人の世話になるのは
大嫌いや

以前通っていた
デイサービスも辞め

庭の畑をみたり

食べたいものが
あると
シルバーカーを押し
買い物に出かけ

動き過ぎた翌日は
体調が悪くなり

1日を
ベットで過ごし

そんな日々を
まさるさんは
過ごしていた

浮腫んだ足では
歩行もつらく

よく転倒もし

高齢のお二人では
傷の手当も
困難で

血が止まらない

と  
連絡をもらい
何度も
緊急訪問していた


ある日の訪問では
目の見えない奥さんが
野菜をきり

温かいものが
食べたいからと
にゅうめん
を作っておられ

「あんたも
食べてきな」と
ご馳走してくれた



先週月曜日
庭がよく見渡せる部屋に
新聞を敷き
まさるさんの散髪をした

三分刈りにしたら
「坊主でもよかったな」
と言われ

その日は
残念ながら
バッテリー切れで

「じゃ
今度はそうするね」

と言うと

「そうやな」と
ニッコリ
笑っていた

穏やかな
とてもいいお顔だった



その週末
「お父さんの様子がおかしい」
と妻より連絡があり
緊急訪問

救急車を待つ間に
心肺停止と
なった


まさるさんが
亡くなった夜

冷蔵庫の中に
人参があるのを
思い出した

まさるさんが
畑でつくり
頂いたものだった

シチューにいれ
子ども達と

そして
たまたまいた次男の友達にも
ご馳走し

まさるさんの人参
皆で
美味しく
頂いた

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週明け
奥さんのお薬が
なくなる頃だっため

お薬を持参し
訪問した

すると
お葬式が終わったばかりで

親戚や
ご近所の方たちは
皆  お墓にいっているけれど

わたしは
体がえらくて
行けなかった

まさるさんの
奥さんだけが
みえた


そして
まさるさんの
遺影の前で

二人で
まさるさんの話をした

亡くなる前の夜
いつもより
たくさん夕食を食べ

さらに
バナナも食べ

奥さんが
用意したお水を
美味しい
美味しいと
たくさんのみ

床に入った  

最期まで
自分の思うように
生きられ

満足だった


そして
共に生きた
妻にも
感謝し


まさるさんの
笑顔が
みえた気がした