Itama ~ 異文化コミュニケーション  | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 先月、タイ語にて言語研修を受けたが、同じ講師によって、今度は新たにカードを使って『規則』に関する異文化コミュニケーショナルな研修会に出席した。 


スタッフ28名出席。好成績だ。 

まず、6人ずつのテーブルを4つつくり、4人のオブザーバーを選出。 

その後に、あるカードゲームのやり方が配布された。言葉は一切発してはいけないという。 

ざっと読んで始めてください、といわれた。 
は~?! 
分かったのは、カード2~7までそれにAが加わる7枚x4種スート。親がカードを切り左回りに配り、小さい数から捨てて行き、最後の大きな数の人が勝ち。その回のカードを全てもらい、続ける。・・・それくらいしか理解できなかった。途中で、ゲームの説明書きは回収されてしまう。 

Assoが何 とか・・・と書かれていたが、Assoって何? 

後から分かったのが、Assoが「A」のこと。スペース、ハート、クラブにダイヤ、イタリア語で何ていうの?それさえ、わからない。 

グループ内でのコミュニケーションは、とにかく、無言で。各テーブルに白紙を配るので、そこで絵だけでコミュニケーションをとるように、ということだった。 

配布されたカードを見ても、どれが強いのかさえ、わからない。お互いトランプを見せながら開始。(そうやっていたのは、私たちのテーブルだけだった。) 

1回目。最初に没。2回目。またもや没。全くルールが分からないので、途中でとりあえず『パス』をして様子を見たかったが、パスも許されず。3回目。10枚獲得。なぜかグループで1位に。 

そこで、テーブルで勝っ た人が、次のテーブルへ移動。 
わけも分からず移動となったので、狐につままれたとしか思えず。 

様子が分からないが、どうも勝ち続けている。なんで?勝つたびに、私がトランプを切ると、皆が、声を出さずに私を指差し、うーうーうなる。えっ?!何っ?!私、何した?間違ってる・・・?! 

3つ目のテーブルに移動。どうも、今までのテーブルとは、ルールが違っているような雰囲気。でも何が何なんだかわからない。質問をしたくても、何をどう、絵を描くのか、それさえ分からず・・・

そこで、大敗。どうも、今までとは違ったルールのテーブルだと確信。隣のテーブルで勝って回ってきた人が、いきなり絵を描いて、自分の理解とあなた達のルールはどうなの?!というようなことをジェスチャ ーで示す。「あ~」みな、わかったような様子。えっ?!何が?!どうして?!全くわからず・・・ 

そうやって、数回ゲームが進んだ。そこで、終了。 

結局、ルールという細かいルールまでは、はじめの説明になかったようす。それが、各テーブルで、そのメンバーの理解によってゲームが進んでいった模様。 

このゲームの目的は、参加者の『文化的ショック』を促すものだという。新たに移るもの、新参者を受け入れるもの、お互いが、いかに、歩みよるか?または、自分が信じる?ルールを主張するのか・・・ 

オブザーバーたちが、各テーブルで見てきた様子を発表。ある人が、私を観察し、いかに私が動揺し、それでいながら、いかに相手にあわせようとしているか?それが伺えたという。この20年のイタリア生活で身につけた生きる術だろうか?笑 

人によっては、新参者でありながら、元いたメンバーを洗脳させてしまったものさえいたという。これは、個人の性格か? 

私たちのアソシエーションにも合わせて、考えてみた。毎年、生徒数、国籍の多様化により、『郷に入れば郷に従え』的なルールがまかり通らないことが分かってきた。また、私たちは運営側としての見方しかしていなかったことに気づく。 

今年は開講してからずっと問題続き。あまりにも多くの受講者を迎え、教室数の問題、レベルの問題、平等であろうとしても、かなりのしわよせがあちこちから出てきた。しかも私もシッター要員でありながら、運営にも顔を出すようになり、あちこちの状況を知ればしるほど、平等はありえない。であれば、どこで、いかにして歩み寄るのか?頭を悩ますようになった。 

結局、講師は『答え』という答えは出してくれなかった。ヒントだけを与え、受け入れ側と生徒側である、運営、イタリア人にとっては異邦人との間でいかに折り合っていくか、本来は答えの『鍵』なるものをもらったはずなのに、いまだ混乱している。異邦人のバックグラウンドを知ることも大切だと講師はいっていた。 

そこで、異文化マネジメント研究や組織文化の世界的権威であり、世界で最も論文引用の多いオランダのヘールトホフステード教授のモデルと研究結果を広くビジネスコミュニティや教育界に広めている、ホフステードセンターを参考にするように進められた。 
http://geert-hofstede.com/ 

こちらはイタリアと日本の「国民文化の5次元モデル」の比較図。 
行動の背景になる文化的価値観を体系的にみることが大切だという。 
http://geert-hofstede.com/italy.html 

権力格差、個人主義、集団主義、男性らしさ、女性らしさ、不確実性の回避の強さ、などは、国によって大きな違いがあることなどの文化背景なくてして、多種多様な文化の中では生活できないだろう。 

たかが、ボランティア。されど、ボランティア。 
人を理解することの大切さを学んだ。 



http://ameblo.jp/sofiamilano/entry-11628220806.html 

http://geert-hofstede.com/ 
http://sbaweb.wayne.edu/~absel/bkl/vol25/25ch.pdf 
http://socrates.acadiau.ca/courses/educ/reid/games/Game_descriptions/Barnga1.htm 

追記 
皆がカードを切る私をみて、うなっていたのは、『マジコ!!』(魔法使いのよう)だったという。日本人だったら、あれくらいカードを切るのは、普通だと思うけど・・・といったら、また、驚かれた。笑 

カード・ゲームはアフリカのバルンガというものらしい。