東電黒部幹線(その2)

 

 今回は自分で撮った写真がありません。黒部幹線を丹念にたどり写真を載せているサイトがありますので、URLを載せておきます。山奥まで精力的に踏査していて頭が下がります。

y1hiro.web.fc2.com/154KV/KRBMNU/KRBMNU-F.htm

 

 さて、今回は東御市の島川原鉄構から、奥秩父変電所までです。

 東御市から佐久市などをへて山地に入り、秩父市荒川の奥秩父変電所に至るまで、険しい山岳路線となります。送電線の鉄塔には番号が付けられています。

 佐久から山に入った黒部幹線は険しい十国峠を珍しい形で超えていきます。話は前後しますが、黒部幹線は三相交流二回線の六本の電線で構成されています。新町開閉所から十国峠にかかる556番鉄塔までは、一本の鉄塔に二回線六本が架設されています。ところが、次の557番からは矩形鉄塔に一回線三本を架設して、甲乙二本の鉄塔を並べていく形式になります。先に紹介したサイトを見ると、この様子がよくわかります。

 

 一回線甲乙方式は573番までで、再び二回線六本の鉄塔にもどります。そして、しばらくすると群馬県上野村の上野村変電所に枝分かれして給電し、この地域に配電する6.6kvに変圧されます。黒部幹線はさらに進み、埼玉県に入ると両神変電所にも給電して、奥秩父変電所に至ります。この二つの変電所では154kvから電柱架設用の6.6kvに直接変圧しています。

 

 奥秩父変電所では秩父市周辺一帯に電気を届ける66kvの配電用送電線に変圧して給電しています。そして、各地の配電変電所で66kvから6.6kvに変圧され電柱にはられた電線で、各家庭や工場、商業施設などエンドユーザーに届けられます。

 

 さて、黒部幹線は奥秩父変電所をへて、日高市にある中東京変電所と奥秩父線で結ばれています。大部分の時間は黒部幹線からの電力が、中東京変電所に送られていますが、渇水期に水力発電容量を下げたい時などの事情だと思いますが、中東京変電所から奥秩父変電所に電力が送られていることもあるようです。

 

 以上で黒部幹線の紹介を終わります。

 

 送電線 東京電力黒部幹線(その1)

 

撮影 上田市浦野川左岸側にて 

 

 東京電力に「黒部幹線」という154kvの基幹送電線系統があります。長野市信州新町にある新町開閉所から、秩父市荒川の奥秩父変電所までをつないでいます。

 歴史的には1927(昭和2)年につくられ、当時は黒部川の愛本発電所から川崎市の変電所をつないでいたそうです。現在は一部が運用されていることになります。

 現在は、犀川の三つの水力発電所と、東御市の島川原変電所に連なる千曲川の水力発電所と、群馬県の吾妻川の水力発電所の電力を奥秩父変電所へ送電しています。今では黒部川とは関係なくなっていますが、建設当初は黒部川水系の電力を送っていたので、いまでも「黒部幹線」の名称が使われています。

 

 黒部幹線の鉄塔には、建設当時のものが多数そのまま使われているのが特徴です。写真は信州新町から伸びてきた送電線が上田市にいたり、浦野川をよこぎる手前の光景です。見慣れた先のとがった送電鉄塔でなく、矩形鉄塔といわれる形式の鉄塔で、建設当時からの形式です。新町開閉所から、この写真に写っている二本の鉄塔まで、矩形鉄塔が続いています。高さの低い鉄塔だと両側の角が目立って、ネコ鉄塔の愛称で呼ばれたりします。高さは、ここではかさ上げされているかもしれません。

 この二本の鉄塔の向こうで浦野川を乗り越します。向こう側で受ける鉄塔は今風の先のとがった鉄塔になります。

 

 黒部幹線は、これから塩田平を横切り東塩田、富士山をこえて丸子、御牧ケ原で島川原線と合流する鉄構につながります。この間の鉄塔も建設当時の形式を伝える古いものが連なっています。

