そうだ、米国で医者やろう~♬ -3ページ目

そうだ、米国で医者やろう~♬

米国ボストンで循環器内科フェローをしています。心臓集中治療の分野と美味しいご飯処を世界に広めるのが目標です。

新年あけましておめでとうございます. 

 

2020年は自身にとって激動の一年間となりました. せっかくなので, パッと思いついたキーワードを列挙してみます.

 

1 新型コロナウイルス

歴史的にも稀なPandemicと医療崩壊(?)を経験できたのはよい人生経験でした. 医学的な管理は対して難しくありませんが, PPEを装着しての過酷な勤務, 倫理的な問題など色々立ち向かわなければならなかったので大変でした. 学問的にも興味深い病気で非常に勉強になりました. 最悪なことに自分自身も感染してさんざん思いをした上にいまだに体力が回復しません. マスコミでも取り上げていただきましたが, 色々あってマスコミ不信になりました. もうあと10年くらいはテレビなどは出たくありません. 

 

統計をみていると, 冬になって新型コロナがまた増えてます. ボストンでも患者数が増えて, 新たにICUが増設されてます. これに伴って, タフツ大学病院では循環器内科はなんでもできるというよくわからない理由で, 循環器内科フェローが内科系ICUのフェローとして勤務することなりました. わたし自身はさっそく先週2週間はCCU(循環器系ICU)とMICU(内科系ICU)の担当をしました. 今月も追加でICUが2週間追加されました. しばらくは新型コロナウイルスとの闘いが続きそうです. 

 

2 タフツ大学病院循環器内科フェローシップ

医者人生で最も成長した一年間でした. 日本での初期研修2年, 米国内科レジデンシー3年間でそれなりに勉強したつもりでいましたが, 有名な研究を表面的に覚えただけで, あくまで「知ってるつもり」でした. 循環器内科の世界は深い. エビデンスを超えた深い病態生理, 血行動態などを立体的に考える思考が身に付いてきました. タフツは特にLVAD, 心移植, ECMO, Impella, 肥大型心筋症などを扱っているので患者層が超絶複雑です. 噂によると, 全米でもトップクラスの臨床力が培えるらしいです. いいプログラムに入りました. SinaiのI先生やタフツのカプール先生には一生頭が上がりません. 今年はBasic/Translational researchにも精を出していきたいと思います. 

 

3 ワイン

ワインはカリフォルニアにある「the prisoner winery」にハマりました. 一番人気はブレンドのthe prisoner. 値段は張るけど激うま. 普段飲みにはSaldo (ジンファンデル)が30ドルくらいでおすすめ. 値段に対する味はおそらく全米一位. 白ワインはロングアイランドにあるBedellワイナリーがおすすめ. お手頃価格でカラフルな優しいワイン. 幸い今年ワイナリーを訪れることができました. ブドウ畑で飲むワインは最高です. マンハッタンからバスで行けて近いのでお勧めです. 

 

 

 

 

 

 


 



今週は美波さんの「アメヲマツ、


」という曲にハマってます。優しい声からこぶしの効いたパワフルな声まで、とにかく声がカラフルです。朝の通勤はこの曲から始まります。 







さて、今週は待望のCCUローテです。一年間で1.5ヶ月しかない貴重なローテ。


タフツ大学病院は心臓系の集中治療室が3つあって、循環器内科系ICU、心臓血管系ICU、心不全ICU(←厳密に言うとICUではない)に分かれてます。


全部で40床くらい。患者が入りきらないときは内科系ICU、外科系ICUのベッドをお借りする形となります。


患者層はとても複雑です。スワンガンツの必要性を強く実感すると共に危険性も孕んでると認識するようになりました(後述)


当院は心臓移植を積極的に実施する施設ということもあって、多くの患者はベースラインで心機能が重度に低下しています。それに加えて敗血症や弁膜症といった要素が加わって事がややこしくなって、とどめを刺す形でECMOImpellaなどのMCSと呼ばれる人工心臓(厳密には違う)が絡んできます。


日本だとECMOは最後の手段で殆どが負け戦という(勝手な)印象ですが、米国では心移植のシステムが新しくなってからはECMO患者に優先的に心臓が渡るようになったので、ECMOで治療されてる患者もかなりの希望が持てるようになりました。


