グループホームに入居している義父母。

月一の通院は家族が連れだす。

内科のほかに、義母だけ精神科へも行く。

 

 

5月の通院日は、義母の80歳の誕生日の翌日だった。

 

おばあちゃん「お父さんと🐶(義姉)はどうしたの?」

 

お母さん「内科が終わって、先に帰った」

 

おばあちゃん「私、カバンは持ってきた?」

 

お母さん「義母のカバンと財布は🐶が持ってるよ」

 

おばあちゃん「私はなにも持ってなくていいのね。

これ(紙袋)は?あら、私の80歳のお祝い?」

 

 

この会話を、10分おき。

 

嫁が渡したプレゼントの存在も、忘れちゃうのね。

 

 

診察室では、

 

おばあちゃん「アタマが壊れちゃってる以外は、元気です」

 

今日の医師は違う先生だったので、

躁鬱のこと、入所前後のこと、嫁が説明する。

 

おばあちゃん「えー、ワタシそんなの全然知らない」

 

お母さん「そうだったのよ。でも、まあ覚えてなくても大丈夫。

どこも痛いところもないんでしょ?なにか困ってることはある?」

 

おばあちゃん「そうね、痛いのは嫌だけど、どこも痛くないから、いいわ。

困ってることも何もないし」

 

 

 

帰りの車では、

 

お母さん「通院じゃないと外出できなくてね。

おいしいものでも食べに行けたらいいんだけど」

 

おばあちゃん「大丈夫よ、あそこで良くしてもらってるし。何も不自由してないから」

 

お母さん「それは良かった。義母さん、もう80だけど、まだ80だよ」

 

おばあちゃん「そうね、うちの家系はみな長生きで、みんな90過ぎたから、まだまだね」

 

お母さん「そうそう、まだまだこれからだ」

 

 

 

通院を終え、義母を施設に送り届けた。

 

 

職員ニコニコさんに、お祝いボードを見せて、

 

おばあちゃん「うちの孫、女の子が4人なのよ~」

 

ニコニコ「あら、いいわね!お部屋に飾りましょう」

 

おばあちゃん「今日はありがとうね、気を付けて帰ってね」

 

お母さん「うん、また来月の通院でね」

 

 

義父と一緒にリビングの窓から手を振って、車が敷地を出るまで見送ってくれた。

 

 

 

80歳になった義母。

物忘れは進んで、数分前も忘れちゃうけど、すごく穏やかだった。

 

 

認知症になり、

いつもネガティブで、しかめっ面で、

怒りっぽかったり、話が通じなかったり、こだわりが強かったり…


振り回されて忘れていたけど、

本来の良い人だった義母を思い出して、

帰りの車で、なぜかひとり泣けてしまったお母さん泣

 

 

 

義母がこんなイイ子だと笑

義母を施設に置いてきて、

自分だけ家に帰ること、一緒に住めないこと、

またちょっとだけ、申し訳なくなるじゃんか~泣き笑い

 

 

でも、義母が元気になったのも、

嫁がちょっと感傷的になれたのも、グループホームに入居したおかげだ。

 

 

こんな素直な義母なら、また会いたいと思えた。

 

80歳、おめでとう。