安田祐輔さんの『暗闇でも走る』、読み終えて最初に思ったのが「なんて薄いんだ!」ということ。 | 若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog

安田祐輔さんの『暗闇でも走る』、読み終えて最初に思ったのが「なんて薄いんだ!」ということ。

(NPO業界イケメンアワード第一位の呼び声が高い安田さん)

 

盟友でもあり、NPO経営者仲間でもあるNPO法人キズキの安田祐輔さんの書籍を読んだ。新幹線の移動中に読み終えたとき、最初に思ったのが「なんて薄いんだ!」ということだった。

 

暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由   

 

安田さんは、非常に誠実で優しいひとだ。物腰は柔らかく、丁寧に言葉を紡いでいく。

 

本書は安田さんの生まれから起業家/経営者のいまに至るまでの自叙伝的な側面と、日本社会において抵抗しようのない状況にある若者や子どもたちが追い詰められていくプロセスを垣間見るような側面がある。

 

そしてご本人自身の「発達障害」「うつ」「ひきこもり」「非行」「いじめ」の裏側には、父親のDV、母親の精神的不安定さがあり、ひとりの子どもでは抗えない環境がある。

 

読んでいくと苦しくなる。逃げてほしいけれど逃げられない。そっちには向かってほしくないけど向かっていく。手を差し伸べたいけれど差し伸べられない。そして小学生に「他者に期待するから、苦しくなる」と思わせてしまう、この社会は誰のためにあるのだろうかと考えてしまう。

 

---引用---

 

僕は何も悪くないのに、生まれ育った環境のせいで、こんなことになってしまった。

僕はなぜ生まれてしまったのか

自分が生まれた意味はなんだろうか

こんなに苦しい思いをするために、僕は生まれてきてしまったのか・・・

 

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そんな気持ちを抱えて、それでもどこかに向かって生きていく。その道も見えない。まさに「暗闇」だったのだろう。

 

そんな10代を経て、きっかけがあっていまは経営者です!だったらどれだけ読むのが楽だったか。希望を見つけては絶望し、方向性が見つかれば消失し。そんな人生を送って来られた安田さんのストーリーは、読む人ごとに揺さぶられる価値観が異なるようにも思う。

 

そして、読まれた方のなかには、僕と同じように「なんて薄いんだ!」と思われるかもしれない。僕たちは本当に薄氷の上を歩いている。いま歩けているのはたまたまであって、次の一歩で薄い氷が割れて「暗闇」に転落する可能性がある。

 

では、どうするのか。

 

それを考えるきっかけになる書籍であり、安田さんはどうしたのか、どうしようとしているのかを追体験することで、いまとは違った景色が見えてくる。そんな一冊だった。

 

暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由