さて、「冷たい」という言葉は「爪が痛い」から来ているのだという。国語学者の故・金田一春彦氏によれば、「爪」とは今の爪ではなく、昔は指先全体を言ったそうだ。たしかに、冷たさは、寒さと似ているようで違い、指の先から伝わってくる 痛さ。ということは、指先があいている手袋はだめ。
青空市場の毛糸屋さんでは、毛糸は実際手で触れてみないと、わからない。いちいち手袋を取るが、指先が冷たすぎて、感覚がない。そして、冬は指先が荒れやすいので、毛糸をさわると引っかかりやすいので、注意しないといけないわけ。
前置きが長くなったが、冬の必需品は、ロクシタンのシア・バターとメンソレータム。
シア・バターとは、シアの木の実から抽出してつくられる。シアの木は西アフリカ生息する神聖な木だという。その実を食べれば、栄養になり、悪魔から守ってくれると言われるほどの「神秘の木」として崇められ、昔から女性だけが木に触れ、実を採取し、その実を売ることを許されている。つまりアフリカの女性以外触れてはならない。斧やのこぎりで木を傷つけてもいけない。シアの実を収穫し、圧搾、製造、が出来るのは、アフリカの女性のみ許されており、それを市場で売ることが出来るのも彼女達だけ。又の名をWomen*s Gold(女性の宝)というらしい。シアの木の実から抽出されるエキスは、肌や髪が必要とする脂肪分やビタミン類などの成分に富み、最も価値ある美容品として珍重されており、潤いを与え、柔らかく、シルクのように滑らかに整えてくれる。特に指先の荒れには、無くてはならない冬の必需品。
そして、足のひび割れ、唇の乾きになくてはならないのが、リトル・ナースがおなじみのメンソレータムの塗り薬。メンソール(menthol)とワセリンの別名であるペトロレータム(petrolatum)の組み合わせから名がついたという。日本では近江兄弟社がアメリカのメンソレータム社からライセンスを保有し、製造販売していたが、経営破たんのため、返上。その後、ロート製薬が、メンソレータム社からライセンスを取得。最終的にはメンソレータム社を買収し、ロート製薬の傘下となった。
なので、今「メンソレータム」と呼ばれて販売されているのは、ロート製薬(以前はSmapxSmapを一社提供していた!)の商品で、「メンターム」と呼ばれて販売されているのは、近江兄弟社が会社再建のためにメンソレータムの販売権をメンソレータム社へ返上した後、残ったメンソレータムの製造設備などを活用して新たに製造・販売した塗り薬であるという。(複雑だね!)
内容量がどう違うのか微妙だが、塗り薬の色は、「メンソレータム」は白で、「メンターム」は黄色い。リップクリームにしてもメンソレータムの方が、硬かった記憶がある。個人的には、メンソレータムが好き。もちろん、手の指先もこれ一本で間に合うが、基本的には、日本でしか入手できない貴重なものなので、ちびちびと寝る前に足の裏にしかつかっていない。
メンソレータムはやはり昭和世代の家庭の常備薬?!
こちらは面白い「メンソレータム」と「メンタム」の話。↓
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