますが、あいかわらず艶やかで、オブジェとしては健在です。見かけは、大きい胡桃のような感じです。
「朝日米」についてですが、ジャーで炊く時に、もちきびを少量混ぜてから炊くと、パサつきがなく、より美味しくいただけます。
🌠2025.10.14、「奇跡のりんご」オブジェは、玄関に置いてあります。11年前とまったく変わらず、カビも生えず、綺麗です。さすがに匂いはほとんどしません。
シワシワでコルクのように軽いので、元はりんご🍎だとは、誰も気づかないでしょう。まさに奇跡の置物です。
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