環太平洋経済連携協定(TPP)の問題点をひとつ上げると、包括的に考えて日本にはあまり利益がないということです。というのも、たとえ自動車の関税が0になろうと、ほとんど現地生産化している現状においては、たいした利益増は見込めないし、その代わりに農業が壊滅して食の安全保障が脅かされるのではまったく割に合わないのです。
もし、778%の米の関税が0になり、小麦や大豆の関税もなくなったら、穀物自給率が圧倒的に下がるのは目に見えています。外食産業はほとんど海外米に切り替わるでしょうし、逆に日本米は今の三倍ぐらいの値段になるのではないでしょうか。実際シンガポールや北京や上海では、今でも日本の三倍の値段で日本米が売れています。結局、日本の安全で高品質の食品は世界のブランドとして富裕層の希少な贅沢品となり、庶民はアメリカ米やベトナム米で我慢するという二極化の社会になります。
この国のGDPの87%は内需だというのに、アメリカさんにその内需に食い込まれて、農業以外の金融・保険・医療、その他サービス業が食い荒らされ、さらにはアメリカンスタンダードに強引に合わせるよう「ISD条項」によって強要され、この国の社会が、システム上も文化的にも甚大な損害を被る恐れがあります。国民皆保険の制度が崩壊すれば、アメリカ式の企業による保険や年金が富裕層を支えることになります。いずれはアメリカ並みに、およそ国民の三分の一は健康保険に未加入という社会になるでしょう。
何しろアメリカという国は、所得上位1%の人々が国民の総資産の三分の一以上を所有しており、それが下位90%の人々の総資産を上回るという想像を絶する格差社会です。さらに優良企業の代表取締役は、一般労働者の1700倍の給料を取る国です。単純に考えて、労働者の年収を300万円とすると、社長の年収は50億円ということになります。
これでは『反格差デモ』が収まらないのももっともです。日本がこんな社会になったらまさに悪夢です。
被害の甚大さを予測できる人は、「何でそこまでしてTPPに参加しなけりゃいかんのか?」と思うのも当然です。では、その「どうしても参加しなければいけない」理由はいったいなんなのでしょう?
それは「アメリカより中国が怖い!」という、ただその一点につきます。
具体的に言うと、不利は承知でなんとしても交渉に参加しなければいけないという危機意識を日本政府が持つのは、この国がお隣の強大な中国の経済圏に飲み込まれてしまうことを恐れているからです。今や、日本の輸出の10%がアメリカ向けなのに対して中国向けは13%になり、将来的に中国経済圏に日本が飲み込まれるという危機感は現実的なものになってきています。去年のレアメタル禁輸措置によって国内産業がパニックに陥った時に思い知ったように、中国にこの国の生殺与奪権をこれ以上与え続けるのは非常に危険です。
また、南シナ海や東シナ海での軍事的な覇権を目指す中国の動きに対して、日米同盟を緊密なものにしておきたいという思惑もあるでしょう。鳩山さんが普天間問題でラチがあかない膠着状態を招いてしまったかわりに、代償としてTPPに参加することで、アメリカのご機嫌伺いをしているようにしか見えません。
経済的にはアメリカの美味しいカモになりきるから、いざという時は中国から軍事的に守って欲しいというわけです。
しかし、いくらなんでも、今すぐ中国が軍事的に日本と対決したいと思っているとは考えにくいです。
むしろ、中国にしてもアメリカにしても、真の狙いは日本人の1400兆円にのぼるとも言われる莫大な規模の国民預貯金にあります。この金融資産を切り崩さなければ日本は滅ぼせないからです。バブル崩壊や金融ビッグバンやリーマンショックやらで日本の投資資金は数百兆円の損失を出してきました。しかし、まだまだ日本の貯蓄率は世界一です。結局、どれほど国債が膨れ上がろうと、その95%を国内で消化している以上、日本は欧州危機のような状況には決して陥らないのです。欧州では日本に倣って預貯金を増やそうという掛け声が高まっています。しかし、今回のTPPで郵貯が切り崩されたらどうなるでしょう?
