私の著書を読んでくれた方は父のことが書かれていたので、極悪非道な父親だと思ったかもしれない。
確かに5~6年位前の父は完全に悪魔に体を乗っ取られてしまったのではないかと思うほど最悪な人間だった。
年老いた95歳の父の母は「○○を殺して私も一緒に死にたい」とまで言った。
父の妹も「早く死んでくれたらいいのに・・・」と言っていた。
私もそうだった。
こんなに私を苦しめて、こんなに困らせて・・・
悲しくて悲しくて、苦しくて苦しすぎて(あんな父親・・早く死んでくれればいいのに・・・)と何度も思った。
金色の光りを父に送ろうと本気で思ったのは本に書いたように自分が限界寸前の頃だった。
とにかくそんなどう仕様もない父だったが、亡くなった今では父の良い所しか思い浮かばない。
亡くなってから父の魂と繋がった。
父は「悪かったな・・。ゆるしてくれ・・・。自分の弱さに負けてしまった。本当に悪かった・・。」と謝っていた。
そして「ありがとう・・。ありがとう・・。本当にありがとう・・・。」と何度も伝えてきた。
父は人生の失敗者だと思っていたし、自分が生きる価値がない人間だと思っていたのだと思う。
亡くなる2年前に自分ががんの末期だと告知された後、父は自分がこれ以上惨めに生きたくないと自殺を図った。
今だから言える話だけれど、父は長さ60センチ位の日本刀を持っていた。
荒れ狂っていた頃はいつも私に言う最後の脅し文句は決まって「これからお前の家に行って腹を切って死ぬからな!」だった・・・。
その日本刀を持って腹を切って自殺しようと一人で夜山の方に向かって歩いていたら、睡眠薬が効いてきて足がフラフラになり、持っていた日本刀の鞘が開いて刀がすぐ側の川の中に落ちてしまった。
刀がなければ死ねないので真っ暗で何も見えない川の中を探そうと一歩足を出したが、その瞬間川の中に自分も落ちてしまった。
暗くて何も見えなかったらしいけど、結構深くて流れが激しくて大変だったらしい。
結局父は死ぬつもりで山に行ったが、刀も自分も川に落ちて体中怪我をして血だらけになって帰ってきた。
父は山梨で私は静岡なのですぐに行けずに電話をすると、「本当に死のうと思って覚悟して行ったのに死ねなかった・・。さっき俺が死ぬのに成功してたら、お前も楽になれたのに残念だったな・・。」と本当に悔しそうだった。
父は最期位は昔の武士のように潔く自分で自分に決着をつけたかったのだろう。
それなのに、まるで喜劇のような展開になってしまい、、失敗したと言うことに耐えられなかったのだと思う。
それから1ヶ月もしないうちに、父は今度は山の中の木にさらしを巻いて首を吊ろうとしたけど、父の体が重すぎて死ぬ前に枝が折れてしまった。
父は落ちたショックで脳震盪を起して、体中打撲で痛がったが大した怪我もなくまたもや無事だった。
神様は2度も父を救ってくれたのだ。
この時に父は「俺は自分で死ぬこともできない。
まだ、生きろってことか? こんな自分でも、まだ生きる価値があるのか・・・?」と私に聞いてきた。
その姿はいつも攻撃的で威張りちらしていた父ではなく、子供のように純粋な目に変わっていた。
私は「お父さん、これからが本番だよ。 これから毎日生きていて良かったと思えるように生きればいいんだよ。
大丈夫!神様は決してどんな人も見放さないからね!」
この事件から私と父の距離は少しずつ近くなっていった気がする。
父は自分が生きる価値のない人間だと思っていたが、父は私にたくさんのことを教えてくれた。
肉体が無くなった今も、こうして大切なことを私に思い出させ学ばせてくれる父のことを、これから少しずつ書いていこうと思う。
それが父がこの世に生きていた証。
そして私にできる父への最後の親孝行だから・・・。![]()
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