NHK BSの特集「毛沢東の遺産~激論 二極化する中国」を見ました。
胡錦濤から習近平へと政治権力が移行しつつある今、毛沢東についての評価が中国国内で真っ二つに分かれているのだそうです。映像では、毛沢東に対して肯定する人々と否定する人々が、白熱の議論を行う様子が映し出されていました。
一方は「毛沢東は己の権力を維持するために、大躍進の失敗によって数千万人(推計で2000~5000万人)が餓死した責任を、劉少奇や鄧小平ら実務派の政治家や官僚なすりつけ、紅衛兵を操って中国全土で知識人・文化人への迫害を奨励し、ついには10年の長きにわたる未曾有の社会的大混乱と文化破壊と殺戮(推計で1000万~4000万人が迫害死)をもたらした」と主張します。
この見解は、わたしがワイルドスワンを読んだり、NHKが行った取材でのさまざまな証言を見たりする中で培ってきた文化大革命への見方と完全に一致するものでした。「文革の時には、毛沢東の批判などしたら命がなかった」「もう一度、あんな暗黒の時代に戻りたいのか?」と彼らは訴えるのです。彼らはいつまでたっても政治の民主化を実現できないことに苛立ち、そして言論の自由が脅かされることを危惧していました。
しかし、もう一方の人々は「毛沢東が造反有理を呼びかけた時、中国民衆の憤懣は臨界点にきていた」「毛沢東の呼びかけに応えた民衆は、平等を求めて立ち上がったのであり、それは民衆の当然の権利の行使だった」「しかし、最終的には官僚が造反派を虐殺して終わったのだ」と主張するのです。そして「今は、毛沢東時代よりはるかに悪い」「昔は貧しくてもみな平等だったのに、鄧小平の改革開放路線のせいで、今や0.02%の富裕層が、この国の富の70%が独占しているのだ」「金持ちの官僚だけが肥え太って、我々民衆は、どんなに一生懸命働いても惨めな生活から脱出できない」「今こそ革命が必要なのだ!」と叫びます。
「わたしの友人の一人は、引き取った幼い娘を育てるために働き続けて、ある日家に帰ってきて、そのまま過労死してしまった」「また一人は、高価な品物を誤って割ってしまった時に、雇い主に金槌で何度も何度も頭を殴られて、それ以来ひどい障害を負って働けなくなってしまった」
彼らは惨めな暮らしの中で誰からも顧みられることなく死んでいく自分自身と同胞の運命に激しい怒りを感じていました。その叫びを聞き、彼らの生活の様子を知るにつれて、その叫びが止むに止まれぬものであることが分かってきます。
最優先のそして根本的な課題は、毛沢東の真実についての吟味ではないのです。問題は日本では想像もつかないほどの、途方もない貧富の格差にあります。そして社会全体に蔓延する「思いやりの欠如」にあります。
以前から言っていることですが、やはりこの国の富裕層と、現状でウィンウィンの関係など築くことは不可能です。そのような〝戦略的互恵〟関係は、中国の貧困層がある程度の平等感を感じられるようになってから考えるべきでしょう。
今の中国に進出して儲けようとするのは、富裕官僚による支配を支え、革命を叫ぶ貧困層を愚弄しているのと同じです。ちょうど〝北朝鮮への韓国の無償援助〟と同じで、巨大な格差を生み出した現政権の延命に、自分の都合だけ考えて力を貸しているのも同然なのです。
極端な話をすれば、自国の民衆を虐殺するアサド政権の延命に力を貸すロシア政府や中国政府と同罪です。あるいはガザ地区のパレスチナ人の子供たちを虐殺するイスラエル兵を支援・擁護するアメリカ政府と同類の罪を背負うことになります。

