あるところに子供の出来ない女の人がいました。
ある激しい雨の日、その人のところに不思議な女の人がやってきます。びしょ濡れになっているかと思って、家の中に入れたところ、ちっとも濡れていないのです。
よもやま話をしているうちに、女が子供が欲しい、と言ったところ、「本当にその子を大切にできる?その子の幸せだけを願って育てることができる?女の人は、なかなかそうはいかないものなのですよ」と言うのです。
もちろんできます、と答えたら、「では、あなたに子供を授けます。でもその子の幸せ以上のことを望んだら、たちどころにその子は消え去ってしまいますよ」と言って、その不思議な女の人は去っていきました。
それからほどなく女には愛らしい娘が生まれました。その娘には少々変わったところがありました。雨の日になると、大はしゃぎで外へ出て行ってしまうのです。それで濡れて帰ってくるかと思えば、少しも濡れていないのです。ともかく水辺が好きで、晴れた日は川の中に足を入れてピシャピシャやるのが大好きでした。
娘がやがて美しく成長すると、近所を通りかかった王子さまが娘に一目惚れして、あまりに恋い焦がれたあげく、父王に相談して結婚の許可を取り付け、それから王子さまは家へやってきて娘に求婚しました。
娘は王子さまとの結婚を嫌がりました。お父さんお母さんのそばに居たいと言うのです。しかし、両親は「気でも狂ったのかい?王子さまだよ!お前の幸せは保障されたんだ。これを棒に振るって法があるものか!」と娘の言い分を聞こうともしませんでした。
やがて、婚礼の儀式がとり行われることになりました。あいにくの雨でしたが、その日は国中の人たちが二人を祝福するために集まってきていました。ところが雨はどんどん激しくなるばかりで、ついには大洪水になってしまいました。
婚礼に出席していた人々はものすごい勢いの水に飲み込まれ押し流されてしまいました。雨が上がったとき、幸いなことに、ほとんどの人は無事でした。ただ一人、花嫁を除いては。王子さまは国中を探させましたが、美しい花嫁だけが国中どこを探しても姿形を見つけることさえ叶いませんでした。
母親は、あの不思議な女の人が言っていた言葉を思い出しましたが、後の祭りでした。
王子さまはそのあと長く気がふさいで落ち込んでいましたが、やがて外国のお姫様と結婚しました。それでも雨に日になると、あの不思議な娘のことを思い出すのでした。
雨の中で濡れることもなく、「王子さま、こっちへきて、わたしの兄弟姉妹たちと一緒に遊んでよ」とはしゃいで笑っていたあの姿を。
ある激しい雨の日、その人のところに不思議な女の人がやってきます。びしょ濡れになっているかと思って、家の中に入れたところ、ちっとも濡れていないのです。
よもやま話をしているうちに、女が子供が欲しい、と言ったところ、「本当にその子を大切にできる?その子の幸せだけを願って育てることができる?女の人は、なかなかそうはいかないものなのですよ」と言うのです。
もちろんできます、と答えたら、「では、あなたに子供を授けます。でもその子の幸せ以上のことを望んだら、たちどころにその子は消え去ってしまいますよ」と言って、その不思議な女の人は去っていきました。
それからほどなく女には愛らしい娘が生まれました。その娘には少々変わったところがありました。雨の日になると、大はしゃぎで外へ出て行ってしまうのです。それで濡れて帰ってくるかと思えば、少しも濡れていないのです。ともかく水辺が好きで、晴れた日は川の中に足を入れてピシャピシャやるのが大好きでした。
娘がやがて美しく成長すると、近所を通りかかった王子さまが娘に一目惚れして、あまりに恋い焦がれたあげく、父王に相談して結婚の許可を取り付け、それから王子さまは家へやってきて娘に求婚しました。
娘は王子さまとの結婚を嫌がりました。お父さんお母さんのそばに居たいと言うのです。しかし、両親は「気でも狂ったのかい?王子さまだよ!お前の幸せは保障されたんだ。これを棒に振るって法があるものか!」と娘の言い分を聞こうともしませんでした。
やがて、婚礼の儀式がとり行われることになりました。あいにくの雨でしたが、その日は国中の人たちが二人を祝福するために集まってきていました。ところが雨はどんどん激しくなるばかりで、ついには大洪水になってしまいました。
婚礼に出席していた人々はものすごい勢いの水に飲み込まれ押し流されてしまいました。雨が上がったとき、幸いなことに、ほとんどの人は無事でした。ただ一人、花嫁を除いては。王子さまは国中を探させましたが、美しい花嫁だけが国中どこを探しても姿形を見つけることさえ叶いませんでした。
母親は、あの不思議な女の人が言っていた言葉を思い出しましたが、後の祭りでした。
王子さまはそのあと長く気がふさいで落ち込んでいましたが、やがて外国のお姫様と結婚しました。それでも雨に日になると、あの不思議な娘のことを思い出すのでした。
雨の中で濡れることもなく、「王子さま、こっちへきて、わたしの兄弟姉妹たちと一緒に遊んでよ」とはしゃいで笑っていたあの姿を。