先日中京地区の音楽事情について大まかな事を書きました。今回はこの地区の独自性?について書いていきたいと思います。
 現在演奏会が東京地区に比べて極端に少ない事は前回書きましたが、この地区が東京地区と決定的に異なるのは、演奏会の開始時間です。東京であれば平日であれば19時開始と言うのは至極当たり前で、この時間以外での開始は平日ならまず無いかと思います。また別の機会に書こうと思いますが、アメリカは20時開始が当たり前です。それが、中京地区(N市)は1830開演なのです。開場ではありません、開演時間が1830なのです。たぶん他の政令指定都市でも(例えばO府とかSA市とかSE市とか)1900開始が当たり前なのではないでしょうか。

 この時間から演奏会を聴くためには、私の職場のG県からはほぼ定時で職場を離れ、ダッシュで赤い電車に乗りN市に向かってやっと5分前と言う感じでした。たぶん全国的に見てもこの時間から開始は珍しいのではないでしょうか。シャチホコフィル、外タレオケ、きしめん響等、ほとんどのオケ、そして個人リサイタルが1830開始でした。何故この時間かは未だに謎です。
 そしてN市は全国的にも有名だそうですが、洋物のオケ(外タレオケ)は中々客が入らないところだそうです。事実有名なオケの来日公演でN市を外しているのは多々あります。今度のベルリンフィルもN市は外しています。そういう土地柄のようです。私も学生時代、クラシックではありませんが、今は亡きビートルズのジョージハリソンとグラミー賞受賞前のクラプトンとのデュオライブやビリージョエルのライブ等、東京では即日完売しそうなライブですが、私は20年程前に当日券でこれらを見ました。最高でした。バブル時代でしたが、それでも空席がありました。中京地区は外タレには厳しいところです。このように書くとN市(中京地区)はただ単に金に厳しいところなのかと思われるかもしれません。

 しかし、N市には何と言っても現在の日本の弦楽器界の原点となる鈴木バイオリン本社があるところです。また数多くの有名な音楽家(例えばバイオリンで言えば竹澤恭子さんとかピアノで言えばG県ですが上原彩子さんとか指揮者で言えば女流の元祖でもある松尾葉子さんとか)を輩出しているところでもあります。ある意味N市は西洋音楽に最も厳しいところなのかもしれません。

 先日「生演奏を聴くすすめ」を書きましたが、実は東京以外では中々聴くのが難しいと言う、音楽格差について書きます。私は以前、中京地区に2回住んでいました。大学時代と5年ほど前から約2年半、この地区に住んでいました。東京とは少し違う音楽事情について書いていきます。
 私が学生の頃の中京地区は正にバブル景気絶頂期で、客が入ろうな無かろうが少なくとも今よりは演奏会の回数は多かったと記憶してい
ます。現在の東京ほどではなくとも、それなりにほぼ毎日何らかの演奏会はあったように記憶しています。あれからバブルが崩壊し、中京地区の音楽事情は明らかに変わりました。その当たりの話を書いていきます。
 東京は恐らく世界的に見ても有数のクラシック市場かと思います。私が勤務している新宿から電車で30分圏内にいわゆるコンサートホ
ールは沢山あります。恐らく世界中でもこれほどの狭い範囲にホールが密集している年は無いかとおもいます。「ぶらあぼ」という最近大手楽器店で配布されえいる無料の雑誌を見れば、毎日東京では数多くのコンサート、リサイタルが催されていることがわかります。
 しかし、それは東京だけです。私が5年ほど前にいた中京地区は日本でも3番目の人口密集地域かと思いますが、それでも「さあ今日は
早く仕事が終わりそうだから演奏会に行こうかな・・・。」と探しても中々ありません。さらにジャンルはともかく、コンサートがあったとしてもレベルは燦燦たる物です。中京地区のプロオケである、シャチホコフィル、きしめん響、そして少し離れたところにあるウイロウフィルはいずれも都内のオケと比較してレベルは低く、時間を費やしてS席5千円、あるいは4千円払った価値はと問われれば、聴いた後はがっくりという状態です。シャチホコフィルの定期演奏会が行われる日に私が良く行く楽器店に行くと、何と招待券が置かれている状態で(毎回ではありませんが)、この招待券でよく聴きにいきました。
 プロオケがこんな感じなので時間とお金がもったいないので音大のオケも良く聞きに行きましたが、これもひどくA県芸大はまだ良いほうですが(それでも都内の中堅音大K立大、M大、T音大に比べれば低いですね。)それ以外の音大は本当に音大?と思えるような演奏で、都内の普通のW大とかK大Wフィル、あるいは国立のT大オケと比較にもならないような状態。
 ということで、生演奏を聴いていたのは最初の1年で、後半はCDを買うか本社に出張のときに演奏会に行くと言った状態でした。東京
の音楽事情は本当に凄く良いですよ。というより、欧米と比べて首都と地域の音楽格差が本当に激しいと感じていますまた別の機会に書きますが、私がよく出張に行く米国はかなり事情が違います。(あまり行ったことがないので詳しくありませんが、恐らくヨーロッパもこれほど激しい格差はないように思います。)都内の演奏家も地方に進出して全国的な底上げをすればよいのにと思いますが、中々難しいんでしょうか。

