先日、ウチの娘の部活の試合を観戦した際のお話しです。
ウチの娘はバスケ部に所属しているのですが、弱いながら一生懸命頑張ってます。
今からSBカップと言うトーナメントが始まってるのですが、結構激しい試合でした。
その試合途中、娘のチームの選手が倒れ込んでしまいました。勿論相手チームのファールだったのですが、倒れた子が口の周りを押さえて、苦しそうでした。どうも相手チームの子の肘が顔に直撃したようでした。その子は控え選手と交代して顔を冷やしてました。私も最初鼻血かと思ってましたが、上唇が赤くなり腫れてる様に見えましたので、もしかして?と、思いました。
その子は5分ほど交代して、試合に戻り、最後まで戦い抜きました。
私も口腔外科の歯科医で、娘のチームメイトの子でしたので、試合後その子を診ようと思い、近づいたのですが、他のご父兄さんが既に診ておられました。チームメイトの父兄に歯科医師の方が居られたようで、既に診察されてました。
その方は会場近くで開業されてる、やはり某大学の口腔外科の出身の歯科医師でした。
試合後その方のクリニックにて治療を行い、コトなきを得ました。
前置きが長くなってしまいましたが、今日は歯の脱臼についてお話ししようと、思います。
それでは、歯の脱臼とは?
外力によって、今回は肘打ちでしたが、外傷等により、歯を骨(歯槽骨)に固定している組織(歯根膜)が断裂することを歯の脱臼と言います。脱臼には歯が骨から完全に離れて、抜け落ちてしまう(脱落)ような完全脱臼から、一部の歯根膜が断裂しただけの不完全脱臼、亜脱臼、までさまざまな脱臼の状況があります。
それでは、審査診断治療法を説明します。
歯の割れや、骨折がないことをレントゲンで確認し、歯を元の位置に戻し(再植)、両隣の歯と接着剤でくっつけたり、ワイヤー等で固定します(固定)。歯が歯槽骨から脱落している場合でも、歯根膜の乾燥やひどい汚れがなければ再植術の成功率は高いといわれています。また、歯の根っこ(歯根)が完成していない歯では、再植後に神経が生き返ることがあります。経過を観察し、生き返らない場合は神経の治療をします。
この再植した歯ですが、脱落後十分以内に処置を行った場合、歯根膜が生着し、ほぼ本来の寿命で残る確率が高いと言われています。抜けた歯を再植するまでに乾燥状態で一時間以上放置すると、歯根膜が死んでしまいます。このような歯を再植した場合は、歯と歯槽骨が直接くっつき、歯根は根の先より次第に吸収が起こり、数年で歯の頭だけとなり、抜け落ちることが多いと言われています。その為に脱臼後が大変大事になってきます。
それでは、脱臼したらどうしたら良いかをお話しさせていただきます。
再植がうまくいくためには歯根膜が生きていることが必要です。口の外に落ちてしまった場合には、すぐに拾い、軽く水洗(水道水なら三十秒以内)し、乾燥しないようにすることが大切です。最もよい方法は元の位置に戻してみることです。もし、抜けた歯を戻せない場合は、飲み込まないように唇と歯ぐきの間に入れて口の中に保存するか、すぐに牛乳が手に入るなら、牛乳の中に保存します。
それでは最後に、治療期間ですが、脱臼では、歯を歯槽骨内の本来の位置に戻してから(整復)、3,4週間以上固定します。 脱臼のうち咬合を妨げない埋入では、歯の再萌出を期待して、特に処置をせず経過観察することもあります。 固定期間中は歯を安静にすること、清潔に保つことが大切です。
この様に歯の脱臼は、時間との勝負です。外傷を受けて歯がグラグラしたら早急に歯科医院を受診しましょう。