あのね、ゴリラのお母さんはね、決してけっして、我が子を手放したりしないんだ。
アフリカのジャングルでね、お母さんゴリラとお兄ちゃんと妹の三人家族がいたんだ。
お兄ちゃんは病気でね、お母さんは何かと気遣っていたんだけど、とうとう自力では立ち上がることもできなくなっちゃうんだ。それでお母さんは、昼も夜もお兄ちゃんを抱きしめて、ご飯を食べさせたり水をあげたりしてたんだ。夜もずっと、自分の胸の上に抱いたままなんだ。
妹はね、そんなお母さんの隣で、自分もどこからか見つけてきたちょうどいい丸太を抱えて、まるでお人形のようにそれを抱きしめているんだ。
それからしばらくしてお兄ちゃんは亡くなってしまった。
でもね、お母さんは、お兄ちゃんを抱きしめたまま、放そうとしないんだ。昼も夜も、移動のときも、腕に抱えたり背負ったりして、ずっと一緒にいるんだ。毛を繕ったり撫でたりしながら、ずっとずっと一緒にいるんだ。
小さな妹は、そんなお母さんの隣で、やっぱり丸太の人形を抱えて、抱きしめたり撫でたり、ずっと世話を焼いている。
ぼくはね、その様子を何ヶ月も見続けていたんだ。
最後に確認したのは、お兄ちゃんが亡くなってから、六ヶ月後のことだったよ。その時もまだ、お母さんゴリラは、お兄ちゃんの亡骸を背負い続けていたよ。もうずいぶんミイラ化して、軽くなっている様子だったけど、お母さんも妹も自分の一部のように、お兄ちゃとお人形を大事に抱えて歩いていたよ。
ゴリラのお母さんはね、けっして自分の子どもを捨てたりはしないんだ。けっしてね。
病める時も、死してのちも、変わらず抱きしめたまま、ね。
ゴリラのお母さんはね…。
アフリカのジャングルでね、お母さんゴリラとお兄ちゃんと妹の三人家族がいたんだ。
お兄ちゃんは病気でね、お母さんは何かと気遣っていたんだけど、とうとう自力では立ち上がることもできなくなっちゃうんだ。それでお母さんは、昼も夜もお兄ちゃんを抱きしめて、ご飯を食べさせたり水をあげたりしてたんだ。夜もずっと、自分の胸の上に抱いたままなんだ。
妹はね、そんなお母さんの隣で、自分もどこからか見つけてきたちょうどいい丸太を抱えて、まるでお人形のようにそれを抱きしめているんだ。
それからしばらくしてお兄ちゃんは亡くなってしまった。
でもね、お母さんは、お兄ちゃんを抱きしめたまま、放そうとしないんだ。昼も夜も、移動のときも、腕に抱えたり背負ったりして、ずっと一緒にいるんだ。毛を繕ったり撫でたりしながら、ずっとずっと一緒にいるんだ。
小さな妹は、そんなお母さんの隣で、やっぱり丸太の人形を抱えて、抱きしめたり撫でたり、ずっと世話を焼いている。
ぼくはね、その様子を何ヶ月も見続けていたんだ。
最後に確認したのは、お兄ちゃんが亡くなってから、六ヶ月後のことだったよ。その時もまだ、お母さんゴリラは、お兄ちゃんの亡骸を背負い続けていたよ。もうずいぶんミイラ化して、軽くなっている様子だったけど、お母さんも妹も自分の一部のように、お兄ちゃとお人形を大事に抱えて歩いていたよ。
ゴリラのお母さんはね、けっして自分の子どもを捨てたりはしないんだ。けっしてね。
病める時も、死してのちも、変わらず抱きしめたまま、ね。
ゴリラのお母さんはね…。