占星術やスピリチュアルの世界では、2012年12月というマヤ暦の終末の日のことが取りざたされている。そんなのは信じない、ノストラダムスだって外れたじゃないか、と思う人も多いだろう。
いかがわしい古代のマヤ暦など信じないと相手にしない人も多いだろう。
しかし、わたしは、この〝2012年12月〟の予言には、それなりに信憑性があると感じている。
特に2000年代に入ってから、今年2011に至るまでの、さまざまな社会・自然現象を思うと、いろいろ深いところで受け止めざるを得ないものがあるのだ。
2010年は、永平寺の樹齢八百年の杉古木はじめ、鶴岡八幡宮の樹齢千年の御神木〝大銀杏〟、さらには屋久島第二の古巨木である樹齢2000年の〝翁杉〟、その他各地の御神木が次々に倒壊した。
樹木医ら専門家によると、都市部の湿気が樹木の天敵であり、その湿気が2000年代以降、日本列島全体に影響を及ぼしており、山間部の永平寺や屋久島にまで影響しているらしい。
それはさながら、この国を守る自然界の結界が断ち切られ、たわみ、消失してしまったかのようだ。
千年の風雪に耐えた古木すらも打ち倒す自然界の変容が、人間にも影響を与えないわけはない。2000年代に入って自殺者・無縁死者が毎年三万人を下ることがないのもその表れかもしれない。
加えて世界的な天変地異が続いている。
天候に関する災害では、2005年にアメリカを襲い死者2500名を出した巨大ハリケーン〝カトリーナ〟、さらに2008年ミャンマーを襲い、死者12万人の犠牲をもたらした凄まじいサイクロンが記憶に新しい。
こうした〝天〟の災害に加えて〝地〟の災害がある。
死者22万人を出した2004年のスマトラ大地震(M9.1)に始まり、死者8万人を超えた2008年の四川大地震(M8.0)、さらには死者31万人という2010年のハイチ大地震(M7.0)、そして今年2011年3月11日の東北大震災…。
国内観測史上最大M9.0、死者・行方不明者2万3千人超える。巨大津波に大火災に原発の炉心融解…。
いったい誰がこれ程の災害を予想しえただろうか。
あまりにも多くの人々が亡くなってしまった。
こうしたとてつもなく多くの人々の突然の死が、わたしたちの社会にもたらす影響は、目に見えない〝氣〟の乱れも含めて、甚大なものがあるだろう。
やがて百日忌だ。
今放映中の、幕末の日本に投げ込まれた現代の医師が活躍するテレビドラマ〝仁〟の中で、「死んでいった人たちが、もう一度生まれ変わりたいと思う国にすることが、生き残った者の義務ではないか、それが本当の供養ではないか」という言葉が印象的だ。
今、生き残っているわたしたちは、この国のために何かしなければならない。
そして、それぞれが、見せかけだけでない真の〝幸福〟を追求しなければならない。
それが、マヤ暦2012年12月の破滅の予兆を乗り越えていく道ではないだろうか。

鎌倉の鶴岡八幡宮の大銀杏は、倒壊した巨木の根元から若芽が芽吹き、成長をはじめた。屋久島の翁杉からも若芽が伸びてきた。
2005年に心ない人たちによって無残に傷つけられた縄文杉の傷は、日々の樹木医たちによる懸命な手当で回復に向かっている。永平寺の古木群でも樹木医の手当が続けられている。
大丈夫、わたしたちもまた、この樹木たちのように、しっかり生き延びていける。
多くの人々の、互いに気遣う心の通い合いによって。

日本とは、もともとそういう国なのではないだろうか。