たとえば平和憲法に誇りを持つ人(護憲派)であるなら、国際平和への貢献を真っ先に意識しているはずです。ちょっと考えればすぐに思い至るはずなのに、この国の左翼はなぜ「巨大格差社会を現出させつつある今の中国と、己の私利私欲のために貿易するな!」「民衆の怒りが沸騰点に達しようとしている中国には企業は進出するべきではない!」「今の中国で儲けようなどと考えるのは罰当たりだぞ!」「中国・韓国とのFTAなど問題外だ!」と叫ばないのでしょうか?(*1)
よく中国との関係は「政冷経熱」だと言われます。どんなに政治的関係は冷え込んでも、経済活動は活発であって良い(あるいは事実活発だった)という意味ですが、わたしはむしろ逆に「政熱経冷」でいいと思っています。
尖閣問題では中国政府に付けいる隙を与えないように、うかつに挑発には乗らず、習近平に利用されないようにしなくてはなりません。しかし、相手のメンツを潰さないように多少は気を遣うとしても、言うべきことは堂々と論じ、きっちり指摘することが大切です。そういう意味では、関係を断つのでも疎遠にするのでもなく、むしろ好敵手というような濃密な関係を創るべきだと思うのです。日本との領土紛争を、中国国民の政府への不満に対する適度なガス抜きの手段に利用されないためにも、そうした〝なめられない外交〟を貫くことが、正しい外交手腕というものでしょう。
ただし、鳩山元首相のような無能極まりない人間に、これ以上日本の外交を引っ掻き回されたくはないと言うのは、多くの日本人の一致した見解ではないでしょうか?
尖閣で双方の戦闘機が飛び交っているこの時期に、しかも謝罪を全面降伏としか受けとらない中国人に対して、〝南京大虐殺の謝罪〟とか〝尖閣は係争地〟とか、勝手なことを軽々しく言ってくれるものです。その上、中国側が嘘のデータを積み上げた南京大虐殺記念館(*2)で、夫婦で仲良く記念写真の撮影とか、よくもまあ平気でできたものです。夫婦揃って脳味噌が膿んでいるとしか思えません。
首相というあまりにも重い経験すらも、鳩山氏に国家を背負うことの重みを実感させ、国益のなんたるかを学ばせる契機にはならなかったようです。
育ちが育ちだから仕方がないのかもしれませんが、あのように軽薄で考えなしの男を、一旦は首相に選んでしまった日本国民の責任も本当に重いです。平和ボケのこの国民あって、ろくでもないこの首相あり、です。
自分がどれほど自己本位で無責任な行動・言動を繰り広げているのか、まったく無自覚でいられるほど己を知らない上、周囲からどう見えるかも分からない、これほど無能な男に一度は日本の舵取りを任せたのですから、恐ろしいことです。
多くの中国人は、口では「よくやった!君は偉い!尊敬する!」と鳩山氏をおだて上げながら、「あの鳩山というのは実におめでたい人間だが、あれで首相が務まるのだから、日本という国は本当に手玉に取りやすい」とほくそ笑んでいるに違いありません。それで当人は気を良くして帰ってくるのですから、これはもう呆れるのを通り越してため息をつくほかありません。
一方、安倍首相は相変わらず「戦略的互恵関係に戻るべきだ」という間違った方向に考えています。さらには「中国含めてアフリカ・アジアからの留学生を三万人招く」などという愚かな政策も実施するようです。今でさえも奨学金目当ての留学生たちが大量に押し寄せているのに、これ以上『留学生難民』を増やしてどうするつもりなのでしょう。彼らのお目当ては月々17万円の無償奨学金のみです。金以外に日本に用はないのです。日本語すら覚える気はありません。お願いだから税金の無駄遣いはやめて欲しいです。
連立与党の公明党の山口代表は中国へ向かうようですが、こちらも鳩山氏の二の舞になりそうです。安倍首相も、根っから親中派の公明党と連立してどうするつもりなんでしょうね。日本の政治は本当に救いようがありません。
そして、何より救いようがないのは、麻生氏の後期高齢者医療制度に関する「早く死んでもらって」発言は一斉にバッシングしても、鳩山氏の「議員バッチははずしても、今後も友愛に基づいて行動を続ける」発言は、きれいにスルーできるこの国のマスコミの報道姿勢です。どちらがより重大発言なのか、的確な判断もできないようです。それどころか、この国のマスメディア関係者の多くは、恐ろしいことに鳩山氏の言動に、さして問題を感じていないのではないでしょうか。
よもや「鳩山氏の行動は正しい」などと思っているのではないかと、どうもそのように思えて仕方ありません。「いくらなんでもまさか!」とは思いたいのですが…。


(*1)同じことはアメリカとのTPPに意欲的な親米右翼にも言いたいです。あんな巨大格差社会のアメリカとTPPを結ぶなんて、こちらも正気の沙汰とは思えません。「アメリカとFTAを結んだ今の韓国の末路を見てからものを言え!」と言いたいですね。

(*2)例えば中国政府は、江沢民以前、日中戦争の戦死者を軍属民間あわせて932万人、行方不明者を289万人、計1221万人を犠牲者として公式発表していました。この数字自体、国民党との内戦による死者も含まれているかなり誇張された数字ではないかという恐れもあります。というのも台湾政府の公式見解では、日中戦争の戦死者は、軍属131万人、行方不明者13万人、民間の犠牲者は578万人の計722万人だからです。これは大戦中の日本人の戦死者数とそれほど違いのない数字です。
ところが1995年、江沢民は突然その数字を3500万人と大幅に水増しして発表しました。以後、中国側は「日本はナチス・ドイツと並ぶ虐殺国家であった」という根拠のない主張を声高にするようになりました。そして「ナチスは戦後完全に解体され、ドイツ政府は公式にその組織的虐殺についてイスラエルに謝罪したのに、日本は天皇制を維持し続け、虐殺に関してまともな謝罪もしていない」というまったく正統性のかけらもない〝いわれなき非難〟を世界中に言いふらすようになったのです。
数字だけで考えても、大躍進と文革の犠牲者数はひた隠しにし、日中戦争の犠牲者数はどこまでも誇張し続けるという反日宣伝が横行しているのです。そして、こうした中国政府の〝反日〟政策の象徴であり牙城である施設が、南京大虐殺記念館なのです。
中国側は南京大虐殺の犠牲者数を30万人と公式発表しています。それに対して日本側の主張は数千人から最大でも4万人と主張しており、その差は30万人~2000人までと、両者の見解はあまりにも異なっています。中国側は日本人研究者を恥知らずの邪悪な嘘つきと罵りますが、果たして本当にそうでしょうか?
日本人の研究者は、学問は学問であり、政治的意図を紛れ込ませる余地は残さないという点では、むしろ中国・韓国の研究者たちよりもはるかに信頼できるとわたしは考えています。どう考えても、情緒に任せて学問的裏付けもなく数字を誇張しているのは中国側の方です。
そんな渦中で鳩山氏は、「日本軍による中国人30万人の虐殺と3500万人の戦死者の犠牲」に対して、その極端に誇張された数字を事実と認めて謝罪したのです。少なくとも中国側はそう考えています。そうして「日本軍がナチス並みの史上まれにみる残虐行為を行ったということを、よく認めましたね」と頭を撫でられて、気を良くして帰ってきたわけです。
このような愚鈍な人物を、一時とは言え首相と仰いでしまった政党が、長期的に見て滅亡の道を歩むのは自明の理と言えましょう。民主党をさんざん引っ掻き回したあげく滅ぼすのは、創立者の一人である鳩山氏の勝手かもしれません。しかし、あの男は一体なんの権利があって、この日本国の歴史を貶め、この国を滅ぼそうとしているのでしょう?