最大の問題点は、日本国民自身に「国の防衛」という意識が決定的に欠落していることです。
親米派は、アメリカさんがいつまでも日本を守って下さると思い込んでいます。利益度外視で、とはさすがに思っていないでしょう。しかし、膨大な思いやり予算や基地使用料を日本側が快く負担する上に、アメリカが勝手に起こす戦争の莫大な費用さえも気易く肩代わりし、さらに戦争の長期化によるアメリカの財政赤字の帳尻合わせ(今回のTPPしかり)に進んで協力してさえいれば、自分たち日本の富裕層は安泰だと思っています。つまり、出すものさえ出しておけば、アメリカは組みしやすいというわけです。
さらに親米派は、アメリカへの協力のためには、憲法改正して一部国民を誰も望まない戦地へ送り出すことさえ視野に入れているのではないでしょうか。これではまるで、アメリカの飼い犬のようなものです。挙げ句の果てに、国内政局がグタグタになってどうしようもなくなったら、自分はオーストラリアかニュージーランドあたりに財産確保しといて、悠々自適の引退生活へと逃げる気満々という人もいます。
逆に親中派はというと、TPP絶対反対を唱えるのは良いのだけど、その理由が「中国が嫌がっているから」というのはいただけません。彼らの言い分を聞いていると、まるで中国の家来のようです。日米安保反対、基地反対の人などは、この日本がいずれ、圧倒的な軍拡を続ける中国に占領されるとしても、それでも構わないと言わんばかりの勢いです。
彼らは「アメリカよりアジアと親しくなろう!」などと言ってますが、中国支配下のチベットやウイグルで、今までどれ程の人々が蹂躙されてきているか、見て見ぬ振りをしています。いったん中国のような大国の支配を受けてしまったら、その扱いのひどさはどれ程のものになるか、あまりにも考えが及ばなさすぎます。
例えばカザフスタンは、ソ連支配下の時代に1989年まで450回に及ぶ地上での核実験場とされました。ウイグルは、中国支配下で1996年まで46回に及んで行われた核実験によって、死の灰が降り注ぎ続けました。どちらも住民への通告なしの抜きうち核実験です。どちらにおいても地上に降り注いだ放射能量は福島の比ではありません。
ソ連の崩壊により、ロシア人の所業は白日の元に晒されましたが、それでもロシアはカザフスタンに一切の補償をしておりません。一方で中国はウイグル人を支配し続けており、核実験の事実すら公式には認めようとしません。有名なロプノールや敦煌に降り注いだ放射能量を計測することすらできません。実際にはシルクロード観光へ行った日本人も多く被爆していると思われます。
チベットでは人々が「独立」を主張するだけで、中国政府による甚だしい人権侵害と虐殺の憂き目を見ています。今年もすでに、軍や武装警察の横暴虐待に抗議して、チベット僧がすでに11人も焼身自殺しています。チベットに隣接するネパールでは国王一家虐殺の後、国内での毛派の支配力が増しています。
それなのにこの日本では、チベットに隣接するブータン国王がなぜ、日本との友好を生命線として大切にするのか、その国王の胸の内を察知するデリカシーすらありません。防衛省長官などは、くだらない議員のパーティーを口実に、おそらくは中国に慮ってワンチェク国王に会うことを拒絶するくらいです。
野田氏も反日親中のオバマにしっぽふって褒められて喜んでいる暇があるなら、ワンチェク国王をねぎらう暇ぐらい見つけて欲しいものです。中国Come Comeか、アメリカの飼い犬でいるか、それ以外に日本の生きる道はないのでしょうか。目先のことだけ考えて、基本的には他国に取り入って楽することしか考えていないのでしょうか。『大国の機嫌を取ることに熱心で、小国を冷たくあしらう』。こういう人たちに真に日本を守ろうという確かな愛国心など育とうはずもありません。
ブータンが小国だと言うなら、日本にしたところで、ロシア・中国・アメリカの三大国に囲まれた、しがない小国ではありませんか。小国ブータンの必死のサバイバルへの努力を、人ごとのように見ている立場にはないはずです。それに思い至らない政治家は、そもそも日本を守ろうなんて思ってはいないのです。
さらに、アメリカでもヨーロッパでも韓国でも、世界中で多くの市民が反グローバル化の反格差闘争を繰り広げているさなかに、そうした世界の情勢から目をそむけて、国内にアメリカンスタンダードの巨大格差社会をもたらすTPPに加盟するというのは、それこそ亡国の政策というしかありません。
国内の総資産の40%を、人口のわずか1%の富裕層が牛耳るアメリカの社会構造をモデルとして、わざわざ好き好んでウルトラハイパー格差社会を実現しようというのです。南北問題の国内化をいたずらに促進し、社会の不安定化要因を急激に増やしていく最低の愚策です。
日本を他国によっていいように荒らされるのが嫌なら、やはり、独自防衛の発想が必要でしょう。アメリカが日本との同盟をいらないと言うなら、「では結構です」とすぐさま独自防衛の構想を打ち出せるくらいの気概は必要です。そのためには独自の核武装まで視野に入れた国民的議論が早急に必要なのです。
頼れるのはアメリカか?中国か?ロシアか?なんて考えるのは、そもそもナンセンスです。冷戦時代ならいざ知らず、今まで通りの旧態依然とした軍事同盟観に安住していたら、いいように利用されるだけです。政治家や官僚の質の低下というのもあるでしょうが、この国の外交力に期待出来ない最大の理由は、やはり独立した軍事力による後ろ盾を持たないことです。