 いよいよ先生の紹介もこれが最後です。というのも7人目の先生は今私が習っている先生だからです。約2年半の地方勤務から本社へ異動。仕事的にもそろそろ本社へ戻ってバリバリやりたかった頃でしたので、正直うれしかったです。しかし、楽器を弾く時間はというと、職場のオケと住んでいる町のオケに復活したものの、練習する時間も無い状態。折角弾けるようになったメンデルスゾーンを時々昼休みに会議室でミュートを付けながら20分も弾ければよいほうで、技量維持を何とか頑張っていました。
 私が本社に戻ったことはHさん通じて4人目のMK先生には連絡してもらいました。しかし、中々時間が取れずMK先生にも連絡しないうちに1年が過ぎました。
 1年が過ぎてどうしても先生について習いたいと思い、ネットを通じて色々先生を探しました。5人目のA氏の痛い経験があるので、先生紹介サイトは使わずネット上でHPを開いている方等を中心に探しました。しかし中々私の条件に合う方はいませんでした。その条件とは、①職場からレッスン場所まで近いこと。(30分以内)そして、②毎回のレッスン日を自由に決められる。③レッスン時間が19時以降であること、この3つでした。知り合いを通じて紹介してもらうことも考えましたが、もし気に入らなかった時に断りにくいと思い、中々決めることができませんでした。
 そのような中、職場から近い大手K楽器店での音楽教室が条件①から③全てを満たすことがわかりました。まず楽器店に行き、習いたい旨を伝えると、数ある講師の中からどの方にしますとの問い。私はどの方でも良かったのでお任せしますと伝えたところ、ある方を紹介され、体験レッスンを受けて欲しいとの事。私は1回の体験レッスンでは何もわからないので、正直体験レッスンはあっても無くてもどちらでも良かったです。ところがその方とは、ことごとくスケジュールが合わず、結局体験レッスンは受けられませんでした。その代わりに楽器店が紹介してきた方が今のT先生です。
 T先生は関西の出身で、学校も関西系、しかもメインの楽器はビオラ!学生時代はずっとバイオリンだったそうですが、卒業と同時にビオラへ転向。関西在住時代はずっと、Oセンチュリーのビオラの常トラだったそうで、こちらに来てからは学生時代の友人とクラッシックではない新しい分野の音楽でライブを開いている方です。CDも出されています。曲調は東欧の民族系かな、バルトークとかコダーイっぽい感じです。(一緒に弾かれている方が作曲をされているそうです。)
 T先生は今までの先生の中で音程に最も厳しい方です。開放弦のチューニングでも厳しく指導されます。(厳しくと言っても怖い言葉で言うわけではありません。)私もレッスン前に自分の耳だけでは心許無いのでチューナーでビッチリ合わせてレッスンを受けるようにしていますが、それでも時々合っていないとのこと。厳しいですが、バイオリンはある意味音程が全ての楽器であるように思います。ですので、音程をうるさく指導される方が良いかと思います。
 あと何と言っても先生はビオラ弾きなので私もビオラを弾くので、「ビオラだとこう弾くけどバイオリンならこう弾く。」と言った指導が多くあります。この先生の指導については、このブログで枚かのレッスンで書いているとおりです。とても気さくな方で毎回のレッスンが楽しみです。

