【水際対策の徹底を!】首都圏4都県に発令している緊急事態宣言について、菅総理は2週間程度延長する方針を表明しました。首都圏だけでなく、国民生活の各所に大きな影響が出ると思われます。

一方、およそ1ヶ月前に、福岡市内で14人のクラスターが発生しました。海外からの技能実習生の皆さんです。入国後2週間の隔離(健康観察期間)中だったのですが、個室は準備されていたものの実際には食堂で一緒に食事をしており、受け入れた監理団体は隔離中にも関わらず一堂に会しての講習も行っていたとのこと。この講師の日本人が発熱してコロナ陽性と分かったので、一応実習生の皆さんも検査したら一人を除き全員陽性だったことから、保健所の疫学調査の結果、隔離期間中の実態がわかったのです。

今回は実習先に行く前に陽性が分かりましたが、もし誰も症状が無ければ分からないまま派遣されるところでした。今回は違いましたが、介護施設に行くケースもありますから、そう考えるとゾッとします。

要するに、2週間の隔離と言っても、日本では罰則もないお願いベースでの「待機要請」でしかなく、守られていなくても今回のように症状が出ない限り分からないのが実態ということです。

諸外国では入国後、政府指定のホテル等で一定期間待機して、陰性を確認してから自由に活動させたり、GPSなどで管理をして、これを外すと当局に警報が送られ確認されるなど、実効性を担保する仕組みがあります。

日本において、今後首都圏4都県への緊急事態宣言も解除されれば、現在ストップされている海外からの入国についても解除されると思いますが、その際は日本でも隔離期間を守らせる実効性のあるやり方を取り入れることが必要です。

また確実な取り組みによって海外からの入国者は絶対安全という信頼が無ければ、外国人差別のようなものに繋がらないか心配です。もちろん、この要望は日本に入国する外国の方だけではなく、再入国する日本人の方にも適用をお願いするものですが、緊急事態宣言の長期化で国民のフラストレーションも溜まっているので、その矛先が、せっかく日本で頑張ろうとしている外国人に向かうことは絶対に避けるべきです。

もちろん、海外からの入国者に対して今後もずっとこのような2週間の待機期間を設ける必要はありません。例えば福岡市では、新型コロナのような新たな感染症が発生した場合、特効薬やワクチンなどが普及するなど、市民の安全が確保できるまではクルーズ船の岸壁利用を拒否できる仕組みを独自で作って運用していますが、空港は国の管轄です。せめてワクチンが一定行き渡るまではこのような水際対策の強化が出来ないものでしょうか。

出来るだけ入国における私権制限をしたくないという気持ちは、2月1日の内閣委員会での政府答弁と私も同じですが、水際で曖昧な対応をする結果、日本国内で緊急事態宣言を発出せざるを得ない状況になり、多くの国民に対して外出自粛や飲食の時短営業という「大規模な私権制限」を強いることになってしまっては本末転倒になりますので。

関係省庁には福岡市の具体的な事例をもとに、要望書を提出して説明してきました。
国会議員の皆さんが行動していただけることを期待します。

福岡市長 高島宗一郎