実際『独自の核を持たない』というその一点で、GDP世界第三位の日本の外交が、小国並に軽くあしらわれるのです。そしていまだに、アメリカの機嫌を損ねることを恐れて、基地のある街での米兵の狼藉・横暴を欲しいままにさせている日米地位協定の改定すら実現出来ない…。
自己の尊厳に関わる一番肝心のことに怒ることが出来ない現代の日本人は、まるで牙を抜かれて去勢された家畜のようです。それが結局は皇室の存在をないがしろにする無神経極まりない政治家の態度にも現れてくるのです。例えばちょうど小沢氏が習近平に媚を売って、陛下に無理をお願いした時の言い草が、今の政治家の質を物語っています。
「国事行為は内閣の助言と承認によって行われるんだ。天皇陛下が国益のために政府の意向に従うのは当たり前だ」と小沢氏は言いました。江沢民の路線を継承して反日教育と軍の覇権主義を指導する習近平に、陛下が無理して会うことが、どう国益に叶うのか、わたしにはさっぱりわかりません。
「世界の潮流に乗り遅れるな!」とTPPに賛成している人には、「いったい現在の世界の潮流とは何か?」をしっかり知って欲しいと思います。規制緩和とグローバル化が世界の潮流だなどというのは、大間違いです。そして「日本が守るべきものは何か?」という一番大切なことをわかっていただきたいのです。
グローバル化の行きつく先の一つは、労働力の海外からの流入の完全自由化による国内の生活圏の多文化社会化です。
しかし例えば今、ドイツではメルケル首相が「ドイツにおける多文化社会の試みは完全に失敗に終わった」と述べています。現在人口の5%を占める400万人のイスラム系外国人の処置にドイツは頭を痛めています。彼らのほとんどは、ドイツ語の読み書きがまったくできません。国内にドイツ社会とまったく異質なイスラム社会が生まれているのです。
しかし、イギリスのロンドンなどはその比ではありません。首都ロンドンだけで首都人口の三分の一に当たる230万人の外国人(日本にいる外国人総数を超える!)を抱えています。ブレア首相が2008年に「イギリス人と結婚してイギリス国籍を取得する条件として、『英語が話せること』という条項を法整備をすべきだ」と述べました。英語が話せないイギリス人がどんどん増えることを危惧したのです。
アメリカはもっと極端です。カリフォルニア州やテキサス州では、英語が全く出来ないヒスパニックの人々が増えすぎて、人口の過半数を占めるようになった都市や地域がたくさんあります。例えば生徒の八割が英語をまったく話せない公立高校もたくさんあります。
そのため、英語を勉強しようとアメリカにホームステイしたものの、まったく英語の通じない地域に行ってしまい、結局一年間スペイン語で生活してきたという日本人留学生も後をたちません。何しろ学校の授業もスペイン語、クラスメイトもホストファミリーも学校の先生すらスペイン語しか通じないというのですから!
その地域では、高校生たちは普通にマリファナやハッシシをスクールバスの中で吸っています。日本人留学生が勧められたマリファナを断ると不思議そうにして「なんで吸わないの?」と聞かれるほどです。しかもこの子は、人口の八割がヒスパニックというその地方ではごく普通の高校生で、不良でも何でもないのです。
しかし、これは人ごとではありません。日本だって外国人の数は急激に増加しています。しかもそのほとんどは中国人です。現在日本に住む200万人の外国人のうち、約半数の100万人が中国人です。(逆に在日韓国人などその他の外国人は全然増えていません。むしろ減少しているのです。)つまり、日本に住む人のうち百人に一人は中国人ということです。
彼らは2000年以降、ここ十年のうちに急激に増加しました。もし中国とのFTA締結が現実になり、さらに多くの中国人が入ってくることになれば、今よりさらに多くの日本の土地や企業が、レナウンのように彼らに買い漁られるという事態になるでしょう。また、戸籍を持たない〝闇っ子〟などの密入国も増えるでしょう。それは、本当に勘弁して欲しいものです。
とは言え、このまま日中FTAが結ばれると、中国人の渡航者は今後も増え続けて、日本の人口の10%が中国人になるという時代が、もうすぐそばまで迫ってくる可能性もあります。移民をしっかり制限し続けなければ、この国の中に日本語の通じない公立小学校が生まれるのもそう遠い未来のこととは思えません。
しかも、彼ら中国の若者は、江沢民以降、日本では考えられないほどの強烈な反日・抗日洗脳教育を受けてきました。今も中国では、日中戦争を舞台として日本人の残虐さを強調する安っぽいプロパガンダドラマが毎日無数にテレビで放映されています。石平さんなどが言うように、こうして国策によって植え付けられている中国人の反日意識のしつこさ、品のなさは、共に同じ社会で暮らすことを困難にします。
この国にはそのような多文化社会を受け入れる余地はないのです。大川隆法氏の主張するように「1億5千万人の移民を受け入れる」などというのは、わたしはごめんこうむります。日本人の三分の二が日本語の読み書きが出来ない。そんな国はもはや日本ではありません。もしもそうなってしまったあかつきには、国内の医療・福祉・年金・健康保険などの制度はことごとく崩壊しているでしょう。
労働力の自由化を目指すTPPやFTAは、そうした日本社会崩壊への序曲となりうる恐れもあるのです。野田氏はTPPの次は中国とのFTAだとか言ってますし、あの人はこの国をどこへ導くつもりでしょうか?
