緊急事態宣言が5月31日まで延長されました。そして小川知事からは、外出自粛だけでなく福岡県内の休業要請を31日まで延長する旨の会見がありました。


一ヶ月の短期決戦で終わらせようと市民の皆さんには歯をくいしばって頑張っていただき、目に見えて新規感染者数が減って成果を上げていただけに、休業要請が延長になったのはショックでもあります。

市民の皆さんからすれば、さらに一ヶ月お店を開けるな、仕事をするな、売り上げなしと言われているようなものですから、この先どうしようか途方に暮れる方もいらっしゃると思います。

 

こうした厳しい状況を受けて、福岡市では、福岡県の休業要請の実効性を高めるとともに、休業要請を受けていなくても大きく影響を受けておられる事業者に対し、少しでも未来に繋がればとの思いで、福岡市独自の追加支援策をまとめました。

 

 

【家賃の8割支援】
 

まず、5月6日までの一ヶ月間、福岡県から休業要請を受けている業種に対して、時短営業や休業にご協力いただければ福岡市として家賃の8割の支援を行っていますが、これを5月末まで延長します。ただし、上限50万円は30万円にします。
何を根拠にしているか説明します。

 

 

【財源について】
 

4月14日に「これらの支援は1か月限定です」と言って福岡市単独で約100億円の予算を投じることとしました。財源は財政調整基金という、まさにこういう時のために貯めていたお金です。私が就任した直前の2009年度末には68億円だったこの基金に、毎年コツコツとお金を貯めて、今年度末で250億円まで増やしています。
 

この基金は、地震や水害などに即対応するためのお金でもありますし、今回のコロナのように税収が急激に下がることがある場合でも、市民生活に必要な施策を確実に行う時のための財源として貯めているものですから、簡単には切り崩したくはありません。
 

ただ、今回はまさに国難と判断して、財政調整基金から100億円を使おうと腹を決めたわけです。

 

一方、先日国の予算の一次配分額が決まり、およそ35億円の交付金が福岡市に配分される一定の見通しが立ちました(少なくて不満ですが、それはさておいて)。

 

さらに福岡市の今年度の事業を見直し、世界水泳の延期や福岡マラソンの中止など大小合わせて、10億円のお金を生み出しました。
 

国からの交付金35億円と市事業の見直し額10億円を合わせて45億円。これを、今回の休業要請延長に伴う支援にあてることにしたのです。

 

あと1ヶ月我慢すれば徐々に国からの支援金も振り込まれてくるので、何とかそこまで繋げればと思っています。

 

ちなみに家賃の8割で上限50万円のままで支援をすると、福岡市では一ヶ月で50億円以上掛かります。

 

今回は25日の延長とはいえ、これだけですでに予算オーバー。それで上限を30万円にするのです。

 

ただし、福岡市内では家賃20〜30万円程度の店舗が多いようなので、上限額は下げても、50万円のときと同様、全体の約70%の店舗さんは家賃の2割負担でこの支援メニューをお使いいただけると試算しています。

 

 

【県から休業・時短要請はされていない一方、売り上げ落ち、市民への安全対策でもお金が掛かる事業者への支援】

 

タクシーや理美容など、福岡県から休業・時短要請はされていないけど、安全対策に費用負担が発生する事業者も沢山おられます。

 

市民生活に必要なサービスを安全に提供する事業者への支援として、売り上げが30%以上下がったお店は、法人には15万円、個人事業主には10万円を新規で支援します。

ちなみに既に別途の支援を行なっている飲食店や宿泊施設は除きますが、市民と接する施設やサービスであればジャンルを問わないことにします。この30%という数値は福岡県の支援金と同様の条件ですので、市に提出する資料は県に提出する資料を活用するなど、事業者の皆さんに新たな作業負担が極力発生しないようにとの思いも込めて30%にしました。

 

 

【医療・介護従事者等応援基金の創設】
 

新型コロナウイルスの最前線で働く医療介護従事者への支援として、新たに基金を創設し、新型コロナウイルス感染者を受け入れた医療機関や介護施設で働く皆さんに支給します。
ふるさと納税で福岡市に寄付をいただければ、福岡市が橋渡しをします。どうぞ医療・介護従業者等応援基金(通称:ありがとう基金(仮))へのお力添えをよろしくお願いします。

 

 

【デリバリー支援の延長とテイクアウト支援】
 

福岡市に登録された飲食デリバリーで1000円以上注文すれば500円のポイント還元もしくはクーポンをバックする支援をしていました。これを最長5月末まで延長します。
 

それに加えて、新たにテイクアウトまで広げて欲しいという要望が多かったので、飲食店が割引などの特典を付けてテイクアウトサービスをしていただければ1店舗10万円の支援金を支給します。

 

 

【感染者の周辺サポート】
 

・保護者が感染し、どうしても養育する人がいなくなってしまった子どもをこども総合相談センター「えがお館」で預かれるようにしたり、
・自宅で介護する人が感染してしまったときに取り残される高齢者や障がいのある方のために、
訪問介護をしてくれる事業者に補助をしたり、
・飼い主が感染してしまった際のペットの預かり事業を始めます。

 

 

【文化、エンタメ支援】
 

「福岡市の魅力発信」につながるWeb配信コンテンツ制作をしていただければ、1事業者当たり10万円、1作品50万円を上限に支援します。

 

これはアーティスト自身の支援でもありますが、アーティストを支えるスタッフの皆さん、音響さんや照明さん、編集さん、機材などがイベントが全部キャンセルになって厳しいというお話を伺ったので、そういう方々への支援という意味合いが大きいです。

 

ぜひチームを組んでコンテンツを制作していただければと思います。もちろん伝統芸能や演劇でも結構です。

 

ライブハウスやスタジオで無観客ライブ配信などを行う上での機材導入費用などを上限50万円で支援する施策と合わせて、福岡市にとって大切な文化、エンタメに少しでも未来を見据えた支援ができればという思いです。

 

 

保育園や認可外保育施設なども休業要請の延長を受けて、今と同様の扱いを引き続き延長します。育児休業の復職期限は7月1日に延長します。

 

 

他にも検討中のメニューがありますので、早急に全部をまとめ、議会でご審議頂いた上で、速やかに支援をスタートさせたいと思います。

 

もちろんこれだけで一ヶ月の苦しみを全て賄えるとは全く思っていません。

 

国や県の支援策と組み合わせていただきながら、何としても市民の皆さんにとって大好きなお店が閉店に追い込まれないように、福岡市として少しでも力になれればという思いで朝から晩まで市の職員と準備してきました。

 

福岡県そして九州全体の感染者の増減は福岡市の取り組みの影響がとても大きいです。

 

ここまで市民のみなさんの我慢のおかげで、確実に感染拡大は抑えられています。

 

すごい結果です。

 

本当に一ヶ月で新規感染者を大きく減らすことに成功しました。
 

休業と外出自粛の延長は複雑な思いですが、コロナウィルスを封じ込めるため、ここはみんなで力を合わせて、月末まで頑張りましょう。

 

そしてコロナが終息したらアクセル超全開で街を盛り上げまくりましょう!



 

緊急事態宣言延長を受けての福岡市独自の支援策(5月5日発表)

新型コロナウイルス感染症について
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokenyobo/health/kansen/nCorV.html

福岡市長 高島宗一郎