なぜ3月25日かといえば、クリスマスである12月25日から単に9ヶ月引いただけの話であるが、ローマ典礼もアンブロジアーノ典礼もマリアに天使のガブリエルが現れ、聖霊によってイエスを身ごもることを告げ、またマリアがそれを受け入れることを告げる場面(ルカ1:26-38)を朗読する。この場面の有名絵画は多いが、マリアは読書の最中であることが多く、糸をつむいでいることもある。また、傍らには白百合(純潔の象徴)が置かれるが、天使が百合を携えている場合もある。二人の上には天上からの光や聖霊の鳩が描かれることが多く、これによって「聖霊によって身ごもる」ことを示す。
マリアは不安を感じつつも、「私は主のはしためです。お言葉どおり、この身になりますように」と返事をする。let it be to me according to your word. まさにビートルズの「Let it Be」の歌詞がこの場面なのだ。
つまり「はい」と承諾したことになるのだが、すべてがわかったことではないけれど、すべて神のみ手に委ねて、「この身になりますように」、すべてを受け入れる姿勢は、謙遜で、それでいて今後受け入れる喜び、苦しみ、悲しみすべてを含んでいる。
すべてを受け入れたつもりで、日々生きていても、いかに毎日文句が多い事か。
「おめでとう、恵まれたお方、マリア」
神の計らいの不思議さを味わいながら、聖母マリアの神への信仰を模範とすることができますように。