野田内閣が亡国的というのは、そういう意味です。実際にはその心情や戦略について詳しいことはわかりませんが「TPP参加したいと伝えたらオバマ大統領に褒められた!」とまるで親か先生に褒められた小学生のように喜んでいる野田総理のようすをテレビでみていると、小沢氏の後をついて行って、胡錦濤国家主席と握手するために嬉々として列を作っていた民主党議員たちの様子が思い出され、それらのあまりの無邪気さに言い知れず不安になるばかりです。
民主党内の賛成派(親米グローバル化路線支持者/前原氏ら)も、党内の反対派(親中左派/鳩山・小沢氏)も、「日本の将来を真剣に見据えているか?」という点に関しては、どちらもぜんぜん信用できません。
今現在、TPP賛成は国民のおよそ三分の一、さらに三分の一強は「よくわからない」と言い、残り三分の一弱が反対です。おそらく、この国の富裕層にあたる国民の三分の一が、TPP賛成にまわっているのでしょう。彼らはグローバル化と規制緩和によって企業的な利益を得るからです。また、保険制度が崩壊してもいっこうに構わないし、安い外国人労働者はぜひ入ってきて欲しいし、日本米が三倍、四倍になってもお財布はたいして痛まないのです。ですから輸出産業団体の経団連は、諸手を挙げてTPP賛成です。
大企業がスポンサーになっている大手マスコミ(産経・日経・朝日・読売)がTPP賛成なのは当然ですし、日米同盟重視と言うよりアメリカの属国化している現状に疑問を懐かない高級官僚や閣僚たちが賛成なのも当然です。脱官僚を唱える「みんなの党」も、親米で格差容認で大企業の競争力重視なので大賛成です。みんなの党はもともと「小さい政府」を求めているので福祉崩壊は望むところです。今は反対している自民党の政治家たちだって政権を取ればたちまち賛成に鞍がえするでしょう。
あと注目すべきは、左派の人々の多くもTPP賛成にまわっていることです。国内での失業率を増加させ、格差社会を助長することがはっきりしているTPPに、なぜ左派が賛成するかというと、グローバル化が「国家」の経済への従属を深めるという一点において、「国家」という枠組みを消滅させたい左派の夢(願望)を刺激するためと考えられます。
一方で、確かにTPP反対論者の一部には、「病的な外国人恐怖症で幼稚なネット右翼的引きこもり」もいれば、「反米親中の左翼的なアジア偏愛主義者」もいるでしょう。しかし、わたし含めて、今日本が向かっている極端なグローバル化を憂えるパトリオット(愛郷主義者)&コミュニタリアン(共同体主義者)も多少はいるだろうと思われます。
中央の大手マスコミと比べて、地方紙は軒並みTPPに批判的です。中小企業団体やJA含め、小さい組織はほとんど反対にまわっています。地方の多くがTPPで不利益を被るのは明らかだからです。今でもデフレ傾向なのに、食材の価格がさらに大幅に下がったとしても、失業率が大幅に上がるのでは全然割に合いません。韓国で今、アメリカとのFTA(自由貿易協定)批准に反対して全国的な激しい抵抗が起こっていますが、それはほとんど日本のちょっと未来の状況と言えるかもしれません。
反グローバル化のコミュニタリアン的志向へ向けて、国民的な覚醒が求められています。ロールズの格差原理にあるように「もっとも底辺にいる者にとって利益となる」ことが、社会の格差を容認できる唯一の原理であることを重んじる人々、サンデル教授の言う『正義』を重んじる人々が、コミュニタリアンです。
今、この問題について「よくわからない」と言っているあなた!よくよく考えてみて欲しいのです。皆さんは、自分の子供たちがどんな日本に住むことを願いますか?
