とうとうハニコレですねぇ…( ̄▽+ ̄*)




綾人くんが、なかなか言わないのが




じれったいですが…。




リュウジくんと比較すると




この二人がハッピーエンドになるのか心配になります。




ではでは、続きいってみよー!






黒木大成「…いい返事だ!気合はっているな!」


(すごい大声の社長ほどじゃないけど…)


黒木大成「入社した時は50点だったお前が、100点満点の女神として輝けるか――。」


黒木大成「俺は結果だけを楽しみにしてるからな?」


「はい…頑張ります!」


???「リラックス、リラックスー。」


振り返ると、腕組みしているあんずさんがいた。


栗林あんず「そんなに気張らなくても、大丈夫だって。力入りすぎ。」


「あんずさん…。」


栗林あんず「これまで、綾人くんと一緒に精一杯頑張ってきたんでしょ?」


「はい…。」


栗林あんず「自分たちのがんばりと、その結果生まれてきた作品を信じなよ。」


「…ありがとうございます。」


優しく微笑むあんずさんに、私は精一杯の笑顔を返した。


――その時。


黒木大成「お…お前!!!」


珍しく驚いた社長の声に続いて、楽屋に百合子さんと菊池さんが入ってくる。


十条百合子「何か大事なお話中だったかしら、黒木社長?」


菊地純也「シッシシシシシシシシシシッ、失礼します、ROSEの皆さま!」


黒木大成「大勝自ら敵陣に乗り込んでくるとは、相変わらずいい度胸じゃねえか。」


黒木大成「今日は何しに来たんだ?ポッと出のブランドを笑いに来たのか?」


十条百合子「私、よく吠える犬には興味がないの。」


百合子さんはそう言うと、鋭い視線を私と桜庭さんに向けた。


(うわ…すごい迫力…!さすが天下の百合子さん…!)


私は思わず目をそらしてしまった――が。


桜庭綾人「………。」


百合子さんの鋭い視線を、桜庭さんは動じず見返していた。


(まったく、動じてない…!さすが桜庭さん!)






十条百合子「………。」


桜庭綾人「………。」


百合子さんの鋭い視線を、桜庭さんは動じず見返している。


(うわ…何て緊迫した空気なの…?)


十条百合子「…PuppyROSEのお2人、今日はよろしくね。」


「よ…よろしくお願いします!」


桜庭綾人「…よろしく。」


「さ、桜庭さん!ため口になってますよ!」


桜庭綾人「…悪い?」


「いや、悪いとかじゃなくてですね…。」


黒木大成「はっはっはっ!でかした綾人!その調子だ!」


黒木大成「ガールズ部門でのLillyの天下も今日までだな!


十条百合子「それはどうかしらね?」


十条百合子「さて、そろそろ行きましょうか、菊地くん。」


菊地純也「ハ、ハイ!ソソソソソッそれではROSEの皆さま!」


菊地純也「キョ、キョキョキョキョ今日はひとつお手柔らかにっ!」


十条百合子「○○さん、ショーを楽しみにしてるわね。」


百合子さんと菊地さんは、そろって楽屋を出ていく。


(さすが百合子さん、すごい風格だったな…)


(…あ、そうだ。百合子さんに、あの時のお礼を言わないと…!)


本気で大きな夢を追いたいのなら、恋は捨てろ――。


迷っていた私にそうアドバイスしてくれたのは、百合子さんだった。


(今の私は、あのアドバイスに答えられてはいないけど…)