 

 この区間に、面白いものを見つけました。東塩田の林間工業団地のところで、黒部幹線に突然高い立派な建て替えられた鉄塔が二本出現します。

 

これが全景で、二本の鉄塔とは三本写っているうちの両側の二本です。

 

                  これは左側のアップです。

 

 この二本の鉄塔は、東京電力の黒部幹線と、中部電力の配電用の77kv送電線・東塩田分岐が共用しているのです。

 上の写真の右側の鉄塔には、電線を支える横腕が両側に9本ずつ付いています。上の三本づつ6本は黒部幹線です。下の6組には右側から中部電力の電線がおりてきて6本が縦に6本の腕木ににつながり、大きく角度を変えて真ん中の低い鉄塔につながっています。

 このひくい鉄塔は、そこにある工場が77kvで高圧受電するための引き下ろし用の鉄塔です。この鉄塔から中電の送電線はまた左端の黒部幹線の鉄塔につながり、そこから写真ではわかりにくいですが、右側に引き下げられて配電用の中電東塩田変電所に引き込まれています。この変電所で6.6kvの配電用高圧電圧に引き下げられて、各家庭や工場、商業施設などに電気が届けられます。(柱上トランスでさらに100v・200vにひきさげられます)

 

 電力二社が二本の鉄塔に送電線を同架しているという面白い例として紹介します。 

 

 

 発電所から、送電線、変電所、配電線をへて、電気が家庭や工場などの消費地にとどくまで、どんな所をとおってくるのでしょうか。また、自分の家庭で使っている電気は、どこの発電所でつくられ、どこを通って届いているのか、知りたいと思いませんか。

 

 何冊か本を見て、回りにある送電線、電柱、変電所などを観察してみました。それは、想像していたよりはるかに大規模で、ち密なネットワークでした。

 

 ネットにもいろいろ乗っていて、調べることができるようです。今は、発電設備を作って電力系統に接続し、託送して受電者に販売する事業に新規参入できるようになりました。そのためには、発電所を接続する系統に空き容量があることが必要です。そのために、系統情報が調べられるようになっているようです。

 

 いま日本では火力発電が主で水力発電は従の関係です。原発は福島の事故で危険性が明らかで、廃止して再生可能エネルギー発電の増設に切り替えるべきです。

 水力発電は、すでに開発可能な範囲の大部分が開発済みです。あとは再生可能エネルギーとして身近な小水力発電に期待が寄せられています。

 水力発電は建設費はかなり高めですが、いったん稼働し始めれば、メンテナンスだけで原料費は不要で、長期間使えます。大正から昭和前期に建設された発電所や送電線が、いまでも立派に機能しています。いまでは格安な電力となっています。しかも、水力発電の長所は、需要に応じて柔軟な運転が可能で応答性が早いなど、他の追従を許さない便利さがあります。

 いまでは、この長所を生かして、揚水発電というものができています。これは、上下に二つのダムをつくり、電気が余っているときに上のダムに水をくみ上げ、電気が必要な時にその水で発電するという方式です。つまり、水の位置エネルギーとして、電気エネルギーを貯めておくということです。

 水力発電や揚水発電には、ダム建設に向いた大きな谷が必要で、山地の川に多くなります。適地としては、長野県、富山県、岐阜県などがあります。長野県でいうと、千曲川水系、天竜川水系、木曽川水系、姫川水系などがあります。千曲川、天竜川両水系では発電所の適地の関係で、大型の発電所は下流の新潟県、静岡県に入ってから建設されています。また、長野県は中部電力の領域ですが、千曲川水系は東京電力、木曽川水系は関西電力が発電所を運用していて、これらの水系では中電は小さい発電所をいくつか運用しているだけです。

 

 いろいろ面白い話が分かってきたので、おもいつくままに何回か書いてみたいと思います。