同窓会のあとも、奥村くんと頻繁にメールを送り合った。



内容は「バイト頑張って」とかそんな程度のものだったけど。



私のことを気にかけてくれる人がいる。それだけでも毎日が楽しくなった。



奥村くんは大学に通いながらバンド活動をしていて、夏休みの今は、バイトの暇を縫って家でギターを掻き鳴らしているらしい。



それでも、



「暇だ~」



とか言うので、



「会おうよ」



という話になって、スタバで待ち合わせることに。



これって何気にデートじゃない!?



「ひさしぶり~!って、この前会ったばっかだけど」


奥村くん登場。



「フラペチーノってなんか一人だと頼めないんだよねー。女の子が一緒だと恥ずかしくないね!

この前ね、道を歩いてたら美味しそうなケーキ屋があってさぁ、男一人で入るの恥ずかしかったけどどうしても食べたくてさぁ~」



「あはは!」



奥村くんは可愛くて面白くて、一緒にいると本当に楽しかった。



「ねえねえ、玲奈ちゃんって呼んでもいい?」



「う、うん、いいよ!」



動揺を隠して私は答える。


「よかった~!」



ニコッと笑う奥村くんにキュンとなる。






話を聞いていたら、どうやら独り暮らしということが判明。



「今度奥村くんのギター聴いてみたいな」



素直にそう思ったから言った。



「うん、いいよ。近々ライブもやるよ。単独じゃないけどね」



それもいいけど…



そうじゃなくて…



「今度、奥村くんの家に遊びに行ってもいいかな?」


「えっ!?」



「ダメかな?」



「いいけど…」



何だか歯切れの悪い返事だったけど、それはきっと部屋が散らかってるとかそういうことが理由なんだと思ってた。



そう、その時はね。
あれは、隆史と付き合う4ヶ月くらい前。暑い夏のこと。



当時私は、初めて1年以上付き合った彼氏と別れたばかりで、失恋のどん底にいた。



夏休みだというのに、バイト以外は家から一歩も出ない毎日。



そんな私を見るに見かねて、高校時代の友人がプチ同窓会を開いてくれた。



集まったのは男女合わせて10人。その中に奥村くんがいた。



奥村くんとは高校時代に口をきいた記憶がほとんど無い。けど、友達の友達つながりでよく見かけた。



いや、友達じゃなくたってその容姿は印象に残るはず。



ちょっと茶色がかったサラサラのショートヘアーに、女の子みたいに白い肌、細い手足。ウエストなんか私より細いんじゃないかと思うくらい。



誰が見ても、綺麗な男の子だったから。



高校を卒業しても、それは全然変わってなかった。



その奥村くんが、



「成田さんだよね?俺のこと、覚えてる?」



私のことを覚えててくれたんだ!?



ちょっとドキドキした。



「もちろん覚えてるよ!」


ちょうど席が近かったせいもあって、奥村くんと私は高校時代の話で盛り上がった。当時の先生の話とか。


「成田さん、前は全然話してくれないから、俺嫌われてるのかと思ってたよ」



「ちがっ…!」



それは、あなたが綺麗すぎて話しかけられなかったんですけど…



話してみると奥村くんは、話しやすい人で、しかも結構天然だった。



だから、調子に乗って、彼氏と別れたことまで喋ってしまった。







帰りにメアドと携帯番号を交換しあって別れた。



そしたら、家に帰った後、奥村くんから早速メールが。



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件名:今日はありがと!

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本文:今日は久々に
会えて、いっぱい話せて
嬉しかったよ!
なんか彼氏と別れて
凹んでたけど元気出せ!
じゃあまた!

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すごく嬉しかった。



これって、期待してもいいのかなぁ?
土曜日出勤したおかげで、月火と、サービス業では珍しい連休。



あんまし嬉しくはないけど、でもこれで寝不足が解消できる!



とゆーわけで、連休の1日目は寝た!寝まくった!



夕方に起きたら、お母さんに

「あんた、生きてるのかどうか不安になったよ」

と言われてしまった。



ヤバイ、年頃の女子が何をやってるやら…



一人で反省。



でも、学生時代の友達はOLだから平日になんて遊んでくれないし、店の仲間とはなかなかシフトが合わないし…。



自分で自分に言い訳。



よし、でも明日は出かけよう!と決めた。







連休2日目。



車で、前から行ってみたかったショッピングモールへ。



1人でドライブするのは結構好き。こんな時、車があってよかったなとつくづく思う。通勤が不便だったからお金を貯めて買ったコンパクトカー。



でも運転はあんまり上手くない。自分でもわかってる。だから、高速使って隆史のところまで会いに行くのはゼッタイに無理!なんだよね。







平日なのに結構混んでるからビックリ。ああそうか、早いところだと大学もそろそろ休みかぁ。気づけばあと数日で2月だもんなぁ。


いたるところに「バレンタインデー」の文字が躍ってる。今年はどうしようか?まあでも当日は平日だからまた会えないんだろうな~。



とか思いつつ色んなお店を見てまわる。



あ、この服可愛い!



…でも隆史好みじゃナイなぁ…ってまた隆史のことばっかり!



ダメだなー、私。



ちなみに今日は、ブルゾンの下はボーダーのセーターとジーンズ、スニーカー。これが、夏になるとTシャツに変わる。このほうが私らしい。







今日の収穫は、バッグと春物のシャツ。まぁまだ季節的に早いけど。良いもの買えたしそろそろ帰るとするか。



あ、でも最後にCDショップ見ていこう。



あ!そうだ、コレ買おうと思ってたんだ。



レジに行って財布を取り出す。



「3990円になりまーす」



えっ…



この声…



顔をあげる。



「奥村くん!?」



「玲奈ちゃん!?」



高校の同級生の奥村浩介だった。



ううん、単なる同級生じゃ無い…



封印してたはずの夏の思い出が蘇る。