私は百合子さんを追って、一人で楽屋を出た。






私は廊下を走って追いかけて――、


ちょうどLillyの楽屋に入ろうとしていた百合子さんをつかまえた。


「百合子さん…!」


十条百合子「○○さん、どうしたの?」


「あ…あの時のことなんですけど…。」


私が口ごもりながら言うと、


百合子さんはすぐに察したようで、穏やかに微笑んだ。


十条百合子「さっき、楽屋で貴女の顔を見て感じたわ。」


十条百合子「少しはスッキリしたみたいね?」


「……はい。」


十条百合子「アパレルの夢一本に絞れたのかしら?」


「実はまだ、そこまでは…。」


私の声をさえぎるように、背後から桜庭さんの声がした。


桜庭綾人「…○○。」


「桜庭さん…どうしたんですか?」


桜庭綾人「…あんたが急に飛び出していくから。」


十条百合子「あら、ずいぶんと仲良しみたいね?」


私は百合子さんに向き直り、笑顔を投げかけた。


「百合子さんの言う通り、私はこの世界で夢を追います。」


十条百合子「…そう。賢明な選択だと思うわ。」


「でも…もうひとつの大事な想いを、捨てるつもりはありません。」


「ただ今は、胸の奥にしまっておくことにしました。」


十条百合子「…長くて辛い旅になるかもしれないわよ。」


「…分かっています。」


「でも私、自分の気持ちには正直でいようと思います。」


百合子さんは目を弓なりにして笑って、私の肩をぽんと叩いた。


十条百合子「さすが、黒木くんが選んだ子ね。」


十条百合子「それじゃ、お2人さん、ランウェイで会いましょう。」


百合子さんが私たちに笑顔を投げかけて、楽屋の中へ入っていく。


桜庭綾人「…何の話?」


「え?あ…な、なんでもないんです!はい!」






桜庭綾人「…長い旅とか、気持ちに素直とか。」


桜庭綾人「…意味が分からないんだけど。」


「ええと…ですから、それは…。」


アゲハ「アナタたち、まだこんな所で油売ってたのぉ!?」


(アゲハ先生!ナイス登場…助かった…!)


アゲハ「もうリハーサルの時間よぉ!?急いでチョーダイッ!」


「すみません、すぐ向かいます!」




――舞台袖まで行ってみると、


すでにROSEのスタッフが集まり、他ブランドのリハーサルを見ていた。


「リハーサル、もう始まってるんですか?」


假屋崎蓮「本番と同じ進行でやっているみたいだね。」


――私たちはステージ袖から、しばらくリハーサルの様子を見ていた。


アゲハ「○○ちゃん、綾人ちゃん、そろそろPuppyROSEの出番よ~!」


アゲハ先生が私と桜庭さんを見つけて、遠くから手招きする。


私と桜庭さんは並んで、アゲハ先生の元へと向かった。


アゲハ「ミューズとトレンドリーダー、つまりアナタたち2人は、最後にランウェイに登場する段取りになってるのよぉ。」


(最後…緊張するな)


アゲハ「今からPuppyROSEのリハが始まるから、アタシが合図したらランウェイに向かって歩いてね。」


アゲハ「あの突き当たりで2人に簡単な挨拶をしてもらうから。」


アゲハ先生の説明を聞きながら、私はチラリと桜庭さんの顔を窺った。


桜庭綾人「………。」


(桜庭さんは表に出ないって言ってたけど、どうするのかな?)


(ここまで一緒に頑張ったから、一緒にランウェイを歩きたいんだけど…)


(…桜庭さん、どうするつもりなんだろう?)


アゲハ先生が私の心の声を聞いていたかのように、桜庭さんに言った。


アゲハ「答えはもう何とな―く分かってるけど、一応、訊くわね?」


アゲハ「綾人ちゃんは、本番でランウェイに上がってくれるの?」


桜庭綾人「………。」






只今


復刻版「両想いチョコレート大作戦!」イベやってますね♪




性懲りもなく、綾人くん攻略しちゃいました!


ではでは本編続きいってみよー!






「…大丈夫です。今ごろ酔いが回ってきたのかも?」


桜庭綾人「…そんなに飲んでなかっただろ?」


(このままの関係でいい)


(ずっと平行線のままでも、充分幸せなんだ…)


(桜庭さんへの想いは、ずっと言わないでおこう…)


桜庭綾人「○○…。」


私は机に突っ伏したまま、桜庭さんの心配そうな声を聞いた。


でも、あともう少しだけ――私は顔を上げないでおこうと思った。


桜庭さんに、笑顔を見せる自信が無かったから――。




その後――。


結局、最終電車も出てしまったので、


桜庭さんが車で家まで送ってくれることになった。


車内には、以前聴いた静かなピアノ曲が流れている。


「飲酒運転…にならないんですか?」


桜庭綾人「大丈夫。」


桜庭さんはハンドルを握りながら、小さく私に答えた。


桜庭綾人「あれ、ノンアルコールビールだから。」


「あ、そうだったんですか?」


桜庭綾人「…明日ハニコレだと思うと、飲める気分じゃなかったから。」


(桜庭さん、やっぱり仕事一筋なんだな)


