義援金と税(法人が自社製品等を被災者に提供した場合) | 新宿区の税理士法人アクア 代表の徒然日記

義援金と税(法人が自社製品等を被災者に提供した場合)

東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に、改めて心からお見舞いを申し上げます。


このブログでも、震災に際しての義援金の寄付とその取扱いを記載しました。




義援金の寄付を、現金によるものではなく、物(自社製品等の現物)の提供(寄付)でお考えの方(法人)もいらっしゃいます。


‘物(自社製品等の現物)を被災者に提供した場合の税務上の取扱い’について記載します。



【法人の取扱い】

  自社製品等を寄付する際の税務上の取扱は、
 

   「法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う

  

    自社製品等の提供に要する費用は、寄付金または交際費等に

   

    該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として

   

    損金の額に算入される。」


  となっております。


  つまり、寄付金又は交際費とはせずに、広告宣伝費として

 

  提供した全てが法人の損金(経費)となります。


  注意点は、


   ・提供先を不特定又は多数の被災者とする

   ・自社製品等とありますが、自社で製造した商品だけではなく、

    通常に仕入れによる商品・原材料・消耗品費等も該当


   ・単価(原価)や提供した数については把握しなければなりませんので、

    明細書等の作成が必要です。



【個人事業者の場合】


  法人の場合とは、大きく異なります。


    自社製品等」を寄付するということは、事業上の必要経費にはならないため、


   経費から除外する必要があります。


  例えば、商品を10万円仕入れたけれども、3万円を現物で寄付した場合を考えます。

    ※ 事業上の仕入は、10万円-3万円=7万円となります。


 では、この現物の寄付3万円はどうなるのかについてです。


  寄付金控除として所得控除の対象になります。

  その結果、所得税・住民税の負担を減らすことができます。

  注意点は、法人の場合とほとんど同じですが、

  

  寄付先から、現金による義援金の寄付と同様に受領書をもらう必要があります。



このように、物(自社製品等の現物)の提供(寄付)に伴う税金の取り扱いは、

法人と個人で大きく異なりますので、注意が必要です。




そえじまっさお