10月29日は、ハリケーン・サンディーがアメリカ東部を襲い甚大な被害を起こした日です。約100名のかたが亡くなりました。
昨日書いたとおり、サンディーは東海岸を北上した後低気圧に変わり、大陸から東進してきた勢力の強い低気圧と合体しました。海岸線の侵食・洪水・風害だけでなく、大雪ももたらしました。
アメリカのニュースではサンディーを大々的に取り上げ、まるで地球が滅びるかのごとくドラマティックに扱っていたのを思い出します。音楽・映像共に派手で、(やりすぎ感は否めませんでしたが)大変なストームが近付いていることを物語っていました。
今でも忘れられない映像があります。
大雪の積もる、確かワシントンDCだったでしょうか、そこである女性がレポートをしていた時のことです。深夜の歩道を、リュックを背負った女性がスキーをしながら横切ったのです。目にはスキー用のグラス、頭にはニットの帽子、スキー場でみるそのものの恰好で、雪の降る閑静な住宅街を滑っていました。
レポーターはすぐさまその女性に声をかけ、何をしているのかと尋ねました。すると女性は、私は歯医者なんだけど、交通が麻痺して明日の朝は電車に乗れないだろうから、スキーで向かっているとのこと。なんと5時間以上かけて向かうのだとか。ずいぶん大変な話だと思って聞いていると、女性はにこにこして、楽しいわと言っていました。
その次にインタビューに現れたのは、幼子を抱っこした夫婦でした。この赤ちゃんは生後1ヶ月なんだけど、初めての雪を見せたいからお散歩しているのと母親は満面の笑みでこたえていました。まだあんなに小さい子供を寒風吹きすさぶ外に出すなんてと思いつつ、あっけらかんとしてなんと楽しい親なんだと感心しました。
この非常事態を楽しんでいるアメリカ国民がますます好きになったのを思い出します。
ところで、サンディーは、被害をもたらしただけではなく、こんな嬉しい事実ももたらしました。それは、赤ちゃんです。
サンディーから9ヶ月後の7月に、出生率が前年同期と比べて飛躍的に上がったのだそうです。ある病院では35%も上昇しました。
何があったのでしょうか?
ある学者によると、「災害時には人は結びつきを強めるために出生率が上がる」のだそうです。さらに停電であることも関係するとする学者もいます。実は大規模停電が起きると、過去何度も出生率が増しているとの報告があるのです。
たとえば、1977年にニューヨークで停電が発生した時、2001年にアメリカ同時多発テロが起きた時、そして、2005年にハリケーンカトリーナがアメリカ南部に上陸したとき。いずれもベビーブームが来たという調査結果があります。
まさか災害と停電が出生率に影響をしているとは!?日本でもそうなのか、気になるところです。