思春期は反抗期でもあり、誰しもが親子関係は腫れ物に触るような痛々しい記憶の一つや二つはあるもんで、私にとってのそんな生々しい小説が米澤穂信先生の『ボトルネック』
高校1年生のリョウは、崩壊寸前の家族の中で「何でもないひと」になろうと感情を押し殺して生きていたが、中学で死んだ恋人ノゾミを弔うために訪れた東尋坊で崖から落ちたと思った刹那、目覚めたら、そこは自分が存在しない世界であることに気付く。そして、本来自分のいた世界では生まれるはずのない姉、サキと出会い、それぞれの世界の「間違い探し」をすることで、絶望という感情を取り戻したリョウは呟く「もう、生きたくない」と、果たして二つの並行世界が交わる時、彼が最期にとった行動とは…
最後の方は商業作品としては破綻寸前だが、計算された小説にはない魅力がある、俗に言うパンツを脱いだ作品である。


『ボトルネック』はミステリ小説とも呼べないその未熟さを、みごとに逆手にとった、米澤先生の原点で、リョウの「何でもないひと」への憧れは〈小市民〉シリーズに引き継がれ、サキは『氷菓』では供恵という姉で、重要なアドバイスを弟に与え「古典部に入りなさい」と導く霊的な存在だ。
アニメでは顔を見せない姉貴として登場するが、上手い演出である。

『氷菓』では、姉の供恵がプリシュティナを旅するのも『さよなら妖精』への伏線であり、本来は〈古典部〉シリーズとして出版する予定だった。
『リカーシブル』も姉弟と両親との関係性を軸に、とある田舎町にまつわる「民俗信仰」と、「高速道路」はすべてを救うという二つのキーワードが複雑に絡み合いながら物語は進行していきます。町全体がトリックの舞台装置で、中学生とは思えない推理力のハルカと、怪人二十面相ばりのリンカとの謎解き対決は必見、江戸川乱歩ばりの怪奇ミステリーで、米澤先生の姉弟物の最高傑作であり、よく出来たミステリ小説ではあるが、親子とは、姉弟とは何かを問いなおし、経済発展が人を幸せにするのかを考え直す社会派な一面が、より一層この作品がミステリーの一線を超えたと確信した。
「ボトルネック」読了後に「リカーシブル」を読んで救われた気がしたので、続けて読んで欲しい。じゃないとリョウは、まだ子供なのにあまりにも救われない![]()
ところでハルカのお父さんも、やっぱり嵌められたのかな?だったら救われないが、もう大人なのでしょうがない![]()

