「社会主義リアリズム」-これも「マルクス・レーニン主義」と同様、スターリン専制・独裁支配体制と、国際関係における覇権主義のための理屈づけの、文化・芸術分野向けのものだった、ということだと受け取りました。「社会主義リアリズム」の名によってスターリンのその時どきの政治的利害に文学・芸術を、その道具として利用する支配体制を巧妙に作り出した過程も解明されています。
   不破哲三氏の『スターリン秘史』によって、スターリンの国内的には専制・独裁支配、国際的には覇権主義が、各国の運動に大きな否定的影響を残し、大衆的に社会主義へのマイナス・イメージを蔓延させてきたことへの、包括的な批判が、世界に先駆けて提出されたことは歴史的意味を持っています。私は、世界的な運動の復興への道を掃き清める効果を期待しています。
 不破氏の解明を受けて、スターリンの残した各分野での悪影響を正していく必要が生じてくるわけで、その一環としての論考として興味深く読ませてもらいました。
   私は、文学に強い関心があるわけでもないので、細部には立ち入りませんが、ショーロホフの『静かなドン』を、読んでみようかなという気持ちになりました。

   本号では、新人賞とその佳作の二作品が載っていました。門外漢であることを断ったうえで、感想をのべます。

 率直に言って、作品の評価の基準がわからない。どうしてこういう順序になるのか。
  受賞作は、理屈をひねくりかえしているだけで、せっかく、介護といういま世間で真剣に向き合わざるを得ない問題をとりあげているのに、関係者や関心を持っている人たちに、よろこびと共感をもって迎えられるだろうか、心配してしまう。私的にいえばつまらなかった。「ここがロドスだ。ここで飛べ」といってみたい。
 佳作は、興味深く読んだ。韓国人ならではのバックグラウンドもあり、目からうろこの思いもした。戸坂潤を想起させる人物との邂逅など、日韓の知性としての連帯をも描き出している。ただ、唐突に小説の時代に引き込む叙述には、すこし戸惑った。

 この二作に、なぜこういう優劣がついたのか?    選評も読んだが十分納得のいく解明はないように思える。