超複雑な患者の治療は普通の集中治療医では手に負えません。なので、当院ではCCUに集中治療医が1名、総合循環器内科1名、心不全専門医1名が配置されてます。なので、患者一人につき最大専門医が3名付くわけです。


全体的な管理は集中治療医が行って、

循環器系の入り組んだ内容は総合循環器内科 and/or 心不全専門医が対応します。


そこに常に内科レジデント/インターン2ー3名がローテしています。ECMOImpellaが必要なときはMCSチームがやってきて併診する形を取っています。


なので、ICUには常にソーシャルディスタンスを保つのが困難なほど人が集まっています。


やっぱりこれだけ専門性が高いと専門家に頼るのは仕方ないですが、各々の専門と専門を横でしっかりと繋ぐ役割の人がいないので、ときよりとんでもない落ち度があったりします。なので、やっぱり、循環器集中治療医てのは必要な専門だと再確認しました。


まぁ、それはさておき、そんな中フェローの役割というと特にありません。強いて言うならば緊急のスワンガンツ挿入・心エコーくらいです。あとは回診が長くならないようになるべく静かにしているくらい。なので、やり甲斐はあまりないですが、自由にしてられるのでICUを遊び場のようにしてはしゃいでます。


エコーに関しては普段はやらないようなインペラの位置調整、ECMOからweaningできるかどうかの確認など特殊な経験もできます(そんな難しくはない)


スワンガンツに関しては、もうすでに嫌と言うほど入れているので、手技自体あまり興味ありませんが、その役割は非常に重要だ思います。


超重症心不全のある患者はめちゃくちゃ繊細で、ほんの少しの輸液で血行動態が破綻することもしばしばあります。身体診察とか採血では太刀打ちできません。すこしでも情報が欲しいとなるとスワンガンツはめちゃくちゃ助かります。個人差、精度の低さ、合併症など色々欠点はありますが、それでも実臨床でこれほど助かるものはない。


過去の論文では否定的な結果でしたが、最近の自分のラボのボスことカプール先生がCirculation HFに出した論文だと重症心不全の患者にはスワンガンツがいーよーという感じになってます。後ろ向きの研究なこともあり、インパクトはイマイチ?なので、本人はRCTをやるぞーと意気込んでおります。


まぁ、そんな感じにスワンは有益なのですが、一方で色々と問題も感じています。一番懸念しているのが心拍出力低下による過剰な治療です。


よく見るのがFick and/or 熱希釈法で心拍出力がめちゃくちゃ低くてCCUに入院になる人。ぱっと見ピンピンしている人も結構います。特に臓器障害もなく血行動態も破綻していないのにもかかわらず、いたずらにドブタミンを始めてVTが起きたり、ひどい場合だと、どんどん治療を加速して安定しているの心拍出量低下だけでImpellaIABPが挿入されます。勉強不足なのかもしれませんが感覚的にはやりすぎです。


一つの数字じゃなくてしっかりと患者を見ることは大切です。


まぁ、とはいえ、まだまだ勉強不足なこともあり、さまざまな症例を経験して腕を磨いていくのが目標です。


あと、このローテでは10年後のCCUに求められる人材というのを一つテーマに考えて、自分の進路を調整していきます。


最近はAdoさんの「うっせぇわ」という曲にはまって一曲リピートしています。強烈な歌詞をアップテンポなリズム感で力強く歌っています。最高です。

 

 

不整脈ローテとは

今日は2回目の不整脈 (EP)ローテ最終日。循環器内科臨床フェローシップ一年目は計5週間あります。主な仕事はコンサルです。他科の不整脈に関連した問題をコンサルタントとして解決します。不整脈班が主科で担当する患者も平均5人ほどいますが、内科インターン(卒後1年目)とレジデント(卒後2-3年目)が担当してくれているので、臨床フェローの仕事は大まかな方針決定とトラブルシューティングです。EP関連の手技に関して殆ど関わることはありません。不整脈フェローがすべての手技をやります。ぶっちゃけ、カテ室の場所すらよくわかりません。ちなみに米国では内科レジデンシー3年→循環器内科3年→ Advanced fellowship 1-2年 (不整脈、心不全、インタベなど)という流れになってます。それぞれのポジションはプログラムの規模などを基に厳密に決められていて、例えば、タフツ大学病院の不整脈フェローは例年1-2人の募集となっています。Advanced fellowshipは基本的に超専門的分野を集中的に学ぶのが目的なので雑用が少なく、ポジション数が限られてるので一人前になるために必要な症例数を短期間で経験することができます。よくできたシステムだと思います。

