大幸薬品株式会社「令和4年1月20日」 | 林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令データブック

林田学監修:薬事法ドットコム 措置命令データブック

弁護士出身の実業家・林田学です。景表法のプロ薬事法ドットコムが措置命令についてお伝えしていきます。

Ⅰ.分類

1.誤認類型

優良誤認

 

2.表示媒体

パッケージ、ウェブサイト

 

3.業界

健康美容

 

Ⅱ.違反行為者

大幸薬品株式会社

 

Ⅲ.措置命令の概要

⑴ 対象商品

アないしエの各商品(以下「本件4商品」という。) 

ア 「クレベリン スティック ペンタイプ」と称する商品(以下「本件商品①」 という。) 

イ 「クレベリン スティック フックタイプ」と称する商品(以下「本件商品 ②」という。) 

ウ 「クレベリン スプレー」と称する商品(以下「本件商品③」という。) 

エ 「クレベリン ミニスプレー」と称する商品(以下「本件商品④」という。)

 

⑵ 対象表示 

ア 表示の概要

 (ア) 表示媒体 

商品パッケージ及び「TAIKO」と称する自社ウェブサイト

 

(イ)表示期間

別表1「表示期間」欄記載の期間

 

(ウ) 表示内容(別紙1ないし別紙8

例えば、本件商品①について、平成30年9月13日以降、商品パッケー ジにおいて、「空間に浮遊するウイルス・菌を除去 ※」、「身の回りの空間のウ イルス・菌を除去するスティックタイプです。」等と表示するなど、別表1 「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとお り表示することにより、あたかも、同表「使用方法」欄記載のとおり本件4 商品を使用すれば、本件4商品から発生する二酸化塩素の作用により、同表 「場所」欄記載の場所において、身の回りの空間に浮遊するウイルス又は菌 が除去又は除菌される効果等の同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られ るかのように示す表示をしている。

 

イ 実際 

前記アの表示について、消費者庁は、それぞれ、景品表示法第7条第2項の 規定に基づき、大幸薬品に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理 的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しか し、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すもので あるとは認められないものであった。 なお、前記ア(ウ)の表示について、例えば、本件商品①について、平成30年 9月13日以降、商品パッケージにおいて、「ご利用環境により成分の広がり は異なります。」、「ウイルス・菌のすべてを除去できるものではありません。」 等と表示するなど、別表2「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期 間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表 示内容」欄記載のとおり表示しているが、当該表示は、一般消費者が前記ア(ウ) の表示から受ける本件4商品の効果に関する認識を打ち消すものではない。

 

 

⑶ 命令の概要

ア 本件4商品について、別表1「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」 欄記載の表示媒体において、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有 することなく行っている同表「表示内容」欄記載のとおり表示している行為を 速やかに取りやめること。 

イ 前記⑵アの表示は、それぞれ、本件4商品の内容について、一般消費者に対 し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反 するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。 

ウ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。 エ 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記 ⑵アの表示と同様の表示を行わないこと。

 

Ⅳ.メディアの報道

消費者庁の担当者は「二酸化塩素のような薬剤を空間に噴霧してウイルスを消毒、除菌する(効果の)評価方法は確立されていない」と話している。(時事通信)

 

「クレペリン」の措置命令については、大幸薬品が差し止めを申し立てており、置き型2商品は東京地裁で仮の差し止めが決定、今回措置命令を出された4商品については、大幸薬品の主張が退けられ、同社は東京高裁へ抗告している。(AdverTimes)

 

Ⅴ.薬事法ドットコムからのコメント

弁明の機会後に措置命令差し止めの仮処分を申請し5件中1件は認容されたという史上初の事例。

 

それから8日後に消費者庁は残りの4件について措置命令を下したという激しいバトル。