思い起こせば13年前、飛騨高山を旅行中に古い町並の土産物屋には不釣り合いなアニメのポスターが目に止まり、素敵な絵だと思った記憶がある。まだアニメの聖地巡礼が、典型的一般人には馴染みがなく、さるぼぼと飛騨牛のステーキが私のお目当てだったが


「わたし、気になります!」



その後、京都アニメーションの『氷菓』とわかり、妻に隠れて動画配信サービスで観た当時、いわゆる萌えと言われた京アニ作品(ハルヒ、けいおん)の中でも一番のお気に入りで、その影響で原作の米澤穂信の小説は〈古典部〉シリーズ以外にも読みました。


米澤穂信といえば直木賞作品で今、映画化で話題の『黒牢城』が有名だが、私のオススメは『満願』に続く2年連続のミステリ三冠を達成した『王とサーカス』と、その原点である『さよなら妖精』そして真実の10メートル手前』主人公、太刀洗万智の真実を描く三部作である。




アニメ化に際して、米澤先生の小説はライトノベルと言うには難解な語彙でしかも、くどくど説明する手間は省く癖があるので、嚙んで含めるようにセリフで、キャラクターに語らせる演出にしたのは理解できるが、エンディングでの二人のヒロインの、誰かに忖度したような不自然な萌えは、米澤作品の女性像とは相容れない。しかし先生ご自身は、京アニ製作陣の強い熱意に打たれ、スタッフのロケハンに同伴したり、特典エピソードの水着回の原案を書き下ろしたりと全面的に信頼し、そのせいか小説も愛蔵版が刊行される名作となり、しかもアニメは今だにサブスクでの人気も高い。



2004年から続く〈小市民〉シリーズの完結に伴うアニメ化は、青春ミステリがアニメとの相性の良さから、二匹目のドジョウを狙った気もするが、京アニとは違う別の制作会社なので、同じ全22話の『氷菓』とは構成や演出はかなり違う。


神戸守監督の演出は、もはやホラーゲッソリ


原作イラストは絵本のような、かわいらしい絵柄だが、小佐内さんの芯の強さは感じる。

しかし性格まではわからない。



アニメでは幼い外見とは裏腹に、男からすれば、この子ヤバイ女です絶望



初版『氷菓』の表紙は、原作イラストの作者に悪いがコレじゃ売れんだろう。個人的には田舎の高校生らしくて好感を持てるが、主役の一人(千反田?)の顔が隠れている笑い泣き


顔が隠れると言えば、アニメでの折木供恵の顔を見せない演出は秀逸で神懸かってるてへぺろ


『氷菓』は語りべたる折木奉太郎が主人公の小説だが、アニメでは「えるたそ」を中心に物語が展開する。だが米澤先生には千反田をネットアイドルにする意図はなく思春期特有の、どうでもいい事(日常の謎)に思い悩みもがく、いち女学生として描かれています。
それはアニメ化後の話だが『ふたりの距離の概算』そして『いまさら翼といわれても』を読めば、さらによく理解できるので、是非!

最後に、千反田えるに代表されるアニメ『氷菓』だが、それはキャラクターが魅力的で、かつ分かりやすい演出と、あえて人物と背景を同色のグラデーションにして、一体感のある美しい絵作りにする色彩設計などある意味、原作を超えた傑作で、紛れもない名作である飛び出すハート


監督・演出 武本康弘

キャラクターデザイン 西屋太志

色彩設計 石田奈央美


京アニ事件で犠牲となった全ての方々の

ご冥福を心よりお祈りいたします悲しい