もし、778%の米の関税が0になり、小麦や大豆の関税もなくなったら、穀物自給率が圧倒的に下がるのは目に見えています。外食産業はほとんど海外米に切り替わるでしょうし、逆に日本米は今の三倍ぐらいの値段になるのではないでしょうか。実際シンガポールや北京や上海では、今でも日本の三倍の値段で日本米が売れています。結局、日本の安全で高品質の食品は世界のブランドとして富裕層の希少な贅沢品となり、庶民はアメリカ米やベトナム米で我慢するという二極化の社会になります。
この国のGDPの87%は内需だというのに、アメリカさんにその内需に食い込まれて、農業以外の金融・保険・医療、その他サービス業が食い荒らされ、さらにはアメリカンスタンダードに強引に合わせるよう「ISD条項」によって強要され、この国の社会が、システム上も文化的にも甚大な損害を被る恐れがあります。国民皆保険の制度が崩壊すれば、アメリカ式の企業による保険や年金が富裕層を支えることになります。いずれはアメリカ並みに、およそ国民の三分の一は健康保険に未加入という社会になるでしょう。
何しろアメリカという国は、所得上位1%の人々が国民の総資産の三分の一以上を所有しており、それが下位90%の人々の総資産を上回るという想像を絶する格差社会です。さらに優良企業の代表取締役は、一般労働者の1700倍の給料を取る国です。単純に考えて、労働者の年収を300万円とすると、社長の年収は50億円ということになります。
これでは『反格差デモ』が収まらないのももっともです。日本がこんな社会になったらまさに悪夢です。
被害の甚大さを予測できる人は、「何でそこまでしてTPPに参加しなけりゃいかんのか?」と思うのも当然です。では、その「どうしても参加しなければいけない」理由はいったいなんなのでしょう?
それは「アメリカより中国が怖い!」という、ただその一点につきます。
具体的に言うと、不利は承知でなんとしても交渉に参加しなければいけないという危機意識を日本政府が持つのは、この国がお隣の強大な中国の経済圏に飲み込まれてしまうことを恐れているからです。今や、日本の輸出の10%がアメリカ向けなのに対して中国向けは13%になり、将来的に中国経済圏に日本が飲み込まれるという危機感は現実的なものになってきています。去年のレアメタル禁輸措置によって国内産業がパニックに陥った時に思い知ったように、中国にこの国の生殺与奪権をこれ以上与え続けるのは非常に危険です。
また、南シナ海や東シナ海での軍事的な覇権を目指す中国の動きに対して、日米同盟を緊密なものにしておきたいという思惑もあるでしょう。鳩山さんが普天間問題でラチがあかない膠着状態を招いてしまったかわりに、代償としてTPPに参加することで、アメリカのご機嫌伺いをしているようにしか見えません。
経済的にはアメリカの美味しいカモになりきるから、いざという時は中国から軍事的に守って欲しいというわけです。
しかし、いくらなんでも、今すぐ中国が軍事的に日本と対決したいと思っているとは考えにくいです。
むしろ、中国にしてもアメリカにしても、真の狙いは日本人の1400兆円にのぼるとも言われる莫大な規模の国民預貯金にあります。この金融資産を切り崩さなければ日本は滅ぼせないからです。バブル崩壊や金融ビッグバンやリーマンショックやらで日本の投資資金は数百兆円の損失を出してきました。しかし、まだまだ日本の貯蓄率は世界一です。結局、どれほど国債が膨れ上がろうと、その95%を国内で消化している以上、日本は欧州危機のような状況には決して陥らないのです。欧州では日本に倣って預貯金を増やそうという掛け声が高まっています。しかし、今回のTPPで郵貯が切り崩されたらどうなるでしょう?