 この先生から指導を受けた曲
①ブルッフ バイオリン協奏曲 1楽章、2楽章(アウアー監修 カールフィッシャー)
②ラロ スペイン交響曲(大谷康子監修)現在進行中

 バイオリンを習い始めて最初に付いたT先生から指導されたこと、それはバイオリンの練習以外に「できるだけ多くの生演奏を聴く事!」、「楽器の種類は問わずプロ(セミプロ含む)をとにかく聴く!」ということでした。その心は。多くの演奏を聴くことでどういう演奏が良い演奏なのか(自分に馴染む演奏なのか)が量を聴けばわかると言うことでした。その教えに従って、とにかく沢山聴きました。


 当時いた場所が田舎だったので、隣接する県まで足を伸ばし聴きに行きました。夏休みを使って東京にまで聴きに行ったこともありました。バイオリンを本格的に始めてから5年もの間(A県H市在住中、今から20年以上前)にN響地方公演はもちろん、フェドセーエフ指揮モスクワ放送響、スベトラーノフ指揮ソビエト国立響、マリナー指揮シュッツトガルト放送響、カラヤン指揮ベルリンフィル、デュトワが初めてN響を振ったサンサーンスのオルガン(交響曲第3番)も聴きに行きました。その他、ポリーニがNHKホールで弾いたベートーベン3大ピアノソナタ演奏会、リヒテルが電撃的にH市に訪れたオールモーツァルト演奏会(照明を完全に落として、鍵盤部分だけ照明をつけたかなり変わった演奏会で未だに印象に残っています。)、ブーニンがショパンコンクール優勝後初来日の演奏会(とにかく酷かった)、NHKホールでのボリショイ劇場による白鳥の湖も見ました・・・等など。相当量聴きました。


 その結果、確かに今の私の音楽の好みが形成される元になりました。あと生演奏を聴くもう1つのメリットは見る効果があるので、その奏者の弾き方も大変勉強になりました。この曲って弓のこの部分で弾くんだとか、ボーイングはこうするのかとか。弓の弾く位置と使う量を徹底的にプルトの中で同じにして弾いていたのは旧ソ連時代のオケがだったように思います。

 当時はCDの価格がまだ3500円の時代で(30年前にCDが出始めた頃は4200円だったと記憶してます。27年ほど前は3800円だったと記憶してます。)、演奏会のチケット価格とさほど変わりない時代でした。(この時代のチケットは地方価格でN響がS席4000円、外タレも市がスポンサーなので5000円だったと記憶してます。カラヤン@ベルリンは23年前でしたが、S席18000円だったと記憶してます。当時と物価指数はさほど変わっていませんが、今年来日予定のラトル@ベルリンは・・・高くて聴きに行けません。)そう、まだCDと生演奏の価格差が少なかったので当時はとにかく生を聴きに行きました。

 今は働いていることもあり、2ヶ月前とか先行的にチケットを買っても演奏会に行けるかどうかわからないのでどうしても寸前に探すことになります。しかし、サントリーホールでの良いプログラムの演奏会は1ヶ月以上前にsoldout!以前、本社勤務時は楽器が中々弾けないのでせめて生演奏だけでもということで聞きに行っていましたが、寸前になって行けなくなった事も数回あり、折角買った高いチケットを無駄にすることもありました。(クラシック好きは当時の職場にはいませんでした。)

