大晦日のニューヨーク・タイムズスクエアのカウントダウンと言えば、毎年100万人の観客が訪れるイベントですが、今年は新型コロナウイルスの影響で、110年以上の歴史の中で初めてバーチャルでの開催となります。

そうした中、今年はスペシャルコンテンツとして、世界各国の首長のメッセージをスクリーンに写す演出をするとのことで、外務省から声を掛けていただき、1分間の動画メッセージを録画させていただきました。

いつもであれば動画の背景は福岡市の写真ですが、米国以外は1カ国につき1自治体の首長とされているので、日本を代表する富士山と桜が背景です。
1分という限られた時間なので、私が伝えるメインのメッセージは、差別や偏見について。

感染した人や医療従事者などへの差別や偏見は決してあってはならない。
ウイルス感染は誰でも自らの身に起こりうること。
敵はウイルスであって、人ではない。
感染への不安や恐れがあるかもしれないけど、分断が起きてはいけない。
共にこの共通の脅威に打ち勝ちましょう!
という内容です。

政府が悪い。
マスコミが悪い。
ネットが悪い。
医師会が悪い。
パチンコが悪い。
飲食店が悪い。
カラオケが悪い。
若者が悪い。
高齢者が悪い。
キャバクラが悪い。
東京が悪い。
あの人は自粛による経済的影響を想像できない頭が悪い人だ。
あの人は命あってこそ経済ということが分からない無責任な人だ。
この時期に帰省した隣の家族が悪い。
学校が休校になったのはあの子のせい。

コロナの直接的な被害は健康被害だけのはずなのですが、残念ながら間接的には人が人を攻撃して、人々の分断を加速させるという悲しい被害ももたらしているように思います。
コロナが悪魔であれば、それこそ思うツボです。

すごく社会がザラついているというか、自粛警察に象徴されるように、他人を許せない雰囲気が怖いと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分と意見が違う人を叩いたり、マスコミが生け贄として差し出した批判しやすい人を叩きまくって溜飲を下げたり。
何か溜まった不満が行き過ぎた他人攻撃として現れているように感じています。

何に重きを置くか、何を信じているかは人によって違うので、コロナ禍における振る舞いに唯一の正解はありません。

正義の反対は悪ではなく、もう一つの正義。

結局、ウイルスよりも人間の方が怖かったという事にだけはしたくないですよね。

年の瀬です。コロナ対応で働いていただいている医療従事者の皆さんをはじめ、年末年始も身近な生活を支えて働いて下さっている全ての皆さんに感謝いたします。




https://www.timeout.jp/tokyo/ja/ニュース/ニューヨークの年越しイベント-オンライン開催の詳細公開-121720






福岡市長 高島宗一郎