最大の問題点は、日本国民自身に「国の防衛」という意識が決定的に欠落していることです。
親米派は、アメリカさんがいつまでも日本を守って下さると思い込んでいます。利益度外視で、とはさすがに思っていないでしょう。しかし、膨大な思いやり予算や基地使用料を日本側が快く負担する上に、アメリカが勝手に起こす戦争の莫大な費用さえも気易く肩代わりし、さらに戦争の長期化によるアメリカの財政赤字の帳尻合わせ(今回のTPPしかり)に進んで協力してさえいれば、自分たち日本の富裕層は安泰だと思っています。つまり、出すものさえ出しておけば、アメリカは組みしやすいというわけです。
さらに親米派は、アメリカへの協力のためには、憲法改正して一部国民を誰も望まない戦地へ送り出すことさえ視野に入れているのではないでしょうか。これではまるで、アメリカの飼い犬のようなものです。挙げ句の果てに、国内政局がグタグタになってどうしようもなくなったら、自分はオーストラリアかニュージーランドあたりに財産確保しといて、悠々自適の引退生活へと逃げる気満々という人もいます。
逆に親中派はというと、TPP絶対反対を唱えるのは良いのだけど、その理由が「中国が嫌がっているから」というのはいただけません。彼らの言い分を聞いていると、まるで中国の家来のようです。日米安保反対、基地反対の人などは、この日本がいずれ、圧倒的な軍拡を続ける中国に占領されるとしても、それでも構わないと言わんばかりの勢いです。
彼らは「アメリカよりアジアと親しくなろう!」などと言ってますが、中国支配下のチベットやウイグルで、今までどれ程の人々が蹂躙されてきているか、見て見ぬ振りをしています。いったん中国のような大国の支配を受けてしまったら、その扱いのひどさはどれ程のものになるか、あまりにも考えが及ばなさすぎます。
例えばカザフスタンは、ソ連支配下の時代に1989年まで450回に及ぶ地上での核実験場とされました。ウイグルは、中国支配下で1996年まで46回に及んで行われた核実験によって、死の灰が降り注ぎ続けました。どちらも住民への通告なしの抜きうち核実験です。どちらにおいても地上に降り注いだ放射能量は福島の比ではありません。
ソ連の崩壊により、ロシア人の所業は白日の元に晒されましたが、それでもロシアはカザフスタンに一切の補償をしておりません。一方で中国はウイグル人を支配し続けており、核実験の事実すら公式には認めようとしません。有名なロプノールや敦煌に降り注いだ放射能量を計測することすらできません。実際にはシルクロード観光へ行った日本人も多く被爆していると思われます。
チベットでは人々が「独立」を主張するだけで、中国政府による甚だしい人権侵害と虐殺の憂き目を見ています。今年もすでに、軍や武装警察の横暴虐待に抗議して、チベット僧がすでに11人も焼身自殺しています。チベットに隣接するネパールでは国王一家虐殺の後、国内での毛派の支配力が増しています。
それなのにこの日本では、チベットに隣接するブータン国王がなぜ、日本との友好を生命線として大切にするのか、その国王の胸の内を察知するデリカシーすらありません。防衛省長官などは、くだらない議員のパーティーを口実に、おそらくは中国に慮ってワンチェク国王に会うことを拒絶するくらいです。
野田氏も反日親中のオバマにしっぽふって褒められて喜んでいる暇があるなら、ワンチェク国王をねぎらう暇ぐらい見つけて欲しいものです。中国Come Comeか、アメリカの飼い犬でいるか、それ以外に日本の生きる道はないのでしょうか。目先のことだけ考えて、基本的には他国に取り入って楽することしか考えていないのでしょうか。『大国の機嫌を取ることに熱心で、小国を冷たくあしらう』。こういう人たちに真に日本を守ろうという確かな愛国心など育とうはずもありません。
ブータンが小国だと言うなら、日本にしたところで、ロシア・中国・アメリカの三大国に囲まれた、しがない小国ではありませんか。小国ブータンの必死のサバイバルへの努力を、人ごとのように見ている立場にはないはずです。それに思い至らない政治家は、そもそも日本を守ろうなんて思ってはいないのです。
さらに、アメリカでもヨーロッパでも韓国でも、世界中で多くの市民が反グローバル化の反格差闘争を繰り広げているさなかに、そうした世界の情勢から目をそむけて、国内にアメリカンスタンダードの巨大格差社会をもたらすTPPに加盟するというのは、それこそ亡国の政策というしかありません。
国内の総資産の40%を、人口のわずか1%の富裕層が牛耳るアメリカの社会構造をモデルとして、わざわざ好き好んでウルトラハイパー格差社会を実現しようというのです。南北問題の国内化をいたずらに促進し、社会の不安定化要因を急激に増やしていく最低の愚策です。
日本を他国によっていいように荒らされるのが嫌なら、やはり、独自防衛の発想が必要でしょう。アメリカが日本との同盟をいらないと言うなら、「では結構です」とすぐさま独自防衛の構想を打ち出せるくらいの気概は必要です。そのためには独自の核武装まで視野に入れた国民的議論が早急に必要なのです。
頼れるのはアメリカか?中国か?ロシアか?なんて考えるのは、そもそもナンセンスです。冷戦時代ならいざ知らず、今まで通りの旧態依然とした軍事同盟観に安住していたら、いいように利用されるだけです。政治家や官僚の質の低下というのもあるでしょうが、この国の外交力に期待出来ない最大の理由は、やはり独立した軍事力による後ろ盾を持たないことです。