 

不整脈コンサル

コンサル業務は他科からの不整脈に関連した問題に対して解決策を提案する仕事です。カルテは記載しますが、その他雑務(オーダーなど)は全部主科がやってくれるのでコンサルタントは純粋に医学に集中することができます。いままで一日平均6-7件のコンサルがありましたが、コロナが増えてきてからはなぜかコンサルが減って一日4-5件くらいです。ちなみに、最近、米国で実施された大規模な研究によると、ICDという埋め込み型の電気ショックを装着している患者を対象にコロナ前後で致死的不整脈がどれくらい起きたか比較したところ、コロナ禍で治療が必要な致死的不整脈の患者が32%減少したらしいです(1)。筆者はソーシャルディスタンスでストレスが減ったんじゃないかと考察してます。まぁ、たしかにコロナ禍で経験できる症例は若干減ってしまいましたが、それでも2週間で50人近くの症例を経験できますし、心移植やECMOを要する患者も多数いるので、かなり複雑な症例ともしばし出会います。ある程度の症例数を経験することは非常に大切ですし、よくある簡単な症例(米国ではBread and butterといわれます)にしっかりと対応できるようになるのは当然ですが、実際、ある程度経つと、数少ない複雑な症例に対してじっくりと腰を据えて向き合うことのほうが学べたりします。Bread butter casesと複雑な症例をバランス良く学ぶ。これ教育の本質です。多分。

 

どんな流れでコンサルをするかというと、まずは他科からポケベルで連絡が来ます。なぜ、いまだにポケベルを使用しているのかわかりません。んで、コンサルをしてきた人にまずは正式なコンサルかどうか尋ねます。正式でなければぱーっと話を聞いてその場で口頭でぱぱっと答えて終わるので楽ちんです。ちなみに米国ではこれをCurbside consultといいます。もし、正式なコンサルであれば、話を聞いた後、患者を診察してプランを立案します。基本的にコンサルチームはフェロー一人と指導医の二人で構成されています。指導医は外来や手技をやってることがほとんどなので空いてる時間にぱーっと話します。特に指導医に聞きたいことがなければ、治療を始めて事後報告したりもよくします。ちなみに米国のシステムは上が楽できるような仕組みになっているので指導医になると仕事の負担が減ります。例えば、不整脈の指導医ならば、簡単な手技は不整脈フェローがやるので基本的に外から見てるだけですし、コンサルもほとんど循環器内科フェローがやるのでトラブルシューティングしかしません。特に手技がないときはなんだかんだうまい言い訳をしつつ3時くらいには帰宅していることも多々あります。これで年収3-4千万てのはやはりアメリカンドリームです。

 

ちなみに、不整脈ローテの一日の流れはこんなかんじです

 

6:30 病院着

6:30- 7;00 併診している患者のデータを確認

7:00-7:15 朝のカンファレンス

7:30-8:30 朝のレクチャー

8:30- 新規のコンサルに対応

17:00 帰宅

 

朝は早いですが、特に夕方コンサルがなければ5時に帰れます。きっと日本の専修医の人たちはもっと働いているのであろう。夕方からはラボで研究したり、勉強したり、論文書いたりしてなるべく生産性のあることをするように心がけていますが、なんだかんだで帰宅してドラマ見たりYoutube見ちゃったりもしています。まぁ、息抜きも必要です。来週からはCCUローテで忙しくなりそうなので週末はまったりします。

 

1.            O'Shea CJ, Thomas G, Middeldorp ME et al. Ventricular arrhythmia burden during the coronavirus disease 2019 (COVID-19) pandemic. Eur Heart J 2020.