ご記憶でしょうか。
2010年、チリの鉱山で崩落が発生、炭鉱の作業員たちが生き埋めとなる大惨事が起こりました。
落盤後、救助隊が地下700メートルの避難所までドリルで小さな穴を掘ったところ、引き上げたドリルの先端に「我々33名は待避所で無事である」と書かれた紙が括り付けられているのを発見。その後、69日にも及ぶ決死の救出作業の甲斐あって、カプセルで33名全員が救出されました。全員が地上に出てきたときの感動は、今でもよく覚えています。
事故現場は、チリ北部の「コピアポ」という場所で、アタカマ砂漠に位置します。実は、ここ、世界一乾燥した場所として知られ、年間降水量はたったの3mmしかありません。なんと40年間一度も雨が降らなかったこともあります。空気が乾燥しているので、大気の揺らぎや水蒸気による影響がないことから、数多くの天体観測施設が作られています。
では一体、なぜ乾燥しているのでしょうか。
アタカマ砂漠はチリのアンデス山脈と太平洋の間にあります。この地域には東よりの貿易風が吹いてくるため、大西洋からの湿った空気は全てアマゾンなど南アメリカ大陸の東側で雨となって降り、標高4000メートルを超えるようなアンデス山脈を越えることはありません。そのために、アタカマ地方は常に乾燥した空気に覆われるのです。
しかし、この世界一ドライな場所で、先週水曜日から木曜日にかけて、異常事態が発生しました。歴史的な豪雨です。
12時間で23mm、つまり8年分の雨が半日で降ってしまったのです。80年ぶりの豪雨とも言われています。このため、コピアポなどで、町が水につかり、家屋が全壊、橋は倒壊、道路は閉鎖、大規模停電が発生、洪水と土砂崩れなどによって少なくても11名の方の死亡が報じられています。
被害にあった方の中に、炭鉱事故で無事生還した男性が含まれていました。被害者のサモラ氏によると、就寝中に洪水が起こり、近所の人たちと助け合って避難したものの、家を流されてしまったと言います。
チリ北部では、この先、大雨は予想されていませんが、救助作業や被害地域の復旧が急がれます。
(↑ロイターより。木曜日のコピアポ市内の様子)
なお、中南米では今月、雨による被害が多発しています。先週末エクアドル首都近郊で洪水や土砂崩れが発生、少なくても25名の死亡が確認されています。また25日にはペルーで土砂崩れにより数名が死亡、ブラジル北部では、大雨で道路に穴が開き、バスがその下を流れる濁流に飲み込まれるという事故も発生しています。
※衝撃の映像※
ペルー:土砂崩れの様子
<http://www.ibtimes.co.uk/peru-declares-emergency-mudslide-zone-1493643>
ブラジル:バス濁流へ
<https://www.youtube.com/watch?v=_SPXIiOu4IY>