(それに引き換え、私は……)


「…やっぱりこれ、いい曲ですね。」


私は話題を変えようと、流れるピアノ曲に話を移した。


桜庭綾人「…気に入った?」


「はい。車ではいつも聴いているんですか?」


桜庭綾人「…うん、いつも聴いている。」


(桜庭さんがいつも聴いている曲…か)


桜庭綾人「…他の曲にする?」


「いえ、この曲がいいです。」


(好きな曲、好きな食べ物…少しでも桜庭さんのことが知りたい)


桜庭綾人「…じゃあ、このままで。」


すぐ隣にいるのに、桜庭さんの横顔を私は見ることができなかった。


(…どうしたんだろう、私…)


(頭の中が桜庭さんのことでいっぱいだ…)


――私は優しいピアノの音を聞きながら、


助手席の窓に映る桜庭さんの横顔をずっと見ていた。






家の前まで来たところで、私は桜庭さんの車を降りた。


「…ありがとうございました。」


桜庭綾人「…明日、だな。」


桜庭さんがウインドウから顔を覗かせる。


「…そうですね。明日ついに…。」


桜庭綾人「………。」


「………。」


見つめ合ったまま、ただ時間だけが過ぎる。


いつもなら口をつく「がんばりましょう!」の一言がでてこない。


(桜庭さんで頭がいっぱいな私が…ハニコレなんて大舞台に出ていいの?)


桜庭綾人「………。」


「………。」


桜庭綾人「…おやすみ。」


そのまま家に向かって歩き出そうとしたら、桜庭さんの声が聞こえた。


桜庭綾人「…○○。」


「はい?なんですか?」


桜庭綾人「…何でもない。」


桜庭綾人「…明日、頑張ろう。」


「は、はい!頑張ります!」


桜庭綾人「………おやすみ。」


「はい!おやすみなさい!」


走り去る車のテールランプが、夜の闇に溶けていく。


(泣いても笑っても、もう明日が本番!)


(頭を切り替えて、桜庭さんと一緒にハニコレを頑張ろう!)


「…よーし!がんばるぞーっ!」


私はボタンを握りしめ、人目もはばからず大声で気合いを入れた。






(ついにハニコレか…緊張するな…)


ぼんやりと考え事をしながら、会場に近づく――と。


(…え?)


あまりの光景に、私は思わずバッグを地面に落した。


会場になるホールが、青空の下に姿を見せる。


入場口の数百メートル手前から、たくさんの女の子たちがズラリと列を作っていた。


その視線の先――会場上部の大きな液晶では、ハニコレPVが流れている。


(まだ開場まで時間があるのに、もうこんなに人が!?)


会場まで近づくと、プレス受付にもたくさんの報道陣が並んでいるのが目に入る。


(この人たちの前で、私、ランウェイを歩くんだ…)


(私が新ブランドPuppyROSEのミューズだなんて)


(ココにいる人たちは、誰も夢にも思ってないだろうな…)


ソワソワしながら、関係者入口に向かう――その時。


(あ…桜庭さんだ!)


「おはようございます、桜庭さん。」


桜庭綾人「…おはよう。」


桜庭さんは足を止めて振り返ると、私を驚いた顔で見つめた。


「すごい人ですね。思ったより多くて緊張しちゃいます。」


桜庭綾人「…こんなものじゃない?」


(さすが桜庭さん、慣れているというか落ち着いてるというか…)


「あ、そろそろ時間だから行きましょうか。」


私が関係者入口に向かって歩きだす――と。


桜庭綾人「…待って。」


桜庭さんは立ち止まったまま、私をまっすぐ見つめてくる。


「は…はい、なんですか?」


その真剣な眼差しに、私はついたじろいだ。






桜庭綾人「○○…。」


桜庭さんはそこまで言って、口をつぐんでしまった。


「桜庭さん…?」


桜庭綾人「………。」


桜庭さんはうつむいて、唇を噛んでいる。


(何か、言おうとしてるみたいだけど…どうしよう?)


