ざっくりわけると、世の中には

「犬タイプ」と「猫タイプ」の女がいる、と私は考える。



犬タイプの女は、男に一途に尽くすタイプ。

「待て」と言われたら何時間でも待って、

「会いたい」と言われればどこにでも飛んでいく。

束縛されることが、ちょっと幸せ。



猫タイプの女は、束縛されることが大嫌い。

気分次第で男を呼び出しては

気分次第で平気でアポキャンする。

「小悪魔」と呼ばれるのもこのタイプ。




そのどちらかでいえば、

私が「犬タイプ」であることは顕著だ。




昔、はじめて付き合った彼氏に

デートの時に競馬場や競馬の場外馬券場に

連れて行かれて何も文句も言わない私に

親友の環(たまき)はこう言ったっけ。




「それってデートじゃないじゃん!

単に男の用事に付き合わされてるだけじゃん!」




「あんた、都合のいい女になっちゃだめだよ!」




猫タイプの女になれたらどんなにいいかって

思ったこともあるけど、なれなくて。

それは今も変わらなくて。




例えば、私の髪は控えめなブラウンの

肩下10センチのストレートロングだけれども、

これだって、隆史に

「俺、ストレートで髪の長い女の子が好きなんだよね。」

って言われたから、ホントは癖っ毛なのに

無理して縮毛矯正してストレートにした。



で、スカートが好きな隆史のために

デートの時は毎回スカート。

ホントはTシャツとデニムが好きなのに。



隆史と会えるとなれば、女友達との

約束も「ごめんっ!」ってキャンセル。

でもそれも友達に悪いから、

なんとなくこっちから誘うこともやめて

だんだん女友達と遊ぶことも少なくなってしまった。



隆史が宇都宮で働くことになったとき、

横浜に住む私にこう言ったの。




「いつか必ず迎えに行くから」



その言葉だけを信じて今まで頑張ってきた。

「仕事だから会えない」

って言われても耐えてきた。




大学時代はまだ良かったけど、

私が就職してからめっきり会えなくなった。




営業マンの彼は土日休み。

販売員の私は平日休み。

休みも合わない。

でもそれは私が選んだこと。




元々、女同士の付き合いとか

そうゆーのが苦手だったから

OLは絶対無理だと思って。

一日中座っていられもしないし

かといって彼みたいにバリバリの

営業マンには到底なれないと思って。




ちょうど大学時代にスーパーで

接客のバイトをしてたから

その経験を生かして今の会社に決めたんだ。




で、月に1回ぐらいは土日に休んでも

大丈夫だったから、休みをもらって

隆史が東京の実家に戻ってくるか

私が宇都宮に会いに行くかして

それでようやく会えてたんだ。



今日もお疲れ。
イブに予定無し。実家暮らしの私は自宅に帰って寝るのみ。



荒んだ部屋。
私の心みたいだ。



そんな私にだって彼氏はいる。



歳は二歳上。サラリーマン。遠恋中。
付き合って4年。
大学2年の時に友達に誘われた飲み会で知り合って、付き合い出したらすぐに就職した彼はイキナリ地方の支店に配属されて。
当時は悲しくて悲しくて毎日泣いてたような気がする。
会いたくて逢いたくて。
声だけでも聞きたくて。






その隆史(タカシ)からメール。
速攻で携帯見る。



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件名:玲奈へ


本文:
おつかれ!
今日は寒い中歩きっぱなしで疲れたよ。
おやすみ!

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クリスマスとゆー言葉がどこにも見当たらないし。
例えば、「クリスマスなのに一緒にいられなくてゴメンね」とか無いわけ!?



一瞬でも期待した私がバカだった。
ベッドに携帯放り投げる。でもまた拾って「お疲れ様」とメールする。
バカな私。



月に一度会えればいいほう。
誕生日もクリスマスも1人で過ごしてきた。
もちろん、誕生日を友達が祝ってくれた時もあったけど。



不満を言わなかったわけじゃ無い。
だけど、「仕事とあたし、どっちが大事なの!?」なんて言いたくなかったんだ。
さっきからレジの女の子達が浮き足立ってる。



って、私も一応「女の子」なのかもしんないけど。
レジじゃなくて売場担当だからさ、ホラ、あの輪の中には入っていけないんだよね。



そりゃあクリスマスイブだもんなぁ。
ソワソワもするよね。
早くお客が帰らないかって思ってるのがバレバレだよ。



PM8時。店内に、閉店時間を知らせる「蛍の光」が流れ始める。



お客は2人。
いつもならもう少しいるけどね。
こんな日にこんな時間に電気屋にいる人なんて、よっぽど暇か、プレゼントを買い忘れたかのどっちかだね。



とか思いつつ、私はいつものように売り場をチェックし商品の補充をして…いつも通りの閉店作業を続ける。



にしても今朝の、女の子達の出勤姿はすごかったなぁ。勝負服だったなぁ。



それに引き換え、私はいつもと変わらず。



「ありがとうございましたぁ~!」



最後のお客さんを見送って、ミーティングを終わらせて、制服から着替えて、いつものように自分の車に乗り込む。



ただひとつ、いつもと違ったのは、いつもは通らない海沿いの道を走って帰ったこと。



けれど、クリスマスバージョンにライトアップされた灯台が見えた時、溜め息が出た。



私、いつまでこうして「1人でも大丈夫な自分」を演出してたらいいの?



うっかり感傷的になる。



そんな、24歳のクリスマスイブ。