実際『独自の核を持たない』というその一点で、GDP世界第三位の日本の外交が、小国並に軽くあしらわれるのです。そしていまだに、アメリカの機嫌を損ねることを恐れて、基地のある街での米兵の狼藉・横暴を欲しいままにさせている日米地位協定の改定すら実現出来ない…。
自己の尊厳に関わる一番肝心のことに怒ることが出来ない現代の日本人は、まるで牙を抜かれて去勢された家畜のようです。それが結局は皇室の存在をないがしろにする無神経極まりない政治家の態度にも現れてくるのです。例えばちょうど小沢氏が習近平に媚を売って、陛下に無理をお願いした時の言い草が、今の政治家の質を物語っています。
「国事行為は内閣の助言と承認によって行われるんだ。天皇陛下が国益のために政府の意向に従うのは当たり前だ」と小沢氏は言いました。江沢民の路線を継承して反日教育と軍の覇権主義を指導する習近平に、陛下が無理して会うことが、どう国益に叶うのか、わたしにはさっぱりわかりません。
「世界の潮流に乗り遅れるな!」とTPPに賛成している人には、「いったい現在の世界の潮流とは何か?」をしっかり知って欲しいと思います。規制緩和とグローバル化が世界の潮流だなどというのは、大間違いです。そして「日本が守るべきものは何か?」という一番大切なことをわかっていただきたいのです。
グローバル化の行きつく先の一つは、労働力の海外からの流入の完全自由化による国内の生活圏の多文化社会化です。
しかし例えば今、ドイツではメルケル首相が「ドイツにおける多文化社会の試みは完全に失敗に終わった」と述べています。現在人口の5%を占める400万人のイスラム系外国人の処置にドイツは頭を痛めています。彼らのほとんどは、ドイツ語の読み書きがまったくできません。国内にドイツ社会とまったく異質なイスラム社会が生まれているのです。
しかし、イギリスのロンドンなどはその比ではありません。首都ロンドンだけで首都人口の三分の一に当たる230万人の外国人(日本にいる外国人総数を超える!)を抱えています。ブレア首相が2008年に「イギリス人と結婚してイギリス国籍を取得する条件として、『英語が話せること』という条項を法整備をすべきだ」と述べました。英語が話せないイギリス人がどんどん増えることを危惧したのです。
アメリカはもっと極端です。カリフォルニア州やテキサス州では、英語が全く出来ないヒスパニックの人々が増えすぎて、人口の過半数を占めるようになった都市や地域がたくさんあります。例えば生徒の八割が英語をまったく話せない公立高校もたくさんあります。
そのため、英語を勉強しようとアメリカにホームステイしたものの、まったく英語の通じない地域に行ってしまい、結局一年間スペイン語で生活してきたという日本人留学生も後をたちません。何しろ学校の授業もスペイン語、クラスメイトもホストファミリーも学校の先生すらスペイン語しか通じないというのですから!
その地域では、高校生たちは普通にマリファナやハッシシをスクールバスの中で吸っています。日本人留学生が勧められたマリファナを断ると不思議そうにして「なんで吸わないの?」と聞かれるほどです。しかもこの子は、人口の八割がヒスパニックというその地方ではごく普通の高校生で、不良でも何でもないのです。
しかし、これは人ごとではありません。日本だって外国人の数は急激に増加しています。しかもそのほとんどは中国人です。現在日本に住む200万人の外国人のうち、約半数の100万人が中国人です。(逆に在日韓国人などその他の外国人は全然増えていません。むしろ減少しているのです。)つまり、日本に住む人のうち百人に一人は中国人ということです。
彼らは2000年以降、ここ十年のうちに急激に増加しました。もし中国とのFTA締結が現実になり、さらに多くの中国人が入ってくることになれば、今よりさらに多くの日本の土地や企業が、レナウンのように彼らに買い漁られるという事態になるでしょう。また、戸籍を持たない〝闇っ子〟などの密入国も増えるでしょう。それは、本当に勘弁して欲しいものです。
とは言え、このまま日中FTAが結ばれると、中国人の渡航者は今後も増え続けて、日本の人口の10%が中国人になるという時代が、もうすぐそばまで迫ってくる可能性もあります。移民をしっかり制限し続けなければ、この国の中に日本語の通じない公立小学校が生まれるのもそう遠い未来のこととは思えません。
しかも、彼ら中国の若者は、江沢民以降、日本では考えられないほどの強烈な反日・抗日洗脳教育を受けてきました。今も中国では、日中戦争を舞台として日本人の残虐さを強調する安っぽいプロパガンダドラマが毎日無数にテレビで放映されています。石平さんなどが言うように、こうして国策によって植え付けられている中国人の反日意識のしつこさ、品のなさは、共に同じ社会で暮らすことを困難にします。
この国にはそのような多文化社会を受け入れる余地はないのです。大川隆法氏の主張するように「1億5千万人の移民を受け入れる」などというのは、わたしはごめんこうむります。日本人の三分の二が日本語の読み書きが出来ない。そんな国はもはや日本ではありません。もしもそうなってしまったあかつきには、国内の医療・福祉・年金・健康保険などの制度はことごとく崩壊しているでしょう。
労働力の自由化を目指すTPPやFTAは、そうした日本社会崩壊への序曲となりうる恐れもあるのです。野田氏はTPPの次は中国とのFTAだとか言ってますし、あの人はこの国をどこへ導くつもりでしょうか?