(もう一度いってくれるまで待とう…)


私は何も言わずに、桜庭さんの言葉を待ち続けた。


桜庭綾人「…やっぱいい。」


桜庭綾人「行こうか。」


桜庭さんは結局何も言わずに、関係者入口へ向かって歩きだした。


(何を言おうとしてたんだろう…?)


少し気になったけど、私はあえて触れずに桜庭さんについていった。




ショーのリハーサルが始まる直前――。


ROSEのスタッフは楽屋に集まって、ミーティングをしていた。


黒木大成「ハニコレのチケットの売れ行きは、例年以上に好調だったらしい。」


白川梓「会場は、昨年以上の熱気に包まれるでしょうね。」


(会場前にすごく長い行列ができてたけど…)


(あの人たちが全員会場に入るんだよね…改めて緊張するな)


松尾リュウジ「いいねえ、燃えてきた!」


假屋崎蓮「アパレル男子ガールズ部の初お披露目としては、絶好の機会だね。」


桜庭綾人「…そう言えば、そんな名前だったっけ。」


「そうですね。私もすっかり忘れてました…。」


ヴィクター「Oh…なんだかボク、すっごく緊張してきたよ…。」


一宮若葉「まっくんは見てるだけでしょ?緊張してどうすんの。」


黒木大成「○○!」


「は、はい!」


突然、社長に大声で名前を呼ばれ、私は背筋を伸ばした。






マジ恋


最終話間近です。




リュウジ君の時と違って


ホンワカしているといったイメージです。




マジ恋のヒロインちゃんは


恋に仕事に一生懸命で


やっぱり可愛いと思いました。




ネタばれ注意!ではどうぞ!




(ええと…私の席は…)


急いで自分の席まで行こうとして、私はぴたりと足を止めた。


恐る恐る薄闇に目を凝らすと、私の席に誰かが座っている。


(あれは…?え…?)


桜庭綾人「………。」


(……桜庭さん?)


(こんな時間に一人で…どうしたんだろう?)


(それも…、私の席に座って…)


足音を立てずにそっと近づいていくと、桜庭さんは紙の束を持っていた。


(あれは…私のデザイン画?)


桜庭綾人「………。」


桜庭さんは、ボツになった私のデザイン画に目を通していた。


(…どうしよう?声をかけようかな?)


