嫁が下の台所に降りて行ったら、お風呂場に行く義母とすれ違った。
けれど、すぐに戻ってきた。
「あれ、お風呂に入るんじゃなかったの?」
「だって、Yちゃん(私の娘、義母の孫)が入ってたんだもん。
Nちゃん(同じく)だったら入るんだけど」
「そうなんだ(スルー)。」
「ちゃんとお風呂入るのはイヤなのよ。だって、シャワー1時間も浴びてるんだもん」
「じゃあ、しょうがないね(スルー)。」
『孫のちゃんは、年の割に、いろんなことを知っているのね。
もう、私もついていけなくて、言ってしまえば、生意気なのよ。
何度も1時間シャワー浴びるのやめるように言っても、全然聞かないし。』
『その点、ちゃんは、なんであんなにかわいいのかしら。
何をやってもかわいいわ。みんなが口が悪いっていうけど、そんなことないわよ。』
義母の口から何度も聞いているので、私たちはスルーしています。
Yちゃんは、風呂には一時間いますが、
シャワーをずっと浴びているのはNちゃんです。Nちゃんも私のことだ、と自白しています。
何度訂正しても、義母の思い込みが変わることはなく。
むしろ、Yちゃんの一時間シャワーを、なぜ注意しないのか、と言ってくる。
もちろん、注意してますよ、Nちゃんに。
不憫な娘、Yちゃんは、これらを知っています。
ある日、学校から帰ってきたら、義母がニコニコして出迎えに出てきて
「あ、Nちゃんだと思った」
と真顔に戻って、言われたそうです。
それでいて、一番、義母のことを気にかけてくれています。
思ってても、言わないよねの代表例です。
心のほんの片隅にある、今までだったら言わないだろうことを
口に出させてしまうのは、認知症のなせる業だと思っています。