野田内閣が亡国的というのは、そういう意味です。実際にはその心情や戦略について詳しいことはわかりませんが「TPP参加したいと伝えたらオバマ大統領に褒められた!」とまるで親か先生に褒められた小学生のように喜んでいる野田総理のようすをテレビでみていると、小沢氏の後をついて行って、胡錦濤国家主席と握手するために嬉々として列を作っていた民主党議員たちの様子が思い出され、それらのあまりの無邪気さに言い知れず不安になるばかりです。
民主党内の賛成派(親米グローバル化路線支持者/前原氏ら)も、党内の反対派(親中左派/鳩山・小沢氏)も、「日本の将来を真剣に見据えているか?」という点に関しては、どちらもぜんぜん信用できません。
今現在、TPP賛成は国民のおよそ三分の一、さらに三分の一強は「よくわからない」と言い、残り三分の一弱が反対です。おそらく、この国の富裕層にあたる国民の三分の一が、TPP賛成にまわっているのでしょう。彼らはグローバル化と規制緩和によって企業的な利益を得るからです。また、保険制度が崩壊してもいっこうに構わないし、安い外国人労働者はぜひ入ってきて欲しいし、日本米が三倍、四倍になってもお財布はたいして痛まないのです。ですから輸出産業団体の経団連は、諸手を挙げてTPP賛成です。
大企業がスポンサーになっている大手マスコミ(産経・日経・朝日・読売)がTPP賛成なのは当然ですし、日米同盟重視と言うよりアメリカの属国化している現状に疑問を懐かない高級官僚や閣僚たちが賛成なのも当然です。脱官僚を唱える「みんなの党」も、親米で格差容認で大企業の競争力重視なので大賛成です。みんなの党はもともと「小さい政府」を求めているので福祉崩壊は望むところです。今は反対している自民党の政治家たちだって政権を取ればたちまち賛成に鞍がえするでしょう。
あと注目すべきは、左派の人々の多くもTPP賛成にまわっていることです。国内での失業率を増加させ、格差社会を助長することがはっきりしているTPPに、なぜ左派が賛成するかというと、グローバル化が「国家」の経済への従属を深めるという一点において、「国家」という枠組みを消滅させたい左派の夢(願望)を刺激するためと考えられます。
一方で、確かにTPP反対論者の一部には、「病的な外国人恐怖症で幼稚なネット右翼的引きこもり」もいれば、「反米親中の左翼的なアジア偏愛主義者」もいるでしょう。しかし、わたし含めて、今日本が向かっている極端なグローバル化を憂えるパトリオット(愛郷主義者)&コミュニタリアン(共同体主義者)も多少はいるだろうと思われます。
中央の大手マスコミと比べて、地方紙は軒並みTPPに批判的です。中小企業団体やJA含め、小さい組織はほとんど反対にまわっています。地方の多くがTPPで不利益を被るのは明らかだからです。今でもデフレ傾向なのに、食材の価格がさらに大幅に下がったとしても、失業率が大幅に上がるのでは全然割に合いません。韓国で今、アメリカとのFTA(自由貿易協定)批准に反対して全国的な激しい抵抗が起こっていますが、それはほとんど日本のちょっと未来の状況と言えるかもしれません。
反グローバル化のコミュニタリアン的志向へ向けて、国民的な覚醒が求められています。ロールズの格差原理にあるように「もっとも底辺にいる者にとって利益となる」ことが、社会の格差を容認できる唯一の原理であることを重んじる人々、サンデル教授の言う『正義』を重んじる人々が、コミュニタリアンです。
今、この問題について「よくわからない」と言っているあなた!よくよく考えてみて欲しいのです。皆さんは、自分の子供たちがどんな日本に住むことを願いますか?