「……桜庭さん?」


私は小さな声で、桜庭さんの背中に話しかけた。


桜庭綾人「!?」


桜庭さんは私の顔を見ると、目を大きく丸くした。


桜庭綾人「っ………。」


桜庭さんの手からデザイン画の束が滑り落ち、床に広がる。


「あ…す、すみません。」


桜庭綾人「………。」


桜庭さんは立ちあがり、無言のままデザイン画を拾い集める。


「あ…手伝います。」


桜庭綾人「……いいから。」


桜庭さんは、薄闇の中、一枚一枚デザイン画を集めていく。


桜庭綾人「…どうして、ここに?」






桜庭綾人「…あんた、帰ったんじゃないのか?」


「そうなんですけど、忘れ物をして…。」


桜庭綾人「……そう。」


桜庭綾人「…お疲れ様。」


デザイン画を拾い集めた桜庭さんは、デザイン画の束を抱えると――、


私の席から離れて、自分の席へと向かって歩き始めた。


「あ、私がこっちに座りますよ。」


私は桜庭さんの席のイスを引いて、素早く腰かけた。


桜庭綾人「…帰らないの。」


「桜庭さんこそ、まだ帰らないんですか?」


桜庭さんは小さく頷いて、そのまま私のイスに座り直した。


「…ちょっと驚きました。」


桜庭綾人「…驚いた?何が?」


「だって誰もいないと思っていたら、私の席に…。」


桜庭綾人「…勘違いしないで。」


桜庭綾人「…間違えて座ってただけだから。」


「そうですか…。」


桜庭綾人「………。」


「…そ、それに、桜庭さんがボツになったデザイン画を見ていたので。」


「そのデザイン画、今更見ても仕方しなですよ?」


桜庭綾人「…そんなことない。」


桜庭さんは、デザイン画の束を私の前にどさりと置いた。


桜庭綾人「この中で気に入っているものは?」


「え?そうですね…。」


私は過去に描いたデザイン画を、一枚一枚見ていった。


「やっぱりこれかな…。」


その中の一枚を取り出して、桜庭さんの前に差し出す。


それは最初のころに描いた、あらいタッチのデザイン画だった。


「今、こうやって冷静に見るとすごい下手で、みんなにピカソって笑われてた理由も分かりますけど…。」


「やっぱり、私はこのデザインが好きです。」


桜庭綾人「…俺も。」


私のピカソなデザイン画を見て、桜庭さんは優しく微笑んだ。






「桜庭さんも、このデザイン画がいいと思ってくれるんですか?」


桜庭綾人「…インパクトあったから。」


桜庭綾人「…忘れようとしても忘れられない。」


(インパクト…そりゃたしかにそうだけど…)


桜庭綾人「…あんたは、どうしてこのデザイン画が好きなの?」


「きっと無我夢中で、ピュアな気持ちで描いたからだと思います。」


「まだ、PuppyROSEがアパレル男子ガールズ部のころで、自分のクビもかかってて、毎日必死にやってましたから。」


桜庭綾人「…そう。」


桜庭さんは頷きながら、真剣な目でデザイン画をみつめていた。


「でも…桜庭さんみたいな優秀なパタンナーだったら、ピカソみないなデザイン画でも簡単にパターンに起こせちゃいそうですね。」


私が冗談めかして言うと、桜庭さんは目を伏せてぽつりとつぶやいた。


桜庭綾人「…今なら。」


「今なら…?」


桜庭綾人「…いや、何でもない。」(照)


桜庭さんは顔を背けて、ごまかすように軽く咳払いをした。


「あの…桜庭さんはどうして、この道を選んだんですか?」


桜庭綾人「…それ、確か前にも訊かれて気がする。」


「はい。でもその時は、はぐらかされちゃって…。」


桜庭さんはデザイン画をそっと机の端において、頬づえをついた。


桜庭綾人「…やっぱり母親の影響だと思う。」






桜庭綾人「…俺は、母親が営んでいた工房の空気を吸って育ったから。」


桜庭綾人「母親の工房は…俺の第二の家みたいなものかな。」


「じゃあ、桜庭さんは小さい頃からずっと近くで、パタンナーとして働くお母さんの姿を見ていたんですね?」


桜庭綾人「…パタンナーしての母親は、俺の憧れだった。」


桜庭綾人「だからこの仕事を選んだのも、自然な成り行きだった。」


桜庭綾人「俺がこの仕事が大好きで誇りを持っていられるのは、母親の影響なんだ。」


桜庭さんはどこか嬉しそうに、遠くを見るように語った。


「素敵だな…。」


桜庭綾人「…素敵?何が?」


「だって私はいつもふらふらと迷ってって…。」


(ROSEの面接を受けたのだって、ただのちょっとした憧れだったし…)


――話しているうちに、胸の奥底から色んな想いがこみあげてきた。


「私、桜庭さんみたいに…。」


(仕事だけに、集中できてない…)


目頭が熱くなり、言葉に詰まってしまう。


桜庭綾人「俺みたいに…?」


「私は……私は……。」


それ以上喋ったら涙がこぼれそうだったので、私は慌てて机に突っ伏した。


(あ…やっぱり、ここにあったんだ…)


指先に桜庭さんからもらったボタンが触れ、ぎゅっと握りしめる。


桜庭綾人「…○○?」


「あはは、何でもないです!」


机に突っ伏したまま笑い声を上げ、私は溢れそうな涙を押しとどめた。


(やっぱり桜庭さんは素敵だな…)


(自分の仕事に誇りを持っていて、一途で、まっすくで…)


(そんな素敵な人の隣で、一緒に仕事ができるだけで)


(充分幸せなことなんだ…)


桜庭綾人「…○○、大丈夫か?」