 私は今バイオリンを習っている方にお勧めするのは、私の師匠同様、できるだけ沢山生音を聴いたほうが良いと思います。いい音のイメージと正しい音程感を頭に植えつけるだけでも価値があります。あと、視覚による効果も絶大です。これはCDを聴いているだけではなかなかできません。是非機会があればコンサートホールに足を向けてはいかがでしょうか。




 実は私、ビオラを弾きます。と言うより「も弾きます。」が正しい言い方かと思います。今回はビオラの楽譜、特にバイオリン弾きにとっての障壁(難しさ)について書いていきます。


 ビオラを弾くことになったきっかけは、職場のオケでした。何処のオケでも良くある話ですが、バイオリン奏者に比べてビオリストは残念ながら少ないのが現状です。私も過去に本当に遊びでチョコチョコと弾く機会はありましたが、演奏会で(何らかの本番で)弾く機会は全くありませんでした。それが私が団長を勤める職場のオケでビオリストが減り、バイオリンとのバランスが悪くなったので演奏会の打上げのときに「それでは私が弾きます!」と宣言し、なんと打上げの宴会のときにオークションで5万円の中国製ビオラまで購入したのでした。しかし甘かったですね。ビオラはまず、言葉の壁ならぬ楽譜の壁があります。そうです。ト音記号ではなくハ音記号なのです。以前先輩からバイオリンのサードポジションで弾くようにすると簡単に弾けるという方法を聞きましたが、その方法をすっかり忘れ、よくわっていないのに正攻法で楽譜を読もうとしました。しかし、本番まであと2ヶ月となり、かなり切羽詰まってましたが年をとった頭はカチコチでとにかく新しいものは拒否状態。どうしようかと思っていたところ、楽団の「歩く楽典」先輩が「魔法の楽譜」(と私は呼んでいる!)を作成して頂き、1回目の本番はクリアしました。「魔法の楽譜」って何?それは、要は4度下げられた楽譜なのですが、バイオリンの楽譜と同じように読み、バイオリンと同じフィンガリングをします。そうすると、その曲のビオラパートが弾けると言うものです。何のこっちゃって?つまり実音(実際)はビオラの下のCですが、楽譜上はト音記号の下のG、これをバイオリンと同じフィンガリングなので、G線の開放となります。そうすると本来求めていたビオラのC線の開放となるわけです。凄いでしょう。


 この楽譜のおかげで直ぐに弾けるようになりましたが、記譜上の音と実音との関係が繋がっていない状態でした。よって、ビオラは少し大きいので少しバイオリンより音程を取るときの指幅が大きいのですが、そこは弾いている音のメロディーラインを聴きながら、そして後はチューナーで補正していました。



 こんなことではダメだと思い、演奏会終了後、直ぐに「ハ音記号読み取りプロジェクト」を立ち上げました。あるビオリストからモーツァルトのアイネクライネがいい練習になるよと助言をもらっていました。しかしここは急速練成で行こう!ということで、学生時代に買っていて弾いてなかった、モーツァルトの「バイオリンとビオラのための協奏交響曲」のソロビオラパートを題材にしました。このソロパート、なんとハ音とト音の混在なのです。つまり、ビオラのハイポジションが結構ある曲だったのです。この曲を3楽章まで1年ほど弾いてかなり慣れました。現在ビオラを弾き始めて丸2年が経とうとしています。かなり慣れましたが、やはり未だに瞬間的に(初見で)弾けと言われると・・・あまり自身がありません。



 音の出し方もバイオリンとは全然違います。今回はハ音のこと(楽譜の壁)を中心に書きましたが、次回以降、弾き方そのものの違いも書いていきます。