男児四人ワンオペ公園戦記「アンコントローラブル」 - 僕らの三時間戦争 – その2 | 若者と社会をつなぐ支援NPO/ 育て上げネット理事長工藤啓のBlog

男児四人ワンオペ公園戦記「アンコントローラブル」 - 僕らの三時間戦争 – その2

我が家の子育て現場レポートをlineblogで書いております。

 

---

 

たった三時間、男児四人(双子つき)を公園に連れていくくらいで大袈裟な!と思われるかもしない。確かに大袈裟かもしれないが、一事が万事にならないためには、あと3年くらい必要だろう。

 

前回の通り、やはり"トイレにひとりで、確実に行ける"は、ワンオペ公園では必須事項だ。トイレ!の掛け声に「行ってこい!」と信頼と確信をもって送り出せるそのときまでは・・・

 

【前作】

男児四人ワンオペ公園戦記「アンコントローラブル」- ぼくらの三時間戦争 –

 

すったもんだの末にトイレ戦争がひと段落ついた。この時点で経過した時間は30分程度。まだまだ先は長い。

 

持ってきた公園玩具はいろいろあるが、長男(5)と次男(4)が向かったのはお砂場。公園という戦場からすれば、かなりの難局だ。まったく砂が服や身体につかないことは想定し得ない。しかも、自宅を出るとき次男から再確認を受けている

 

「袋持ってきてね!(はーと)」

 

いや、(はーと)をつけていただいても、僕の頭の中は不安と絶望でいっぱいだ。安心させるため目の前で袋をバッグに詰める。そして着替えフルセット。四人分・・・

 

長男と次男が鉄棒やジャングルジム、滑り台などを足早に経由して砂場に到着する。その間、後ろをついていく三男(1)、四男(1)は当然遅い。鉄棒の時点で上の二人は全然別の場所に走っていく。もう少し後ろを振り返ってくれてもいいと願うが、彼らは振り返らない。振り返ってしまえば後ろ髪を引かれる(僕が困っている)のがわかっているのだろう。

 

いや、少しはこっちの事情も見てくれよ・・・

 

届かない鉄棒、三段目に行こうとするジャングルジムでは止められ、滑り台は予想外に高かったのか上で固まる。二人とも。仕方がないので階段を上り、右手にひとり、左手にひとり、手をつないで滑る。

 

「あっ!」

 

右手の三男(か四男)が、自分の右手を手すりにしっかり引っ掛けている。バランスが崩れる。左サイドが下、右サイドが上。アンバランスなまま下に滑り落ちた僕らは、傍からどう見えるのだろうか。

 

僕は必死に左手を引き、四男(か三男)が滑り落ちて怪我をしないよう。そして右手を

強く引き、三男(か四男)の腕が伸びきらないよう引き離す。そして下っていく。傾斜がある滑り台から飛び出すように地面に落ちた僕たち三人。

 

このスリリングな展開が気に入ったのか。「もう一回」とトコトコ二人で滑り台の階段を登っていく双子。四回やったところで、さすがに疲れたので砂場に行こうと提案を試みるも、拒否。

 

「長男と次男がいるよ!」

 

拒否。

 

「お砂場楽しいよ!!」

 

拒否。

 

「あっ、三男が袋の水を入れてジャーしているよ!」

 

えっ、あっ、もう始めていたのか・・・既に濡れた服に砂と泥が付いている次男の、変わり果てた洋服が遠くに見えて凹む。

 

お砂場行くー!!

 

「・・・じゃあ、行こうか」

 

掘り起こされる砂たち。お山ができ、大きなクレーターができ、水の通り道ができ、そこにじゃぶじゃぶ水が溜まっている。砂の吸収力もむなしく、大きな池。そしてそのためだけに準備された車たちが沈められている。僕がこの車たちであったら、自分はなぜ製造され、この世に生まれ落ちたのか考えるだろう。

 

砂場に作られた池に沈められるためだけの車たち。製造技術者の夢はきっとこれじゃなかったはず。教えてトミカの中のひと!!

 

袋を持った長男が水道と砂場を往復する。さすが慎重派!水はこぼさない。多少濡れたり汚れたりしているが、許容範囲だ。

 

三男、四男は袋がないため、バケツやスコップを片手に水道へ。力強い流水がスコップにあたり、洋服はずぶぬれ。かろうじて残った水も歩いている間に全部なくなる。本人はご満悦で「じゃー」とやっても、2,3の水滴が落ちるだけだ。それでも満足そう。

 

「まぁ、洋服は仕方がない。着替えもあるし」

 

と思っていた矢先に三男の右足が池に着いたが早いか、ズボッ・・・。靴下と靴は持ってきてない・・・と思ったが早いか、満面の笑みで左足もランディング。はぁと溜息をつこうとしたところ、「じゃぶじゃぶ」というご発声とともに足踏み。もうどうでもよくなる。幸いなことに四男は洋服がずぶぬれで留まる。

 

いいこともあれば、つらいこともある。きっと人生をトータルで見ればバランスが取れているはずさ。

 

ファンタジスタ次男は大丈夫。問題ない。なぜなら、自宅を出るときからあきらめている。袋いっぱいの水は水面張力がはたらく水準を大きく越え、歩きながらも服が全滅。砂場では彼ができるもっとも高いところから滝のように水を走らせ、勢いを持って泥水に着地。大量に跳ねた泥で、すでに真っ黒の洋服がさらに黒や茶色で彩られる。

 

そうはいっても、フルセットの着替えは持ってきている。洋服を脱がせて、水で簡単に泥を流して、洋服を着れば、なんてことでしょう、いままさに自宅を出ようとしているいでたちにさまがわり!のはずさ。そうさ、僕らはいつだって仮説を立て、リスクに備えた準備を整え、公園という戦場に向かってきたじゃないか。

 

次男から笑顔で「パパ、見てー」の声。

 

 

水たまりにお尻を全部つけ、「おふろだよー(はーと)」

 

 

現場からは以上です。

 

 

三時間戦争、約二時間を終える。

 

続く(かもしれない)。